人生相談から「生きる」ということを改めて学ぶ|幸福幻想

小説・エッセイ
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こんにちは。妻です。

今日は『幸福幻想 うさぎとマツコの人生相談』という本について、書いていきたいと思います。

本書は『サンデー毎日』という雑誌で中村うさぎさんとマツコ・デラックスさんが連載している「うさぎとマツコの信じる者はダマされる」(2016年7月10日号〜2021年10月31号)に掲載されている人生相談とそれに対する回答をまとめ、書籍化されました。

中村うさぎ

同志社大学卒業後、会社員などを経てライトノベル作家としてデビュー。その後、自身の浪費・美容整形など実体験をもとにしたエッセイで注目を集める。

マツコ・デラックス

美容専門学校を卒業後、ゲイ雑誌の編集部を経てエッセイスト、コラムニストに、現在はテレビを中心に活躍の場を広げている。

わたしが本書を手に取ったきっかけは表紙に書かれている自分で自分を救済するための処方箋という部分。みんなどんな悩みを抱えているのか、そしてわたしのだいすきなマツコ・デラックスさんがどんな回答をしているのかが知りたくて、手に取りました。
今回は本書に書かれていた全38の悩みから、2つの悩みを見ていきます。

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お悩み1:「嫌われる勇気」が欲しい

ちょっと前に流行った「嫌われる勇気」というのが欲しいです。
本当は自分のやりたいようにしたいのですが、嫌われるかもしれないとおびえてしまい、つい他人の顔色をうかがって行動してしまいます。同調圧力に屈するのは嫌ですが、嫌われるのはストレスになるので、今日も愛想笑いです。
どうしたらお二人のように、「嫌われる勇気」が持てますか。
(大阪府・匿名希望・19歳・学生)

マツコ アタシも別に嫌われようと思って生きてるつもりはないんだけどね(笑)。

うさぎ 一度嫌われてみればいいと思うけど、嫌われるほうがストレスが大きいなら、嫌われないよう邁進するしかないんじゃないかしら。私たちみたいになったら、ストレスで死んじゃうかもよ。
そもそも、嫌われないように媚びたって、「媚びてるわね、あの子」とか言われるけどね。誰からも嫌われない方法っていうものが思いつかないよ。

マツコ 人間って、どんな人に対しても悪口を言うからね。悪いことをしていない人にだって、悪いところを見つけて悪口を言う。つまり、わざわざ他人の嫌いなところを探しているのよ。嫌われるってことは、それだけ目立っていると思えばいいんじゃないかしら。

うさぎ <中略>
それと、目立つのを避けようとするのって、個性を押し殺すことじゃない。そういう人って、「悪い子じゃないけど、一緒にいても面白くない」って言われてるよ。一緒にいて面白いと思われるような人は、その分嫌われもする。そのどっちを選ぶかなのよね。

マツコ それと、アタシたちは今、こんなふうに生きてはいるけど、社会からつまはじきにされて、流れ流れて結果としてこうしているだけだからね。それを基準にしないほうがいいわよ。相談者さんみたいな考えは、ごく一般的なものよ。そんなに自己嫌悪することはないと思うわ。でも、どうしてもそんな自分が嫌だったら、一回本音を言ってみたらどうかしら。

<中略>

誰かから嫌われたとしても、全然生きていけるよ。一回経験すればわかるけど、誰かに嫌われるなんてものは、はらわたをえぐられて塩を塗られてまた縫合されるみたいな、そんな大層な苦しみってわけでもないから。
だからってどんどん嫌われなさいとお勧めしているわけではないけど、もしかしたら嫌われるということを、深刻に考えすぎているのかもしれないわよ。

うさぎ 嫌われるイコールいじめられるとか、仲間はずれにされるって感じで、直結して考えちゃってるのかもね。まあ、もしかしたら私やマツコも、実はそういう目にあってたのかもしれないけど。

マツコ 単に気づいてなかっただけかもね。でも、そんなに心配することないわよ。ちょっと他人に嫌われたところで、寝首をかかれるわけでもないんだから(笑)。

うさぎ 嫌われるのが怖い人って、被害妄想な部分もあるのよ。相手はなんの気なしに言ったことでも「あれって何かの嫌味かな」とか、たまたま飲みのメンツが集まらなかったからって「私、避けられてる?」とかネガティブに考え始めると止まらなくなる人、いるじゃない。私だって、時にはそういうこともあるのよ。でもそれ、大抵は思い過ごし。自分の精神状態の問題なの。嫌われることを怖がりすぎて、相手のちょっとした言動をいちいち深刻に受け止めてたら、そりゃ息苦しくなるわよね。自分に置き換えたら、ちょっと忙しいから誘いを断るくらい、普通にあるのに。

マツコ あとさ、アタシたちは言いたいことを本能に任せて言ってるように見えるかもしれないけど、これって逆に、防御としてという部分もある気がするんだよね。自分が弱いことをわかっていて、ダメージを負いたくないから逆に攻撃して自分を守っているようなところが、アタシたちには多分あると思うの。根っこにある気の小ささや精神的な弱さは、人間みな同じなのかもしれないね。

うさぎ うん、そうだね。私たちも、この相談者さんも、みんな他人が怖いのよ。

マツコ 他人の気持ちなんて誰もわからないから、探り合いながら生きているわけでしょ。それが受け身の形の人と、攻撃な形の人がいて、アタシたちは後者なのよ。

マツコさんやうさぎさんもわたしたちと同じく他人が怖いんですね…
わたしも「できることなら誰からも嫌われたくない」というタイプなので、他人の顔色を伺いながら行動している質問者さんの気持ちが痛いほどわかります。でも、わたしのことが嫌いであればどんな行動を取っても嫌われるでしょうし、考えて動けば動くほどうさぎさんが言う被害妄想につながるだけなので、最近はあまり考えないようにしています。

お悩み2:生きていても楽しくない

生きていて楽しくありません。夢もやってみたいこともなく、ただ生活のためにだけ生きている感じです。一応、好きな音楽や性欲もあったりしますが、いつも心は空虚です。旅行なども考えましたが、結局お金を使うだけだと思い休日はずっと家の中です。通勤電車で時間を潰すものもなく、この先の長い人生を思うとぞっとします。
なんのために生きているのかわからず、苦労だけはあり、生きていることが馬鹿馬鹿しいとすら思っています。
(東京都・きょうへい・22歳・会社員)

うさぎ わかる。わかる。

マツコ うん、アタシも同じことを聞きたいわ。

うさぎ まずね、「生きているのが馬鹿馬鹿しいと感じる」っていうことに関して言えるのは、「そもそも、生きていくことはとても馬鹿馬鹿しいことです」ってことよ。

マツコ そうです。

うさぎ 別になんの意味があるわけでもないしね。それをどうにかして楽しくしようとするのは、これはもう個々人の努力次第なわけですよ。楽しいことが何もないって、そりゃ毎日家の中でボーッとしてたらそんなものないわよ。自分から「自分は何が楽しいって思えるんだろう」と考えて求めていかないと。別にアウトドアとかスポーツとかじゃなくてもいいから、たとえば「このテレビ番組が好き」とか「このマンガが好き」みたいなのでも、なんでもいいと思う。でも、何かを自分から探そうとしないと。楽しいことなんて口あけて待ってたって転がり込んでくるわけないんだから。
別にインターネットでもいいのよ。ネットの中に、「あ、これ、俺好きだ」って思えるものがあれば。そういうものを自ら見つけていかなきゃ、人生なんて楽しくないに決まってるよ。そのへん、ちゃんとわかっているのかな?

マツコ でもね、この方っておそらく、人生に夢見ちゃっているからこうなっているんだと思うのよ。こういう悩みを言う人ってだいたいが、「もっと俺はモテるはずだ」とか、「もっと俺は仕事ができるはずだ」「もっと他者から評価されるはずだ」とか思ってるから、それに満たない自分ってダメな人間だ〜と思っちゃうわけじゃない。でもね、そんなもんよ!すごく楽しいことがそこいらじゅうに落ちてるなんて、あるわけないじゃない。

うさぎ <中略>
こういう考えになるのってやっぱり、CMとかドラマとか、そんなのを見て、真に受けてるからじゃないのかしらね。

マツコ そうねえ。あればいわば社会における”最高傑作”の例を見せてるわけだからね。そこを勘違いしちゃダメよ。

うさぎ キラキラした恋愛して、仕事にやりがいがあって、「挫折もあるけど、この仕事やっててよかった〜!」ってガッツポーズ!……そんな人間なんて、ホント、数えるほどしかいないのよ、たいていは、どんよりした魚のような目で生きてるわけ。

マツコ そうよ。現実の中で、ドラマや映画に出てくるような人生を送ってる人、見たことある?

うさぎ ないわよ。

マツコ <中略>
とりあえず、何か一つに絞って本気でやってみたらどうかしら。なんなら、仕事でもいいのよ。「生活のため」なんてのじゃなく、全力で仕事に取り組むの。
世の中には、「俺は死んでもいいから働きたい」とか、「どうしても社長になりたいからもっと結果を出したい」「誰に何と言われようが、あいつを蹴落とすために、あいつが働いていない時に働きたい」って人もいるわけでしょ。ホントにブラックな労働を強いられている人たちもいるし、そういう人のために法律はちゃんと守られるべきだけど、仕事にすべてをかけたいって人もいるわけだから、そこを一律に規制してしまうのも、ちょっと違うと思うのよね。

<中略>

まあ要は、あんまり他者に影響されちゃいけないってことよ。結局、他人と自分を比べてるから悩むんでしょ?でも、その比べてる他人だって、本当に幸せかどうかなんてわかんないのよ。カップルが手をつないで歩いていたとして、それが実はW不倫してるカップルだっていう可能性だってあるわけじゃない。

うさぎ 明日には地獄を見てるかもしれないのよねえ。

マツコ そうよ。

うさぎ 降って湧いたような恋愛、なんて、ドラマでしかありえないから。実際は、自分から探しに行ってやっと見つかるものじゃない。

マツコ それに、こうやって文句ばかり言って生きてるのって、なんか悲しくなってくるじゃない。だからうさぎさんが言ってたみたいに、とりあえず外に出てみて。そしたら、何かハッと心惹かれるものと出会えるかもしれないから。

うさぎさんの「(楽しいことは)自分から探そうとしないと」マツコさんの「人生に夢見ちゃってる」という言葉にギクッとなったのはわたしだけではないはず…幸いなことにわたしは夫の作ったごはんを食べている時などに生きていて楽しいと思えているので、楽しくないわけではありませんが、自分がやってて楽しいことを見つけなければですね…

生きることは「幸せになること」ではない

ということで『幸福幻想 うさぎとマツコの人生相談』より、2つのお悩みと回答を紹介させていただきました。

他にも「複数の男性との交際はなぜいけない?」といった恋愛に関する内容や「母の介護を放棄したい」といった家族に関する内容など、様々なお悩みに対して2人が対談形式で回答しています。

中村うさぎさんやマツコ・デラックスさんがすきな方はもちろん、お2人の考え方は生きるにあたり参考になる部分も多くあるのではと思います。気になった方はぜひ手に取ってみてください。

最後に、本書のタイトルについてマツコさんがこう言っていました。

『幸福幻想』なんて大層なタイトルだけど、そもそもアタシ自身は「幸せになりたい」なんて思わないようにしているのよ。最近の「幸せにならなきゃいけない」みたいな風潮が、いろんなことを面倒くさくさせているんじゃないかしら?生きることは幸せになることではないんだから、「ちゃんとしなきゃ」なんて思わなくていいの。人生なんて、目の前のことを日々着実にやって、人様にご迷惑をかけないようにするだけで充分なのよ。

幸せになるために何かを手に入れても、それで幸せになるとは限りません。

本書を通じ、○○すべきという固定観念が自分を生きづらくしてしまっているのかもしれないと思いました。また、他人を気にしすぎることも生きづらさにつながります。

まだまだ長い人生。わたしやあなたの中に眠っている「こうあるべき」を解放し、少しでもラクに生きていきましょう!そして、幸せになりたいではなく、「今が幸せ」と言えるくらいになりたいですね…

ではまた。

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この記事を書いた人

インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。

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