職場や学校・家庭など、どんな場面においても社会で生きていくために必要不可欠となるコミュニケーション能力。
コミュニケーション能力とは、相手と意思疎通をスムーズにするための能力のことで、相手に分かりやすく伝えること・相手の伝えたいことをしっかり聞くことが重要になります。
今日はそんなコミュニケーションの伝える力について、『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』という本で学んでいきたいと思います。
著者は実業家、ビジネスコーチの山﨑拓巳(やまざきたくみ)さん。
「コミュニケーション」「モチベーションアップ」「お金の教養」などをテーマにしたセミナーや勉強会を全国各地で開催し、高い人気を誇っている。
また、ニューヨークにラーメン店「タクメン」を出店したり、アーティストとして国内外に絵画、Tシャツ、バッグを出展したりするなど多方面で活躍中。
山崎さんはこれまでに何十万人という人たちとつながってきました。そしてその中で、コミュニケーションで一番大切なことに気づいたと言います。
コミュニケーションで一番大切なことは、
「うまく話そうとする」
ことよりも
「なにを感じているかを話そうとする」
ことの方が大事だ、ということです。
なにを感じているか話そうとする?どういうことだろう…?
たとえばこんな場面を想像してください。
取引先のAさんとBさんがあなたのために力を尽くしてくれたとします。
あなたが「ありがとうございます」とお礼の気持ちを伝えたところ、AさんとBさんから次のような返答がありました。Aさん「当然のことをしたまでです」
Bさん「○○さん(あなた)に少しでも褒めていただきたくて」二人の言い方を比べてみて、あなたはどのように感じましたか?
うーん…全く同じ関係性で返答に違いが出ているの仮定して、Bさんの方が愛嬌があるように感じますかね…
Aさんの言い方は、いわゆる「大人の言い方」です。
社会人のマナーとして決して間違いではなく、悪い印象を受けることはないでしょう。
一方で、Bさんの言い方は社会人のマナーとしては微妙と感じるでしょうか?ちょっと子供っぽい印象を受けた人もいるかもしれません。
それでも、Bさんの言い方に、なんとなく親しみを感じないでしょうか。
なぜならBさんの言い方は”一次感情”を表現したものである一方、Aさんの言い方はその感情を隠しているからなのです。
“一次感情”とは最初に生まれる感情「悪気のない下心」のことを指すのだそう。つまりAさんは建前で、Bさんは悪気のない下心から出た言葉ということ。だからAさんよりBさんに愛嬌を感じたんですね…!
ぼくは、大人になると7割以上の会話が、そんな建前で成立していると思っています。でも決して悲観しているわけではありません。みんなが建前で話す世の中だからこそ、勇気を出して”一次感情”を伝えることができれば、逆に相手とぐっと近くなれるチャンスだと思っているのです。
自分が感じていることを、そっくりそのまま伝えればいい。
そっくりそのまま伝えるとトゲが出そうな気がしますが、本書のポイントは感じのいい人が選んでいる言葉という点。どう答えたらトゲがなく感じがいいと感じるか、学んでいきましょう!
かわいい言い方
本書ではコミュニケーションが難しいとされる全8つのシチュエーションにおいて、「大人の言い方」と「かわいい言い方」を並べて解説してくれています。
今日はその中から「挨拶する」「依頼する」「お断りする」「返事する」4つのシチュエーションをピックアップさせていただきます。
1つ目のシチュエーション:挨拶する
自己紹介をするとき
こういう仕事をやっています。
こういう仕事をさせていただいています。
コミュニケーションは「自分が思っている7割の力」がいいと思っています。
<中略>
自分のことを大きく見せようとするよりも、謙虚さをまとい、少し抑え気味の方が凄みを出せるからです。
たとえば小さなことですが、仕事についてたずねたとき「写真を撮っています」と言う人よりも、「写真を撮らせていただいています」と言う人の方が大物だと感じられないでしょうか。
確かに写真を撮らせていただいていますと言われたら、「実はすごい人なんじゃないか?」などいろいろ想像してその人に興味が湧いちゃいます…!
自分の仕事について”させていただいています”と言える人は、なかなか立派なポジションにいる人という印象を受けます。
相手の変化をほめたいとき
その髪型かわいいですね。
髪、切りましたね。
大事なことは、「事実のみを伝える」ということ。
「髪の毛、切りましたよね」と伝えると、よく「わ。気づいてくれてありがとう〜。昨日、切ったんですよ」とよろこんでもらえます。似合っているとも、かわいいとも言っておらず、事実を伝えただけなのにです。
わたしもほんの少しだけ髪を切ったとき、同部署の人には気付かれず、他部署の方に気付いていただき声をかけてもらえたという実体験があります。髪の毛を切るたびにこの出来事を思い出し、ハッピーに…!
「早くから会社に来ていますね」「片付けてくれたんですね」「3回も、先方に連絡してくれたんですってね」も同様です。いずれも評価せず、事実を伝えただけですが、相手はきっといい気持ちになります。
心理学者のアドラーは、「人はほめると、さらにほめられることを求め、自立心が損なわれ、依存体質を作ってしまう」と言います。人を育てるには「上から評価してほめる」のではなく「横から勇気づける」ことが有効なのだそうです。
2つ目のシチュエーション:依頼する
雑務をお願いしたいとき
この仕事をお願いしたいのですが。
○○さんにお願いしたいことがあるのです。
「あの……お願いがあるのですが」と神妙に切り出すのはおすすめしません。お願いの内容よりも暗さや重さが先走り、相手が身構えてしまうからです。
使ってほしい言葉は「○○さんにお願いしたいことがあって」です。
これは相手を陽のエネルギーで満たす魔法の言葉。
突然そんな風に言われると、相手はつい「え?私にできること?」「できることなら全然、かまいませんよ」と心を開いてしまうのです。
小さなことですが、名前+お願いのコンボは頑張ります!と引き受けちゃいますよね〜
「どんなことをしたらいいのですか?」と聞かれたとき、「いろいろとあるのですが……」とあいまいにするのはやめましょう。再び心を閉ざしてしまいます。
すかさず、的確に、手短に「○○さんにはこれをいついつまでに仕上げるお手伝いをお願いしたいのです」と答えられる準備が必要です。
3つ目のシチュエーション:お断りする
キャパシティを越えそうな依頼がきたとき
なんとかやってみます。
このレベルまでならばできます。
明らかに自分のレベルを超えた仕事がきた。
しかし限界の向こう側に成長がある!とポジティブに考え、なんでも「なんとかやってみます」と安請け合いしてしまっていませんか。
しかし確実に受けてしまったら穴をあけてしまいそうな仕事というものもあります。穴をあけるたびに信頼を失います。ですから、どこまでなら無理なくできるのか”可能な範囲”を伝えることで相手に安心してもらいましょう。
わたしは先ほどの”雑務をお願いしたいとき”で引き受けすぎてキャパオーバーになりがちです。〆切優先で行っているので穴をあけたことはありませんが、この調子で受け続けるといつか穴をあけそうなので身につけねばならないテクニック…!
ひとつの仕事は、ひとつの航海。一歩引いてみれば、同じ船の乗務員です。誰にその責任をなすりつけようか、というゲームがはじまると、やがてその船は沈んでしまいます。仲間の信頼を集めるためにも、つねに全体の利益を考えた言い方を心がけましょう。
苦手なことに誘われたとき
苦手なので、やめておきます。
得意ではありませんが、やってみたいです。
あなたは苦手なことに誘われたらどうしますか?ぼくのモットーは「全種目参加」です。「誘われたら断らない」に挑戦し続けています(ただしバンジージャンプとスカイダイビングをのぞく)。
著者の山崎さんは食わず嫌いの人生はもったいないからと、なんでも首をつっこむようにしているそうです。わたしは断っちゃいます…
世の中には「この人は苦手」からはじまって、結婚までいたる人も大勢います。今苦手だと思い込んでいることが、案外、将来のあなたを助けてくれたりするのです。なにごとも”一生やることはない”と決めづけず、可能性をのぞいてみましょう。
4つ目のシチュエーション:返事する
感想を伝えるとき
すばらしいですね。
ここが好きです。
感想を伝えるのが難しいときってありますよね。
特に音楽や映画、絵画のことなど、正解が存在せず、人によって大きく好みがわかれるものだとなおさらです。
作品を分析したり、評価したりするのは難しい。
<中略>
だから感想を伝えるときは、無理して気の利いたことを言おうとせず、「どこが好きか」を素直に伝えましょう。
確かに、心に感じたことや思ったことが自分の気持ちを一番伝えやすいですもんね…!
ときどき目上の人に対して「すばらしい!」「上手!」「いいですね!」「うまい!」と口走ってしまうときがあります。そうすると賞賛の意味で言っているつもりでも、相手を上から評価している言葉として伝わってしまいます。
評価できるほどのバックボーンがない場合は、良い・悪いではなく、どこが好きかで答える方が、リスペクトと賞賛の気持ちを表現できます。
人からなにかしていただいたとき
ご厚意に感謝いたします。
とってもうれしいです!
やったことをよろこんでもらえたら、人はうれしくなります。そして、よろこんでいる人をもっとよろこばせたい、というのが人の心です。
会えたこと・お話できることなど、なにかしていただいた時に一生懸命気持ちを表現すると、喜びの連鎖が起こるんですね…!
たとえしてくれたことや、いただいたものが、必要のないことや、趣味が合わないものでもいい。
「なにをしてくれたか」はまったく問題ではなく、「あなたをよろこばそうとしてくれたという好意」に感動し、それに感謝します。
だから人の好意を見逃さないでください。そして好意を見つけたら素直にたっぷりよろこんでください。
大事なのは「小さな言葉の積み重ね」
以上、『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』より、4つのシチュエーション・7つの実例をご紹介させていただきました。
他にも、様々な実例を解説してくれています。
こういうときどんな言い方があるんだろうか…?と気になった方はぜひ、本書を手に取ってみてください。
ちなみに今回は全8つのシチュエーション中、半分の4つしか紹介できていないため、残り4つのシチュエーションもまた記事にできればと思います!
今回ご紹介した挨拶・依頼・お断り・返事のシチュエーションは、自分が言われる側に置き換えてみると、興味を持ったり、嬉しくなったり、信頼度が増したり、と良いイメージが想像できるものばかりでした。
こうしたほんの小さな言葉の積み重ねが、自分の知らないところで「あの人にお願いしてみよう」「あの人の頼みだから聞こう」と思ってくれる人を増やしてくれます。
目上の人はもちろん、目下の人にも、出会う人みんなにかわいがられる、かわいい言い方を習得して、かわいい自分を目指してみませんか?
ではまた、次回の記事でお会いしましょう。
続編はこちら↓
この記事を書いた人
- インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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