いきなりですが、日本語って難しくないですか?
実はわたし、言い間違い・聞き間違いがめちゃくちゃ多いんです。多すぎて母には「馬鹿がバレるから難しい言葉は使わないように」と言われて育ちました…
日本語は世界と比べると、ひらがな・カタカナ・漢字と文字の種類が豊富。
また、”柿”と”牡蠣”など、読み方は同じでもイントネーションが異なる場合も。
さらに敬語の種類も多く、”言う”という言葉でも場面によって使い分けされています。
- おっしゃる・言われる
尊敬語(目上の人を敬い、相手を持ち上げる言葉) - 申す・申し上げる
謙譲語(相手に対して自分がへりくだり、敬う気持ちを示す言葉) - 言います
丁寧語(相手に対して丁寧にし、敬意を表す言葉)
そして”腹がすわる”など、2つ以上の言葉がひとまとまりとなり特別な意味を表す「慣用句」や”石の上にも三年”など、古くから人々の間で言われてきた言葉を指す「ことわざ」などもあります。
こんなに難しい言語を日々使っているのが我々日本人ですが、中には言葉の意味を勘違いしていたり、間違った使い方をしているケースも。
『ちょっと「敏感な人」が気持ちよく生きる本 』を紹介した際に書きましたが、わたしはちょっとした言い間違いがすごく気になります。例えば、雰囲気をふいんき・施策をせさく、など。意味は通じるんですが、正しくはふんいき・しさく。
ということで今日はわたしと一緒に『9割がつい間違える身近な日本語』で勉強しませんか?
著者は「より楽しくもっと快適な暮らし」を合言葉に、家事から文化、美容、健康まで多角的にアプローチするエキスパート、ベスト・ライフ・ネットワーク。
この本はふだん使いの日本語に潜む落とし穴を紹介し、語彙や表現を通じて日本語に関心をもってもらうことを目的に作られました。
本書を読むと、知らず知らずのうちに間違って使っていた言葉の多さに愕然とするでしょうが、それでいいのです。間違っていた事実を知れば、二度と恥をかかずにすむのですから!
ということで、正しい日本語を身につけていきましょう!
続く言葉はそれで正しい?|間違えやすい日本語
この章では50の言葉が紹介されています。
ここではわたしも間違えて覚えていた8個をご紹介。項目ごとにある「●」部分に言葉が入ります。2つのうち、どちらが入るか考えながら読み進めてみてください!
明るみに●●
明るみに
+
なる
or
出る
「明らかになる」と混同するのか、「明るみになる」と間違えるケースが少なくありません。暗いところから明るいところに出て公になるのが「明るみに出る」。隠されていたこと、知られていなかったことが世の中に暴露されたときによく使われます。
○答え:明るみに出る
×誤用:週刊誌のスクープによって隠ぺい工作が明るみになった。
雪辱を●●●
雪辱を
+
晴らす
or
果たす
「雪辱」という言葉自体が、恥をすすぐという意味。現在では、スポーツなど競技の勝敗に広く用いられます。以前に負けた相手に勝利をおさめ、名誉を取り戻すということで、「雪辱を晴らす」と言う人が増えていますが、「果たす」が本来の使い方です。
○答え:雪辱を果たす
×誤用:昨年の雪辱を晴らすべく、猛練習をして大会に臨んだ。
金に●●●●
金に
+
まかせる
or
あかせる
お金がたくさんあると何でもできるというイメージなのか、「金にまかせる」と言う人がいますが、それは誤り。「あかせる」を漢字にすると「金に飽かせる」と書きます。金銭的に余裕があり、費用を惜しまずに何かに使い、物事を行なうという意味です。
○答え:金にあかせる
×誤用:あの人は金にまかせて世界一周旅行をしたそうだ。
暗雲が●●●●●
暗雲が
+
たちこめる
or
たれこめる
「暗雲」は今にも雨が降り出しそうな黒い雲。空の低いところを暗雲が覆っている様子を描写するなら「暗雲がたれこめる」。「たちこめる」は霧や煙に使われる表現です。ただ、不穏な国際情勢の比喩には「暗雲がたちこめる」という使い方もします。
○答え:暗雲がたれこめる
×誤用:予報の通り、夕立がきそうだ、暗雲がたちこめている。
熱に●●●●●
熱に
+
うなされる
or
浮かされる
高熱で意識がもうろうとし、うわ言を言うことをあらわす慣用句が「熱に浮かされる」。転じて何かにのぼせ上がるという意味でも用います。音が似ているせいか「うなされる」と言う人がいますが、こちらは悪夢などで苦しい声を出すことです。
○答え:熱に浮かされる
×誤用:三日三晩、熱にうなされ続け、すっかり体力を消耗した。
貯金を●●●●
貯金を
+
切り崩す
or
取り崩す
最近は「貯金を切り崩す」と言う人が増えていますが、正しくは「貯金を取り崩す」。まとまったものを少しずつ取っていくイメージです。「切り崩す」では切ったり削ったりして形を崩すことなので、意味からしておかしいとわかるでしょう。
○答え:貯金を取り崩す
×誤用:しばらくは貯金を切り崩してやっていくことになる。
蘊蓄(うんちく)を●●●
蘊蓄を
+
たれる
or
傾ける
「蘊」「蓄」はともにたくわえるという意味。日々たくわえた知識、技能が「蘊蓄」であり、それをすべて発揮することを「蘊蓄を傾ける」と言います。「蘊蓄をたれる」という言い方はしません。「たれる」のは、文句や講釈です。
○答え:蘊蓄(うんちく)を傾ける
×誤用:課長は何かというと得意げな様子で蘊蓄をたれる。
火蓋を●●●
火蓋を
+
落とす
or
切る
火蓋は落とすのではなく、切るとするのが慣用句です。火縄銃で火薬を盛る火皿の口を覆う蓋が火蓋。「火蓋を切る」は点火する準備が整ったという意味から転じて、戦闘を開始する、試合、競技などを始めることまであらわすようになりました。
○答え:火蓋を切る
×誤用:けたたましいサイレンとともに熱戦の火蓋が落とされた。
わたしが間違って覚えているものの多くは、なんとなく音で覚えていたからのよう…
つい使ってしまいがち!|誤用しやすい日本語
この章では32の言葉が紹介されています。
ここではわたしも勘違いしていた3つをピックアップ。文章が2つ出てくるんですが、片方が正しくて片方が誤りです。
号泣
映画館で感動し、声を殺して号泣した。
or
話を聞いて思わず号泣したら、耳をふさがれた。
若い世代で、「号泣」を声を押し殺し大量の涙を流すことだと捉える人が増えています。「号」は大声をあげることをあらわし、正しくは大声をあげて泣き叫ぶこと。どんなに感動しても映画館で号泣したら、周囲に大変な迷惑をかけてしまいます。
○答え:話を聞いて思わず号泣したら、耳をふさがれた。
×誤用:映画館で感動し、声を殺して号泣した。
幸先
そんなことがあったとは幸先が悪いね。
or
それは良かった。じつに幸先が良い。
「幸先」は良いことが起こる前兆。物事を始めようとしたときに、うまくいきそうだと感じさせることなので、「幸先が良い」が適切な使い方。なお、同音の語に「最先」がありますが、これは単にいちばん初めという意味です。
○答え:それは良かった。じつに幸先が良い。
×誤用:そんなことがあったとは幸先が悪いね。
ハプニング
思いがけないハプニングが起きました。
or
衝撃的なハプニングが起きました。
思いがけないことが起こるのが「ハプニング」。予想できない突発的な出来事、事態という意味ですから、「思いがけないハプニング」では意味が重なります。強調したいなら「衝撃的な」「驚きのあまり声を失う」などと表現するといいでしょう。
○答え:衝撃的なハプニングが起きました。
×誤用:思いがけないハプニングが起きました。
誤用していた…恥ずかしい…あなたはどうでしょうか…?
正しい意味、知っていますか?|まぎらわしい日本語
この章では40の言葉が紹介されています。
質問に対しあなたはどの番号を選ぶか、考えてみてください!わたしは4つ誤りました…
さわり
Q.「曲のさわりだけ聞かせて」と言われたら、どこを歌う?
①イントロ
②さび
「さわり=最初の部分」という誤った解釈が広まっています。「さわり」とは義太夫節(ぎだゆうぶし)に由来する言葉で、「聞かせどころ」の意味。だから、曲であればイントロではなく、②のさび。文章や話のもっとも感動的な部分、要点を指す言葉としても使います。
A.②さび
姑息
Q.「姑息なヤツ」とはどんな人?
①卑怯者
②その場しのぎの人
正解は②。姑息という言葉は、「卑怯」「ずる賢い」といったイメージを抱く人が今や多数派ですが、じつは、そのような意味はありません。問題が発生した際、根本的に解決するのではなく、その場しのぎ、間に合わせの対応をすることを指す言葉です。
A.②その場しのぎの人
一日おき
Q.「一日おきに伺います」。次に来るのは?
①明日
②明後日
答えは②。「一日おき」と言ったら、あいだに一日おいた翌々日を指します。ところが、これを誤解して「一日おくから翌日」と考える人が増えているようです。「今日、来るはずなのに来なかった」と相手を責めてはいけません。確認を忘れずに。
A.②明後日
発覚
Q.「交際が発覚!」、世間の反応は?
①非難
②祝福
「発」の字には「あばく(発く)」の読みもあり、「発覚」は秘密や良くないことが暴露されるという意味合いの言葉。「交際が発覚」となれば、独身同士の交際ではなく、不倫やスキャンダルでしょう。答えは①。不正や陰謀にも使います。
A.①非難
元旦
Q.「元旦」の正確な意味は?
①元日
②元日の朝
③元日の夜
「元旦と元日は同じ」と思っていませんか。たしかに、ともに一月一日を指す言葉ですが、元旦は正確には②の「元日の朝」という意味。ですから、「元旦の夜に遊びに行こう」と言うのは誤った使い方です。「一月一日 元旦」と賀状に書くのも誤りです。
A.②元日の朝
わたしが唯一正解したのは元旦。年賀状で恥ずかしい思いをしたくなくて調べたことがあります。…さあ、今までもらった年賀状を見返してみよう!笑
その言い方、失礼です!|マナー違反に気をつけたい日本語
この章では34の言葉が紹介されています。
今から紹介する3つの例文はすべて誤用。どこが間違っているのか、正しくはどう言うか、ぜひ考えてみてください!
差し上げる
例文:原稿をお願いしたいのですが。もちろん謝礼を差し上げます。
「差し上げる」は与える、やるの謙譲語。「○○を差し上げます」は相手に敬意を示す言い方ですが、報酬の対価などに用いると、「あげますよ、ありがたいでしょ」といった嫌みな響きになりかねません。「お支払いいたします」のほうがふさわしいでしょう。
全然
例文:このお菓子、手作りなんですか。全然おいしいですね。
「とても」と強調する意味で「全然おいしい」「全然良い」などと言う人が増えましたが、一般的ではありません。違和感、不快感を与えることがあるので気をつけましょう。「まるで」「少しも」という意味では、「全然わからない」のように否定形を伴います。
お愛想
例文:店長、そろそろお愛想をお願いします。
飲食店で勘定書をさして使われる「お愛想」。客へのもてなし、人の機嫌をとる言動をあらわす言葉で、そもそも店側が「お楽しみのところ愛想づかしなことですが」と客に言ったことに由来します。客が言う言葉ではなく、店側が使う言葉です。
「お愛想」は通が使う専門用語だと思っていました…お勘定またはお会計お願いしますと言うように気をつけましょう。
変わりゆく日本語
以上、今回は『9割がつい間違える身近な日本語』からいくつかご紹介させていただきました。
この本には全393語が収録されています。
今回紹介した言葉以外にもつい使ってしまいがちな間違った日本語、誤用しやすい言葉、実は失礼にあたる言い回しなどが書かれているので、間違って覚えている言葉が多かった…と感じた方はぜひ読んでみてください。
最後に、変わりゆく日本語としてエモいという言葉が紹介されていました。
「感情」をあらわす”emotion”が語源とされる「エモい」。音楽やアートの世界では強く感情に訴えること、心を揺り動かすことを「エモーショナル」と表現し、これを略した言い方が、広く若者たちに浸透していきました。何かに触れたときに感動を覚えたり、強く心に響くものがあったりした場面で主に使われます。
わたしは音楽がすきなので、エモいという言葉を耳にする機会は人より多いかもしれません。
最近では、そこからさらに広がり、悲しい、寂しい、切ない、懐かしい、感情的になるといった多くの心の動きを、「エモい」のひと言で片付ける風潮もあります。若年層の語彙の乏しさの一例に挙げられています。
”若年層の語彙の乏しさの一例に挙げられている”という部分。冒頭に挙げた、日本語には意味が多く使い分けが難しいからという理由なのかもしれません。ひょっとすると、間違って恥ずかしい思いをしたくないからかもしれません。
どんな理由にせよ、なんでも新しく使われるようになった言葉を使うのではなく、正しい日本語を調べて使うことが大事だと、わたしはこの本で学びました。わからないから・恥ずかしいから使わないではなく、調べて正しい日本語を身につける。
こう考えると日本語って奥が深いですね。
ではまた。
最後に、わたしたち夫婦はいつからか「ありがとう」をあーとう、「どういたしまして」をんなんな、と言うようになりました。これは正しい日本語とは言えませんが、夫婦間で通じているのでヨソで使わなければ問題ないでしょう、きっと…
この記事を書いた人
- インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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