こんにちは。妻です。
今日は好きなモノに囲まれて小さく豊かに暮らす方法について書かれている『シンプリスト生活』という本を紹介します。
著者はデザイナーのTommy(トミー)さん。
平日はデザイナーとして会社勤めを行う傍ら、YouTubeチャンネル:Tokyo Simple Lifeにて、「より小さくより豊かに暮らす」をテーマに情報発信をされています。
本書は、
- 毎日をより気持ちよく過ごしたい
- 人生をもっと楽しみたいと考えはするけど、何から手をつけたらよいか分からない
という方に対し、著者Tommyさんの暮らしや考え方からなにかのヒントになれば、という思いが込められています。
では早速本書について見ていきましょう!の前に、タイトルにもなっている「シンプリスト」ってなんだろう…?
シンプリストとミニマリストの違い
著者のTommyさんはかつて「自分にとって本当に必要なモノが分かっている人」「大事なモノのために他のモノを減らす人」と言われるミニマリストを目指し、モノを減らすことを優先していました。
欲しい家具やインテリア小物を見つけても、趣味として何か新しく始めてみたいことがあっても、「モノが増えるから」と理由をつけ、挑戦することを避けていたそうです。
ミニマリストは以前紹介させていただいた『手ぶらで生きる。』の著者:ミニマリストしぶさんの生き方です。『手ぶらで生きる。』では、「自分にとって本当に必要なモノだけを持つことで豊かに生きられるといった考えを持って生活する人のこと」をミニマリストと定義していました。
Tommyさんはある日、「(挑戦することを避ける生き方は)本当に豊かだと言えるのか?」と考えるようになり、「減らす」から「心の豊かさ、心地よさ」に軸足をシフトしていきます。
そして、自分にとっての物事の優先順位を整理し、自分に正直でいることを重視して行動するシンプリストとして生活することにします。
本書では、ミニマリストをかつての自分として、シンプリストを今の自分として、違いがまとめられていました。
現在、Tommyさんのお家にはテレビやソファーがなく、炊飯器や掃除機もありません。一方で椅子が5脚あり、照明器具は4台あります。
本当に大切なモノであれば、増やすことを恐れてはいけません。
持ち物はある程度制限しつつも必要なモノであれば必要なだけ持つ、これがシンプリストの定義と言えそうです。好きなモノや大切なモノで囲まれて過ごすマキシマリストに通ずるところもありますね。
「手放せばよい」ってものでもない
元々はミニマリストを目指していたTommyさんですが、「何も考えず、ただモノを減らしても、幸せになれるとは限らない」と痛感した出来事があったそうです。
それは知人の方から相談を受け、片付けのお手伝いをすることになった時のことでした。
知人の方は、持っているモノがたとえ不要になったとしても、物理的に使用できない状態になるまで手放すことはない、いわゆる「モノを捨てられない人」でした。
そこでTommyさんは「今使っているか」を基準にまとめて処分することを提案し、片付けを行いました。モノで圧迫されていた部屋からスッキリした部屋に変わり、達成感を感じていたTommyさん。しかし、知人の方の表情はなんとも複雑で「なんだかさみしくなった」とつぶやいたそうです。
子どもが家を出てから使われていなかった勉強机や本棚、独身の頃に購入してから全く袖を通していなかった着物など、当時の思い出が詰まっていたモノを処分したことにより、処分する前には許可したものの思い出まで消えてなくなったような気がして「さみしくなった」という言葉が出たようです。
この出来事で、自分にとって何が大事で何が大事でないのかをクリアにしないままモノを減らすと、後で後悔する可能性があるということを学びます。
モノに対する考え方は人によって異なります。自分にとって何が大事かという基準を言語化しておくと、モノを手放すかどうかの判断基準になります。
Tommyさんは「過去の思い出より未来のための身軽さ」を優先するタイプだそうで、家事の時短効果とそのメンテナンスコスト・インテリアとしての影響を天秤にかけ、トースターを手放したそうです。
手放す基準
モノを手放す際、都度判断していると時間も気力も消耗してしまうため、自分なりの手放す基準を持っておくと便利です。
ここではTommyさんが有効だと感じている基準として挙げている中から一部を紹介します。
その下着で救急車に乗れるか
これはInstagramで片付け情報を発信されているyur.3さんの言葉です。なんだかドキッとしちゃいますよね。
この投稿をInstagramで見る
Tommyさんも過去に病院で受診した際、診察台に横になることを求められて靴を脱いだら、靴下に穴が空いていて顔を赤くした経験があるそうです。
あなたは今、部屋着や下着で救急車に乗せられても平気ですか?
最近わたし鍼灸院に通っているんですが、知らず知らずのうちに靴下に気を配るようになりました。ブラジャーやパンツは見られていないしと特に気にしていなかったので、これを機に見直そうと思います…!
本はアウトプットしたら手放せる
ビジネス書や自己啓発本は内容を忘れているという理由で捨てられないことが多いのではないでしょうか。本に書いてあったことを覚えられない理由として、読みっぱなしになっているから、とTommyさんは言います。
東京大学教授で脳研究者の池谷裕二教授によれば、情報をいくら頭にインプットしても、その内容についてアウトプットしなければ、脳はその情報を記憶に留めておくことができないそうです。
Tommyさんは本を読んだら、読書アプリを使い、刺さった言葉や感想をメモとして残すようにしています。このちょっとしたアウトプットだけでも自分の思考が整理されるそうです。そして次に見た時、内容がなんとなく思い出せるそうです。
前回紹介させていただいた『毎日を楽しめる人の考え方』でも、本を読んでアウトプットすることで勉強や仕事で結果を残しやすくなる、と書かれていました。わたしも当ブログ:Intro Booksを用いてアウトプットして、手放せるものは手放していこうと思います…!
捨てたという体で、生活してみる
手放す基準を作って捨てても、捨てた後で「やっぱりあれは便利だった」と思うこともあります。それらはないと生活できないというレベルではないが、あると意外と便利なモノにあたり、捨てて生活してみて初めて分かることです。
そこで、Tommyさんは躊躇したり迷いが生じた時は、捨てたという体で試してみることをおすすめしています。
Tommyさんは過去にテレビを手放すかどうかで迷ったことがありました。テレビ番組を見る機会は少なかったのですが、映画を観る時のディスプレイとして使用していました。ただ、タブレットを所有していたので、不要といえば不要という状態。
そこでテレビをクローゼットにしまい、手放したという体でテレビのない生活を試してみたそうです。
その結果、3ヶ月後にやはり不要だったということが身を持って実感でき、手放す踏ん切りがついたそうです。
この考え方は個人的に目から鱗でした。迷ったら「ない体」で試したらいいんですね…!
ゴミにしない不用品の処分方法
不要なモノを手放すとしても、処分に困ると躊躇して結局手放せないといった方もいらっしゃると思います。
ここではTommyさんが実践しているなるべくゴミにせずラクに早く手放せる方法を紹介します。
フリマアプリ・オークションサイト
状態が良いモノを処分する時は、フリマアプリやオークションサイトで売ることをおすすめしています。手間がかかると思われるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。
特にフリマアプリの場合、スマホのカメラで数枚撮り、アプリ上で説明を数行書いて値段設定をして出品。売れたら梱包して、最寄りのコンビニに持ち込み、アプリのバーコードを使って発送。発送が終わったら、アプリで処理して完了です。ちなみに値段は事前にアプリ内で同一商品の相場を調べてから設定します。
注意点としては、売価があまりにも安いと手間に見合わないので見極めが必要です。いくら簡単で手間がかからないとはいえ、少なくてもトータル15分はかかります。
フリマアプリはわたしも昔から利用しています。最初は赤字にならなければいいやと安い値段設定をしていましたが、今は手数料を引いて500円以上になるかならないかを基準に利用しています…笑
寄付
服や本をまとめて買取業者に持って行っても大した値段はつきません。服や本など処分品がまとまっている場合であれば、Tommyさんは「二束三文で売るより社会貢献になった方がはるかに気持ちいい」と寄付サービスを利用されているそうです。
いつだったかネットで「東日本大震災でいらなかった支援物資」という一覧を見て以来、わたしの中では寄付=押し付けているというイメージがあります。個人的には寄付するくらいなら捨てるかな…
寄付サービスは日々進化しているので、服や本などの処分品名で検索してみると、自分にあったよいものが見つかるかもしれません。
ジモティー
冷蔵庫・洗濯機・ベッドなど大型の品物をフリマアプリで売ると、送料が高くついて最終的に赤字になってしまうこともあります。
そこでTommyさんは大型家具家電を手放す際、ジモティーの利用をおすすめしています。
ジモティーは地元で品物を取りに来てくれる人を探したり、欲しい品物を譲ってくれる人を探したりといった、自宅近くに住む相手と直接取引できる掲示板のようなサービスです。Tommyさんも過去に不要となったベッドを処分する際に利用されたそうです。
粗大ゴミにならずに済むので、環境にも優しいですね…!
ご自由にお取りください
歩いていると、住宅の前に「ご自由にお取りください」と書かれた物品が並んでいるのを見たことはないでしょうか。
Tommyさんもゴミにするにはかわいそうなモノ、例えばお皿や雑貨などはこの方法で処分されているそうです。初めてやってみた時は、2時間くらいでなくなったのだとか。
このご自由にお取りください、散歩しているとたま〜にカラーボックスや衣装ケースといったモノが置かれているのを目にします。洗えたり拭けたりするモノならありかもですね…!
リメイク
不用品をリメイクして他の用途で使う方法もあります。
例えば、使わなくなったシーツをリメイクしてカーテンを作ったり、使わなくなったカラーボックスを切断してキッチン下収納に入れて使ったりなど、別の形で利用します。また、リメイクとまではいかなくても使う場所を変えるだけで役立つ場合があります。
わたしも一人暮らしの時に文房具をまとめていた無印良品の透明BOXで経験があります。同棲を機に不要となったため捨てようか悩み、試しにキッチンで使ってみたところ、意外と使い勝手が良くて今も活用しています。
家事こそ頑張らない
毎日多くの人が当たり前のように行っている家事ですが、「やりたい」と思ってやれているでしょうか?「仕方なく」やっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
家事は毎日死ぬまで続くもの、無理するものではありません。家事は本来、日々の時間を豊かにするために、家族を笑顔にするためにしているはずです。家事に追われてイライラして家族に気を遣わせてしまっていては、なんのための家事か分かりません。
ここではTommyさんの家事に対する考え方とやり方について紹介していきます。
掃除は毎日ちょこっと
平日は仕事なので土日にまとめて掃除をしている、という方も多いと思いますが、Tommyさんからすると掃除は汚れてからするモノではない、汚れていなくてもするもの、と言います。
汚れが目に見えなくても、1回あたり1分以内で終わるレベルの「ついで掃除」習慣化をおすすめしています。
例えば、
- トイレに入ったら、トイレットペーパーでホルダーやタンクを拭く
- 顔を洗ったついでに、メラミンスポンジで洗面台の水栓金物を磨く
- 洗濯物を回す直前に、キッチンの手拭きタオルでサイドボードを水拭き
など。
「掃除をするぞ」と気合いを入れて掃除をするのは大変ですが、何か行ったついでにキレイにするというワンセットで習慣化してしまえば、キレイを保つことができると言います。
土日にまとめて掃除をしている、まさにわたしです。掃除は汚れてなくてもするもの、何かしたついでに掃除、この2つは頭に叩き込もうと思います…
料理と片付けのリズム
料理研究家のコウケンテツさんのレシピ動画をよく見ているTommyさん。レシピ動画の中に家族分の朝食を作るVlogを見つけます。
丁寧だけど素早く、キッチンでの立ち回りに無駄がなく、さらに料理が終わってお皿に盛り付けた時には、調理道具の洗い物もしっかり終わっていました。
観察すると、料理のスキマ時間を使って、片付けや洗い物をちょこちょこ行っていたのです。プロの料理研究家から学んだ発見、とTommyさんは言います。
料理をしながら片付けを行っていれば、食べた後の片付けもラクになる…わかってはいるけどできていないのが我が家…今日から意識します…!
シンプリストの働き方
毎日をより気持ちよく過ごしたい、人生をもっと楽しみたい、そのためにここまではモノを手放し家事を簡素化する方法を主に取り上げました。
「自分の好きなことには時間もお金も惜しまないが、それ以外は潔く減らし、あれもこれも欲張らない」という考え方でしたが、それは働き方においても変わらない、と言います。
出世よりも大切なこと
Tommyさんはかつて「早く出世したい」「年収は多ければ多いほどよい」とがむしゃらに働いていた時期がありました。その結果、会社で評価されて年収が増えました。
しかし、「この仕事中心の人生は私が望んでいる生き方なのだろうか?」と疑問に思うようになったそうです。
そして転職を機に、働き方を変えました。
キャリアチェンジにより出世コースから外れ、昇進に必要な仕事もお断り、でもパートナーや友人と過ごす時間が増え、会社でやりたい仕事ができている、さらに新しく始めた複業も楽しい、という状況になりました。
稼ぐ金額は、必要以上に「大きい」よりも「ちょうどよい」を目指し、出世を求めない代わりに、自由な時間、好きなことに使える時間を確保することを優先しています。
Tommyさんは出世コースから外れたことにより、本業では昇進や評価に執着することなく今まで以上にのびのびと働くことができ、新しく複業を始めることができました。本業にばかり目を向けないことが大切ですね…
片付けの基本は仕事もモノも同じ
「仕事が多すぎて終わらない」という場合、つい「残業して働く時間を増やす」という行動をとりがちです。これは「モノが多いから収納家具を買う」という行為に近いのでは?とTommyさんは言います。
整理をしない限り、いくら整頓や収納をしても部屋がスッキリと片付くことはありません。必要なモノと不要なモノを判断して取捨選択し、整理することが片付けのシンプルな原則です。
これは仕事にも同じことが言えます。
すべてやろうとあれも大事・これも大事と欲張ると、力が分散されてしまい、どれも中途半端な結果になってしまいます。Tommyさんは、すべてをやるのではなく自分が得意としない仕事はやらないことも大切、と言います。
ただ、勤め人の場合「やる必要がない仕事」「苦手な仕事」であっても、上司からやれと言われたらやらざるをえません。そんな時はクオリティはおいといて、必要最低限の目的を発生することに重きを置き、なるべく時間をかけないことをおすすめしています。
暮らしと仕事で同じ考え方ができるなんて…!
仕事においても、暮らしにおいても、有限の時間やエネルギーを「大切なこと」にフォーカスし、それ以外はできるだけ排除することは、シンプルであるために必要な行動原則と言えます。
時には無駄な時間を味わおう
ということで『シンプリスト生活』より、著者Tommyさんの暮らし方・働き方・考え方について紹介させていただきました。
Tommyさんはプライベート・仕事、人生のすべてにおいて
- 自分の好きなこと、大切なことは何か?
- 好きではないこと、大切ではないことは何か?
これらを見極めて取捨選択することの大切さを本書で伝えています。
「楽しい」「心地よい」と思えるものが何かわからずに取捨選択しようとすると、「無駄を排除して効率化」という思考になってしまいます。効率を求めること自体は悪いことではありませんが、仕事もプライベートも効率を意識してしまうと、心に余裕がなくなってしまいます。
シンプリストを目指して頑張ることは悪くありませんが、時には意識的に何もしない・ぼーっとする時間をつくることも大切です。
ぼんやりする時間や心地よい時間は、効率をものさしに先を急ぐ窮屈な社会の中で、人間らしさを取り戻す、最も手軽な手段と言えます。
シンプリストという考え方は勉強になる部分がたくさんありました。自分にとって何が楽しくて心地よいのかをリストアップして、手放す基準を作って、手放せるものは手放して、好きなモノや情報に囲まれすぎず、自分に正直に過ごしていこうと思います…!
ではまた。
この記事を書いた人
- インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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