中間管理職は「リーダーの仮面」を被れ!元プレイヤーに必要な5つのマネジメント思考

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こんにちは。夫です。

僕はマーケティング関係の仕事をしているのですが、ありがたいことに部下や後輩をマネジメントする機会も増えてきましたし、今後、そうした仕事がどんどん増えてくるだろうなと思っています。とはいえ、僕がこれまで身に付けてきたのはプレイヤーとして活躍するためのスキルばかり。

ということで僕もプレイヤーからマネジメントする立場、つまりリーダーとして成長していかないとな…と思っていた時に手に取ったのが本書「リーダーの仮面」です。

なかなか強いタイトルですよね。「仮面」ってあまり印象がありません…でもそれもこれまで僕がプレイヤーだったからかもしれませんね。本書の帯には「いい人になるのはやめなさい」とこれまた強い言葉が…

本書は1ページめくるたびに衝撃でした。というのも、部下の悩みを聞いて、みんなに頼られて…という今まで漠然と抱いていたリーダー像が粉々に砕かれていったからです。

今回は、本書「リーダーの仮面」から僕が衝撃を受けたポイントを紹介していこうと思いますが、はっきり言ってかなり過激な内容です。本当に本書で語られるリーダーが、リーダーとして適切なのか、僕にはまだわかりません。
でも、著者の安藤広大さんは僕なんかよりはるかに豊富なリーダーシップ経験と実績があります。その人の考え方が自分にとって衝撃的だったということは、それだけ大きな差があるということ。

安藤広大
株式会社識学の代表取締役卒業。早稲田大学卒業後、NTTドコモを経て、営業本部長などリーダー職経験。その後、識学という考え方に出会い、識学を企業にコンサルティングするため独立。株式会社識学は、創業からわずか3年11ヶ月でマザーズ上場を果たし、2000社以上に頼られている。

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いいリーダーは尊敬されない

本書は若手リーダーに向けて書かれています。若手リーダーは少し前まで、優秀なプレイヤーでした。リーダーに立場が変わった時、優秀なプレイヤーとしての一面が邪魔をしてしまい、リーダーとして活躍することができません。
本書の冒頭では「プレイヤーとして優秀だった人ほど、リーダーとして失敗するリスクがある」と書かれています。その失敗は、プレイヤーとして求められるスキルと、リーダーに求められるマネジメント能力が全く別だからです。

こういう話をすると「僕は一生プレイヤーでいいや」という人がいます。でもプレイヤーとしての能力は30代をピークに低下していきます。体力の低下もありますが、結婚して子供や親、自分の老後のことを考えながら、20代と同じように健康で、読書や自分磨きでスキルを磨いていくことは難しいでしょう。プレイヤーはいずれリーダーにならないと、追い抜かれるだけのツラい存在になってしまうんです。

本書が教えるいいリーダーになるためのメソッドの前に、そもそもいいリーダーとは何かを定義しておきましょう。

本書では明確に「部下を成長させ、チームの成果を最大化させること」がいいリーダーの定義だといいます。

部下に尊敬される、頼られる、という要素は出てきません。ただひたすらに部下を成長させ、成果を最大化する。これがリーダーに求められる仕事です。

なので本書で語られる理想のリーダー像はどこか冷酷で人間味がありません。でも本書ではは次のようにいいます。

一見、「人間的」なマネジメントをしたとしましょう。
それにより、成果が出ずに雇用が維持できなくなったらどうでしょう。部下たちはスキルが身に付かず他の仕事や会社で通用しなくなったらどうでしょう。
その方がよっぽど「非人間的で冷たい」のではないでしょうか。
-リーダーの仮面

確かに、部下に慕われるけどスキルが身に付かないリーダーのもとで働くことは、全員にとって不幸です。チームは成果が出ず、雇用が維持できないかもしれません。転職しないといけなくなった部下は、何の実績もスキルもないので、転職で大きく収入が落ちてしまうかもしれません。

リーダーは部下の人生に責任を持つことになります。たとえ嫌われてでもしっかり育ててあげることが、本当の優しさなのかもしれませんね。

だから本書のタイトルは「リーダーの仮面」です。
リーダーは部下の人生、チーム、組織の成果に責任を背負っているため、感情的に判断するわけにはいきません。時に冷酷と言われようが、嫌われようが、リーダーの仮面を被り、部下を成長させ、成果を産むことにコミットする必要があるからです。

ちなみに本書では「モチベーション」という言葉を使いません。モチベーションが言い訳になるような状況ができた時点で、チームとしては終わりだからです。「モチベが上がりません…」といって仕事を怠けても甘んじられる環境では、成長することはできませんから。

それではここから、リーダーが被るべき仮面、5つのポイントを見ていきましょう。個人的な感覚とは相容れない部分がありますが、それはさっきも言った通り、自分がリーダーとして未熟だからだと思っています。

プレイヤーからリーダーに変わる5つの仮面

リーダーの仮面1:言語化されたルールを作れ

一つ目のリーダーの仮面は「言語化されたルールを作れ」です。ルールと聞くと堅苦しく、古臭く感じますよね。今時の伸びている会社はルール無用で、自由で、フレキシブルで、という印象があります。

しかし筆者は逆に「ルールがあるからこそ人は自由になれる」といいます。

僕たちが普段安心して車を運転できるのは、散歩できるのはなぜでしょう?その気になれば時速200キロで走り回れる鉄の塊が動き回っているのに、なぜでしょう?
その理由は、道路交通法というルールがあり、みんながそれを守るという前提があるからです。

僕たちは普段から「対向車がこっちにぶつかってきたらどうしよう」「青信号だけど本当に渡っていいかな」とは考えません。それがダメだというルールがあるからです。

ルールがなく、自由にした方が成果が上がると思うなら、道路交通法がなくなった世の中を想像してみてください。物流は正常に機能するでしょうか?行きたいところに行けるでしょうか?安心して散歩に出かけられるでしょうか?

つまり、人はルールがあるから安心できて、ルールがあるからルールの中においては自由にできるのです。

リーダーの仕事はそのチームにとって適切なルールを作ること。そしてルールを作りにはいくつかポイントがあります。

1つは例外を作らないこと。急いでいるなら赤信号でも走っていい、なんて例外を作ってしまったらそのルールは機能しませんよね。

次に、きちんと言語化すること。「うちに堅苦しいルールはありません!」という組織には、意外と暗黙の了解や空気の読み合いでルールのように機能しているものがあります。例えば、朝の挨拶は「おはようございます」。社長が出社したら一礼する。稟議書は出す前に了承を得ておく、などです。
こうした暗黙の了解的なルールが多いほど、ストレスが溜まります。ルールを守らない人を叱ることも難しいので、人間関係もギスギスして、空気が読める人、読めない人で差別が生まれます。

もしそれが必要なルールであれば言語化して定めましょう。空気の読み合いをやめることがいいチームを作る第一歩です。

実際、筆者の安藤さんがコンサルしてルールを言語化したチームは、多くが「快適になった」「仕事に集中できる」と語っているそうです。ルールといえば堅苦しい印象がありましたが、言われてしまえばルールがあるから自由だし、気楽というのはありますよね。

ルールには他にもいろいろなポイントがありますが、もう少し紹介すると「主語と時期を明確にする」と言うことがあります。
例えば「始業時間より早めに出社した方がいい」という暗黙の了解があったとします。これをルールとして「早めに出社する」と書いても、どれくらい早く来たらいいのか、社長にも適応されるのか、営業で外回りの時はどうすればいいのか、などいろんな疑問が出てきてしまい、ルールとして機能しません。
もし新人に仕事を覚えてもらうために早く来た方がいいなら、「入社1年未満の新人とその教育係は始業の30分前に出社する」というのがいいかもしれません。

多くの組織はこうしたルールをお互いの「気遣い」でやっています。だから気遣いができない人との間に感情の摩擦が生まれてしまいます。でもルールであれば、そんな摩擦は生まれません。やらない人がいたら「ルールなので守ってください」で完了です。

リーダーの仮面2:対等ではなく上下を意識しろ

リーダーの仮面、続いては「対等ではなく上下を意識しろ」です。

これも違和感がありますよね。最近のベンチャー企業ではフラットな組織が評価されていて、僕の職場にも役職という概念がほとんどありません。でも本書では「ピラミッド組織を再評価しよう」といいます。

上司がいて部下がいる。社長をトップに、役員、部長、課長、、そして一般社員がいる。このピラミッド型組織に嫌悪感を抱く人が多くいます。
しかし本書では、ピラミッド組織にはピラミッド組織のメリットがあると言います。最近、ピラミッド組織が叩かれるのは、単に悪いピラミッド組織だというのです。

ピラミッド組織の最大のメリットは、責任の所在がはっきりしていることです。責任の所在がはっきりしているからこそ、責任者が決断すれば物事はスムーズに進みます。よく「ピラミッド組織は上に決済を取るまで時間がかかって非効率」という意見がありますが、これはピラミッド組織の運営がうまくいっていないだけです。責任が曖昧なフラットな組織より、責任の所在がはっきりしているピラミッド組織よりスピーディーということはほとんどありません。

たしかに、僕の会社もフラットな組織ですが、それが理由で物事が前に進まないことが時々あります。そこに社長が出てきて「こうすりゃいいじゃん」といった瞬間、全部がスムーズに動き出す。そんな経験は結構ありますね…

ちなみに、ダメなピラミッド組織は、役職者が責任を負う人ではなく、さらに上司との間にいる伝達係でしかない場合です。ちゃんとそれぞれの役職に責任の範囲があれば、決断に無駄な時間がかかったり、ということはありません。社長にまで決断を上げないといけない決断は、そもそもスピーディーに決断していい内容ではないからです。

また、本書では「リーダーが部下にするのは指示であり、お願いではない」と言います。
多くのリーダーが「これお願いできる?」という聞き方をしていますが、これはリーダーが責任から逃げているだけなんです。お願いするという形であれば、やると判断したのは部下。その結果、ミスしても部下の責任にできるから、ダメなリーダーは「お願い」という形をとってしまいます。

さらに、「リーダーは部下の相談に乗るな」とも言います。1 on 1ミーティングで部下の悩みを聞き出すタイプのマネジメント手法がありますが、本書ではお勧めしていません。リーダーが相談に乗っていいのは、部下の権限では決められないことと、部下が自分で決めていい範囲なのか迷った時だけ。
リーダーの仕事は部下を成長させることであり、相談に乗ることではありません。ちゃんと考え、仕事に向き合えば解決できることにリーダーが口を出すと、部下の成長を止めてしまうことになります。

厳しい…本書では「最近あの人ちょっと冷たくなったよね…」と言われたらリーダーにふさわしい振る舞いができてきた証拠だといいます。でも確かに、部下に成長してもらうためには、これくらい厳しく考えた方がいいのかもしれません…

リーダーの仮面3:魅力ではなく利益で動かせ

ここまでですでにかなり既存のリーダー像を打ち砕かれてきましたが、まだまだいきますよ。次にリーダーが被る仮面は「魅力ではなく利益で動かせ」です。

本書では「ついていきたいと思われたい、魅力的な上司になりたい、そんな思いが諸悪の根源だ」と言います。というのも、人の行動を突き詰めれば「自分に利益があるか」に集約されるから。ついていきたいと思われるリーダーは、自分に利益をもたらしてくれるリーダーなんです。

かなり極端な言葉に見えますが、確かに突き詰めると自分の利益、広義な意味でのメリットが人間関係の土台です。感情的にも経済的にも、自分になんのメリットもない人間関係は自然と消えていきますから。

そもそも組織は、一人では達成できない大きな利益を生み出し、その利益を全員で分け合うことが目的です。一人だと営業、商品開発、経理など全部やらないといけませんが、それだとできることは限られています。それぞれの専門スキルを持った人が集まり、一人では到底なし得ない大きな利益を掴みにいくこと。これが組織です。

部下がリーダーについていく理由は、ついていくことで成長できるから。もっと生々しい表現をするなら、給料が上がるからです。スキルを身につけて転職・独立という形で利益を狙っている人もいるかもしれません。
つまり、成長という利益を与えられるリーダーは、たとえ嫌われても部下がついてきます。というより、厳しく冷酷であっても、利益を与えてくれるリーダーが嫌われるということは滅多にありません。
もちろん、売上至上主義のようになって目先の利益だけを追いかければ部下はついてこないでしょう。でもそれは、目先のために成長を阻害したりと、本質的に利益を返すことができていないからです。

いやあ、これも頭ではその通りだと思っても、なかなか受け入れ難い…僕がリーダーとして未熟だからでしょうが…でも利益を広義に捉えれば、確かに利益を提供しないと好かれていても意味はないですよね。スキルも伸びない、給料も下がる、職場環境も悪くなる、そんな中で「自分の魅力についてこい!」はめちゃくちゃです。

さらに本書では「組織として一番良い状態は、健全な競争が起こっていることだ」と言います。
例えば、会社の1番の主力商品。この主力商品があるから安泰だと考えるのと、「追い抜いてこの部署が次の主力商品を生むぞ!」と他の部署が切磋琢磨しているのかでは、そう遠くないうちに大きな違いが生まれることは想像できますよね。

だからリーダーは適切な競争が生まれるようにすることが大事だと言います。適切ではない競争とは、ルールが曖昧でフェアではない競争です。50メートル走でリーダーが「あいつはお気に入りだから5m先からスタートさせてやろう」のようなことをするのは絶対にダメです。
一方、適切な競争はスポーツのように、ルールがあり、フェアで、精神性のある競争です。

適切な競争であれば、営業成績を一覧にするのもいい方法だと言います。たとえ一覧にしなくても、影では互いに「あいつはこれくらい売り上げてるらしいぞ」のような話が飛び交っているはずです。であれば公開して公式なスポーツとして競争してもらった方がいいのです。

リーダーの仮面4:プロセスではなく結果だけを見ろ

競争を推奨するのは驚きでしたね…数字で評価しない方がいい、みたいなイメージがありましたが、でも結局頭の中では数字で競争しあってしまうのが人の常なので、いっそ公式なスポーツにしてしまった方がいい、というのは斬新な考え方でした。

次のリーダーの仮面も強烈です。それは「プロセスではなく結果だけを見ろ」です。

嘘だろ…って感じですよね。何かのマネジメントの本では、プロセスを評価しろ!って書いてあった気がします。

本書では「最近は自己評価が蔓延している」と言います。そしてさらに「自己評価は評価ではない」と言います。
そもそも評価とは、どれだけの対価を獲得できるかを示した基準です。給料30万円なら、30万円分の働きをしたかどうかが評価です。当然ですが、「僕は50万円分働いたと自己評価しているので、50万円ください!」なんてことは通用しません。

例えばレストランに行って、シェフが「この料理は手間ひまをかけて作った自信作です。食材は〜〜から厳選して…」と語っても、美味しくなかったら意味はありませんよね。むしろ「そんなにこだわってなんで美味しくないんだよ」と評価を下げてしまいます。
でも美味しかったら、そうしたシェフの話は「だからこんなに美味しいのか!」と食事の価値をさらに高めてくれます。

つまり、自己評価というのは、他者評価が高かったという前提でのみ機能するのです。

なるほど…これもまた言われてしまえばその通りですね。仕事の評価はあくまでも、求められた成果を達成できたかどうか。それ以外の自己評価にたいした価値はありません。

自己評価は評価ではない、というだけでも衝撃的ですが、本書ではプロセスも評価するなと言います。
そもそもプロセスを評価する風潮は、ある子育て研究の結果がもとになっています。テスト結果を見た時、能力を褒めるか(頭がいいね、さすが!)、プロセスを褒めるか(頑張ったからいい点が取れたね!)、この褒め方の違いによって、次のテスト結果に大きな差が出ました。プロセスを褒めた方が、次のテストでも点数が良かったんです。

このデータから子育てではプロセスを褒めようとなりましたが、問題は子育てのマネジメントが、大人を対象とした仕事のマネジメントでも通用すると考えられていることです。
そもそも子どもはテストでいい点数を取るメリットがほとんどありません。なんのために勉強するのかわかっていない状態です。そんな状態だと、たしかにプロセスを褒めた方がいいでしょう。

でも仕事では、給料やボーナスという目に見える成果を受け取っているので、なんのためにやるかわからない勉強とは全く違います。

プロセスを褒めるマネジメントで生まれた弊害が「残業アピール」です。頑張っている姿勢が評価されるなら、遅くまで働けばいいと考えるのは当然ですね。でも同じ成果を出しているなら、短い時間で出している人の方が優秀なのは言うまでもありません。

何より、褒めて伸ばすマネジメントには、部下の成長に上限を設けてしまうことになります。褒められると伸びるということは、褒める人がいないと伸びないということです。10年、20年後、その部下がリーダーになった時、誰が褒めてくれるのでしょうか。中間管理職ならさらに上司が褒めてくれるでしょうが、社長にまで上り詰めたらどうすればいいのでしょう。

褒めて伸ばすマネジメントは部下の成長に上限を設けてしまう…これは注意しないといけませんね。本書では具体的な部下の評価方法にも触れられていますが、長くなるので省きます。大切なのは自己評価もプロセスも、本質的には評価対象ではないという考え方のシフトです。

リーダーの仮面5:今の成果より未来の成長を選べ

リーダー像を打ち砕かれ続けてきましたが、最後のリーダーの仮面は「今の成果より未来の成長を選べ」です。これまでの総まとめのような考え方で、チームのレベルを1つ上のステージに上げるために欠かせないものだと思います。

ここまでをおさらいすると、まずリーダーはルールを設定します。もちろん目標も設定し、ルールの範囲内で最大の成果を出せるよう、部下に仕事を任せます。そして仕事のプロセスではなく、結果を報告してもらい、目標と結果のギャップを認識させることで成長を促します。

プロセスを自己評価してしまう部下には、それは評価ではないことを伝え、目標と結果のギャップを認識して成長し、成果を出して他者評価を上げることが重要であることを教えます。

そしていい組織には適切な競争が生まれているので、一人が成長すると他の人も成長せざるを得ない状態になります。周りが成長する状態で自分だけ成長していないなら、それは実質的に退化することになるからです。

このサイクルが回り始めると、部下はどんどん成長し、組織としてより大きな成果を出すことができるようになります。すると全員の給料も上がり、社会に還元する価値も大きくなり、全体がよくなります。

リーダーの仕事はこのいいサイクルを生み出すことですね。

組織がこのレベルまできたら、リーダーとしてやるべき仕事は減ってきます。でも、注意しないといけないことは増えます。

その一つが「成長した気になる」をできるだけ減らすことです。
本書では「人は経験とともにしか変わらない」と言います。たくさん知識を得て、勉強すれば変わると思うのは錯覚です。知識は自分の経験が上乗せされて初めて自分のものになるのです。

筆者の経験から、うまくいっていない会社の特徴の一つに「人事異動や組織再編が多い」と言います。なぜなら、これが目に見えてわかりやすい変化だからです。当然ですが、人事異動で業績が上がることはほとんどありません。慣れない仕事を覚えるコストがかかるので、うまくいかないことの方が多いでしょう。

人は本質的に変化し続けたい生き物です。でも変化する方法がわからなくなると、人事異動など目に見える意味のない変化に労力を割いてしまいます。リーダーの次の仕事は「未来の成長のために、部下に本当の意味で変化してもらうこと」です。

具体的には、部下にワンランク上の仕事を任せてみましょう。この時、リーダーが過去の経験からいろいろなアドバイスをするのはNGです。責任あるリーダーとして「もし失敗しても、上司である私の責任だから思いっきりやってみてください」と言いましょう。
もし部下が「なぜやらないといけないのですか?」「自分にできるとは思えないのですが…」と言ってきたら「まずはやってみてください。やれば見えてくるものが必ずあります」と促しましょう。

未来の成長のために、部下に経験を積ませるわけです。もしかしたら部下は嫌がるかもしれませんが、その仕事を完遂した後、本を読んだり、資格を取ったりして「成長したつもりになる」とは別次元の、本質的な成長を感じてくれるはずです。

本書では度々「リーダーは仮面を被り、感情を見せるな」と言います。感情を見せるとしても、リーダーの仮面を被った上で、見せるべき感情だけを見せろと言います。でもこの章の最後に「素顔」についても少し触れられています。

部下が「高い」と思っていた目標を達成したとき、「できない」と思っていた仕事をやってのけたとき。
それこそが、あなたが「リーダーの仮面」を脱ぎ、素顔で喜ぶときです。
-リーダーの仮面

冷酷なリーダー像でしたが、この言葉を見た時、全部納得できました。厳しくするのも、冷酷に見えるのも、感情を出さないのも、部下を成長させるために必要なことだったんですね。

本当の人間追求マネジメント

ということで今回は「リーダーの仮面」を紹介しました。

既存のリーダー像とはかなり違い、衝撃的な部分がたくさんありました。本当にそれでいいのか?と思う部分も少なくありません。実際、筆者は「非人間的だ」「軍隊みたいで嫌だ」と言われることも多いみたいです。

でもそれは全く逆。本書で紹介しているマネジメントは、人を人と思っていないような部分があります。そして筆者は「人を人と思って組織運営をすると、人のためにならない」と言います。

一見、人を大切にしたマネジメントが、実は人をダメにしてしまう。序盤に書いたように、リーダーが部下を成長させないと、部下は仕事ができない人間になってしまうかもしれません。もしそうであれば、リーダーはたとえ嫌われても、部下を成長させることが、本当に人を大切にしたマネジメントなのです。

優しく接して、飲みに連れて行ってあげたり相談に乗ったりして、成長させず、人間としてダメにしてしまう。これが一番、非人間的なマネジメントなのです。

正直、最初読み始めた時は「ああ、この本はミスったな。僕が求めるマネジメントとは全然違うわ」と思いました。でもよく読んでみると、本当に人を大切にした理想的なマネジメントであることがわかります。

最初に書いた通り、僕はまだプレイヤーがメインだと考えていますが、徐々にマネジメントする機会も増えてきました。プレイヤーとして自分を伸ばす本はたくさん読んで実践してきましたが、マネジメントして自分以外を伸ばす方法はあまり学んできませんでした。

そんな時に手に取ったのが本書で良かったと思います。全部をそのまま取り入れるのか、まだ性格的に抵抗がありますが、本書で学んだ考え方はしっかり活かしていこうと思います。本書では具体的な部下とのコミュニケーション方法なども書かれているので、プレイヤーからリーダーにレベルアップしたい方はぜひ読んでみてください。

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この記事を書いた人

かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。

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