本や漫画を購入し読んでいると、中に売上カード・注文カードと書かれたスリップと呼ばれる短冊状の紙が入っていたり、チラシが入っていたりすることがあるかと思います。
スリップ:売上管理や出版社・取次へ注文する際に使われる。昔はレジで抜き取られていたが、デジタル管理システムの普及により抜く必要がなくなり、本に入ったままのケースが増えている。
写真を撮るため夫の本から拝借。ページの間に挟まっていたので、栞にして使っているみたい。
チラシ:同じ発行所で発売される本や漫画の紹介が印刷されている紙。
夫は捨てる派らしいが、わたしは取っておく派。栞にして挟んだまま長時間放置すると色移りする可能性があるので、最後のページに挟んで保管しています。
今日はこのチラシを見て興味を持ち、購入した「1122【いいふうふ】」という漫画を紹介したいと思います。ちなみにこの漫画は全7巻、2020年に完結済。
上のチラシに書かれているわたしたち不倫公認の夫婦やっていますのキャッチコピーが強烈で、試し読み後、気になって購入。
結婚ってハッピーエンドと言われることが多いですが、その先が描かれている物語であったり不倫公認というインパクトあるフレーズが反響を呼び、過去には書店員を中心とした有志による選考委員が”誰かに薦めたいと思う今一番フレッシュなマンガ”を投票で決める『マンガ大賞2019』にノミネートされました。
作者は渡辺ペコさん。他にも三十路手前の同棲カップルの話を描いた「にこたま」などを描いています。渡辺ペコさんの描く作品は家族の多様性であったりパートナーシップに触れられたものが多くあります。
あらすじ
妻・相原一子(あいはらいちこ)。夫・相原二也(おとや)。
結婚7年目の仲良し夫婦。子どもなし。
いちこの性欲は「凪」の状態で、しばらくセックスレスが続いていた。二人が選択したのは「婚外恋愛許可制(公認不倫)」。
おとやには、いちこも公認の”恋人”美月(みつき)がいる。
美月との恋に夢中になり始めるおとやを見て、いちこの「凪」にも変化が……。「結婚」を考えるすべての人に届けたい、30代夫婦のリアル・ライフ。
性欲が凪ってどういうことよとなった方もいるかと思います。
いちこは自身の性欲について、友だちとの飲みの場でこう言っています。
わたしの性欲はね〜
もっぱら凪<中略>
ほぼ無風
たまに小さな刺激で
波紋が広がったりするけどネ静かに吸収されていっちゃうの
なんて詩的なんでしょう…!
ちなみに完全に余談ですが、わたしの性欲も若い頃に比べたら凪。
で、この飲みの場をキッカケにいちこの性欲に変化が出始め、7回目の結婚記念日に行った温泉旅行でセックスしようといちこは決意します。ビリーズブートキャンプ的な映像を見ながら短期集中型エクササイズをしたり、ブラジャーを新調したり…そして当日を迎えます。
温泉に入った後、いい雰囲気になります…が、おとやは好きな人がいるということとレスになったキッカケとなったいちこの一言を思い出し、拒絶します。
この時のいちこの気持ちはこちら。
めんどくさがって
ないがしろに
しているうちにどんどん
ややこしく
特別なものに
なってしまった
いちこにとっては何気ない一言だったのかもしれません。でもおとやからすると心が折れる一言だった。そうして向き合わず平行線のまま来てしまったからセックスが”ややこしく特別なもの”になってしまったんですね…
温泉旅行から戻って日が経ち、レス解消か…!となるタイミングが訪れます。が、おとやが疲れているなどによりうまくいかず。
この時の思いをいちこはこうつぶやきます。
さっきので
凪からさざ波立ったわたしの性欲は行き場を失い
時化てきたよねそのまま
ちんこしぼんで
腐れ落ちろ
お互い気持ちは一致したのに…ツラい…でもち○こは腐ったらあかん…
その後、いちこはもしこのまま一生セックスがなかったら寂しいと心にいるもう一人と話し、ヨソでまかなうことにします。友だちから聞いた”秘密のエステ”を使って。
秘密のエステってなあに?と思った方に説明すると、男性が利用することもあるアレの女性バージョンです。
いちこが秘密のエステを利用した頃、おとやの不倫にも変化が生まれます。恋人:美月の夫がシンガポールに転勤することになり、美月も一緒に行くことに。おとやの誕生日はいちこと外食する予定でしたが、転勤までに少しでも多く美月と会うため、会社の外せない会食が入ったと嘘を付きます。
いちこは嘘だとわかっていましたが追及することなく、予定が空いたので再び秘密のエステに行くことにします。
そして、このおとやの誕生日にある事件が起こります。
この事件を経て夫婦はどうなっていくのか、選び取った幸せの形とは…?
…はい、気になった方はぜひ漫画を読んでください。
感想
この漫画は公認不倫という言葉により、どうしても不倫マンガだと思われがちですが、決してそんなことはなく1122のタイトル通り、あくまで結婚した夫婦のマンガ。なのでわたしはあえて公認不倫の詳細まで触れていません。
あらすじを見て、不倫OKってどんな家庭!?イヤ!!と思った方もいると思いますし、隠されるくらいなら言ってくれた方がいいから公認不倫って形もありだよねーと感じた方もいると思います。
わたしはこの漫画を読んで、夫婦で思っていることを言えないってすごくツラいことなんだなと改めて感じました。相原夫妻はセックスレスですれ違いが起こっていましたが、その性という難しい部分であるがゆえに、思っていることをきちんと伝え、ふたりでどうしていくか考えるということが難しかったんだろうなと思います。
最終的に相原夫妻は自分たちなりの夫婦のかたちを見つけるんですが、長年寄り添ってきた夫婦でもそのかたちを見つけるのにものすごく時間がかかっています。
最後に、わたしが個人的に心に残ったいちこのセリフを。
今まで家族がやるべきって思われてた”家の中のこと”
育児とか介護とか家事とか
最近はプロに頼む人たちも増えてきたじゃん?そんな家族理想じゃないって言う人もいるけど
みんな事情があるわけで
人の数だけ考え方は違います。その考え方が違う人と人が結婚して生活を共にするんですから当然、様々なところですれ違いやぶつかったりすることがあると思います。それをすべて自分たちだけで解決するのもいいですが、大変な時は誰かに助けを求めたっていいんだよとこの言葉で勇気づけられました。
あなたが思ういい夫婦はどんな形でしょうか?あまり他の人の夫婦生活を見ることはないと思うので、この漫画を読んで考えてみてはいかがでしょうか。
ではまた。
この記事を書いた人
- インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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