今日はしなきゃいけないことに追われているあなたへ、『しないことリスト』をご紹介。
この世の中には無数の「しなきゃいけないこと」があります。
たとえば、
- 災害や事故に備えて保険にも入って貯金もして、資産運用も考えておこう
- 健康のためには、もっと野菜を食べなきゃ、もっと運動もしなきゃ
- 感情は自制しないといけないけど、溜め込みすぎてもよくない
- 社会人ならこれくらいのマナーは覚えていて当たり前
- これからは英語くらいできないとマズい
などなど。
わたしたちはなぜ、こんなにたくさんの「しなきゃいけない」「ないとヤバい」に追われながら生活しているのでしょうか?
その理由の一つとして、テレビ・雑誌・インターネットなどで得られる情報が多すぎるからだ、と著者のpha(ふぁ)さんは言います。
phaさんは小さい頃からすぐ「疲れた」と言い、人と話すのも友達を作るのも苦手な子どもでした。
学校は行かなきゃいけないことになっているため、毎日学校に行くのがしんどいけど我慢して通います。
そして「とりあえずみんなが普通にやってることを努力してできるようにならなきゃ」と、なんとなく勉強をして、いい大学に入って、なんとか卒業をして、安定していそうな会社に就職します。
就職後は職場のことも仕事のことも全然好きになれず、我慢しながら仕事をしていました。
3年ほど経ったとき、「なぜしないといけないかが、自分でよくわからないことは、もうやめよう」と、会社を辞めます。
phaさんの収入はかなり減りましたが、自分のしたいことをして生きることで仕事によるストレスがなくなり、会社員時代より友達が増え、自由に使える時間も多くなり、毎日ふらふらしながら現在も暮らしています。
そんな毎日の幸福感が増した生活を送っているphaさんが「これは別にしなくていい」と思った内容を36のしないことリストとしてまとめているのが本書。
「しなきゃいけないこと」に追われているあなた、そしてわたしへ、「しなくていい」という選択もありなんだということを本書で学んでいきましょう!
所有しないリスト
この章では余計な買い物をしない・自分だけで独占しない・デジタルにしないなど、9つの環境をスッキリさせる所有しないリストが挙げられています。
ここでは頭の中だけで考えないをピックアップ。
頭の中だけで考えない
人間の記憶や認識は、気づかないうちに現実を歪めて認識してしまっていたり、過去の記憶を自分の都合のいいように改ざんしてしまっていたりするため、あまり頼りになりません。
認識や考えが偏らないようにするためには、思考を頭の中でグルグル回すだけじゃなくて、ときどき外にアウトプットをするようにするといい。
phaさんは外にアウトプットする方法として、大きく2つの方法を教えてくれます。
1.紙に書き出す
頭の中だけで考えているとネガティブな思考がグルグルしてそこから抜け出せなくなります。
そこで紙に書いて頭の外に出すことで、それを少し客観的に見ることができ、「認知のゆがみ」がたくさん入っていることに気づくのだそう。
「認知のゆがみ」は主に以下10パターンあると言われています。
- 全か無かの考え
少し失敗しただけで「もう全部がダメになってしまった」と考えてしまう - 極度の一般化
一回良くないことがあっただけで「いつもこうだ」と考えてしまう - 心のフィルター
良い面も悪い面もあるはずなのに悪い面しか目に入らなくなってしまう - マイナス思考
褒められても「まぐれだ」「誰もわかってない」ととらえてしまう - 倫理の飛躍
他人の行動などを根拠なくなんでも悪いほうに関連付けて考えてしまう - 過大評価と過小評価
欠点や失敗を実際以上に大きく考え、良い点や成功を実際以上に小さく考えてしまう - 感情的な決めつけ
「不安に思うから失敗するに違いない」など感情で全てを決めつけてしまう - 〜すべき思考
「〜すべきだ」と原理原則で考えて自分や他人にイライラしてしまう - レッテル貼り
「自分はダメ人間だ」「クズだ」などと決めつけてしまう - 誤った自己責任化
何かトラブルが起こったときに「自分が全部悪い」と考えてしまう
この紙に書き出すという方法はうつ病の治療法にも使われています。
思考を文字にしたものを改めて読み、「ちょっと悲観的すぎたかな」「そこまでどうしようもなくはないな」と思い直すことで、少し前向きになれたりと他の考え方が生まれるため、うつ病でない人でも役立つ方法となります。
2.人に話す
紙に書いて読み直してみても、自分が弱っているときは何が正しくてどうすればいいか判断しづらくなります。
そういうときは人に話を聞いてもらって意見を聞くことがいいんだそう。
わたしも些細な日常の悩みはYahoo!知恵袋で答えを探すようにしています。同じような悩みを抱えた人が質問し、第三者の客観的な回答が見れる割と便利なサービスなんですが、あまりにもYahoo!知恵袋で検索する頻度が多いからか夫に「またYahoo!知恵袋見てる〜」と言われることも…笑
努力しないリスト
ここでは睡眠を削らない・イヤなことをしない・土日を特別視しないなど、行動をラクにする努力しないリストとして9つがまとめられています。
ここでは2つのリスト、だるさを無視しない・一人でやろうとしないに注目。
だるさを無視しない
phaさんはツイッターでしょっちゅう「だるい」とつぶやいており、リアルでもよく口にする言葉なんだそう。
なんでわざわざ「だるい」とつぶやくかというと、夏の暑いときに「暑い」って言うみたいに、口に出すことでそれがちょっとやわらぐような気持ちがする、というのが一つだ。
そして、もう一つの理由としては「『だるい』を口に出しても別にいいんだ」というのを広めたいためにやっているようなところもある。
世間では「だるさを感じるのは気合いがたりないからもっとがんばれ」といった雰囲気があります。
しかし、だるさを感じるときは体調が悪い・今やっていることがあまり好きではないなど、漠然とした現状への違和感が体や気持ちのだるさとして表れている証拠。もっとだるさに敏感になったほうがいいとphaさんは言います。
わたしは朝、自転車を漕いで会社に行くときにだるさを感じます。でも自転車を漕いで家に帰るときはだるさを感じません。これは「朝は始業時間までに着かなければ」と時間に縛られているため、だるく感じているのかもしれませんね…
一人でやろうとしない
何かをするとき、「人に任せるより自分でやったほうが早い」と思う人いませんか?
がんばり屋さんに多い考え方ですが、一人でできることには限界があるため、疲れてしまいます。
phaさんは、人はよっぽど余裕がないとき以外は誰かに声をかけてもらいたかったり頼りにされたがっていたりするもので、それをきっかけにコミュニケーションが生まれたり信頼関係や友情が生まれていったりするため、むしろできるだけ自分ではやらず、人にやらせたいといつも思っていると言います。
ただ、なんでも「やって、やって」と頼むだけでは人は動きません。
人に何かやってもらうときに大事なポイントは以下3点。
- 低姿勢でお願いをする
頭を下げて「やってくれたらとても助かるし、うれしいんだけど……」みたいな感じで柔らかく頼む - やってもらえたらお礼をする
言うかどうかで印象が変わってしまう「ありがとう」という言葉は忘れないように - 逆に自分が何か頼まれた際には、引き受けるようにする
(実際は無理だったとしても)頼みを聞いてもらう代わりに、何かの際には自分もあなたの力になります、という態度を取るように
わたしは人に何かをお願いするのがすごく苦手でお願いするくらいならわたしやりますタイプ。頼んだり頼まれたりすることでコミュニケーションにつながるのであれば、今日から夫に頼んでみようかな…笑
自分のせいにしないリスト
この章では、意識をラクにする自分のせいにしないリストとして孤立しない・差別しない・感情を殺さないなど、9つの項目が挙げられています。
今回は二択で考えない・同じ土俵で戦わないの2つのリストをピックアップ。
二択で考えない
人は自分がどういう環境で生まれ育ち、どういう立場にいるかにより、見えるものや考え方が変わります。
それぞれの立場にそれぞれの正しさがあるため、誰かが100%正しくて誰かが100%間違っているということはあまりありません。
ラクかどうかでいうと、「Aが正しい、Bが間違っている」と単純に決めつけてしまったほうが圧倒的にラクだ。「自分の意見は間違っているかもしれない」なんていうややこしいことを考えなくていいからだ。
だけど、そのラクな道は、自分と違うものを簡単い切り捨ててしまう、単純で貧しい世界に繋がっている道だ。
「AでもなくBでもなく」と迷いながら、どちらにも偏り過ぎない中間の道を探っていく粘り強さが、柔らかく生きていくには必要なのだ。
わたしはなんでも白黒はっきりさせようとしてしまいがちなので、他者に対して寛容さを持つよう意識したいと思います…
同じ土俵で戦わない
phaさんは会社を辞めて無職になるとき、「プログラミングを覚えてウェブサイトをたくさん作ったら、それで食っていけないだろうか」と思い、独学でプログラミングを勉強していました。
しかし、個人でウェブサイトを作るだけで、食べていくのは不可能ではないけど普通に働くのと同じかそれ以上のマメさが必要だと諦め、今は本やブログに文章を書くことで生計を立てています。
phaさんがプログラミングについて学んでいた際、プログラマが集まる勉強会に顔を出す機会が多くありました。
そこにいたプログラマは、普通に他の職でもこなせる社会人っぽい人と「こいつプログラミングができなければ野垂れ死んでいたんじゃないか」と社会性や協調性があまりない変な人、大きくわけて2種類の人がいたそうです。
それを見て、phaさんは働き方には大雑把にわけると2つあると言います。
- 働き方1.
そんなに特別なことができるわけじゃないけれど、一つの場所に留まってまわりとの協調性を大事にしてやっていく
例)会社員、公務員 - 働き方2.
何らかの技術を身につけて、それを頼りにいろいろなところを転々としながら生きる
例)フリーランス
「協調性を大事にする働き方」は社会の中では多数派で生活が安定しているたラクな道ですが、そういった多数派の生き方にはどうしても適応できない性質を持った人も世の中にはたくさんいます。
そういう自覚がある人は、「何らかの技術(スキル)を身につけて生きるフリーランス的な働き方」が必要になります。
多数派のために作られた働き方の中では、少数派は不利な闘いを強いられる。同じ土俵で闘っても勝ち目はないので、なんとかして自分に向いた場所を見つけよう。
ちなみに「何らかのスキル」は自分では大したことないと思っているものが実はすごい技術だった、ということもあります。これこそ周囲の人に聞いてみてもいいかもしれませんね…
期待しないリスト
ここでは、人生をラクにする期待しないリストとして、何かのためにしない・最後まで我慢しない・人の意見を気にしないなど、9つがまとめられています。
仕事に身を捧げない・あえて何もしないの2項目に注目。
仕事に身を捧げない
平日は一生懸命働いているが、休日になると「やることがない」「暇だ」といつも言っている知人が、phaさんの周りには何人かいるそうです。
phaさんはいつも暇なので「あー、暇だね、なんか面白いことないかね」と言いながら一緒にお茶を飲んだりごはんを食べたりしているそうですが、そんな知人たちを見てあることに気づきます。
そういう人は、仕事が忙しくて自由時間がないときのほうが生き生きしている気がする。
「仕事つらい」「残業多い」「会社がクソ」と愚痴を言いつつも、そういう状況を楽しんでいるようなところがある。
仕事が減って自由時間が増えると「やることがない」とつまらなさそうにしている。極端な人だと、やらなくていいのに休日まで仕事をしてたりする。
phaさんは、仕事のために人生があるんじゃなくて、人生を楽しむために仕事があるんだから長く人生を楽しむには、仕事以外の何か「やりたいこと」を持っていたほうがいい、と言います。
また、仕事以外でやりたいことが何も思いつかない場合の理由も教えてくれます。
- 疲れている
→ ひたすら休もう - やりたいことに出会えていない
→ 今までやったことのないいろんなことをやってみよう
やりたいことが見つからない…という方もご安心ください。お金がもらえ、人とのつながりもある「とりあえず仕事をしておく」という選択があります。わたしもやりたいことが見つからないのでとりあえず仕事をしている状況…
あえて何もしない
「何もしないで、ぼーっとする」というのは簡単なようでなかなか難しいもの。
家でぼーっとしようとしてもつい、部屋の散らかっているところが気になって掃除をしたり、あれこれ考えてしまいます。
phaさんはぼーっとしたいとき、乗り物に乗るようにしています。特に用事もなく、あまり混んでいない路線の電車になんとなく30分くらい乗って、適当に降りて知らな町をぶらぶらしてコーヒーの一杯でも飲んで、また電車に乗って帰るのだとか。
車窓を流れる景色を見ていればなんとなく気が紛れるし、何もせずじっと座っているだけでも「移動」をしていると手持ち無沙汰にならない感じがある。
本を読んだり音楽を聴いたりするのも、乗り物での移動中が一番集中して楽しめる。
ぼーっとするコツは、「乗り物で移動しながら、ただ座っている」みたいに、何もしないでいてもなんとなく気が紛れる状態に自分を置くことなのだろう。
全身がリラックスしてゆるい状態でいつつ、どんな状況にも即座に対応できる自然体を身につけ、人生に疲れないよう適度に休むことが大切です。
怠惰は美徳?
以上、全36の『しないことリスト』より、7つのリストを紹介させていただきました。
今の社会にはがんばりすぎな人が多く、気力や体力の限界を超えているのに「もっとがんばらなきゃ!」と思ってしまい、体を壊したり心を病んでしまう人も少なくありません。
phaさんはがんばるのは無条件でいいことだという精神論を捨て、「がんばらないでなんとかする」ということが一番いいと言います。
そして、ラリー・ウォールという有名なプログラマの言葉を紹介してくれます。
<短気 Impatience>
<傲慢 Hubris>は、
プログラマにとっての三大美徳である
怠惰、つまり怠けることが、なぜ美徳なのだろうか。それは、怠け者ほど仕事をやりたくないので、どうすれば早く効率的に仕事を終わらせられるかを真剣に考えるからだ。
働き者は、多少の面倒くさいことがあっても体力や根性でなんとかしてしまうけれど、怠けものほど面倒くさがって効率のいい別のやり方を考えようとする。そこから新しい発想が生まれたりする。
また、ハンマーシュタインという昔のドイツの軍人の言葉も紹介してくれます。
無能な怠け者にはルーチンワークをやさせろ。無能な働き者には一切の責任を与えるな
面白いのは、有能な働き者よりも有能な怠け者のほうが指揮官によいというところだ。怠け者ほど他人に仕事を任せたり、些細なことを気にせずに大きな決断をすることができるから、上に立つ人間として向いているということだ。
逆に一番よくないのは無能な働き者で、無能な怠け者よりも悪いとされている。無能な働き者がなぜ悪いかとおいと、別に何もせずにじっとしていいときでも、やらなくていい余計なことをして事態を悪化させてしまうからだ。
要は「努力することは別に偉くないし無理に働き者になる必要もない、なので心や体に負担をかけすぎないよううまく力を抜いてラクに生きていこう」という内容です。
わたしたちが「しなきゃいけない」とやっていたことの多くは、別にしなくてもいいこと。
本書を読み、「あれをしなきゃいけない」「これをしなきゃいけない」という決まりに縛られず、毎日が少しでもラクになるよう生きていきましょう。
わたしは記事をアップしたら、何もしないでぼーっと過ごそうと思います。
ではまた。
この記事を書いた人
-
インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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