槇尾古書店で偶然出合った一冊「督促OL 奮闘日記」

実用書
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こんにちは。妻です。

先日、大阪・堺筋本町にある槇尾古書店に行ってきました。

槇尾古書店(まきおこしょてん)とは

令和元年5月に開業した江戸時代の本から現代の本まで幅広く取り揃えている古書専門店。
販売はもちろん古本の買い取りも行っており、店頭のほか近畿圏を中心に出張買取での対応も可。

槇尾古書店は、本町駅と堺筋本町駅から直結の船場センタービルの一角にあります。船場センタービルは主に洋服・布などの生地や宝石などを販売しているお店と飲食店が並んでいて、卸売専用店も多くあります。そのため、槇尾古書店に行ったとき「本がたくさん置いてあるけどわたしが購入できるお店なのだろうか…?」と躊躇してしまいました…

上の写真を見ていただくとお分かりかと思いますが、ずらーっと本が置かれているので、急いでいてもどんな本があるかついつい探したくなってしまう古書店です。

今日はここ槇尾古書店の文庫本コーナーでビビッときて購入した一冊『督促OL 奮闘日記 ちょっとためになるお金の話』を紹介します。

著者は榎本まみ(えのもとまみ)さん。

榎本まみ

新卒で信販会社に入社し、支払延滞顧客への督促を行うコールセンターに配属。
現在も某金融機関のコールセンターで働く傍ら、督促業務の地位向上を目指して督促やお金に関する4コマを『督促(トクソク)OLの回収4コマブログ』で更新中。

『督促OL 奮闘日記』の内容をざっくり説明すると、世間にあまり知られていない督促という業務やカードの仕組みなどお金に関することを4コマ漫画を挟みながら教えてくれる本です。

本書の主な登場人物は新人OLのN本さん(著者の榎本さん)と先輩のK藤さん。そして、お客さまやコールセンターの仲間、N本さんのお友だちなども出てきます。表紙にある絵を見てもらえるとわかると思うのですが、めちゃくちゃゆる〜い絵でかわいいです…!

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「督促」という仕事

プロフィールで少し触れましたが、榎本さんは新卒で信販会社に入社し、「督促」という仕事を行うコールセンターに配属されました。

督促とは、カードや家賃などの支払いができていないお客さまに電話や手紙で入金のお願いをすることを言います。

榎本さんが配属されたのはキャッシング専用カードのコールセンター、言ってしまえば借金の取り立てをする部署でした。

取り立てと聞くと、サングラスのお兄さんが深夜早朝を問わず家のドアをどんどん叩いて「金返せ!」と言っている光景が頭に浮かびます…お金を借りた側は労働施設や風俗などで働いて返すか、精神的に追い込まれて夜逃げや命を絶ったり…ってこれはドラマや映画の見過ぎですね…笑

昔はしつこく催促の電話をかけてきたり、家の前にビラをまくなどのいやがらせがあったり、かなり強引な取り立てだったようですが、現在はこういったお客さまが不快な思いをするような督促法律で禁じられています。

榎本さんは借金の取り立てをする部署の中で、延滞をして1ヶ月半までの「初期」と呼ばれるお客さまの督促を担当していました。

ちなみに榎本さんが働いていた信販会社では次のような回収の仕組みになります。

  • 「初期」の延滞
    引き落とし日から1〜2ヶ月間の延滞のことを指す
    電話と督促状による督促がメイン
督促状
「入金がまだなのでお支払いをお願いします!」といった文章が書かれた手紙
初期の延滞部署で担当する期間が過ぎると、中期の延滞を担当する部署へ移管します。
  • 「中期」の延滞
    3ヶ月〜半年くらいまでの期間を指す
    内容証明郵便を送ったり差し押さえをするなど、法的な回収も行う
この期間を過ぎると、さらに長期の延滞債券を管理する社内の専門部署や社外の債権回収会社へと移されていく仕組みです。
支払いを行わないとカードの使用停止や強制解約、さらに信用情報機関に延滞情報が登録されて他社のカードも止まり、新規のカードやローンも通りにくくなってしまいます。
榎本さんが担当している「初期」の延滞では、こうした最悪のケースを防ぐべく、救済手段を取れる権限を持っています。救済手段はお客さまの状況によってできることが異なりますが、支払額の減額支払い期日の延長などが行えます。

お客さまの多くは、初めから延滞しようと思ってお金を借りているわけではありません。色々な不運が重なって、たまたま今、支払いができなくなっているだけなのです。
コールセンターは決して怖いところではありません!無理やり支払いをお願いしたり、声を荒げるようなことも絶対にしません。
だからもしも万が一、支払いに困ったときはそのことを教えてほしいし、相談してほしいのです。回収のコールセンターはそのためにあるのですから。

お金を貸している側の意見をお聞きすることってなかなかないので、ここまで読んでイメージがだいぶ変わりました…!支払いできないからと電話に出なかったり督促状を放置してしまうのはダメ、ゼッタイ!

お客さまの借金事情

督促という仕事内容がある程度わかったところで、次は榎本さんたちが実際に対応しているお客さまについて見ていきます。

榎本さんたちは日々、何らかの理由でお金に困っているお客さまを相手に電話対応をしています。ここではお客さま対応をする中で、どんなお客さまがお金を借りて返しているのかをざっくりまとめました。

人間関係で借金をするお客さま

榎本さんをはじめとした信販会社のコールセンターでは、キャッシングを申し込んだお客さまにお電話で直接「なんのためにお金を使うのか?」をお伺いすることもあるそうです。

旅行、遊びのためのレジャー費用、生活費、教育費など、お金を借りる理由は様々です。

その中で、特に20代の方が借りる目的としてあげることが多いのが「結婚式のご祝儀代でお金が必要」といった冠婚葬祭費だと榎本さんは言います。
また、支払い期日を延ばしてほしいという理由でもこの冠婚葬祭費は出てきます。

結婚ってすごくおめでたいことではありますが、給与の中からご祝儀代や衣装・ヘアセット代などを差し引くと、かなりの出費になってしまいますもんね…しかも結婚ラッシュで1ヶ月に2件も3件もあった日には、もう嬉しいんだか悲しいんだかよくわからない涙が出そうになります…

このように結婚式や友だちに旅行に誘われて断れないため借りる人といった人もいれば、娘の学費や親の入院費といった家族の誰かのために借りる人もいます。

「借金」という言葉を聞くと、買い物依存症とかギャンブルとか、自分のためにお金を浪費するというイメージがあります。でも、督促の仕事をしていると、借金は実は人間関係からはじまるものである、とひしひしと感じることがあります。
<中略>
冠婚葬祭での出費が原因で借金をしてしまうお客さまは、とても優しい人ばかりです。気前も気前も良く、打算抜きで人とつき合う情の深い人たちです。だからこそ、不毛な人間関係にお金を使うのは、ぜひ考え直していただきたいと、私は思ってしまうのですが……。

内緒で借金をするお客さま

コールセンターに限らず接客業であればクレームはつきものですが、督促の仕事の中で寄せられるクレームでは「おまえらが督促したせいで家族に借金がバレた!どうしてくれるんだ!!」というものが多くあるそうです。

そもそも、キャッシング専用のカードというのは基本的に利用明細を送ることはありません
しかし、延滞をしてしまうと問答無用で督促状が発送されてしまう仕組みになっています。

この督促状により、「おまえらが送った手紙を嫁に読まれた!もし離婚したら絶対に訴えてやるからな!!」といったクレームの電話がたくさんかかってくるそうです。

これを見て、家族や夫・妻といった配偶者に内緒でお金を借りている方が多いことに衝撃を受けました…。榎本さんも「世の中にはこんなにも内緒で借金する人がいるのか…」とショックを受けたと言っていました。

ではなぜ、内緒でお金を借りているのでしょうか?

理由はいろいろあるとは思うのですが、相手に借金がばれたら嫌われる、怒られるんじゃないかという恐怖と、借金をしていることを告白することが恥ずかしいというちょっとした見栄があるからじゃないかな、と私は思っています。

たしかに「借金のある人と結婚なんて無理!」と公言する人もいますもんね…ちなみにわたしたち夫婦は、同棲時にローンなどの借金状況をすべて共有していました。何を優先して支払うか計画を立ててコツコツ支払ったので、今は借金ゼロに…!

時々思うんです、お金に困ったときこそ家族や奥さん、旦那さんに悩みを相談できる、そして許しあえる関係を作ることこそ、実は大切なんじゃないかって……。

年収1000万円以上のお客さま

榎本さんたちは督促という仕事柄、毎日何百人というお客さまの年収データを見て仕事をしています。
その中にはなんと、年収1000万円以上の男性もいらっしゃるそうです。

貸金業者が融資できるのは年金の3分の1までなので、年収1000万円だと333万円借りられることになります。
<中略>
車のローンやカードでのショッピング、銀行でのカードローンなどはこの規制に当てはまりますが、年収が高ければその分審査も通りやすくなります。若くて独身で年収1000万以上、でも莫大な借金付き……実はそんな方々も残念ながら一部では存在するのです。

年収が高い男性は結婚相手として魅力的だ、と婚活特集のテレビ番組などで結婚相手の条件にあげられていますが、これを聞くと「年収が高い=経済力がある」とは言えないですね…まあ接待などのお付き合いがあるのかもしれませんが…

年収1000万円クラスのお客さまは督促をしても紳士的な態度の方が多く、お客さまとして、また結婚相手としても、とても魅力的な方々と言えます。でも、年収だけを目当てに結婚すると、いざ借金があったときの衝撃が大きいのです。

彼氏・旦那・息子にみつぐ女

カード会社は契約を行なったお客さま自身に対してクレジットカードを発行したり、融資をしたりしています。
当然、支払いの義務は契約者本人のみに課せらているため、たとえ家族であっても連帯保証人になっていない限りはカードやキャッシングの返済をする必要はありません。

ただし、ご家族が任意で入金をする場合は、その返済を受け取って良いということになっています。

榎本さん曰く、彼氏・旦那・息子が借りた借金を本人に代わって「主人は女性と蒸発したのでどこに行ったか分かりません、私がお支払いします」「息子がご迷惑をおかけしました、お金は全て私がお支払いします」と女性がお支払いするケースもあるそうです。

連帯保証人でもないのに人の借金を返してあげるなんて…すごい…わたしにはできません…笑

しかも、こういったケースはたまにではなく、たびたびあるそうです。

榎本さんはこれらの対応を行なっている中で、「なぜ女性は男性の借金を払ってしまうのか?」と疑問に感じました。

K藤先輩に聞いてみたところ、こう言われます。

「本人が納得してるならしょうがないじゃない」

「だめんず好きな女性って男性の借金を払うことに快感を覚えちゃうのよね……私がいなきゃこの人はダメ、みたいな。<中略>

「でもそういう女性は、いずれ変わるから大丈夫だよ」
「どういうことですか?」
「男の借金を肩代わりしちゃうような女の人って、相手が自分の子どもとか実の親とかにまで迷惑かけはじめると、すっぱりと縁を切ったりするからね」
なるほど、良くも悪くも身内を大切にする人らしい行動です。

兎にも角にも「信用」が大切

ということで、今回は槇尾古書店とそこで偶然出合った『督促OL 奮闘日記 ちょっとためになるお金の話』について、紹介させていただきました。

『督促OL 奮闘日記』には他にも、借金男子の見抜き方や借りる時の注意点などについて書かれています。とても読みやすい本なので、気になった方はぜひ手に取ってみてください。

人は意味がなくお金を借りることはありません。何らかの理由があって借金という手段をとっています。
しかし、延滞していたり、信用情報の取引に遅れの記録があると融資することができません。本当にお金に困っているときにお金を工面できないのはとてもツラいことです。

また、古書店や古本屋で売られている本は、一度誰かの手に渡っている中古の本です。
本は紙で作られている以上、アルコールスプレーで消毒するわけにもいきません。もちろんある程度のクリーニングはされていますが、衛生面が気になる方もいらっしゃると思います。
しかし、前の持ち主がキレイに読んでいるからこそ、購入している方も多いのではないでしょうか。

本書を読んで、お金を借りるにも本を買うにも、何をするにも「信用」があることが大切だと学びました。

槇尾古書店さんではお宝を探すような感覚で本と出合えるので、とてもたのしかったです!こうやって手に取って本を買うのも、無意識で本を手にしていたお客さまや販売している方々を信用しているからなんですよね〜。信用ですべてが成り立っている世界…!

ということで最後に、あとがきに書かれていた榎本さんのお言葉を引用して終わりたいと思います。

信用の大切さは失って初めてわかるとよく言いますが、失ってから気づいたら遅いんじゃないか!?ぜひ失う前に気づいて!!と思いこの本を書かせていただきました。

<中略>

世の中には誰も教えてくれない大切なことがたくさんあります。その落とし穴に落ちないように私たちができることはなにかないのでしょうか。
この本に書いてあることは大切なことのほんの一部かもしれませんが、今まで考えもしなかったこと、お金のこと、利息のこと、信用のことを少しでも意識していただければとても嬉しく思います。

ではまた。

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この記事を書いた人

インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。

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