家と会社の往復だけで1日が終わってしまう、すぐに疲れるから何事も持続できない、ボーっとして気がつくと2時間くらい経ってしまう、週末は昼まで寝ている…と、とにかくやる気が出ないと困っている方へ。
今日は『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』で、わたしと一緒にその原因を探りませんか?
わたしも常に身体がだるく、無気力状態。睡眠の質が悪いことが原因なのではと思い、睡眠外来に行くか悩むほど…
著者は脳内科医/「脳の学校」代表の加藤俊徳(かとうとしのり)さん。
脳内界、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。MRI脳画像診断、発達障害・ADHDの診断・治療の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。
現在、加藤プラチナクリニックのADHD専門外来では、ADHDコンプレックスを疑われる人の得意・不得意な脳番地を診断し、学習指導や適職指導など、薬だけに頼らない治療を行う。
本書は、著者が得意とする脳という分野から、やる気の出ない理由ややる気を生み出すコツなどが書かれています。
ちなみに、わたしが本書を手に取った最も大きなキッカケはパンダの絵が描かれていたから。パンダだいすきなんですよね〜本書の項目毎にいるパンダ(下の画像)がかわいすぎる…!
やる気が出ないのにはワケがある
まず本書では、活動的で生き生きしている人を「やる気がある人」、やる気がなくダラダラしている人を「やる気がない人」、と表現されています。
ではこの「やる気がある人」と「やる気がない人」は一体何が違うのでしょうか?
これまで、著者はMRI(磁気共鳴画像法)を使って1万人以上の老若男女の脳を見てきました。
そこで、やる気が出ない人は神経細胞同士の連絡線維(ネットワーク)の”枝振り”がとても貧弱であることが分かりました。
連絡線維?枝振り?なんだか難しい話になってきました…
著者はその結果から、やる気がある人とない人の違いは、脳の働き方にあると言います。
脳は「目からの情報を受け取る方法(視覚系脳番地)」「足を動かす部分(運動系脳番地)」「ものごとを考える部分(思考系脳番地)」など、役割が異なり、細かく分かれています。
ちなみに「脳番地」は著者が提唱したもので、脳のどの部分がどのような働きをしているか機能ごとに名前をつけたものを言います。
それぞれの脳番地には、たくさんの神経細胞があります。
私たちが何か経験すると、あっちの神経細胞とこっちの神経細胞が情報をやり取りして、情報の連絡線維(ネットワーク)が増えていきます。
そうすると、あっちの脳番地とこっちの脳番地の連動が強まって、よりスムーズに働くようになります。<中略>
この連絡線維は、脳のそれぞれの部分の経験値が高いほど部分間の情報の行き来が多くなり、逆に経験値の低い部分が多いほど情報が行き来しにくくなります。
そして、情報の行き来が多いほど、太く大きく発達します。
この枝振りの発達度によって、その人の性格、行動力、打たれ強さ、コミュニケーション能力、ひらめきやすさなど、あらゆることに影響が及びます。
活動的なやる気がある人は、脳の発達が大きく、自身が成長するために新しい刺激や経験を欲しがることで脳の働きを止めません。
一方、やる気がない人は、全体的に未発達な脳番地が多く、脳の自動化により行動がパターン化し、新しい経験へのモチベーションとなる「欲求」が消えている・閉じこもっている状態です。
自分自身の行動パターンや欲求によって、脳のなかでよく使う脳番地と使わない脳番地が生まれてきます。
脳の一部しか使わず脳全体の働きが弱くなるため、やる気の出ない脳が生まれます。
言われてみると、わたしの生活は割とルーチン化されています。歳を重ねるごとに”初めてのこと”が減り、どんどんやる気が出ない脳へ…
やる気を妨げる脳番地を鍛えよう
ここからは停滞した脳を活性化する具体的な方策を教えてくれます。
先ほど、脳はその人の行動パターンや欲求によって、成長しやすい脳番地とそうでない脳番地があると言いました。
やる気がわかない人は、脳のどこかにやる気がわくのを妨げる、未発達の脳番地があるのです。未発達の脳番地は、自分が苦手なことがわかれば特定できます。
脳番地は全部で120ありますが、そのなかでも8つの脳番地が普段の行動に特に影響が強い、と筆者は言います。
ここからは簡単になりますが、8つの脳番地の説明と鍛え方をご説明。もっと詳しく知りたい方はぜひ本書を読んでみてください。
思考系脳番地
主に左脳は明確な答えがあることを考えるときに、右脳は答えがないことを考えるときに働く。
思考系が弱いと、自分の意思で動けなくなり、決められない・判断できない・思考停止へ。
思考系脳番地の鍛え方
1.2週間、いつも飲んでいるものを選択肢から外す
他の飲料に興味を出すことで、マンネリ化している思考を脱却
2.1ヶ月間、人の行動パターンをまねる(もしくは、人と逆のことをする)
他人の模倣をし続けることで、「自分だったらこうするのに」「私の感覚のほうが正しい気がする」という判断やアイデアが出やすい脳へ
物事を先送りにしていつやるのか決めない、やるのかやらないのかも決めない”決めたくない人”は大抵、脳の思考系経験値が低い証拠。思いついたら即実行!というベンチャー企業の社長タイプは思考系が発達していると言えます。
視覚系脳番地
主に左脳では文字情報を読み取り、右脳では画像やイメージを読み取る。
視覚系が弱いと、視覚情報の多くをスルーしインプットの質が下がり、周りを見て配慮できない・興味の範囲が狭まる。
視覚系脳番地の鍛え方
1.1日1枚、いい写真を撮る
いい写真を撮ろうと心がけて過ごすことで、目の前に起こる光景を集中・よく観察するようになり、脳の見る力が強化
2.自分の周り1メートル以内に人がいないように歩く
歩く際に周囲を見ることで、普段から周りを意識させ視覚系を鍛えるチャンスに
やる気に乏しい人と活動的な人の脳で差がつきやすいと言われている視覚系脳番地。状況を的確に把握することで、周りに配慮したり適切な行動を取ることができます。
聴覚系脳番地
視覚系が弱いと、聴覚情報を聞き取る力が弱くなり人の話し声の微妙なニュアンスなどが分からず、人の話が頭に入らない・人付き合いが面倒に。
聴覚系脳番地の鍛え方
1.ラジオで聞いた言葉を、声に出して繰り返す
ラジオを録音しながら、パーソナリティーの発言を自分ですぐに繰り返すことで、聞いたことがどれだけ頭に残っているか確認でき、聴覚系の経験値アップ
2.テレビを英語で聞いてみる
日本語の吹き替えで見たことある映画を英語モードで鑑賞するなどして、聞こうとする意識を刺激し集中力上昇へ
聴覚系脳番地は人とのコミュニケーションを通じて成長します。ひとり暮らしだったり人と会話する機会が少ない職場で働いている人は、聴覚系を意識的に鍛えることがお勧めです。
理解系脳番地
理解系が弱いと、外部からの情報を整理・統合が困難になり情報を把握できず、現状維持を好む・新しいことに馴染めない。
理解系脳番地の鍛え方
1.机やテーブルの位置を変える
レイアウトを変えることで複数の物の配置を変えざるを得なくなり、理解系の刺激へ
2.四文字熟語の意味を調べる
1日ひとつでもいいので新しい語彙を増やすことで、左脳の理解系脳番地を鍛え、自分が見ている世界の理解度を深める
やり方を変えると脳が働かなくなるという方は理解系脳番地が発達していません。利害を考えず今自分がいいと思ってやっている習慣と真逆のこと行うことで、今まで知らなかったことを知ることができ、頑固さが消えていきます。わたしも頑固な性格なので、これを機に鍛えます…
伝達系脳番地
伝える方法は2種類で、会話やメールなどの言語手段、図やサインなどの非言語手段。
伝達系が弱いと、自分の体験や考えをコミュニケーションに落とし込めず、うまく言葉にならない・受け売りしか話せなくなり、周りからの理解が得られなくなる。
伝達系脳番地の鍛え方
1.今日の出来事を人に話す、もしくは文章にして発信する
見たり・聞いたり・体を動かしたりという非言語体験を人に伝える訓練を行うことで、左脳の伝達系を鍛える
2.自分の考えや思いを図にする
1.の言語化に慣れてきたら、考えを図で可視化することで右脳と左脳の伝達系を強化
著者は「人から聞いたり本で読んだりして得た知識はすでに誰かが言葉にしているため、それをしゃべることはただの再生」と言います。伝える力が身に付けるには、自分が経験したことを自分の言葉で伝えることができるようになることが大事。
記憶系脳番地
記憶系が弱いと、覚えたり思い出したりするのが苦手になり、忘れ物が多くなったり、ものごとをネガティブに考える・ずぼらな性格に。
記憶系脳番地の鍛え方
1.1日の生活を30分前倒しにする
寝る時間を30分早め、その分朝の開始時間を30分早めることで、寝ている最中に日中の出来事をより記憶として定着させ、目覚めを良くし午前中の出来事をより脳に刻ませ、これまでと違った記憶を定着させる
2.日常で話す言葉をノートに書き出す
自分が普段何気なく話していることや思っていることをノートに書き出し、ネガティブなものがあればフラットな言葉やプラスの言葉に変換することにより、前向きに行動しやすくさせる
何かをやろうとする時にネガティブな記憶が呼び出されてしまい、なんだか不安…という方は負の脳回路が強化してしまっています。新しいことにチャレンジできるようにするためにも、新たな記憶で上書きしちゃいましょう!(わたしも超ネガティブ野郎なので頑張ります…)
感情系脳番地
右脳では主に、快・不快の刺激、その場の印象、他人からの「好きでも嫌いでもない」といったボヤっとした感情などを受け取る。
左脳では主に、感情生成を担い、自己感情として特に「好き」「嫌い」のように言葉で表現しやすい明確な感情を生み出す。
感情系が弱いと、思い通りにならないときに他人の気持ちを無視したり、自分の気持ちが分からなくなって一方的に被害妄想に陥ったり、自分の感情をコントロールできず悪い感情にはまったりする。
感情系脳番地の鍛え方
1.雑誌などのモデルを切り抜いて「好きな顔」と「嫌いな顔」に分ける
分類した後、なぜ好きか・なぜ嫌いかを言葉にすることで、自分の感情を知ることに繋がる
2.アルバムを見返す、追加作成する
今の自分は過去の自分の影響を受けているため、自分のアルバムを見返すことで現れた気持ちを、少しでも楽しくなるよう新しい写真を追加し、喜怒哀楽の感情記憶を作る
好きなのか嫌いなのか、やりたいのかやりたくないのか、ハッキリ自覚できなければエネルギーがわきづらく元気が出ません。また、自分の感情をコントロールするだけでなく、他人の感情を読み取る機能もあるのがこの感情系脳番地。
運動系脳番地
運動系が弱いと、それぞれの身体を思い通りに動かすために大量のエネルギーが必要となり、本来の脳の働きを妨げ、着手が遅い・効率が悪い・もたついてしまう。
運動系脳番地の鍛え方
1.ティッシュペーパーを両手で同時に丸めて、お手玉をする
左右同時に両手を休めず丸め、1メートル以上上に投げ上げてお手玉をすることで利き手と反対の手をしっかり使い、身体を動かす練習に
2.5本指の靴下を履いて生活してみる
足指に力を入れやすくすることでバランス良く立ったり歩いたりしやすくなり、思考系から運動系へしっかり命令が届けられるように
普段使っていない筋肉は、運動系が強く命令しなければ思い通りに動きません。言うことをきかせるには大量のエネルギーを消費しすぐ疲れてしまうため、動ける身体を作っていくことが大切です。
これらの脳番地は、必ずしもひとつの脳番地でひとつの仕事を完結できるわけではなく、それぞれに助け合って機能していることが多いです。
ですから、極端に能力が劣る脳番地があったりすると、そのせいで本領を発揮できなくなります。
できるだけ、苦手なところを意識して成長させていくのがいいでしょう。
脳が正常に働かない原因
先ほど、8つの脳番地の説明と鍛え方について書きましたが、そもそも脳は生活環境に影響されやすく、生活習慣が乱れてしまうと性格がうつっぽくなったりキレやすくなります。
そのため、いくら脳番地を鍛えても、生活習慣を変えなければ脳は正常に働きません。
本書では、脳が正常に働かない原因の一つとして睡眠が挙げられています。
成人の場合、老若男女すべての人が1日7〜9時間の睡眠が必要です。これより多くても少なくても、身体には悪影響が出ることが明らかになっています。
出た睡眠…!睡眠は脳だけでなく身体にも大きな影響を与えます。詳しくは過去に夫が紹介している『Sleep,Sleep,Sleep』や『スタンフォード式 最高の睡眠』を見てみてください。
妻的やる気の出し方
以上、『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』に書かれていた重要な部分を中心に、ご紹介させていただきました。
本書では他に「脳覚醒のレベルを上げる方法」「やる気を生み出す日常のコツ」「身体を動かしてエネルギーを生み出す仕組み」「自分を知り、自分を表現する秘訣」などが解説されています。
ここまでをまとめると、やる気が出ない原因は新しい経験が増えないマンネリ化によるもので、同じことを真面目に続けているだけでは脳が衰えてしまうことが分かりました。
また、脳のどこかにやる気がわくのを防げる未発達の脳番地があるため、やる気がわかないことも分かりました。8つの脳番地のうち、自分が苦手だと感じるものが未発達の脳番地と特定できます。
理由ややる気の出し方は本書である程度理解できましたが、実際に脳番地を鍛えるのはなかなか難しい…というあなたへ。
最後に、わたしが実践しているやる気の出し方を紹介します。
ズバリ、わたしのやる気の出し方はもので釣るご褒美方式。
○○できたらカフェに行ってスイーツを食べる・外食する・本を買う・ゲームをする、という感じで自身をもので釣っています。
ちなみにこのご褒美形式は夫に教えてもらった方法。「洗濯を干し終わったら本を読む」など、気づけばわたしの日常生活の8割はこのご褒美形式です。
本に書いてあることを実践することも大事ですが、どうすれば自分がやる気を出せるか考えるということも重要なのではと思います。
ひょっとするとあなたが無意識に行っていることが、やる気を出すキッカケとなっているのかもしれません…
ではまた。
この記事を書いた人
- インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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