僕らは120歳まで健康に生きる|LIFE SPAN~老いなき世界 Part1

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こんばんは。夫です。

年に何十、何百冊と読んでいるのですが、大半は自分の知識を補完したり、その延長線上にあったりする知識が得られるものです。ですが、たまにパラダイムシフトを与えてくれる本に出会います。
この本は、僕にとってはそうではなかったのですが、おそらく多くの人にとっては、パラダイムシフトを与えてくれると確信して、書き始めました。

どういうことかと言うと、、、

人生100年時代だけど、多分僕らが100歳になるころには人生120年時代とか言ってるよね〜

やだよ。120歳までとかありえないし、ありえてもそんなに長く生きたくない。

われわれ夫婦はこんな会話を何度しただろうか…

夫の意見に賛成という方。今日紹介する「LIFE SPAN ~ 老いなき世界」は、知識を補完したり、深めたりするのに役立ちます。
妻の意見に賛成という方。この記事を読むのもいいですが、ぜひ本書を手にとって欲しい。パラダイムシフトの連続です。

本文が491ページで注釈が98ページ。そして貼られた付箋の数々…

見ての通り、600ページくらいある分厚い本で文字も小さい。なんと参考文献、注釈、用語集だけで100ページもある。生物学や医療の知識がないとピンとこないこともあるかもしれません。納得できないことも、くり返し読んでも理解できないこともあるでしょう。

それでも、そういう人にこそ読んでほしい。

なぜなら、望むと望まざるとに関わらず、多くの人が120歳まで”健康に若々しく”生きる「老いなき世界」は迫っているのですから…

かなり長い記事になったので、2回に分けることにしました。第一弾のこの記事では、「老化には唯一の原因があり、それに対処すれば寿命が伸びる」ということを紹介します。第二弾では、そのために”今”僕たちになにができるのか、ということを紹介していくので、もし「どうでもいいから長生きする方法を教えろや!」って方はLIFE SPANを買って読むか、第二弾を読んでください。
とはいえ、個人的には第一弾の内容のほうが大切だと思います…

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長寿大国日本。最大の悩みは”長生きすること”?

本書の内容に入る前に、前提条件というか、前知識を少し話しておきましょう。
日本の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳。言わずと知れた長寿大国です。

しかしこの健康寿命、ちょっと注意が必要です。

まず、あまり知られていませんが平均寿命は、98歳以上の男性と103歳以上の女性に関するデータは取り除いて計算されています(取り除くデータは調査のたび変わるそうです)。
一方で、生まれてすぐ亡くなる場合や、事故や自殺など、想定外で亡くなられた方は考慮されています。

また、平均寿命は厳密には「0歳児の”平均余命”」です。平均余命とは、その歳の人が平均してあと何年生きられるか、という意味で、今生きている我々がだいたい何歳まで生きられるか、という数字ではありません。

つまり何が言いたいかというと、ある程度の年齢まで健康に生きた人は、平均寿命より長く生きる可能性が高いのです。

実際、生命保険文化センターのホームページには、各年代の平均余命が書かれていて、例えば今80歳の女性は、平均余命が12年なので、おおよそ92歳が平均的な寿命になります。

ご存知の通り、平均寿命は年々伸びているので、今30代、40代の人は、今発表されている平均寿命に5〜10歳プラスで考えたほうがいい、というのはいろいろなところで言われています。

人生100年時代が来る、というのは正確ではありません。今が人生100年時代で、これから来るのは人生120年時代です。

本書の裏帯には、

誰もが人生120年時代を若く生きられる!

と書かれています。

さて、人生100年時代がもう既に来ている、と認識した時、「老いなき世界」というフィクションは一気に現実味を増すのではないでしょうか。

ちなみに僕は理系大学で生物学を専攻していたので、こういう本が大好きです。といっても難しい話はしません。僕程度の知識じゃ、本書に書かれている最先端のバイオサイエンスはなかなか理解できません。そもそも、そういう技術的な部分はどうでも良いと思っています。
今日、本書を紹介するのは「人生100年時代が来るんだー大変そうだね」とか他人事だと思っているあなた、あなたが今生きている今日が人生100年時代で、そのうち人生120年時代が来るんだよ、ということを伝えたいと思います。

LIFE SPANが与える問いかけ

さて、ここまでは序章です。「LIFE SPAN ~ 老いなき世界」では、

  • 老いるとは、寿命とは何なのか?
  • 120年生きられる根拠は何なのか?
  • そのために今どんな研究が進んでいるのか?
  • 更に先の未来はどうなっていくのか?

などが書かれていて、ちゃんと読めば、120歳まで健康に生きることが当たり前になる、という未来は当然のものとして受け入れられるはずです。

しかしその前に、1つ問いかけをしたい。

長く生きることは幸せか?

こんな衝撃的なデータがあります。

注目してほしいのは20代と30代。
「何歳まで生きたいですか?」という質問に「60歳未満」と答えた人が、それぞれ約15%、12%もいるのです。若い世代の結構な割合の人が、老後を楽しみにしていない、長生きしたくないと思っているのです。

先人たちが血の滲む努力で上下水道を完備し、無数の犠牲の上に医療技術を進歩させてきたのは一体何だったんでしょう…

しかしそれも仕方ないのかもしれません。がんや糖尿病、認知症などの健康・医療面だけでなく、介護負担、老後破産など、今の日本では豊かな老後がイメージしにくいのかもしれません…

また、こんなデータもあります。

若い世代でも半数以上が老後に不安を感じている。

未来ある10代の7割が老後に不安を抱えているんです。でもこれは大問題。なぜなら、今一般的に「老後」というと、おそらく70歳以降くらいをイメージしますが、人生100年時代、そしてこれから訪れる人生120年時代において70歳は折り返し地点。あと半世紀も人生が続くのです。

残酷な事実(?)ですが、死にたいと思っても死ねないのが今の世界です。たとえ医療費が払えなくても、死にかけていたら全力で延命措置が取られ、意識がなく、親族も見舞う人も誰もいない状況であっても、医者は生命維持装置を止めてくれません。

さっきも言ったように、本書を読めば誰もが120歳まで生きられる世界がすぐそこまで来ていることが分かります。もちろん、本書がいう人生120年時代は、がん治療でぼろぼろになりながら、認知症で意識もはっきりせず、病院で寝たきりの老後が長く続くということではありません。

いずれにせよ、世界一の長寿大国日本、その日本に住む僕たちが、その世界と最初に向き合うことになるでしょう。
しかしどうやら、当の日本人はそんなことを望んでいない…

なかなか考えさせられませんか?

僕は本書を医学書や実用書ではなく、哲学書と考えてもいいと思います。
なぜなら、本書の中では、永遠に生きる、むしろ若返り、人生のピークの肉体を維持する、という可能性まで示唆されているからです。
もしそうなった時、世界はどうなるでしょうか。命に限りがあるからこそ、宗教や哲学が生まれ、人生をともにするパートナーや家族といったものを必要とするのです。

永遠に生きれるなら、何をしますか?
どんな不安が生まれますか?
なんのために生きますか?
誰と生きますか?

今でも国家予算の多くが老人のための社会保障に使われ、教育や研究など未来のために使われていることが問題視されています。誰もが120歳まで生きるようになったら、年金とか医療費とかどうなるんでしょうね。

そうしたことのヒントも本書の中にありますし、人生120年時代が来る前にフライングしてその時代を先取りする方法も書かれています。そこまで考えるなら、ぜひ本書を読んで熟考してみてください。

この記事は「長生きすることは幸せなのか?」
そんなことを考えるきっかけになればと思います。

それでは、長々と書いてきましたが、ようやく本編です。お待たせしました。

我々は”長生き”するようになったのか?

本書の34ページ、「はじめに」の項目で面白い一文があります。

平均寿命が上昇を続ける一方で、最大寿命の方はそうなっていない。

人間の平均寿命が伸びてきていることは疑いようがありません。昔は多くの人が40歳までで命を落としていましたし、60歳まで生きられる人はごく僅かでした。しかし今、60歳は決して長寿ではありませんよね。
しかしこれは平均寿命が伸びただけで、最大寿命が伸びたわけではないと、本書の著者デビット・A・シンクレア氏は言います。

ちなみにデビット・A・シンクレア氏はハーバード大学の教授。老化生物学研究センターの共同所長で、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれた方です。なかなか権威がありますね。

平均寿命が伸びた要因は、上下水道など衛生面の向上と、農作と畜産による食料供給の安定により、若くして命を落とす人が減ったからです。
確かに、狩猟採集時代は自分で狩りをして獲物を取らないとご飯が食べれませんでした。運動能力が衰える30代以降、生きていくのは極端に大変だったでしょう。ちょっとしたケガで雑菌が入って悪化することも頻繁にあったと思います。

しかし一方で、昔から100歳以上まで生きる人は、珍しいながらもいました。そして今も、100歳を超えて生きる人は、珍しいながらもいる、という状態です。

結局人類は、技術を発展させて途中で死ぬ理由を避けて来ただけで、寿命を延ばしてきたわけではないのです。

となると、技術の進歩で寿命を延ばすことはできないのでしょうか?
がんや糖尿病、交通事故で死ぬことは技術的に避けられても、寿命そのものを延ばすことはできないのでしょうか?

著者は、120歳が決して特別な寿命ではなく、当たり前の生涯で、長生きと言われないような時代が近づいていると言います。

寿命とはなにか?老化の原因

長生きについて考える前に、そもそもなぜ寿命があるのか、なぜ老化するのかを考えてみましょう。
「なぜ寿命があるのか?」なんて、考えたことがないですよね。人間生きていれば老化するし、いつかは死ぬんだろうと当たり前に受け入れています。

死ぬことが当たり前なんて、よく考えればおかしなことなのかもしれません。そう思わせてくれる本です。

老化し、寿命がある理由については、過去にいろいろな学者が理論を作ってきました。
古い理論は「拮抗的多面発現説」や「使い捨ての体論」など。簡単に言うと、子孫を残すことが生命の役割で、種にとって十分な数の子孫を残したら、あとは資源の節約のためにもいなくなったほうが良い、という理論です。
例えば、その種が繁栄するのに1人が4人の子どもを生む必要があるとします。15歳で子どもが産める体に生育し、3年に1人子どもを生むなら、27歳ほどで役割を果たしたことになります。そのあと10年ほど生きて、子どもたちが自力で生きていけるようになるまで面倒を見れば、種としての役割を果たしたといえます。役割を果たしたあとに生きても食料などの資源が無駄になるので、老化して寿命を迎える、ということですね。

これは比較的古い理論で、遺伝子生物学が発展してからは「エラー破局説」というものが主流になります。
細胞分裂などでDNAが複製される時、複製ミスが起こることがあります。当然、そのDNAはちゃんと役割を果たせません。分裂を繰り返すにつれ、そうしたエラーが増えていき、機能を果たせなくなる、という理論です。

それを更に発展させて「老化のフリーラジカル説」というものも登場しました。詳しくは省きますが、フリーラジカルというものがDNAを傷つけるという理論です。
この理論は10年以上前に否定されましたが、かなり社会に影響を与えています。今でもフリーラジカルの働きを抑制するサプリメントなどが売られているようです。

「抗酸化物質」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これはフリーラジカルの動きを抑える物質です。確かにサプリなどで見かけますが、寿命を伸ばす効果はないんですね…

実はこの「DNAが傷ついて老化する」という理論、生物学の素人でも分かるくらいはっきりと否定されています。

もし老化の原因がDNAや遺伝子にあるとするなら、クローンはどうなると思いますか?
70歳の人の遺伝子が70年分年老いているなら、その年老いた遺伝子から作ったクローンは70歳で生まれてくるのでしょうか?

【用語解説 遺伝子とDNA】
遺伝子とDNAという言葉が出てきたので、混乱するかもしれません。DNAというのはデオキシリボ核酸と呼ばれる2重螺旋の構造のことで、DNAの一部にある遺伝情報を持った部分のことを特別に遺伝子と呼びます。クローンを作る場合、DNAの中の遺伝情報をもった部分、つまり遺伝子を使います。

クローン羊で話題になったドリーをはじめ、クローンで生まれた個体は、子どもの状態で生まれてきます。クローンだから早く年老いる、寿命が短いといったこともありません。

年老いた遺伝子から若く新しい個体が生まれる。たったこれだけの事実で、老化の原因が遺伝子ではないことが分かります。

他にも、寿命と遺伝子の関係を否定するものとして、双子の寿命があります。
一卵性双生児の場合、完全に同じ遺伝子を持っていますよね。しかし、寿命まで同じかというと、そんなことはありません。一卵性双生児を対象にした研究ですが、遺伝子と寿命の関係は15%ほどしかないことが分かっているそうです。
15%というのは決して小さくないですが、寿命と遺伝子がそこまで密接に関係していないことは分かると思います。

では一体、何が生物を老化させ、寿命を与えているのでしょうか?

ちょっと話が難しくなってきました。が、もうちょっとお付き合いください。

老化の情報理論

老化研究が進むにつれ、ある1つの考え方が注目を集めました。それは、「これだけ研究しても老化の原因を突き止められないのは、そもそも原因が存在しないからだ」というものです。

科学者がそれを言ったら終わりなんじゃ、と思ってしまいますが、「老化の唯一の原因は、原因が存在しないということ」ということです。
この理論では、DNAの損傷が起こる、テロメアが短くなる、タンパク質の働きが失われる、ミトコンドリアの機能が失われる…など複数の特徴をあげ、こうした特徴が組み合わさって起こるのが老化である、としています。

なんだかよく分かりませんね。結局老化の原因なんてものはない、寿命はどうしようもない運命だ、ということでしょうか。

そういうわけではなく、今の科学業界は、こうした老化の複数の特徴それぞれに対して、対処しようとしているようです。
DNAに損傷が起こるなら、DNAの損傷を直したり、防いだりすればいい。テロメアが短くなるなら、短くならないようにしたり、伸ばしたりすればいい。という感じです。

しかし、本書の著者はそれで最大寿命を伸ばすことはできない、と言います。
結局は、がんになったからがんを治療するのと同じで、症状に対処している限り、別の症状が出てくるのを少し先延ばしにしているだけだからです。

そして著者が提唱しているのが、老化の情報理論です。これは「老化の唯一の原因は、情報の喪失である」というもの。

情報の喪失が老化?どういうことだ?

ご安心ください。僕もいまいちよく理解できていません。

本書では、DVDに例えられています。
何万回再生しても、デジタルデータは劣化しません。しかし、DVDは何度も再生すれば表面に傷がついたりして、劣化していきます。劣化すれば、画質が落ちたり、一部が再生できなくなったりします。しかし、それはDVDの表面が傷ついただけで、DVDの中に収録されている映像のデジタルデータはちゃんと残っています。だからクリーニングすれば古いDVDでも綺麗に見えるようになりますよね。

これこそが老化と、その対処方法です。
遺伝子に傷がついて劣化しているなら老化は避けられないものかもしれません。でも、あくまでも遺伝子を読み取る能力が落ちているだけなら、DVDをクリーニングするように老化をコントロールすることができるのです。

そしてこの遺伝子を読み取る能力を持っているのが「サーチェイン」と呼ばれるもので、長寿遺伝子とも呼ばれています。
サーチェインはDVDクリーナーのように、DNAを修復したり、遺伝子のスイッチを調整したりしています(厳密には違いますが、そういうことにしておきます)。
主な仕事は遺伝子のスイッチのオンオフをコントロールすることです。これにより、細胞が正しく機能します。しかし、DNAが傷つくという緊急事態においては、その役割を放棄して修復に全力を注ぎます。

DNAの修復をしている間、サーチェインは遺伝子の調整という本業がほったらかしになります。当然、その細胞は正しく機能しなくなりますよね。
しかも、DNAの修復をしている間に、サーチェインがもとの役割を忘れてしまう、自分が担当している遺伝子の場所に戻れなくなるということがよくあるそうです。

そして、生きている限り、色んな理由でDNAが傷つきます。紫外線や食生活、ストレスといった要因はもちろん、ただ生きているだけ(細胞分裂を繰り返すため)でDNAが傷つきます。
そうして、DNAの修復に一生懸命になったサーチェインは、遺伝子を調整するという働きを果たせなくなり、その細胞では遺伝子が暴走状態になり、いずれは機能しなくくなります。

これこそが、老化の唯一の原因です。
DNAが損傷してもサーチェインによって修復することができます。大切なのは、サーチェインが本業の遺伝子の調整という仕事を果たせるようにすることなのです。

酵母やマウスに対する実験では、このサーチェインの働きを調節することで、寿命を延ばしたり、逆に老化を早めたりすることが実証されています。
もちろん、マウスでうまくいったからといって、人間でもうまくいくとは限りません。しかし、ある特定の機能が寿命に大きく関係していることが、証明されたのです。

すでに老化しない生物は存在する

ある特定の機能、サーチェインが本来の仕事ができなくなる。これが老化の唯一の原因であり、老化によってもたらされる様々な病気、疾患の原因なのです。
これは結構驚きですよね。老化は無数の要因がかけ合わさって必然的に起こるものなのではなく、ただサーチェインという働きものが、DNAを修復するという副業に疲れて、遺伝子を調整するという本業が果たせなくなっているだけなのです。
つまり、サーチェインがちゃんと本業に集中できるようにしてあげたら、老化しないということになります。なんといっても、サーチェインが本業に集中できないことそのものが老化なのですから。

今回の記事では、「人生120年時代がやってくる」「老化には唯一の原因があり、決して避けられない運命ではない」ということを感じてもらえたら十分です。
続きは第二弾として、今どんな研究が進んでいるのか、寿命が伸びた未来はどんな世界なのか、その世界に向けて、”今”なにができるのかといったことを書いていきたいと思います。

第一弾の最後として、長生きの生物を紹介しましょう。

老化は運命でも必然でもなく、ある1つの原因によって引き起こされる病気です。その病気を乗り越えた生物を知れば、もっと現実味があるかもしれません。

【老化しない松の木】
松の木といっても、日本の松の木ではありません。アメリカのカリフォルニア州にある「ヒッコリーマツ」です。ヒッコリーマツの樹齢は5000年ほどと言われていますが、それはこの木の寿命ではありません。ヒッコリーマツは”老化しない”のです。樹齢23年の木も、樹齢4713年の木も、細胞の機能はほとんど同じなのです。
松の木と比べられても、と思うかもしれませんが、遺伝子の半分は人間と同じです。
【ミズクラゲ】
アメリカ西海岸に住むミズクラゲは、不老不死のクラゲと言われています。驚くことに、細胞1つ1つにバラバラにすりつぶしても、その細胞同士が集まってもとの個体に戻るのです。
【ニシオンデンザメ】
グリーンランドに生息するニシオンデンザメは、上に上げた2種ほど長生きではありません。しかし、150歳になってようやく生殖能力が成熟するほど長生きで、500年以上生きたと言われる個体も存在しました。人間が性的に成熟するのが15歳だとすると、10倍くらいの寿命があるわけです。
木やクラゲよりは人間に近い感じがありますよね。
【ホッキョククジラ】
クジラが長生きなことは知っているかもしれませんが、ホッキョククジラの中には200年以上生きたとされている個体もいます。同じ哺乳類ですら、これほど長生きのものが存在するのです。
当然、遺伝子の基本的な仕組みはほぼ同じです。ではなにが違うのでしょうか?筆者は天敵がいない環境で、長持ちする体を作ってゆっくり繁殖できるよう、サーチェインがバランスを取って働いていると考えられています。

老化研究、とくにサーチェインに注目した老化研究はまだ始まったばかりなので、こうした生物が長寿であることは、他に要因があるかもしれません。
しかし、同じ生物でありながら、人間よりも厳しい環境で、より長く、時には不老不死と呼べるほどに長生きな生物は、たしかに存在するのです。

さて、退屈な生物学の授業は終わり。”老いなき世界”はイメージできましたか?

では、第二弾で”今”僕たちは何をすべきなのかを見ていきましょう。
親切なことに、著者であるデビット・A・シンクレア氏が実践している、長生きメソッドも紹介してくれています。

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この記事を書いた人

かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。

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