昨今、わたしたちはパソコンやスマートフォンでいつでもどこでも大量の情報を得られるようになりました。
しかし便利になりすぎているが故に、情報が膨大すぎてしんどい、なにを信じればいいかわからない、といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今日はそんな本当のことだけ教えてほしい、と悩むあなたへ『超リテラシー大全』という本を紹介します。
本書は投資家・医師・大学教授など様々な分野の専門家たちが監修の元、「その道のプロが正しいと考える情報」が全88項目にまとめられています。
大量の情報に悩まされることを少しでも減らすべく、本書で共にリテラシーを高めていきませんか?
なお、今回は本書で紹介されている頭の部分のみ触れています。もっとリテラシーを高めたい!という方は本書を手に取ることをオススメいたします。
投資・貯蓄・保険のリテラシー
ここではお金に関するリテラシーについて。
お金の教育業経営、個人投資家、元銀行員。
老後2000万円を信じてはいけない
お金について、そもそも考えていかなければならないことは「いくら必要か?」ということ。
いくら必要かということについては最近、老後2000万円問題で大きく取り上げられました。
老後2000万円問題はそもそも、65歳の夫・60歳の妻が年金だけで暮らしていくことを想定したケースだそう。
夫婦2人の生活費を月々約26万円とし、そのうち20万円程度が年金と考えると、月々5.5万円ほどマイナス。これが30年続くと2000万円になるという試算です。
しかしこれは、「今の制度のままいけば」という前提ですし、あくまでも夫婦2人が健在で、年金を毎月2人分もらっていた場合、という内容になります。
もろもろの要素を考えていくと、今現役で働いている世代に関しては2000万円ではまったく足りない可能性もあります。受け取れる年金が大幅に減るかもしれませんし、近年は退職金も減少傾向にあり、フリーランスとして働く人も増えています。そもそもフリーランスには退職金という概念がありません。
そのため、2000万円はまったく当てにならない数字だ、と雨谷さんは言います。
では年金をまったく当てにしない場合で計算するとどうなるのでしょうか…?
だいたい1億円程度の資産が必要になってきます。1億円というのは、まったく投資をしない単純計算で月々27万円程度の出費で30年分です。これくらいの資産があってようやく先ほどの試算結果と同じレベルの暮らしができる、という計算になります。
もちろん、時代が変われば働ける期間も伸びてくるでしょう。物価も変わっているかもしれません。年金以外の形で生活保障が生まれてくるかもしれません。ですから、一概に1億円が必要だというわけではないのです。
このような「老後2000万円」「実は1億円」という数字だけを漠然と追いかけてしまってもどうしようもないため、お金についてのリテラシーを高めることが重要になります。
お金についてのリテラシーを高めるポイントは大きく次の3つ。
- 今のお金の使い方を見直す
- 必要なお金を明確にし、一発逆転を狙わない
- 投資の正しい情報を身につける
これは資産形成の本でよく言われていることですよね。使い方は不必要な保険の加入など出費の見直し、一発逆転は宝くじなどのギャンブル的思考をやめて冷静にいくら必要なのか見極めること、投資は怖いから手を出さないではなく正しい知識を身につけて手を出すということ。
老後2000万円問題を信じてはいけない理由
→ 必要な数字は人それぞれ。数字に踊らされず、自分のケースで試算すること
転職・独立のリテラシー
ここでは仕事に関するリテラシーについて。
大きく転職と独立に分けて、2人の専門家が教えてくれます。
アクシス株式会社代表取締役、転職エージェントヘッドハンター。
株式会社アクティビスタ代表、筑波大学非常勤講師。
年収や会社のブランドではなく「職種」を軸に選ぶべき理由
「転職でキャリアアップ!」といった宣伝をよく見かけますが、残念ながら年収が上がる転職は簡単ではない、と末永さんは言います。
それには理由があり、初めて転職を考える人の多くは「今までとは違ったことをしてみたい」と転職に臨む場合が多いからです。
新卒採用では本人の可能性を重視したポテンシャル採用がありますが、中途採用で求められるのは「即戦力」になります。
そのため、未経験の職種を選べば条件は下がってしまうのです。たとえば30代前半で未経験の人がマーケティングの職種を選んだ場合、採用がなかなか決まらないか、決まっても給与面では数倍は落ちるでしょう。
これはわたしも転職で実感しました。いくら実績ややる気があったとしても別分野で「未経験」であれば給与は最低ランクなんですよね。(わたしは別分野で給与が上がる会社に的を絞っていたため、幸いなことに給与は下がりませんでしたが…)
そのため、転職で条件を上げていくには「同じ職種」で仕事を選んでいくことが基本的な作戦になります。1つの専門分野を磨いていって、マネジメントを経験しながら実績をつけていくことで条件のいい転職が可能になってくる、というのが王道の考え方なのです。
<中略>
転職でもっとも重要なのは、職種の経験値なのです。その意味では、一時的に年収が下がるとしても、「その会社だから経験できること」「次につながる実務経験」が積めるのであれば、会社のブランドや規模にこだわる必要はありません。
年収や会社のブランドではなく「職種」を軸に選ぶべき理由
→ 中途採用で求められる「即戦力」とは、実務経験のことを指しているため
フリーになってもしがらみはなくならない
職業選択も自由になり「フリーランス」という生き方も珍しくなくなりました。
しかし、フリーランスを「会社員とはまったく違う自由な世界」と考えている場合、いざ独立するとギャップを感じる可能性がある、と河合さんは言います。
フリーランスは「企業との雇用契約からは自由」であるけれど、だからといって不自由な人間関係やトラブル、面倒ごとが一切なくなるかといえば、そんなことはありません。
今現在できていないことが、フリーになれば急にできるようになるかといえば、そんなことはないのです。現在起きている同じような問題は、独立しても起きるものだと考えたほうがいいでしょう。
ブログ運営による広告収入やハンドメイドなど、一人で完結しそうな仕事であっても、情報収集や勉強は続けなければなりませんし、固定ファンとの交流など人とのつながりも必要になります。自分がどちらに向いているかじっくり調べた上で選択すべきですね…
フリーになってもしがらみがなくならない理由
→ 契約が切られやすい分、フリーのほうが人間関係は重要になるため
情報収集とデバイスのリテラシー
ここではITに関するリテラシーについて。
メディアスケッチ代表、サイバー大学専任講師。
日本のITリテラシーが低いままの理由
ITは日常で当たり前のものとなり、ネットを使わない日はないという人がほとんどなのではないでしょうか。
しかし、そんなIT分野で日本は世界に大きな遅れをとっています。
コロナ禍でリモートワークが推進されても結局導入できていない、行政でもデジタル化が一向に進まない、など、問題は山積みです。
10代20代といった若い人はネットリテラシーが高いのでは?と思いますが、「スマートフォンやタブレットでSNSやゲームをするしYouTubeも見るが、パソコンのキーボードは打てない」という人が多いようです。また、全年齢問わず言えることですが、パソコンを利用していたとしても、コンピューターを正しく理解している人はかなり少ない状況です。
そうなってしまった大きな原因の1つとして、日本では「縁の下の力持ち」的な存在であるエンジニアに対する評価が高くなく、役職や給料などの面でも軽視されてきた歴史があります。IT業界は派遣中心の構造となり、ブラックな企業体質が蔓延し、その結果として様々なところでシステム障害が起きているのです。
また、社会全体のITリテラシーが低いのも問題で、一部には情報化に抵抗する文化まであるために、社会にITが十分浸透しているとは言えません。
このような状況を総合的に見ると、日本は世界的に見ればすでにIT後進国なのです。
伊本さんは、IT化が進んでいる国としてアメリカ・エストニア・イスラエル・シンガポール・中国などを挙げ、理由は人口が多かったりいつ国がなくなるかわからないという危機感を持っているため、と言います。
ところが、日本でそこまで真剣に考えている人は少ないのが現状です。
実際、「何にITを使えばいいのかわからない」と途方に暮れている自治体・企業は非常に多く、「とりあえず新しいものを取り入れておけばいいだろう」とばかりに、トップが「あとは現場でよろしく」と丸投げをするケースがよく見られます。
つまり、本質的なITへの興味や知識のある経営者・政治家などのトップがほとんどおらず、その必要性・使い方を理解できていません。そのため、取り入れ方が中途半端になってしまうのです。
マイナンバーカードがまさに中途半端に取り入れられたものですよね。メリットは身分証として利用・コンビニで公的証明書の取得に利用できるくらいで、むしろ謎に暗証番号を3つ持たされるというデメリットの方が大きい気が…
日本がIT後進国である理由
→ リーダーたちがITに対する本質的な理解・興味がないため。個々がリテラシーを高めていくしかない
病気と治療のリテラシー
ここでは医療に関するリテラシーについて。
医療ジャーナリスト、放射線科医。
薬剤師。
上手に医師に症状を伝えるには5W1Hで
病院は混んでいることも多く、医師が十分に話を聞く時間が取れないのが現状です。
そのため、医師への「伝え方」が重要となります。
公式にこれといった決まりがあるわけではないのですが、次のように、5W1Hで伝えるようにするとわかりやすいでしょう。
- WHO(誰が)
子どもなのか、親なのか、自分のことなのか。 - WHAT(何が)
一番メインの症状は何か。熱か、鼻がつまるのか、咳なのか、など。 - WHERE(どこが)
頭痛といっても頭のどこが痛いのか(前なのか後ろなのか)。腹痛であればお腹の下あたりなのか、みぞおちあたりが痛いのか。 - WHEN(いつから)
昨日の夜からなのか、1週間前からなのか。また、動いたときに痛いのか、食後に痛むのか、など痛むタイミングについても。 - WHY(原因は)
「生モノを食べた」「お酒を飲みすぎた」など思い当たる原因はあるか。 - HOW(どのように)
どのような症状なのか、たとえば痛みなら、「チクチクする」のか「ドーンとした鈍痛」なのか「キリキリした痛み」なのかを具体的に。
特に「いつから」「どのように」は診断で大事な要素で、「どんなふうに痛みを感じているのか」を、医師は患者から出てきた言葉をそのままカルテに書く場合もあります。
<中略>
なお、伝える努力をしているにもかかわらず医師に話が伝わっていないと感じる場合、自分が伝えたいことや、医師への質問を紙に書いて渡してみるのも1つの方法です。
大きく疑問を感じる場合、特にがんなどの重病の場合は、遠慮なくセカンドオピニオンを受けてください(このときセカンドオピニオンを拒否する医師は、少なくとも不適切だと言えるでしょう)。
セカンドオピニオンは本当に大事。わたしは数年前の3〜4月に「いつまでも咳が止まらない」という症状に悩まされていました。病院に行き診察を受けると「結核かもしれない」とのことで検査をしましたが、結核の症状ではありませんでした。結局そこでは「咳喘息だろう」と漢方と吸入薬を渡されましたが、なかなか治りません。数週間後、別の病院に行くと「花粉症が悪化しているのでは」ということで、花粉症の検査をしたところビンゴ。抗アレルギー薬を処方してもらい、数日後には咳が治りました。まさか花粉症が原因だったとは驚きでした…
症状を5W1Hで説明する理由
→ 限られた診療時間の中でも医師に症状が伝わりやすくなるため
悩まないために正しい知識を持つ
以上、『超リテラシー大全』よりお金・仕事・IT・医療について、ざっくりと紹介させていただきました。
本書では他に住まい・法律・セキュリティ・介護・防災に関するリテラシーについて書かれています。
また、今回ピックアップしたお金・仕事・IT・医療の内容がさらに深掘りされています。
現代社会では、新型コロナウイルスや自然災害の問題・経済や社会のあり方への疑問・進化するテクノロジーと犯罪など、様々な変化が起きています。
変化が起こると当然、不安がつきまといます。
不安や悩みを抱えないようにするには、プロと同じ目線で正しき情報を選択できるよう、専門家たちのあたりまえを身につけてリテラシーを高めていくことが重要です。
すべての情報を鵜呑みにするのではなく、取捨選択できる力を身につけるには「読書」という手段は割と良いのかもしれません。わたしは今後も自分自身に大切だと思える情報を、本を通じて身につけていきたいと思います…!
ではまた。
この記事を書いた人
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インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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