なぜお金持ちはアートに投資する?投資教養としてのアート

なぜお金持ちはアートに投資する?投資教養としてのアート 実用書
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こんにちは。夫です。
さて今日も投資の本なのですが、いつもの株式投資ではなく「アート投資」の本です。

その名も「教養としてのアート 投資としてのアート~ビジネスパーソンが身につけたい基礎教養~

夫

またも「教養としての〇〇」です(笑)。2年くらい前の本なのですが、最近本屋さんに行くとつい「教養としての〇〇」に目がいってしまいます。それくらい「教養としての〇〇」というタイトルの本が、ただのブームに乗っかった内容じゃなくて、それぞれしっかり面白いんですよね。

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僕たち夫婦、年に数回は美術館に行きます。今年はコロナの影響もあって少なかったのですが、バンクシー展やグランマ・モーゼス展、ポーラ美術館コレクション展などに行きました。

アートを共通の趣味として、アート関係の本(たいていは図録)もいっぱいあります。

そんな僕たちがここ最近、真剣に取り組んでいるのが「投資」です。

夫

毎月の給料を全部使い切っていた金融劣等生夫婦が、気づけば収入の4割を投資に回せるように…まだ大きな資産を築いているわけではありませんが、この調子で行けば将来お金に苦労することはなさそうです。知識は偉大ですね。投資について学び始めただけでこれだけ変わったのですから。

ルノワール [散歩]

ルノワール [散歩]

夫

家ではこんなふうに絵を飾ったりしています。もちろん模造品ですよ(笑)

ということで、最近真剣に取り組んでいる「投資」と、もともと共通の趣味だった「アート」、この2つを掛け合わせるような本を見つけてしまったので、そりゃあ読まずにはいられないでしょう!という感じで、今回記事にしています。

といっても、投資という観点からアートを見たことはないので、アート投資についてはド素人。

本書の内容も理解できたところをさらっと撫でるように紹介していくので、「アート投資って何?」という人向けの記事です。
すでにアートに投資をしていて、さらに知識をつけたい、という人向けではないので、その点はご了承ください。

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芸術はマーケットを知るともっと面白い

教養としてのアート 投資としてのアート~背表紙

教養としてのアート 投資としてのアート~背表紙

本書の裏面には「観ているだけでは、何も理解できない。」という文字が。

夫

妻とよく美術館に行きますし、知り合いには映像、デジタルアート、油絵などのアーティストがたくさんいます。なのでアートについては人より知っているつもりだったのですが、観ているだけではぜんぜんダメだということですね。

別にアートは資産価値が重要だ、という話ではありません。
観る、鑑賞するという受動的な立場から、マーケットを理解してアートを「買う」「投資する」といった能動的な立場で関わることが重要なんです。

それはなんとなく分かりますよね。
本も受動的に読んでいるだけでは、十分に理解できません。
立ち読みでサラッと読んでも、家に帰る頃には何を読んだかも忘れていますよね。自分で考えて、選んで、お金を出して買って、人に説明できるくらい読み込んで、実際にアウトプットする。そのほうが理解できるのは当たり前です。

夫

池上彰さんだったかな。なんでそんなに博識なのか聞かれたときに、「本は読むんじゃなくて、その本を人に説明しているつもりで変換する」みたいなことを言っていました。受動的に読むんじゃなくて、読みながら頭の中で人に説明する言葉に置き換えて、実際に自分が書いている、話しているように読むということです。

アート投資を知らないと、アートの文化的価値しか楽しむことができません。当然それも素晴らしいことですが、アート投資を知ると、アートの資産的価値という新しい視点を持つことができるんです。

それに、筆者はこれから「アートマーケットは拡大する」と言います。

様々な技術発展によって、新しいアートも登場しています。最近だとNFTと呼ばれる仮想通貨の技術を使ったアートが話題になっています。

技術発展というと、AIや自動運転などで仕事がなくなるというマイナスの面が強調されますが、実際には人間に余暇を与えてくれることにもなります。

余暇が増えれば、何をするか?
僕は仕事をしながら週末はたっぷり休んで、本を読んだりギターを弾いたりしています。でも曾祖父さんの代にはいわゆる休みなんてなかったでしょう。
もし週休3日、4日となれば…僕も絵を書き出すかもしれませんね(笑)

夫

昔はアートといえば貴族が楽しむものでしたが、今の僕たちは中世の王族より良い暮らしをしています。これからもっとたくさんのアートが生まれ、文化的、資産的価値を増していくのも当然かも知れませんね。

アートは”よくわからない”から面白い

アートの文化的価値はなんとなく分かりますよね。
ルネサンスより前の絵画は神話の世界を多くの人に伝えるためのものが多くありました。アートのおかげで、文字が読めない人でも神話の世界観を知ることができたのです。
ルネサンスの後はレオナルド・ダ・ヴィンチが開発した写実的な技法が多く使われました。これには「記録」としての意味がありました。写真もない時代、絵画があるからこそ、貴族の肖像や街の景色などを知り、歴史として学ぶことができたのです。

夫

昔のアートは医学、科学的にも大切だったそうです。当時は画家が医学的な解剖図や機械の設計図を作ったりしていましたからね。

この頃、アートには実質的な価値がありました。
そして今、それらは僕たちに歴史や当時の価値観、社会感を伝えてくれる”文化的価値”を持っています。

当時の風景を知るには当時の絵画を観るしかないわけですから、資産的価値が大きいのも分かりますよね。

でも現代アートはどうでしょう?

古典絵画は資産的価値が大きすぎて、国などが保有しているので、僕たち個人が資産として所有したり、飾って楽しむものではありません。

アート投資といった場合、ほとんど現代アートを指します。

今や写真や動画があるので、記録としての価値はほとんどありません。一体何が現代アートの価値を裏付けているのでしょうか?

現代アートの価値は、見る人の頭の中にあります。

「一体何だこれは?」
「どういうことなんだ?」

そうした気づきを与えてくれることが、現代アートの価値です。

現代アートの始まりと呼ばれる作品がマルセル・デュシャンの「泉」という作品です。

最も影響を与えた20世紀アート作品と呼ばれるマルセル・デュシャンの「泉」

最も影響を与えた20世紀アート作品と呼ばれるマルセル・デュシャンの「泉」

デュシャンの「泉」はなんと便器にサインをしただけ。それだけなのにピカソの作品を超えて「最も影響を与えた20世紀アート作品」の第1位に選ばれています。

その理由は、デュシャンの「泉」がアートを”観るもの”から”考えるもの”に変えたからです。

その流れが現在まで続いている現代アートは「コンセプチュアル・アート」と呼ばれ、いかに新しいコンセプトであるかが価値になりました。

夫

金銀、宝石といった貴金属に価値がつくのは、それが希少だからです。キレイなものなら他にもたくさんありますからね。現代アートも同じで、”新しいコンセプトである”ということは、他には存在しないということ。だから価値がつくんです。

筆者は現代アートの価値は「発明品であること」と「インパクトがあること」の2つだと言います。

アート投資の大前提となるこの2つの価値をもう少し詳しく紹介します。

現代アートの価値:発明品であること

発明品であるということは、美術史の中に存在しないものだということです。

夫

ものすごい技術で複製されたモナ・リザの絵は、そこそこの値段で売れるでしょうが、投資して価値が上がり続けることはないでしょう。最も希少価値のあるホンモノが別に存在していて、希少価値が小さいからです。

どこかで観たことがあるものではなく、これまで存在しなかった技法、制作方法、コンセプト、表現方法で作られたものは、他に代わるものがありません。
それがほしければ、それを買うしかない。だから価値が上がるのです。

ピカソはキュビズムという画法を確立させました。だから1枚何百億円とか、ものすごい値段がつくんです。

夫

アート投資の難しさは、何が発明品かを見極めるためには、美術史や現代アートについてそこそこ知識がないといけないからです。でもこれは株式投資でも同じですよね。何万社もある世界中の上場企業から、調べて、調べて「この会社は他と違う!」というものを見つけないといけません。

現代アートの価値:インパクトがあること

もう一つの価値は「インパクト」です。その作品を観た時に、どれだけ多くの人に、社会に、大きな衝撃を与えるかです。
インパクトはただ見た目や作品の大きさということではなく、メッセージ性なども含みます。

例えば、最近日本でも展覧会があって話題のバンクシーは、決して大きな絵でもなければ、新しい技法でもありません。衝撃的なほど絵がうまいわけでもありません(そもそも絵ではない)。

でも世界中に影響を与えています。

その理由は、バンクシーの作品に込められたメッセージ、差別撤廃や戦争反対などが、多くの人、社会にインパクトを与えているからです。

夫

つまり、アートの価値を知るためには、今の社会のイデオロギー(価値観や思想)を知っている必要があります。だからアートが教養として語られるんですね。アートの価値を知るためには、作品そのものだけでなく、歴史や社会のことに目を向けないといけません。そう考えると、アート投資を行うというのは、ものすごくハイレベルな教養なんだと思います。

買ってはいけないアート

アートの価値がなんとなくイメージできたところで、アートの”資産的価値”に目を向けてみましょう。

アートは現在、富裕層の間で株や債券、不動産などの資産ポートフォリオの一部として、当たり前に入れられるようになってきたそうです。
その理由は当然、正しい情報と知識があれば、高い投資効率が期待できるからです。富裕層は価値のないものを買いませんよね。

夫

それに株式や会社が倒産すれば紙くずですが、アートは見込み違いで値段がつかなくても、家に飾っておくことができますよね。そういう意味では土地などのように価値が決してゼロにはならない安定した投資なのかもしれません。

ということで、何を買えばいいのか、の前に何を買ってはいけないのかを見ていきましょう。

株式投資でもそうですが、正直、間違った投資先を選ばなければ、長期で持ち続ければだいたいリターンを生んでくれます。20年持ち続けているのに、配当を含めてもマイナスになっている銘柄なんて、探すほうが大変なくらいです。

でも株でもIPO銘柄のように利益を出していないのに高値になっている銘柄や、仮想通貨のようにまだ仕組みがしっかりできていないものに投資すると、長期で持っていてもマイナスになることはありますよね。

夫

アートも同じ。買ってはいけないアートさえ買わなければ、大損することも少ないですし、長期で持てば資産価値が上がることも期待できます。そうでなくても、家に飾って楽しむことができます。

筆者は「価値の上がる仕組みのないところでアートを買うな」と言います。

この言葉をちゃんと理解するためには、アートマーケットの仕組みを知る必要があります。

アートマーケットとは、ざっくりいうと、アーティストが作品を創り、ギャラリーなどで売られ、コレクター(投資家)の手に渡り、オークションハウスなどで出回っていく、という一連の流れです。

その中に値段の上がる仕組みがあるかが重要です。1枚の絵画に数百億円の価格がつくこともあるので、アートの価格はよくわからないと感じてしまいますが、実際には他の商品と同じく、需要と供給のバランスで決まります。
多くの人が欲しがれば価格は上がり、欲しがる人が少なければ価格は下がります。

なのでその作品、アーティスト、取り扱っているギャラリーに「欲しがる人を集める仕組みがあるか?」「欲しがる人を集めた実績があるか?」は必ず確認しておかないといけません。

夫

価格の上がらないマーケットの絵画を買ってしまうと、結局、アーティストもお金が入らず才能を開花させることができないので、ここはシビアに観ることが大切なのだそう。

本書には書かれていませんが、最近話題のNFTはまさに新しい「価値が上がる仕組み」だと思います。本書では基本的に価値が上がる仕組みを持ったギャラリーから購入することをおすすめしていますが、数年後にはNFTとかも候補になるのかもしれませんね。

アート投資の鉄則

それではいよいよ、どういうふうにアートを買えば良いのか、その基準を見ていきましょう。

夫

株式投資で言うと「配当利回りはこれくらいが良い」とか「過去10年間のキャッシュフローを見て〜」とか「インデックスファンドにドルコスト平均法で〜」とか、そういう投資の鉄則がありますよね。アートにもそういう鉄則があります。本書で紹介されているアート投資の鉄則を簡単にみてみましょう!

本書では7つの鉄則が紹介されていますが、ここでは僕が重要だと思った4つを紹介します。

アート投資の鉄則1 様々なアーティストの作品を買う

好きなアーティストを応援したい気持ちで購入するのも良いかもしれませんが、投資という観点では様々なアーティストの作品に分散したほうが投資効率がよくなります。

夫

これも株式投資と同じですね。いくら良い企業だからといって集中投資はリスクが上がります。

もちろんそのアーティストの作品が大きく上がれば、資産価値が大きく上がりますが、残念なことに目が出ず終わってしまうアーティストが大半です。
自分の投資眼を養うためにも、色々なアーティストに分散投資しましょう。

アート投資の鉄則2 複数のギャラリーで買う

ギャラリーはコレクターとアーティストをつなげてくれる大切な場所。ギャラリーのお得意さんになることで表に出ていない作品を紹介してくれたりと、良いこともたくさんあるでしょう。

でも、ギャラリーはギャラリーのセンスでアーティストを選んでいます。ギャラリーの規模にもよりますが、だいたい1つのギャラリーに多くて20人ほどのアーティストが所属しているそうです。その中で1割ほど(1,2人)が売れっ子になればギャラリーとして大成功。なので、色々なアーティストに分散投資するなら、ギャラリーも分散させたほうが良いということです。

アート投資の鉄則3 超絶技巧に注意する

アート投資初心者だと、写実的だったり超絶技巧を駆使された作品が”すごい!”と思ってしまいます。
確かにすごいことは間違いないのですが、現代アートの価値は「発明品であること」と「インパクトがあること」でしたよね。現代アートが始まる前は超絶技巧が高く評価されましたが、今は違います。

筆者は

かなりの努力と長い経験に培われた作品でも、コンセプトの持つ共感力、独創性、ユニークさなどがなければ、アートではなく単なる工芸品に過ぎません。
現代アートはあくまでもコンセプト重視であり、その部分が欠けているとすれば、技巧的に優れた作品であっても買う前に躊躇したほうがよいでしょう。

とかなり厳しい意見。

夫

作品は”技術”ではなく”コンセプト”で見る。現代アートに投資するならぜひ覚えておきたい鉄則ですね。

アート投資の鉄則4 代表作を買う

ギャラリーで展示されている作品やアーティストのWebサイトなどでメインビジュアルとなっている作品が気に入ったら、多少価格が高くても買ったほうが良いと言います。
メインビジュアルの作品とは、アーティストとギャラリーの両方が「これが一番いい!」と思う自信作なので、そのアーティストの作品の価値が上がり始めたら、最初にその作品から上がっていく可能性が高いのです。

でもそうした作品はすぐに売り切れています。ギャラリーでアーティストのイベントがあれば、初日に行きましょう。初日ならメインビジュアルの作品がまだ残っている可能性も高いですし、アーティスト本人と出会える可能性も高いそうです。

長期投資のポートフォリオにアートを!

ということで今回は「教養としてのアート 投資としてのアート~ビジネスパーソンが身につけたい基礎教養~」という本を紹介しました。

夫

アート投資の上辺をさらっと紹介しただけですが、僕自身、アート投資に興味が湧いてきました。今すぐ投資するわけではないですが、しばらく勉強して、納得できる作品と出会えたらポートフォリオの5%程度でアートを持つのも良いかもしれません。

最後に、アート投資は”長期投資”であるということを簡単に紹介して終わろうと思います。

筆者は、アート作品を買ってから最低5〜10年は持つ覚悟をするよう言っています。
株式投資であれば数日、数時間の取引でも利益を出すことができますが、アート投資はそうではありません。
そもそも株式のように毎日全世界で取引されるものではなく、ギャラリーやオークションハウスでしか取引されません。自分が買った作品が、より多くの人に評価されたり、アーティストが新しいアートを生み出すには、当然ですが時間がかかります。

ですが長期的な視点にたてば、株式よりも運用益が大きくなるといいます。

10年、15年後の将来を予想しながら、アートを買うこと。
それは自分自身の将来に投影することでもあります。これからの美術の歴史の一部となりうる作家を見極め、その中でもっともよい作品を買って長年待つことです。それがアートのマーケットをつくる一助となり、さらにはアーティストの支援にもつながるのです。

じっくり腰を据えてよいアートを買いましょう。

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