美術館デートがもっとたのしめる「西洋絵画の教科書」

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こんにちは。妻です。

わたしたち夫婦、デートはだいたい本屋さんに行くか美術館に行くかの2択。美術館は特に西洋絵画がだいすきで、近所で展覧会があれば必ず足を運ぶようにしています。

そんな西洋絵画だいすきな我々夫婦がも〜っとたのしめるよう、今日は『理由がわかればもっと面白い! 西洋絵画の教科書』という本で勉強していきたいと思います。

そもそも西洋とは、ヨーロッパおよびアメリカのことを指します。そのため、ヨーロッパおよびアメリカで描かれた絵のことを西洋絵画と呼んでいます。

代表的な作品はこちら。

ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)

牛乳を注ぐ女(フェルメール)

ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会(ルノワール)

これらの絵画を実際に見ると、大きさに圧倒されたり写真のような絵で感動したりと、見ているだけで面白い部分がたくさんあります。

しかし、それぞれの絵の背景や時代ごとの特徴などを知ることで、絵の見え方が変わり、さらに面白くなります。

ということで、本記事では西洋絵画の基礎知識をおさえていきたいと思います。これをざっくり知っているか知らないかで西洋絵画の面白さが変わるはずです…!

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西洋絵画の流れ

西洋絵画は時代の影響を大きく受け、描かれた時代によって特徴があります。
時系列をざっくりまとめると、以下になります。

古代 → 中世 → ルネサンス → バロック → ロココ → 新古典主義 → ロマン主義 → 写実主義 → 印象派

ということで、これらの時代ごとにどんな絵が描かれたのか、ざっくりと見ていきましょう!

古代(紀元前)

西洋美術の規範となる古代ギリシア・ローマ美術。

西洋美術のスタートとして最も重要なのは「ギリシア・ローマ美術」だ。紀元前のギリシア美術と、ギリシア美術を吸収したローマ美術で、のちに「古典」と呼ばれ、長い間、規範とされ続けた。
作品は主に彫刻で、八頭身などの人体比率やポーズなど、現在まで続く美意識や美の概念がつくられた。

《代表的な作品》

  • ミロのヴィーナス
  • ディオニュソスの秘儀(ポンペイ壁画)

中世(〜14世紀)

キリスト教に基づく概念的で単純化された絵画。

中世ヨーロッパはキリスト郷社会で、美術もキリスト教とともにある。キリスト教ではキリストの神性を強調し、現世を否定したため、現実世界を表現しようとする写実性はすたれ、観念的な表現となった。

《代表的な作品》

  • テオドラと従者たち(ビザンチン・モザイク)
  • 栄光のキリスト(教会の壁画)

イタリア・ルネサンス(15〜16世紀)

人間の「美」を復活させて追求。聖書以外の主題もOKに。

遠近法や明暗法が確立し、二次元的だった絵画に立体感が生まれた画期的な時代。聖書や神話を主題に、いきいきとした「理想の人間像」が描かれる。

《代表的な作品》

  • ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)
  • モナ・リザ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

北方ルネサンス(15〜16世紀)

オランダ、ベルギー、ドイツで花開いた精密な油彩画。

油彩を誕生させた。そのおかげで細かな描写ができるようになり、極めて写実的な宗教画、肖像画が描かれた。

《代表的な作品》

  • アルノルフィーニ夫妻の肖像(ヤン・ファン・エイク)
  • 快楽の園(ボス)

バロック(16世紀後半〜17世紀)

宗教革命の影響で布教用の作品が多く誕生。強烈な光と影・大胆な構図でドラマチックに表現。

強烈なコントラストで浮かび上がるイエスなど、見る人の感情に訴える過剰な演出。フランスやオランダでは、静謐な風景画や静物画が登場した。

《代表的な作品》

  • 聖マタイの召命(カラヴァッジョ)
  • 牛乳を注ぐ女(フェルメール)

ロココ(18世紀)

貴族たちの享楽的な暮らしや恋愛模様を繊細優美に描く。

フランス貴族たちが好んだ、軽妙酒脱な宮廷美術。恋愛が描かれるようになり、奔放で官能的な主題が多い。

《代表的な作品》

  • ソファに横たわる裸婦(ブーシェ)
  • ぶらんこ(フラゴナール)

新古典主義(19世紀)

古代への憧れとロココへの反発。倫理的で力強い理想美を追求。

古代ギリシャ・ローマを理想とし、精緻なデッサンで歴史画や古典的テーマを写実的に描いた。フランスの皇帝となったナポレオンの発注で描かれた作品も多い。

《代表的な作品》

  • 皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョセフィーヌの戴冠式(ダヴィッド)
  • グランド・オダリスク(アングル)

ロマン主義(19世紀)

「美しい=芸術」ではない、事件や名シーンを情熱的に描く。

時事的な出来事や文学の場面などを、激しいタッチで描く。型にはまった古典的な美を否定し、個人の感情や想像力を重視。イギリスやドイツでは主観を投影した風景画が多く描かれた。

《代表的な作品》

  • メデューズ号の筏(ジェリコー )
  • 民衆を導く自由の女神(ドラクロワ)

写実主義(19世紀)

理想や空想ではなく、労働者の生活を見たままに描く。

大昔のことや想像上の出来事でなく、同じ時代の現実を見たままに描く。労働者などの社会的なテーマや、郷愁を誘う自然風景を取り上げた作品が多い。

《代表的な作品》

  • 画家のアトリエ(クールベ)
  • 落穂拾い(ミレー)

印象派(19世紀)

屋外で製作し、目で見たままの光の「印象」を色で表現。近代化する暮らしや風物を描く。

都市化したパリの風物を明るい色彩で描く。絵の具を混ぜず、目に映った印象を再現する新たな手法を生み出した。

《代表的な作品》

  • バレエのレッスン(ドガ)
  • ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会(ルノワール)

後期印象派(19世紀末〜20世紀初頭)

見たままは描かず、感情や概念を自由に表現。

印象派の次の画家たちは、独自の表現を追求。細かな点で絵を構成する、自己の内面を表現する、構図を重視するなど傾向はさまざま。

《代表的な作品》

  • ひまわり(ゴッホ)
  • 我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか(ゴーギャン)

象徴主義(19世紀末〜20世紀初頭)

機械化・電化など文明の進歩に反発。魂の神秘や文学的な世界を表現。

印象派と同時代、目に見えるものを描く印象派とは対照的に、見えない世界を表現しようとした、不安や苦悩、夢や幻想の世界など、形のないものをビジュアル化、神秘的に描いた。

《代表的な作品》

  • 叫び (ムンク)
  • 接吻(クリムト)

20世紀絵画(20世紀)

決められた形、色からの解放。常識にとらわれない個性の時代に。

20世紀を迎えると、多種多様な芸術が誕生する。代表的なのは、色の革命を起こしたフォーヴィズム、形の革命を起こしたキュビズム。さらに、形や色だけで表現する抽象主義、無意識の世界を描こうとするシュルレアリスムなどがおこる。

《代表的な作品》

  • アヴィニョンの娘たち(ピカソ)
  • 赤の調和、赤い室内(マティス)

時代とともに絵の見た目だけでなく、作品のテーマが変わっていて面白いですね…!興味がある時代の作品があればぜひ調べてみてください。

西洋絵画の画材

西洋絵画では、布(カンヴァス)に描く油彩画が一般的ですが、初めから油彩画だったわけではありません。画家たちは思うままに表現するため、画材にも工夫を凝らし、発展させてきました。

ここでは代表的な画材3つを見ていきます!作品横に飾られている詳細情報で目にすることが多いものばかりです。

フレスコ

中世初期のくだいた色大理石などを埋め込んで描くモザイク画に代わり、中世からルネサンス期の壁画や天井画には、フレスコが用いられた。フレスコはイタリア語で「新鮮な」という意味で、壁面がフレッシュなうちに描き上げる必要があった。塗った漆喰が乾かないうちに、水で溶いた顔料で描く。乾くと、顔料が定着する仕組みだ。7〜8時間で描き終えること、乾いて固まったらやり直しがきかないことなどから、高度な技術が必要だった。

材料:水 + 顔料
長所:耐久性に優れる
短所:短時間で仕上げる必要がある、やり直しがきかない

《作品例》

  • 貢の銭(マザッチョ)
  • 最後の審判(ミケランジェロ)

テンペラ

中世からルネサンス期、壁画以外ではテンペラという技法が使われた。顔料に接着剤となる卵黄を混ぜて、おもに板を描いた。発色がよいのが特徴。速乾性があるため、絵の具をつくるとすぐに塗らなければならなかったが、多少の塗り直しは可能。だが、時間がたつと接着力が落ちたり、板がそったりするため、顔料がはがれてしまうこともあった。

材料:卵黄 + 顔料
長所:発色が良い
短所:接着力が弱くはがれやすい

《作品例》

  • ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)
  • キリストの苔打ち(ピエロ・デッラ・フランチェスカ)

油彩

15世紀の初め、フランドル地方で誕生したのが油彩で、顔料に植物油を混ぜて練った絵の具を、油で溶きながら使用した。ゆっくり乾くため、塗り直しや修正もしやすい。より繊細な表現も可能になり、絵画の発展に大きく寄与した。19世紀にはチューブ入りの絵の具が登場。それまでは画家が調合していたのが製品として購入できるようになった。

材料:油 + 顔料
長所:塗り直しや重ね塗りができる、耐久性がよい
短所:特になし

《作品例》

  • モナ・リザ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
  • アルノルフィーニ夫妻の肖像(ヤン・ファン・エイク)

『チューブ入り絵の具が登場 → 持ち運びが行えるため屋外でも制作可 → 印象派が誕生』という形で、画材の発展=絵画の発展になっているんですね…!

西洋絵画の主題(テーマ)

絵画に描かれている内容を主題(テーマ)といいます。

以前はジャンルに順位付けがされており、重厚な歴史を描いた「読み解く絵画」が最高位、静物画など「親しみのある主題や感覚的な喜びを追求するような絵」は低位とされていました。
しかし、印象派が近代化により、風景や人物を描き鑑賞することを”楽しむ”ものにすることで、ジャンルのヒエラルキーから解放されました。

ということで、ここからは順位が高いテーマから紹介していきます!

歴史(物語)画

歴史上の人物や英雄的な行為、神話、宗教などの世界を描いたもの。

歴史画が最高位なのは、複数の人間たちがおりなす高貴な行いを再現し、知的で精神的に富む物語を展開しているから。

《作品例》

  • 神話:ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)
  • 聖書:最後の審判(ミケランジェロ)
  • 歴史:皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョセフィーヌの戴冠式(ダヴィッド)

肖像画

特定の個人を描いたもの。

《作品例》

  • モナ・リザ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
  • 扇を持ったルニア・チェホフスカの肖像(アメデオ・モディリアーニ)

風俗画

市井の人々の日常を描いたもの。

《作品例》

  • 牛乳を注ぐ女(フェルメール)
  • 落穂拾い(ミレー)

風景画

風景を描いたもの。

風景のみを描いた作品が認められるには時間がかかり、アカデミーでは最初に歴史風景画というジャンルが生まれ、風景画の基盤を築いた。

《作品例》

  • 雨、蒸気、速度ーグレート・ウェスタン鉄道(ターナー)
  • モルトフォンテーヌの思い出(ジャン=バティスト・カミーユ・コロー)

静物画

事物を描いたもの。

アカデミーでは最も下位のランクだった。ロココ、印象派以降によく描かれた。

《作品例》

  • パイプと水差し(ジャン=バティスト・シメオン・シャルダン)
  • りんごとオレンジのある静物(セザンヌ)

昔は貴族など富裕層がたのしむものとされていた絵画。それが誰でもたのしめるようになったのは印象派のおかげだったなんて…知りませんでした…!

名画が揃う主な美術館

ここでは名画をたっぷり鑑賞できる美術館を紹介。

どの美術館もホームページが充実しているので、直接訪れなくても家の中で鑑賞ができます!

ルーブル美術館(フランス・パリ)

Louvre Museum Official Website
Welcome to the Louvre – prepare your visit, explore the palace and museum collections and check out the latest news

フランスの国立美術館で、名画の宝庫。38万点以上の作品を所蔵している。ホームページも充実しており、多くの名画を拡大するなどして楽しめる。

オルセー美術館(フランス・パリ)

Musée d'Orsay
Musée pluridisciplinaire exposant la plus riche collection de tableaux impressionnistes et post impressionnistes au monde dans l'ancienne gare d'Orsay à Paris.

二月革命のあった1848年から第一次世界大戦の起きた1914年までの作品を展示する。19世紀の作品を収集する美術館で、印象派の名画が揃うことで知られる。

ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)

Gli Uffizi
I grandi maestri della pittura, Giotto, Botticelli, Leonardo, Raffaello, Michelangelo, Tiziano, Caravaggio, esposti in uno dei maggiori musei al mondo.

フィレンツェを発展させたメディチ家のコレクションを集めた、ルネサンス期の傑作が揃う美術館。世界遺産でもある建築や天井画など見どころたっぷり。

プラド美術館(スペイン・マドリード)

Museo Nacional del Prado
Página web oficial del Museo Nacional del Prado (Madrid, España)

歴代のスペイン国宝のコレクションを展示する国立美術館。鮮やかな画像と解説が充実したホームページも楽しい。

ニューヨーク近代美術館(アメリカ・ニューヨーク)

Just a moment...

約20万点を所蔵している「ザ・モダン」と呼ばれるモダンアート(近代絵画)の宝庫。頭文字をとって「MoMA」とも呼ぶ。

我が家の西洋絵画

ということで、『理由がわかればもっと面白い! 西洋絵画の教科書』より、西洋絵画の基礎知識と名画が揃う主な美術館を紹介させていただきました。

他にも本書には、ギリシア・ローマ神話・聖書の世界について取り上げられていたり、印象派の画家たちがピックアップされている項目があったり、知っておきたい名画が紹介されています。

これらの項目は本書に載っているイラストや絵を見ながら見たいときに見るのが一番良いと思うので、気になった方はぜひ手に取ってみてください。

西洋絵画は技術や様式だけでなく時代背景を知っていると、さらにたのしむことができます。
そして、その絵が何を伝えたいのかを考えてみると、もっとたのしむことができます。

一つの作品に込められた意味がわかればわかるほど、絵画の魅力に惹かれていきますね…!

最後に、我が家にある西洋絵画たちを紹介して終わりたいと思います。

音楽家たち(カラヴァッジョ)1597年

とある館に迎え入れられたカラヴァッジョが、そこにいた音楽や演劇の集いを開く若者たちをモデルとして描いたとされている作品。

音楽×キューピット(愛)の描写がステキ…!夫のお気に入りです。

マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)(マリー・ドニーズ・ヴィレール)1801年

女性画家を描いた作品。

わたし妻のお気に入りで、写真のような美しさに心惹かれました。

散歩(モネ)1875年

幸福に満ちた生活を送っていたモネ一家の日常場面の一場面をとらえた作品。

晴れ渡った空と草原、そして自然と一体化している人物の描写がすごくすきで、わたしたち夫婦のお気に入り。

イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(ルノワール)1880年

裕福な銀行員ダンヴェール家の当時8歳の長女をモデルに描いた作品。

もうとにかくかわいい…!夫のお気に入りです。

記憶の固執(ダリ)1931年

人間の理性を否定し、無意識の世界を解放する芸術「シュルレアリスム(超現実主義)」の代表作。

謎の物体と溶けた懐中時計が特徴的。夫のお気に入り。

気に入った作品は我々夫婦のように、ミュージアムショップで図録やポストカード・複製品などで購入し、見返したり飾ったりすると、より一層たのしむことができるのでオススメです。

ではまた。

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この記事を書いた人

インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。

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