こんにちは。夫です。
今回は前回の記事「複利の力は資産形成に留まらない!?【複利で伸びる1つの習慣】」の後半ということで、良い習慣を取り入れ、良くない習慣を取り除く4つのステップを見ていきます。
ぜひ前半の記事もご覧ください。前半で紹介した「それぞれの行動は、なりたいタイプの人へ一票を投じるようなもの」という言葉を理解するだけでも、日々の習慣が少しずつ変わり始めるはずです。
後半では、良い習慣を取り入れ、悪い習慣を取り除く具体的な方法を見ていきます。前半の記事の最後で紹介した「4つのステップ」を踏まえてご覧ください。
ステップ1:「きっかけ」をはっきりさせる
習慣が始まる第一ステップは「きっかけ」でしたね。スマホが光る→通知内容が知りたいという欲求が生まれる→スマホを開く→内容が確認でき満たされる。このステップを繰り返すことで、スマホが光れば自動的に開くことが習慣になります。
逆に言えば、最初のきっかけさえ無くしてしまえば、その後の行動は生まれず、習慣にはならないということです。
良い習慣を取り入れる前にまずは今やっている習慣を意識的にしましょう。具体的にはあらゆる習慣をリストアップするということです。
朝起きてから家を出るまで、どんな行動をしていますか?
目を覚ます、目覚まし時計を止める、スマートフォンをチェックする、トイレへ行く、服を着替える、朝ご飯を作る、朝ご飯を食べる、コーヒーを淹れる、コーヒーを飲む、歯を磨く、仕事の準備をする、、、などです。
新しい習慣を効果的に身につけるには、まず現在の習慣を把握する必要がある。これは思ったより困難かもしれない。というのも、いったん習慣が生活に根付いたら、それは大抵無意識で自動的なものだからだ。何も考えずに習慣を行っていては、改善できないだろう。心理学者のカール・ユングはこう語っている。「無意識を意識しない限り、それはあなたの人生を支配し、あなたはそれを運命と呼ぶだろう」
引用:複利で伸びる1つの習慣
朝起きてから会社に行くまでの行動って確かに意識しませんよね。何をしていたのか記憶にも残っていませんが、気がつけば会社に行く時間になっています。ここを意識しないと、朝の新しい習慣を取り入れることはできません。
日々の無意識の習慣を意識することができたら、良い習慣と悪い習慣、どちらでもない習慣、のように分類します。目覚まし時計がなった後、いつも二度寝してしまうなら、それをリストに書いて「悪い習慣」と意識することです。毎朝本を読むことが良い習慣なら「良い習慣」と意識するんです。
そして、良い習慣、新しく取り入れたい習慣に対して次の文章を完成させましょう。
例えば、「私は朝ご飯を食べた後、キッチンでコーヒーを淹れる」などです。もし朝ご飯の洗い物を夜に残したくないなら「私は朝ご飯を食べた後、シンクに運び、洗う」という文章を作ります。
これは「実行意図」と呼ばれるもので、こうした文章を作るだけで行動するきっかけになるそうです。メモ帳に健康診断の日程を書くだけで、忘れずに健康診断に行けるようなもので、具体的にすること自体がきっかけになるんです。
また、新しい習慣を取り入れる時は、既存の習慣の次に行うことも効果的です。
毎朝コーヒーを淹れる習慣があり、毎朝少しでも読書する習慣を取り入れたいなら「コーヒーを入れたら、本を開く」のような形です。すでに無意識で行っている習慣を、新しい習慣の「きっかけ」にしてしまうんです。
料理の後、コンロが油まみれになって、気づけばこびりついて週末に頑張って綺麗にする…みたいなことがよくあります。毎回料理のたびに軽くふけばこびりつかないので、「料理を盛り付けた後、コンロを拭く」という風に習慣化したいですね。
既存の習慣の続きで難しい習慣の場合、きっかけをできるだけ仕組み化しましょう。
家庭のエネルギー消費量を調べた調査によると、同じエリアでも電気の使用料金が安い家にはある特徴があったそうです。電気料金も同じですし、家の大きさもほとんど同じです。でも、あるものが違えば、その家の電気代が安かったんです。
それは電気メーターの位置です。電気メーターが見える場所にある家は、見えない場所にある家に比べて有意に使用量が少なかったんです。
電気メーターを見ることが、節電のきっかけになります。つまり、電気メーターが見える場所にある家は、電気メーターを見るというきっかけがより頻繁に起こるので、節電できたというわけです。
このことから分かる通り、きっかけが発生する仕組みを作ることが習慣を作る重要なポイントになります。
ギターを練習したいなら、ギターをケースにしまうのではなく、すぐ手に取れる位置に置きましょう。ギターが目に入る、手に取れる場所にあるということ自体が、ギターを弾くという行動のきっかけになります。
読書を習慣にしたいなら、手を伸ばせば届く位置に本を置いておきましょう。
悪い習慣を取り除きたい時は、逆をすればよいだけです。お酒を控えたいなら、見える場所にお酒を飾っておくのはやめて、収納ボックスの奥深くにしまっておきましょう。スマートフォンを見る頻度を減らしたいなら、スマートフォンは机の上ではなく、マナーモードにしてカバンの中にしまっておきましょう。
これはすごく効果がありそうですね。悪い習慣をやめよう、良い習慣をやろう、と考えるのではなく、きっかけの量を減らす、増やすという形で習慣をコントロールするんです。結構簡単ですよね。
習慣を断つことはできるが、忘れることはできない。いったん習慣の精神的な溝が脳内に刻み込まれたら、すっかり取り除くことはほぼ不可能である。
<中略>
ネガティブな環境でポジティブな習慣をずっと続けている人を、わたしは見たことがない。
それより確実なのは、悪い習慣を元から断つことだ。悪い習慣をやめる実際的な方法は、習慣を引き起こすきっかけを避けることである。
引用:複利で伸びる1つの習慣
この方法のいいところは、意志力を必要としないことです。頑張って誘惑に打ち勝とうとするのではなく、そもそも誘惑が生まれないようにきっかけを取り除く。悪い習慣のきっかけを気づきづらい場所に、良い週間のきっかけをいつでも見える場所に、そういう風に仕組みを変えるだけで良いんです。
ステップ2:「欲求」を魅力的にする
習慣が生まれるステップの2つ目は「欲求」です。「スマートフォンがなる」というきっかけに対し、「内容を確認したい」という欲求が生まれ、行動に繋がります。
ステップ1の「きっかけ」では、良い習慣につながるきっかけをはっきりさせ、逆に悪い習慣のきっかけを見えなくすることが大切でしたね。欲求も同じです。取り入れたい良い習慣にもっと欲求を感じるように魅力的にして、取り除きたい悪い習慣の魅力を下げればいいんです。
本書では、人間の欲求の仕組みについて詳しく触れられています。例えば、欲求を感じる脳内物質ドーパミンは、喜びを経験する時だけでなく、喜びを予測する時にも放出される。人間にはいくつかの根源的欲求が存在する、などです。欲求の正体を詳しく知ることでコントロールしやすくなりますが、ここでは省きます。気になる方はぜひ本書を手に取ってみてください。
取り入れたい良い習慣を魅力的にする場合、誘惑の抱き合わせが効果的です。
例えば、運動したいと考えていて、映画を見るのが好きだとします。「運動する」が取り入れたい習慣で、「映画を見る」は自分が行いたい魅力的な習慣です。この場合、ランニングマシンにディスプレイをつけて、ランニングしながら映画を見る、という方法が考えられます。この場合、「運動する」という取り入れたいが魅力的ではない習慣と、「映画を見る」という魅力的な習慣とセットになるので、運動にも魅力を感じやすくなります。
これもすでにある習慣と組み合わせるとより効果的なので、次のような方程式で考えてみましょう。
- <現在の習慣>をしたら、<必要な習慣>をする
- <必要な習慣>をしたら、<したい習慣>をする
毎朝コーヒーを飲むことがすでに習慣化されていて、スマートフォンでSNSをチェックすることが好き。そして、毎朝の読書を習慣化したいなら、
- <コーヒーを飲む>をしたら、<少しだけ読書>をする
- <少しだけ読書>をしたら、<SNSチェック>をする
なるほど。すでにある習慣と、自分がやりたい魅力的な習慣の間に、取り入れたい習慣を淹れるんですね。確かにこれならできそうな気がします。
他にも、取り入れたい習慣を「誰かの真似をする」という認識で取り入れることも効果的です。人は多数派と同じ行動がしたい、憧れの人と同じ行動を取りたいという欲求があります。憧れの人と同じ行動をすることは、それ自体が魅力的なんです。
例えば、野球少年が「毎朝素振りをする」という習慣を取り入れたいなら、「イチロー選手は毎日素振りをしているらしいから、真似をする」と考えるんです。毎朝読書をしたいなら、「ウォーレンバフェットは毎朝本を読んでいるらしいからその真似をする」と考える。これだけで魅力的になります。
より強力な方法としては、すでにその習慣が当たり前になっているグループに所属することです。毎朝本を読むことが当たり前になっている人に囲まれていたら、自然と毎朝本を読むようになるということです。これは社会的動物である人間の本能によるものなので、自然とそうなります。
他にも魅力的にする方法はいろいろあります。例えば、「運動する」ではなく「強くなる」と言い換えてみると、魅力的になりますよね。「ダイエットする」ではなく「美しくなる」。「本を読む」ではなく「人間としてレベルアップする」などいろいろな言葉を使ってみましょう。その行動自体に魅力を感じることができたら、自然と行動します。
悪い習慣を取り除きたい場合は、逆をしましょう。悪い習慣の魅力を下げるにはどうすればいいでしょう?
つい無意識にコンビニに寄ってしまう場合、コンビニに寄らないという選択肢を魅力的にしましょう。コンビニによってスイーツを買ってしまうなら、家にスイーツを用意しておいて、コンビニに寄らなかった場合に家に帰ってからスイーツを食べるようにするなどです。
これを繰り返してコンビニに寄るという習慣がなくなったら、家にスイーツがなくてもコンビニに寄り道せず家に帰れるはずです。
取り除きたい習慣を我慢するのではなく、その習慣をやらなかった場合を魅力的にするのはいいですね。確かに、やめたい習慣をやめる時に「この習慣をやめよう」と考えるより、その習慣をやらなかった時にだけ特別なご褒美を用意したほうが、ストレスなくやめれそうです。
ステップ3:「反応」の難易度を下げる
習慣の次のステップは「反応」です。反応とはまさに実際に習慣として行う行動です。帰り道にドーナッツの香りが漂ってきて(きっかけ)、ドーナッツを食べたいと思い(欲求)、ドーナッツ屋に立ち寄って買ってしまう(反応)。
前半の記事からここまで読んでいただいたら想像できるかもしれませんが、良い習慣を取り入れるための方法、それはカンタンに反応(行動)できるようにすることです。
ある行動が習慣になるか否かは、行動の難易度や量、時間はあまり重要ではありません。読書を習慣にしたいなら、日曜日に5時間読むより、毎日朝と夜に3分ずつ読んだほうが習慣になるということです。日曜日に5時間読んだほうが、読む時間も量も多いですが、習慣にするには「頻度」のほうが重要なんです。
よく訊かれる質問に、「新しい習慣を身につけるのに、どのくらい時間がかかりますか」というものがある。でも、本当はこう尋ねるべきだ。「新しい習慣を身につけるのに、何回やったらいいですか」
<中略>
あなたが今持っている習慣は、何千回ではなくとも、何百回か繰り返して身についたものである。新しい習慣にも、同じくらいの頻度が必要だ。
引用:複利で伸びる1つの習慣
なので、取り入れたい良い習慣は、できるだけカンタンなものでいいので、できるだけ頻度を多くしましょう。読書を習慣化するなら、一度に数時間読むのではなく、本を開くことだけを習慣にする(ただし毎日、1日に数回そのきっかけを用意する)。運動を習慣化するのであれば、週に一度ジムに通うのではなく、毎日ヨガマットの上で1つの姿勢を取ることだけを習慣にする。ギターを弾くことを習慣にするなら、3時間練習する時間を作るのではなく、いつでも手に取れる場所において、1日に3回”触るだけ”を習慣にする、などです。
僕は実家にいた頃、毎日お風呂に入る前に軽く筋トレするのが習慣だったのですが、今ではやらなくなってしまいました。実家では筋トレグッズがすぐ使える状態だったのに対し、今では筋トレグッズを取り出すという余計なステップが入ってしまい、行動の難易度が上がってしまったからかもしれません。
本書では、どこまで反応をカンタンにするかについて「2分間ルール」をお勧めしています。これは1回の行動が2分以内に収まるようにするということです。
「30分ランニングする」ことを習慣化するのは大変ですが、「ランニングシューズを履く」ことを習慣化するのはカンタンですね。ランニングシューズを履いて、すぐに脱いでまたソファーに寝転ぶというのはなんだか勿体無いので、数分だけ歩いてみようという気になるかもしれません。
こうしてまずは2分以内にできることを習慣化することで、徐々に本当に取り入れたい習慣に仕上げていくんです。
「週に3冊本を読む」というのは大変ですが「寝る前に本を開く」はカンタンです。そして一度本を開いたら、ちょっとくらい読んでみようという気になるでしょう。
この方法を取り入れた方は、ダイエットのためにジムに通っていたらしいのですが、驚くことに「5分以上いないこと」をルールにしました。運動が嫌いでも5分だけジムにいるならカンタンですよね。で、そのうちジムに行くことが習慣化されたそうです。そしたら「たまにはちょっと運動でもしてみるか」「たまにはもう少し長居してみるか」と考えるようになり、気づけばダイエットに成功していたそうです。
悪い習慣を取り除く時は、逆をやるだけ。難しくすればいいんです。お酒を少し控えたいなら、お酒を鍵付きのロッカーに入れましょう。ビールのように冷やして飲むものなら、常温で保管しましょう。飲みたければ冷蔵庫に入れて数時間待つ必要があります。数時間待ってでも飲みたいなら、飲めばいいんです。習慣的に無意識にビールを飲むのではなく、ビールを冷蔵庫に入れ、数時間待って飲む、というのは意識的な行動だからです。
SNSをチェックする頻度を減らしたいなら、SNSを見終わった後にログアウトすることを習慣化してみたらどうでしょう。通知も来なくなりますし、SNSをチェックするたびにログインしないといけません。
仕事帰りにコンビニに寄ってしまう習慣をやめたいなら、職場のロッカーに職場用の財布を用意して、移動中は財布を持たないようにするというのもいいですね。財布がないのにコンビニに寄るなんて、難易度が高すぎます…笑
他にも、テクノロジーを使って習慣を断ち切ることもできます。例えば、タイマー付きのコンセントを用意して、夜10時以降は自動的に電源が切れるようにしておけば、夜中までゲームにふける心配はないかもしれません。
スマホの使いすぎを避けたいなら、画面が自動でロックされたり、パスワードを何度も求められたりするアプリを入れるといいかもしれません。
資産形成では「先取り貯金」が大事だと言われます。生活費の中から投資資金、貯金資金を用意するのではなく、給料が入った時に自動で投資、貯金されるようにしておく。これも貯金や投資を習慣化する仕組み化の一つですが、この方法なら”がんばって”投資資金を用意する必要がありません。
ステップ4:「報酬」を満足できるものにする
習慣化最後のステップは「報酬」です。スマホが光る(きっかけ)、通知内容が知りたくなる(欲求)、スマホを手に取る(反応)、そして通知内容を知って満足する(報酬)。この4ステップを繰り返すことで、気づけば習慣となり、スマホが光った瞬間、スマホを手に取るようになります。
もちろん、最後の報酬が魅力的でなければ習慣にはなりません。スマホを見るたび、興味のないアプリからの通知ばかりで何も満たされないなら、スマホが光っても手に取らなくなるでしょう。ただ問題は、良い習慣の多くは、すぐに満足できる報酬が得られないことです。
現代社会では、今日あなたがした選択がすぐに利益をもたらすことはない。よく働いたら、数週間後に給料をもらえるだろう。今日運動したら、たぶん来年も体重が増えずにすむだろう。今貯金したら、数十年後の退職に向けて十分な備えができるだろう。あなたは、科学者が「遅延報酬の環境」と呼ぶ世界に住んでいる。
引用:複利で伸びる1つの習慣
僕たち人間はこの「遅延報酬の環境」というのに合わせて進化してきたわけではありません。むしろ行動の結果がすぐに反映される「即時報酬の環境」で進化してきました。木の実を探しにいけば、狩りに出かければ、お腹が満たされる世界です。「即時報酬の環境」の世界で数十年も進化し、この数百年で急激に「遅延報酬の環境」に切り替わったのです。
そのため、人間の脳には「時間割引」と呼ばれる傾向があります。これは報酬の評価が時間と相反することを指した行動経済学の用語で、すぐにもらえる報酬のほうが、将来もらえるかもしれない報酬より価値が高く感じてしまうことを意味します。
運動したほうが数十年後の健康にとって良いことがわかっていても、今ソファで寝転びながらスナック菓子を食べることを選択してしまう。これは時間割引によって、将来得られる報酬よりも、今すぐ得られる報酬のほうに価値を感じてしまうからなんです。
そして都合の悪いことに、悪い習慣の多くはすぐに良い報酬が得られ、将来的に悪い報酬に繋がります。一方、良い習慣の多くはすぐには報酬が得られず、将来的に良い報酬に繋がります。
朝早起きして本を読んでも対して頭が良くなったと感じませんが(今すぐの報酬はほとんどない)、将来的には大きくスキルアップできます(将来の報酬が大きい)。
一方、二度寝すれば気持ちがいいですが(すぐにいい報酬が得られる)、将来的にはスキルが下がり、収入や人生の満足度が低下します(将来悪い収入を与える)。
つまり僕たちは脳の構造的に、良い習慣より悪い習慣のほうに価値を感じてしまうということです。
そこで、良い習慣の報酬はすぐに得られるように、悪い習慣はすぐに罰せられるように、仕組みを作りましょう。
貯金をしたいなら、貯金したことの結果がすぐに見えるようにするんです。もし車が欲しいなら「車貯金」という貯金箱を設置し、コンビニで余計なものを買わなかったたびに、コンビニで使っていたお金を入れるんです。ただ我慢するだけより、欲しいものを買うための資金が溜まっていくほうが喜びを感じやすくなります。
すると、コンビニで無駄遣いする習慣を辞めると同時に、貯金という良い習慣を取り入れることができます。
また人は何かが改善している、前に進んでいること自体に報酬を感じることもできます。そこで、良い習慣を行うたびにそれが目に見えるように記録をつけましょう。
本書で紹介されている事例では、電話営業の人が2つの瓶を用意し、1つにはクリップを満タンにしておく。電話をかける度、クリップを空の瓶に移す、ということを毎日していたそうです。自分の仕事の進捗を示す「クリップを移す」という行為そのものが報酬になるんです。同僚よりも多くの営業電話をかけることが習慣になった彼は会社に大きな利益を出し、別の会社に年収数千万円でヘッドハンティングされたそうです。
記録をつけるときのポイントは3つあります。
1つはできるだけ自動化すること。上の例のように「営業電話をかけたら机の上のクリップを空の瓶に移す」というのはほとんど無意識でできるくらいカンタンな行動です。
2つ目のポイントは、一番大事な習慣だけを一貫して記録することです。いくつもの習慣を時々記録するのではなく、1つの習慣に対して、記録すること自体が習慣になるくらい繰り返すんです。
3つ目のポイントは、習慣を行った後すぐに記録することです。あとでまとめて記録するのではなく、習慣と、週間の記録がワンセットで習慣になるようにしましょう。
習慣をマスターして複利で人生を伸ばそう
ということで今回は「複利で伸びる1つの習慣」を紹介しました。
いやあ、本当にいい本でした。僕にとっては間違いなく人生を好転させるきっかけを与えてくれた本です。簡単におさらいしておきましょう。
まず、全ての習慣はきっかけから生まれます。なので、
本を読みたいなら、本が目に入ることがきっかけになります。なので家中に本を見えるところに置いておきましょう。お酒を控えたいなら、お酒が目に入らないようにする。仕事帰りにコンビニで無駄遣いしてしまうなら、コンビニのない帰り道を通るんです。
きっかけの次に欲求がきます。なので、
良い習慣の後に自分が好きなことをセットにしましょう。SNSチェックが好きなら、読書の後にSNSチェックするようにするんです。すると、好きなSNSチェックが、読書習慣の欲求になります。
きっかけがあり、欲求を持ち、そして行動(反応)します。反応こそが実際に行う週間行動なので、ここをコントロールすることが肝になりそうです。
ギターを弾きたいと思っても、押入れの中から取り出し、ケースから出し、色々セッティングして…というのは行動が難しいですね。すぐに手に取れる場所に用意しておきましょう。お酒を控えたいなら、お酒を飲むという反応を難しくするんです。ビールは常に常温保管。飲みたい時だけ冷やすようにしましょう。
そして最後に報酬があります。反応した結果、いい報酬が得られたら次も同じ反応をしたいと思い、習慣になります。
晩ご飯の後に食器を洗うことを習慣にしたいなら、デザートは食器洗いの後に出しましょう。食器を洗うという習慣が、デザートを食べるという報酬と結びつきます。記録をつけて習慣を行うこと自体をモチベーションにすることも効果的です。
こうしてみると、鉄壁の4ステップという気がしますね。新しい習慣を取り入れるより、悪い習慣を取り除くときのほうがすぐに活用できそうです。
例えば、お酒を控えたい場合。
自分がお酒を飲みたくなるシーンを想定して、そのきっかけを省いていきます。目に入ると飲みたくなってしまうなら、目に入らないように隠してしまいましょう。そして行動の難易度も上げておきましょう。鍵のかかったケースに保存しておく。鍵はキッチンから遠く離れた、トイレの棚の一番奥に置いておくなどです。冷やして飲むお酒なら常温で置いておくのも良いですね。飲みたいと思って行動してから、飲むまでに数時間のタイムラグが生まれます。
それでも飲む場合は、欲求や報酬から魅力を取り除きましょう。個人的には、魅力を取り除くより、お酒を飲まなかった場合に魅力的な報酬を用意しておいたほうが良い気がします。
お酒を飲まなかった日だけ、映画を見ても良い。お酒を飲まなかった日だけ、デザートを食べても良い。お酒を飲まなかった日だけ、ゲームに課金しても良い。などです。
これだけやればお酒を我慢することなく、気づけばお酒が減る、つまり、お酒をあまり飲まない生活が習慣になっていそうですね。本書のすごいところは、決して我慢しないことです。我慢するのではなく、そもそも仕組みとして習慣を取り除く・取り入れる環境にフォーカスしています。
前半の記事で書いたように、毎日の習慣こそが自分自身であり、将来なりたい自分になれるかどうかを決定づけます。全ての行動は投票行動なんです。
毎日お酒を飲んでいるなら、毎日「自分はアルコール依存だ」と投票しているのと同じです。
一方、毎日読書するなら、毎日「自分は読書家だ」と投票しているのと同じで、毎日スキルアップのために何か行動しているなら、毎日「自分はスキルを高め価値ある人間になる」と投票しているのと同じ。
全ての行動が将来の自分への投票行動だと考えると、行動を見直してみたいと思いませんか?本書ではたくさんの価値ある言葉に出会えたので、ぜひ手に取ってみてください。
前半の記事はこちら↓
この記事を書いた人
- かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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