こんにちは。夫です。さて今回は、FIRE目指して資産形成中の夫婦の夫が紹介「FIRE-最強の早期リタイア術」のパート2ということで、具体的な投資方法について、書いていこうと思います。
といっても、あまり細かな数式や戦略、投資する銘柄名(主にETF)を紹介すると、間違えていたり、誤解させちゃったりしたときにマズイので、できる限り概要、大枠を伝えたいと思います。前回も言いましたが、人生を左右する大事なお金、もし実際に行動する、投資するなら、こんなブログ記事じゃなくて、ちゃんと本書を読んで、自分の中で消化して判断してくださいね。
まず簡単に前回の復習を。まだ読んでない方はぜひ読んでくださいね。
FIRE-最強の早期リタイア術:Part1
FIRE-最強の早期リタイア術:Part2
FIRE-最強の早期リタイア術:前回の復習
著者のクリスティー・シェンさんは、中国の農村部で、水を飲んでお腹を壊さなかったらラッキーという経済的には底辺で育ちました。そこからカナダに移住したり色々あって、年収1000万円のコンピューターエンジニアに。夫と資産形成について学び、31歳で100万ドルの資産を築きFIRE達成。経済的下位1%から上位1%へ、その半生とすべての技術を詰め込んだのが本書「FIRE-最強の早期リタイア術」です。
第1回の記事では、クリスティー・シェンさんがFIREに至れた重要なマインドセットと考えている「欠乏マインド」やFIREに至るための5つのマインドセットを紹介しました。
僕たち夫婦はFIREを目指して投資を始めたというわけでもないのですが、実際に始めてみるとFIREがどんどん具体的に見えてきて、今ではFIREまでの道筋を立てて、それに向けて資産形成を頑張っています。
本書の中で度々出てくる言葉に、「ちゃんと計算しましょう」というものがあります。
これを買ったほうがいいのか、買わないほうがいいのか、それともレンタルや中古などで代替すべきか。
日々の買い物で頭を悩ませることは多いと思います。自分の家計で適切な家賃はどれくらいなのか、アマゾンプライムは必要なのか、たまに飲むビールを発泡酒や酎ハイにしたほうがいいのかなどなど。
その答えはただひとつ、「ちゃんと計算しましょう」です。
本当の意味でかかるお金(購入金額だけでなく、所有コストやリセールバリュー)と、得られるリターン。それをちゃんと計算すれば、合理的な答えが出るはずです。
この間紹介した高橋ダンさんの「ウォールストリート流 自分を最大限運用する方法」でも似たような考えが出てきました。すべての行為は投資である。だから常に、資源とリターンと、リターンが得られるまでの時間、この3つの要素を考えないといけない、というものです。
僕が本書を読んで一番大切だと思ったのがこの「ちゃんと計算しましょう」です。思えば、日々の買い物も、行動、選択も、ちゃんと計算していないことが多いんですよね。
金銭的なコストを考えれば、外食より自炊のほうが良いでしょう。でも、長期的なリターンを含めれば外食で手早く済ませて、家事に必要な時間を自己投資に当てたほうがリターンが大きい可能性もあります。
普段、あまり深く考えず自炊したり、外食したりしていると思いますけど、そうした日々の行動をちゃんと計算すること。これがFIREを目指す上で一番大切になるのかもしれません。
それでは、FIREに至るための具体的な方法、投資の考え方を紹介していきます。最初は”金額”と”パーセンテージ”。実はこの考え方があれば、相手がお金持ちかどうかすぐ見抜くことができます…
中所得者と高所得者の思考の違い
クリスティー・シェンさんはある時、中所得者と高所得者の違いに気づいたそうです。ちょうど資産形成を始めるために銀行の窓口を訪れたりしていて、「銀行員は強盗だ」とまで言うくらいショックなことがあったので、その過程で色んな人を見たんでしょう(詳しくは本書の第8章「本物の銀行強盗」で)。
それは、中所得者は自分の富を”足す”ことばかり考えていて、高所得者は自分の富を”大きく”することを考えている、ということです。
どういうことかというと、中所得者は自分の給料や貯金を足すために、教育を受けたり転職したりしているのですが、高所得者は大きさにこだわるため、額ではなく割合で考えているのです。
- 転職して給料が5万円アップした!というのは中所得者
- 去年1年間で資産が5%増えた!というのが高所得者
ということです。
これは単に、元本の違いかもしれません。
1万円が5%増えても、500円しか増えていませんが、1億円が5%増えたら500万円になります。
でも実は、FIREを目指す、つまり経済的に自立するためには、高所得者の考え方、つまりパーセントで考えることが大切になってくるんです。
FIREでは、別にプロの投資家を目指すわけではありません。なので多くの場合、インデックスファンドへの積立投資を中心に行います。そして、インデックスファンドで重要になるのが、手数料です。
インデックスファンドには、購入手数料、売却手数料などに加え(最近はこれが無料のものもある)、運用管理手数料というものがあります。その運用管理手数料が、ものによって様々。
多くのインデックスファンドはだいたい0.数%程度なのですが、最近話題のファンドラップやロボアドバイザーは1%以上するものも色々あります。
この時、額で考える中所得者は、大きな落とし穴にハマることになります。
手数料っていっても、0.3%とかと1.5%とか、それくらいの差でしょ。100万円預けても1万円しか変わらないし、それでファンドラップみたいに色々やってくれるなら良いじゃん。
ではこれを見てください。これは楽天証券の積立シミュレーションを使ったのですが、毎月20万円を30年間、年利10%で運用した場合、約4億5千万円になります。すごいですね。年利10%とかなり攻めた場合ですが、3億8千万円が利益です。
では続いて、こちらは毎月20万円を30年間、ここまでは同じですが年利を11%にした場合です。こちらはなんと5億6千万円。約4億9千万円が利益です。
つまり、たった1%のリターンの差が、1億円以上になるんです。もし手数料1%の投資信託にお願いしていたら、1億円以上、証券会社に支払ったことになります。
これが、高所特者、お金持ちはパーセントで考える理由です。複利の力が働く投資においては、1%のリターンの違いが、10年20年と時間が経てば経つほど、莫大な差になっていくんです。
中田敦彦さんのYouTube大学で「借金・税金・手数料に気をつけろ」というメッセージがありました。これらはいずれもパーセントで変わるもの。小銭だと大したことありませんが、資産を大きくしたいなら甘く見ちゃいけませんね。
FIREに関わる3つの数字
本書を読んで一番知りたいことは「結局、どうやったらFIREできるの?」ってことだと思います。
本書では銘柄やアセットアロケーション(資産分配)、リバランスについても書かれていますが、それらについてはそれぞれの専門書がたくさんあります。それに、個人の価値観や状況によっても様々。
ちなみに、クリスティー・シェンさんは、できるだけ大きなインデックスファンドを国別で数種類と、債権を組み合わせています。個別銘柄はリスクが高いので投資しない。安全性重視で債権の割合はかなり高くされています。
僕は米国と全世界のインデックスファンド、それから個別株(できるだけ時価総額が大きく、長期で保有できるもの。配当があるもの中心)で運用しています。今のところ、債権は入れていません。もちろんいつか入れると思いますが、今は多少ボラティリティが大きくても資産を増やすこと優先です。
なので、実際の資産形成方法は、本書を読んでクリスティー・シェンさんのやり方を参考にするもよし、他にFIREされた方を参考にするもよし、もっとアグレッシブに、専業投資家やプロのトレーダーのやり方を参考にするもよしです。
ここで伝えたいのは、本書の重要なエッセンス、この図です。
横軸が「貯蓄率」、縦軸が「リタイアまでの年数」、各線は「投資リターン」を表しています。
貯蓄率が一番左側の5%だったら、投資リターンが10%のとき、40年でリタイアできる。投資リターンが4%なら75年くらいでリターンできる、ということです。
この表で注目してほしいのは、収入や貯蓄額が一切出てこないということです。FIREするまでの年数は、貯蓄率とリターンから割り出せるもので、年収が400万円だろうが2000万円だろうが、関係ないのです。
確かに年収1000万円でも貯蓄率0%だったらFIREどころかそもそも資産形成ができませんよね。貯蓄率5%だったら50万円の貯蓄額になりますが、年の生活費が950万円なのでFIREはかなり遠そうです。でも逆に、年収300万円でも貯蓄率20%、保守的に年6%程度で運用すれば、30年ちょっとでFIRE達成です。
つまり、あなたがFIREしたいなら、考えるべき数字は3つだけ、いつまでにFIREしたいのかという年数と、投資で目指すリターンと、貯蓄率です。
20年でFIREしたいなら、貯蓄率30%で10%で運用するか、貯蓄率50%で2%で運用するか、その間を目指していくことになります。
一番コントロールしやすいのは貯蓄率ですよね。
少し安い家に引っ越すとか趣味を1つやめるとか、自炊するとか、そうしたことで数%貯蓄率を上げることは簡単にできます。そうすれば、FIREまでの年数を10年以上縮めることもできるんです。
僕ら夫婦なら、現状貯蓄率が40%。8%程度を目指して運用しているので、20年以内にはFIREできそうです。
4%ルールを成功率100%にする
FIREを目指しているなら、キーとなる数字がもう一つあります。それが4%ルール。聞いたことがあると思います。トリニティ大学が出した経済理論と退職プランに関する論文で、
ポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年以上持続する可能性が95%になる
というもの。
1億円の資産があれば、年に400万円使っても、投資リターンがだいたい4〜8%くらいあるので元本が減らない、むしろ増えていくことのほうが多いということです。
従来のリタイアというと、退職してそれまでの貯金を切り崩していく、貯金が底を尽きるのが先か、寿命が尽きるのが先かのチキンレース。1億円あっても毎年400万円ずつ減っていけば、25年でゼロになります。
でもFIREでは資産運用しながら生活していくので、30年経っても95%の確率でお金の心配をしなくていいということです。
なのでFIREで目標金額を立てるときは、年間支出の25倍(つまり年間生活費が資産の4%)を目標にすることが多いですよね。僕も、妻だけFIREを考えたときは、今の生活費をざっくり半分にして、妻だけに必要な生活費を割り出し、そこから妻だけFIREの目標金額を出しました。そうすれば、妻はFIREしつつ、僕は働きながらゆっくり資産を増やしていくことができます。
でも気になるのは、95%というところ。そして、30年というところ。最近は30代でFIREを目指す人もいますけど、30年後は70代。まだまだあと数十年生きる可能性が高いですよね。95%成功するといっても、その中で多くの人はむしろ資産が増えているといっても、もし70歳になった時、悪い方の5%に自分がなっていたら、最悪ですよね。
そこから取り返すことなんてなかなかできません。最高のFIREライフから一転、老後破産まっしぐらです(30代で仕事を辞めていたら年金も少ないだろうし…)。
僕もFIREについて学んだ時、最初の疑問がこれでした。
成功確率95%とはいっても、人生を賭けるにはちょっとリスクが高い。大切な20代、30代をFIREのために費やして、70歳のときに全部を失っているというリスクは、1%でも耐え難い。
そういう人、多いと思います。
安心してください。本書では4%ルールの成功確率95%を、限りなく100%に近づける方法も紹介してくれています。
色々な方法が紹介されていますが、ここでは「現金クッション」と「利回りシールド」の2つをざっくり紹介。
投資の世界に絶対はないので、100%はありえません。極端な話、ウォール街とシリコンバレーに核爆弾が打ち込まれたら、なにに投資していても資産の大部分を失うでしょう。でも、自分の人生を左右するわけですから、可能な限り100%に近づける努力はしないといけませんね。
現金クッション
FIREする時、一番のリスクは、FIREしてすぐの頃に、リーマン・ショックのような株価の大暴落がやってくることです。そしてその間にも、生活費として、暴落した安値で資産を売却しないといけないことです。
トリニティ大学の研究でも、30年以内に資産が尽きた5%の人は、FIREした最初の数年の間に暴落を経験していました。
資産は売却したときに損失、利益が確定します。つまり、暴落が起こっても売却しなければただの含み損。証券口座の管理画面上の数字です。でも売却すると、損失は現実的なものになります。
そして、金融市場は何度も暴落をしてきましたが、数年で回復してきました。
クリスティー・シェンさんが調べたところ、過去の暴落もだいたい2年で回復してきました。世界恐慌のときには5年です。
つまり、FIREしたときに5年分の生活費が現金としてあれば、たとえ暴落に巻き込まれても、割安で資産を売却しなくて済みます。これが、「現金クッション」です。
とはいえ、FIREできる資産を作った後、さらに5年分の生活費を現金で貯めるとなると、FIREまでの年数がかなり伸びてしまいます。もう少し少なくできないものか…
そんな無茶な要望に答えてくれるのが「利回りシールド」です。
利回りシールド
利回りシールドとは、一時的に利回り(主に配当)が高い銘柄に資産を移すということです。高配当投資は個人投資家にとっても主流の投資手法ですが、最大の魅力はリーマン・ショックのような金融危機において、株価が下がっても配当は維持されることが多いということです。
実際、米国株には50年以上連続で増配している銘柄が何十個もあって、これらは過去にITバブル崩壊やリーマン・ショック、そしてコロナ不況においても配当を増やし続けてきました。
僕が投資しているプロクター・アンド・ギャンブルは65年間も連続増配しています。配当利回りが特別高いわけでもありませんが、すごいですね。
利回りシールドを使い、自分のポートフォリオの債権やETFの一部を、高配当銘柄や高配当ETFなどに切り替えることで、現金収入を得ることができます。
FIREして最初の数年、暴落が来たら非常にマズイ、という段階では、利回りシールドを活用して現金収入を得る。それによって、できるだけ資産を売却せずに生活していく、ということです。
なので、1億円の金融資産を持ってFIREした時、まず3000万円を利回り3%程度が期待できる利回りシールドに移動したとします。すると、その3000万円の利回りシールドから、90万円の配当収入が手に入ります。
先ほど、現金クッションで5年分の生活費を現金で用意するという話をしましたが、例えば年間生活費が400万円なら、必要な現金クッションは2000万円です。
でも利回りシールドから得られる配当収入が5年間で450万年あるので、現金クッションは1550万円で大丈夫になります。
このように、現金クッションと利回りシールドを活用することで、FIREの悪夢、達成後すぐに暴落に巻き込まれ、資産を失ってしまう5%になるリスクを限りなく小さくすることができます。
FIREは意外と奥が深い
今回は2回に分けて、「FIRE-最強の早期リタイア術」を紹介しました。いやあ、思ったより奥が深い。僕たちは夫婦でFIRE目指して資産形成中ですが、まだそんなに大きな資産があるわけでもありませんし、FIREするのもまだ何年も先。なので、資産の大半がリスク資産である株式です。
でも実際、いざFIREするとなったら一番の課題は「本当に大丈夫なのか?」です。
暴落が来たらどうするのか、思った利回りが得られなかったらどうするのか、病気になったら、、、
本書はFIREの火付け役ということもあって、そうした疑問の多くに回答してくれました。
ちなみに本書ではさらに、インフレにどのように対応するのか、子どもはどうするのか、FIREのデメリットは、などFIREするなら知っておいたほうがいいいろんな疑問について書かれています。
個人的に面白かったのが、「生活費を下げるために、年中旅行する」という考え方。意味不明に思えますが、実際、ちゃんと計算して、ちゃんと考えて旅行すれば、賃貸や持ち家で生活するより、生活費が安くなるんです。クリスティー・シェンさん夫婦は今も世界中を旅しているそう。そのへんも興味があればぜひ本書を読んでみてください。
僕たちもFIREを目指す夫婦として、これからもFIREを始め、いろんな資産形成の方法を学んでいこうと思います。
いい本との出会いも宝物ですが、その本を買うにはお金が必要ですからね。資産形成についてもしっかり考えながら、よりよい人生に向けて、今日も頑張りましょう!
FIRE-最強の早期リタイア術:Part1
FIRE-最強の早期リタイア術:Part2
この記事を書いた人
-
かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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