DAO,Web3時代の働き方|29歳の教科書

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こんにちは。夫です。

今日紹介するのは越川慎司さんの新書「29歳の教科書」です。前著「AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣」はベストセラーになって僕も読みました。そのうちIntro Booksでも紹介したいなーと思っていたのですが、その前に本書を紹介することに。その理由は単純に、僕が今29歳で、DAOやWeb3など最近興味を持っているテーマにも触れられていたから。

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著者の越川慎司さんは日本電信電話株式会社(現NTT)に入社した後、外資系企業に転職。しかし転職したその年にその企業が破産するというなかなか厳しい体験をされました。その後、マイクロソフトに入社して役員まで出世。現在は2つの会社を経営しながら「新しい働き方」を模索する「アグリゲーター」として活躍されています。

アグリゲーターとは人・モノ・情報を組み合わせてクライアントの課題を解決する仕事のこと。さまざまな業界の人を巻き込んでプロジェクトを推進するディレクターのような仕事です。マイクロソフトを退社してすぐアグリゲーターとして起業し、メンバー全員が週休3日で週30時間労働、完全リモートで副業・兼業が当たり前(ほぼ義務)という全く新しい組織を作りました。

そんな越川慎司さんの人生の転機が本書のタイトルでもある「29歳」でした。

大卒で入社した日本電信電話株式会社は超大手企業。しかし特別な才能や能力があったわけでもなく、会社に寝泊まりしながら努力と根性で何とか食らいついていました。しかし当然、そんな働き方が長く続くわけでもなく、精神疾患を発症。大企業のレールから外れて新しい道を切り開こうと、外資系IT企業に転職しました。

転職先では給料は大幅アップ、残業もなし。かなり充実した日々を過ごしていたのですが、転職した9ヶ月後にITバブルが崩壊。その会社も破産してなくなりました。

当時の価値観であれば人生勝ち組が約束されたような大手企業に入社したものの、精神疾患で退職。一念発起して転職した外資系IT企業で充実した日々を過ごせると思っていたら、破産して無職に…これを29歳の時に経験されたんです。同じ年齢の自分がもしその立場だったらどうなるか、想像しただけで怖いですね。

この経験が、私の意識と行動を大きく変えました。努力ではなく、成果を残して社内外で評価されるよう心がけ、一人ではなくチームで難題を解決していき、学びを睡眠の時間を確保する…その結果としてマイクロソフトの役員になり、現在は2つの会社の経営者として、自分の意志で”好きな仕事”を行うことができるようになりました。
引用:29歳の教科書

いやいや、どんな人生逆転劇だよ…って驚いてしまいますが、そんな越川慎司さんが今考える、29歳に向けた教科書が本書です。あくまで一般論ですが、29歳はキャリアを大逆転させる最後のチャンスかもしれません。例外はあるにせよ、30代になってからの転職はいろいろと厳しい。かといって今のキャリアのまま後30年逃げ切れるかというと、変化の早い現代では厳しい。まさにキャリア選択の分岐点です。

越川慎司さんは現在キャリアコンサルティングなどの仕事をされていますが、20年以上IT業界で働き、マイクロソフトの役員まで務めた方です。最新のテクノロジーとキャリア。その2つを組み合わせた新しい働き方を提唱するのが本書です。

社会環境が大きく変わる中で、今後最もリスクの高い行動は「何もしない」ことです。また、いきなり大きな成果を目指すこともお勧めしません。大きな変化を起こすために、むしろ日々の小さな行動実験を積み重ねること、自分に実践可能な「行動の選択肢」を増やしていくことが必要です。
引用:29歳の教科書

それでは早速本書の内容を見ていきましょう!まずは「テクノロジーが働き方を変える」です。ここ数年、テレワークが当たり前になりましたよね。数年前にはAIによってなくなる仕事ランキングなんてのも話題になりました。30年前、ガラケーも普及していなかった頃と今を比べると働き方は全く違います。そして今29歳の僕たちは、それくらい大きな変化が起こる次の30年に通用するキャリアプランを見つけないといけません。

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テクノロジーが働き方を変える

まず、越川慎司さんはこれからのキャリアはRPG化するといいます。ドラクエのようなオープンワールドのRPGのように、自分自身で探索し、レベルアップし、スキルを割り振り、”転職(ジョブチェンジ)”を通じて僧侶から魔法使い、勇者に変わるようになるということです。

ドラクエなんかがわかりやすいですが、同じゲームをしていても最終的なステータスは人それぞれだったりしますよね。僕は中学生くらいの時ドラクエ8をやっていました。ドラクエ8にジョブチェンジはないのですが、スキルの割り振りによってブーメランだったり件だったり、杖だったり、覚えているスキルや戦い方が全く違います。このようにこれからのキャリアも多様化していくということですね。

そうした変化をもたらすのはもちろんテクノロジー。なかでも越川慎司さんが注目しているのはWeb3という大きなトレンドです。Web3は中央集権的な管理者が存在せず、個と個がプロジェクトごとにつながることで、スピーディに課題を解決していきます。
Web3という言葉が生まれる前から、クラウドファンディングやスキルマーケットを通じて、会社ではない形のチームが素晴らしいアウトプットを出した例がどんどん増えてきました。

より具体的には「ブロックチェーン」「NFT」「衛星通信」「メタバース」という4つのテクノロジーが、社会をオープンワールド化させ、キャリアをRPG化させていくといいます。

上司ではなくネットワークが評価するブロックチェーン

人材教育や評価は、基本的に上司が部下に対して行います。それが最近は360度評価など、より多角的に評価する取り組みも広がってきました。ブロックチェーン技術によって、この流れはさらに加速していくといいます。

終身雇用が前提だった日本では、ありがたいことに会社が何年もかけてしっかりと社員を教育してくれました。数年ごとに部署異動があり幅広い仕事を覚えて、というのが当たり前に行われていたのです。
しかし雇用の流動化が進むと、何年もかけて社員を教育するのは割に合わなくなります。40年働いてくれるなら、10年かけて教育しても元が取れますが、3年で転職されるなら教育にコストをかけるのは割に合いません。

最近だと終身雇用にはネガティブな響きがあります。でも何年もかけてしっかりと教育できるという点では、両方にWin-Winだと考えることもできるんですね。しかし変化が早く企業も終身雇用を約束できない現代では、自らスピーディーに学ぶ自立型の即戦力人材じゃないと、企業も雇いにくくなってしまいます。

一方で、仕事はどんどん高度化していき、学ばずにすぐできるような仕事はどんどんなくなっていきます。なので今後、企業は最低限の研修のみを用意して、それ以外の能力はSchooやUdemyのようなオンライン学習を利用して個人が自発的に学んでいくことが求められます。
そしてスキルや能力の評価は改ざんできず第三者が認証したブロックチェーンによって行われるようになります。

Web3で進む”能力と成果の可視化”によって、このような個人と企業の間のミスマッチが少なくなっていきます。なぜなら、採用する側の企業は必要とするスペックを持っている人材を探し、信頼のおける第三者の評価(お墨付き)があればプロフィールの偽装を防げるからです。
<中略>
分散型ネットワーク化が進み、会社依存や上司依存が薄まる中で、働く人のスペックが可視化され、アジャイルのプロジェクトが組みやすくなっていくのです。
引用:29歳の教科書

ブロックチェーンに基づいた組織であるDAOでは投票という民主的な仕組みによって報酬が決まったりします。360度評価で部下が上司を評価するという動きはすでにありますが、今後はさらに顧客を含むステークホルダー全員が評価しあうようになるのかもしれません。そうした評価や持っている能力はブロックチェーン上に記録され、自分の資産になっていくわけですね。

ディストピアかユートピアか?|テクノロジーが予測する未来
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人材に値付けが行われるNFT

社内での共同作業で生み出す価値には限界があります。生み出す価値の複雑性は増す一方なので、今後は車内だけでなく、社外、さまざまな職種の人と協力してプロジェクトを組むスタイルが広がっていくでしょう。

僕も日々の仕事の中で、社内のメンバーはもちろん、業務委託の人、クラウドワークスなどで依頼した人と一緒にプロジェクトを進めることがよくあります。求められるスキルが日々変化する中では、いちいち正社員を雇って全てのスキルを賄うって現実的じゃないんですよね。

そうなると、プロジェクトを組むメンバーがどういう能力を持ってきて、これまでどのような成果を上げてきたのかの評価が必要になります。PRGの世界なら相手のHPやMP、スキル、レベルなどが可視化され、それを見た上で仲間に加えるか判断することができます。それと同じことが人に対しても行われるということです。

そしてそれを可能にする技術がNFTです。NFTというとデジタルアートや投機のイメージが強いですが、本質的にはブロックチェーン上に代替不可能な印をつけたものです。つまり、自分というNFTを持ち、そこにさまざまな情報を蓄積していく、そのNFTを取引する、ということが可能なのです。

PRGのように、相手の各メンバーの最大ライフポイントやマジックポイント、使える魔術、使える必殺技などが一覧として見える形になるようなものです。こうした能力と経歴が可視化されることによって、必要なメンバーの適正配置が進んでいきます。
<中略>
今後は定量的な評価に変わり、成果を残さないと報酬が上がっていきません。一方、複数のプロジェクトから声がかかる人は報酬を増やして、企業としても内部に留めようと待遇をよくしていきます。「できる人」が手厚くもてなされ、「できない人」が淘汰される人材の二極化が顕著になるでしょう。
引用:29歳の教科書

ただ何時間も残業して頑張りました!はもう評価されないということです。これは厳しい時代になりますね。大学卒業時点の知識で定年まで逃げ切るのは無理。社内でのんびり過ごしていたらそれなりの人生が送れるなんてのも過去の話。常に「自らスピーディーに学ぶ自立型の即戦力人材」であり続けないといけないんです。

中央年齢20歳未満のアフリカとつながる衛星通信

戦争や混乱は技術を加速させるといいますが、2020年に始まったパンデミックは間違いなくテレワークとそれに関わる技術が加速しました。そして、2022年に始まったウクライナ侵攻で一気に加速、一般にも認知が広がったのが衛星通信です。

テスラCEOイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」が、ウクライナに提供され話題になりました。2022年10月からは日本でもスターリンクの衛星通信サービスがスタートしています。

便利になるなーくらいに考えているなら甘い!越川慎司さんに言わせるとこの衛星通信によって働き方に大きな影響が出るといいます。山奥でもテレワークができる?いえ、そんなものじゃありません。年齢の中央値が20歳を切っているアフリカ人と、常時接続できるようになるのです。

ここ数十年の人口増加と経済発展が凄まじいアジアでも年齢の中央値は32歳ほど。一方、アフリカはまだ19.7歳、つまり半分が20歳以下なのです。今後数十年、アフリカ経済が大きく発展することはほとんど間違いないでしょうし、若く優秀な労働力がアフリカから大量に出てくることも間違いありません。
そして、衛星通信によってそのアフリカ全域と常時インターネット接続できるようになるのです。

深刻な人手不足に見舞われる日本では、「誰にでもできる仕事」を日本人がやる必要がなくなります。インターネットを通じて世界中に発注できるようになれば、インフレが進み高給化する先進国諸国の人たちが、みずから作業をするのはもったいないのです。
日本およびカナダをはじめとした少子高齢化で労働力不足が進む先進国諸国において、この「定型業務ゼロ」の日はすぐにやってくるでしょう。
引用:29歳の教科書

アフリカ各国の政府は文字の読み書きや計算など、基本的な教育を推し進めているそうです。基礎的な教育を受けた、しかもまだ物価水準が低い膨大な人口がインターネットとつながるのです。基本的なExcel作業、レポート作成などは外注してしまおう、となるのが自然ですよね。ということは僕たちは、より若くて、より安く働いてくれる優秀な彼らに代替できないスキルを身につけないといけないということです。

居住地に関係なく仕事ができるメタバース

テレワークが進んだとはいえ、今はまだ仕事で物理的な距離は生産性を左右する重要なファクターです。ZoomとSlackでコミュニケーションできるとはいえ、やはり対面のほうがいいアイデアが出て、よりよいアウトプットができるというのも事実でしょう。

でもその限界を越えると期待されているのがメタバースです。

越川慎司さんの会社では2018年の段階で500人を越える組織としてメタバース上で会議を行っていたそうです。2022年にメンバーは1500人を超えているそうなので、成長スピードは凄まじいですね。

メタバースはまだ発展途上ですが、Zoomの登場によってこれまでの会議のあり方、営業のあり方が変わったことは間違いありません。額に汗かいて先方のオフィスを訪問したら担当者がリモートワークだった、なんて笑い話にもなりませんが、そういう例は実際にあるでしょう。
これがメタバースになり、身体性までオンライン上で表現できるようになれば、さらに加速、もはや直接会って話すことが非常にレアな機会になるのはほとんど間違いないと思います。

越川慎司さんはこの4つのテクノロジーによって、週休3日が当たり前になるといいます。会議はZoomなので交通時間が必要ない、単純業務はアフリカなどに外注するか、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)で自動化する。確かにそうなれば週休2日という古くからの慣習はなくなるかもしれませんね。ちなみにマッキンゼーの調査では2025年までに1億人分の仕事がRPAに置き変わると試算しています。

いまや一般的となった週休2日制を日本で最初に導入したのは、松下電器産業(元パナソニック)の創業者である松下幸之助です。1965年に国際競争力を高めるために仕事の効率化を狙って導入したのです。<中略>テクノロジーが飛躍的に進化したにもかかわらず、週休2日制のまま何も変わらないことに私は強い違和感を抱いています。
前述のように、RPAによって多くの提携業務は自動化できます。今後はAI搭載ロボットも続々と登場し、人間以上の認識や予測、実行ができるようになります。RPAやAIは、人間と違って24時間働き続けることができます。そうなると、人間が週5日も働く必要がなくなる会社も出てきます。
引用:29歳の教科書

休みが増えるのはいいことのように思えますが、特別なスキルがなければ週に4日働くことさえできなくなる、ということもできます。この4つのスキルを冷静に見ると、新しいスキルを学び続けないといけない、そんな危機感を覚えますね。

越川慎司さんは2017年に創業した会社でWeb3時代の働き方を実践するため、週休3日、完全リモートワークを続けています。その会社のメンバーには民間企業との兼業をしている人もいれば、医師も在籍しています。変わったところでは住職もいて、その方は会社のトップセールスなのだそうです。

まさにRPGのように可視化された能力に基づいてパーティーを組み、課題をクリアすべくチャレンジしている、って感じですね。さらに地域も分散されていて、時差があるのでほぼ24時間常に誰かが稼働している状態なのだそうです。なので夕方に1日かかる動画編集の仕事を地球の反対側のスタッフに依頼。翌朝には完成しているなんてことも普通なんだとか。メンバーの時差によって待機時間が最適化されるというのは、羨ましいですね。

ところで、ここまで読んで僕と同じ29歳の方はかなり不安になってきたのではないですか?29歳というと普通ならようやく仕事を覚えて活躍し始めたくらいだと思います。その段階でこうした働き方の変化が訪れるとどうなるでしょう?40代ですでに確立した能力・実績がある方なら問題ないかもしれません。あと10年、20年、その能力と実績を活かせば逃げ切れる可能性が高いでしょう。
もしくは自立学習、新しい働き方が当たり前になった10代も、なんとか対応していけるでしょう。

ほとんどの変化は、変化し切った後になれば、なんだかんだいって問題ありません。問題が起こるのは、変化の途中段階。つまりこれから5年、10年で起こる変化とキャリアの変化が重なる、僕たち20代後半なんです。だから越川慎司さんは、自分自身のターニングポイントであることに加え、一番厳しい年代ということで、本書のタイトルに「29歳」といれたんです。

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オープンワールドを生き抜く7つのスキル

本書では「大変化を生き抜く”ズルい”仕事術」として、今訪れている変化から生き抜く「雑草戦略」をいくつか紹介してくれています。

この部分もかなり面白かったのですが、この記事ではもっと重要、本書の大トロの部分に切り込んでいきたいと思います!それがRPG化するキャリアに欠かせない7つのスキルです。「ズルい仕事術」が知りたい方はぜひ本書を手に取ってみてください。

【探索力】課題と必要な能力を見つけ出す

1つ目のスキルは「エクスプロール力(探索力)」です。今、どんなスキルを身につけるべきか?いろんな人がいろんなアドバイスをしてくれますが、正解はひとつもありません。自分で探し出す必要があります。
また、変化が早く複雑な社会では「正解を導くこと」の価値が低くなります。全く新しい正解を導くことの難易度が異常に高く、一方で大体の問題は検索すれば答えが見つかるからです。
なので、無限にあるように感じる課題の中かから「どの正解を見つければ解決するのか?」という、正しく問題を立てるスキルはどんどん価値が高まっています。

(RPGのように)自分の意思で洞窟に入ったり、敵を倒してレベルアップしたり、何か財宝を探しに行ったりと、「自分で探していく力」が必要です。
変化が早すぎると、何が課題かわかりづらくなります。<中略>何が原因でこのような結果に至ったのか、そのメカニズムまで自分で解き明かしていく力が必要です。以前は「課題解決力」が必要でしたが、いまやその前段となる「課題設定力」が求められます
引用:29歳の教科書

以前、「ハーバードの美意識を磨く授業」という本を紹介しましたが、ここでは「正解の無価値化」という言葉で紹介されていました。これも同じく、課題に対して答えを出せるだけでは意味がないというものでした。

論理が通用しない世界に備えよ|ハーバードの美意識を磨く授業
こんにちは。夫です。 夫 僕は学生時代、社会も国語も英語もダメで、数学と物理はほどほどにできたのでなんとか大学に進学することができた部類です…なので、数字をもとに論理的に分析することには自信があるのですが、僕が得意とする分析ってスプレッドシ...

【学習継続力】一生学び続ける覚悟

越川慎司さんが7つのスキルの中で最も重要と考えているのが、学習継続力です。変化が激しい時代では、身につけたスキルは時間とともにどんどん陳腐化していきます。昔は一つのスキルで一生仕事ができましたが、今だと数年程度が限界でしょう。そのスキルが必要なくなるケースもあれば、そのスキルが一般化して特別な価値を持たなくなることもあります。

英語もそうですよね。昔なら収入を左右する重要なスキルで、ある程度英語ができればそれだけで仕事が見つかりましたが、簡単なコミュニケーションならGoogle翻訳で十分になりました。つまり、英語というスキルそのものは陳腐化してしまい「英語読めます!」に報酬を払う価値がなくなったということです。一方で、交渉術や専門業界での英語など、特化型の英語の必要性は高まっています。

成果を出し続けるビジネスパーソンは、ローリスク・ローリターンのアクションを継続して学習成果を積み重ねていきます。こうした学習継続力があれば、年齢を重ねてもずっと「求められる人材」となって、働きがいを持ち続けることができるのです。
引用:29歳の教科書

ローリスク・ローリターンというのがポイントですね。30万円の資格取得コースに一念発起して通うのではなく、SchooやUdemyなどでちょこちょこ興味の幅を広げてみるのがいいのかもしれません。以前Intro Booksでは「学び続ける知性」「THINK AGAIN」というアンラーニング関係の本を紹介しました。久しぶりに読み返したいと思います。

「学び続ける知性」ソニー、ディズニー、アップルで培ったビジネス戦略
こんにちは。夫です。 夫 今日紹介するのは前刀禎明(さきとうよしあき)さんの「学び続ける知性」です。最近読んだビジネス本の中ではピカイチ。本を読んで”視野が広がる”ってこういう感覚だったなーって思い出させてくれる本です。 著者の前刀禎明さん...
求められるのは知識ではなくアンラーニング|ビジネス教養の土台【THINK AGAIN】
こんにちは。夫です。 夫 ゴールデンウィークに実家に帰ったのですが、帰りの電車で読む本を駅構内の本屋さんで探していました。そんな時に出会ったのが今日紹介する「THINK AGAIN-発想を変える、思い込みを手放す」です。 著者のアダム・グラ...

【復元力】失敗から立ち直る

変化が激しい現代社会では、失敗・成功という概念もかなり変わってきています。一つのプロジェクトが成功した、失敗した、ではなく、失敗を積み重ねる先に成功がある、と考える方が自然になってきました。日々変化する中で前例のないことに取り組み続けるので、失敗することこそが成功への道だということです。

だとすれば、求められるスキルは失敗から立ち直る力です。

越川慎司さんがお勧めするのは、「自分へのご褒美制度」でストレスをリセットすること、「有酸素運動」で心身をリフレッシュすること、「ぼーっとする」ことで意識的にマインドフルネスを取り入れることです。

軽く汗をかく有酸素運動はストレス解消に効果的ですし、運動中は嫌なことを忘れることができますからね。ぼーっとするのも、忙しい現代ではむしろ贅沢品。意識的に味わっていきたいですね。

【初動力】まず動く

「復元力」とセットですが、たくさん失敗して立ち上がるには、そもそも最初の初動が速くないといけません。悩まずに初動を速くするためにも「成功を目指さない行動実験」を意識するといいと言います。つまり、成功するか失敗するかはどうでもよくて、行動の結果どうなるかを実験するというスタンスで行動するということです。

ポイントはできるだけひとつ一つの行動を小さくすること。例えば社内のコミュニケーションツールをメールからSlackにいきなり移行すると反発も出るでしょうし、かなりのリソースを割かれ、問題も多発するでしょう。でも「金曜の午後だけSlackを使ってみましょう」とすれば、反発もなく、トラブルもなく実行できるはずです。そして「意外とよかった」という反応があれば成功。じゃあ次は金曜日は全部Slackで、次は木曜日も、、、と少しずつアクションすることで、結果的に速く変化することができます。

新しいスキルを身につける時、本を読む時も同じですね。とりあえず 5分だけ読んでみよう、とりあえず読んだ本の中で一つだけ実践してみよう。そう考えれば即行動、つまり初動力が高まります。僕自身、本から何か得ないといけない!って考えると全然読めないんですよね。ページを捲ることを目標にするくらいがちょうどいいと思います。

【巻込力】パーティーを作る

複雑な課題を一人で解決することはできません。今後ますますそうなっていき、全ての仕事はチーム戦になります。
そしてそのチームには「前に進みたい」「成長したい」「成果を出したい」「成功したい」という前向きなエネルギーが発揮されている必要があります。そういうエネルギーがあるとポジティブフォロワー(後に続く人)が生まれ、いいチームの循環が生まれます。

これは僕が課題に思っているポイントです。つい一人でやっちゃうんですよね。ここ数年でだいぶ改善されたと思いますが、チームビルディング、チームマネジメントはいろいろ勉強していきたいと思います。

【集中維持力】ゾーン突入方を手に入れる

数年前ですが、現代人の集中力はわずか8秒しか持続しない、金魚より短いということが話題になりました。その原因の多くはスマホでしょう。「よし仕事に取り掛かるぞ!」と思ってパソコンに向かった瞬間、スマホの通知で面白いニュースが流れてくる、友達からメッセージが届く、SNSから通知が届く、、、というのが当たり前になっています。そして、それらに抗えるほど人間の集中力は強くありません。

こうした集中を奪う出来事は、起きるのが当たり前と考え、あらかじめ視界から外しておくことが重要です。デスクに余計なものを置かない、スマホを機内モードにしておくなど単純な工夫だけで、集中を奪う出来事を遠ざけることができます。

もうひとつ、人間の集中を奪う要素が、不安です。実際、優秀なビジネスパーソンも多くが、精神的なもので集中を妨げられているそうです。次の仕事に取り掛かっているのに「さっき作った資料ってこれでいいんだっけ?」など小さな不安から集中を奪われます。
一方で、そうした不安が的中してミスを防げた、という例は案外少ない。

人間に限らず生き物はリスクを嫌います。リスクを嫌って不安になって行動したからこそ、生き延びてこの時代まで反映できたわけですから、僕たちは全員、不安になってびびってなんとか生き延びた人の子孫なのです。

僕も終わった仕事がなんか気になって次の仕事が中途半端になる…というのがよくあります。めちゃくちゃ生産性が下がるんですよね。越川慎司さんがお勧めするのは仕事が終わった時や不安に感じた時に、紙に書き出しておくこと。紙に書き出すことで不安が可視化され、忘れる心配もなくなり、途中で手が止まることが少なくなるんです。

自分の能力を十分に発揮するためには、そのための方法を理解しないといけません。たとえば、いくら腕力の値が高いキャラクターだったとしても、その能力を発揮できなければ、目の前のモンスターを倒すことはできません。キャラクターの能力を生かす「使い方」が必要です。それは、あなた自身においてもまったく同じです。
引用:29歳の教科書

【洞察力】Why思考で根本解決する

越川慎司さんは企業コンサルをされていますが、働き方改革に取り組んでうまく行っていない企業(成功しているのは12%しかないらしい)には共通点があると言います。それは「How思考」であること。
うまく行っていない企業ほど「どうやって残業を減らせばいいのか?」を考えてしまうのです。

一方、うまく行っている企業はWhy思考を行っていると言います。つまり「なぜ残業があるのか?」を考えているのです。

問題に対処しても、原因が残っている限り問題はまた起こります。同じことが「上流思考」にも書かれていました。How思考は下流の「問題対処」Why思考は上流の「問題解決」です。課題を解決したいなら、Whyから始める必要があります。

【問題解決の新常識】問題は起こる前に防ぐ「上流思考」
こんにちは。夫です。 夫 今日紹介するのは「上流思考」という本。著者のダン・ヒースさん、どこかで聞いたことがあるなと思ったらあの名著「アイデアのちから」の著者でした!この本も繰り返し読んでいるのでいずれ紹介したいなと思いますが、本書も負けず...

PDCAはもう古い!Web3時代のサイクル

ということで今回は越川慎司さんの「29歳の教科書」を紹介しました。

1時間ほどで読める本ですが、内容が濃い。自分が29歳だということもあって、強烈な危機感を抱かせられたのと同時に、今やるべきことが明確に見えてきました。

本書の後半で「PDCAサイクル」について触れられています。計画(Plan)して実践(Do)して、確認(Check)して行動(Action)するという、伝統のフレームワークです。
しかし本書では、PDCAサイクルでは遅すぎる、と言いいます。計画している間に社会は変わるし、計画を入念にしても新しい社会に対する成功確率が上がるわけではないからです。

なので越川慎司さんは「高速セルフDCA+小さいP」を推奨しています。とりあえずやってみる。やってみた上で結果を確認し、また行動してみる。その間に小さい計画が時々あれば十分だということです。

常にプロセスではなく結果でアピールしたり、成果からの逆算でプロセスを決めたりすることをいまのうちに習慣化し、自分自身に定着させておくべきです。とくに、29歳前後で意識して備えるべきでしょう。
すぐに行動に移せる人、初動の早い人は、「失敗から得る学びが重要であり、その学びを次の行動に生かすことがイノベーションを起こす源泉になる」と心得ています。
<中略>
意識を変えて行動するのではなく、行動して意識を変えます。意識が変わるのを待っていたら何もできません。行動したことによって学びを得て、その学びによって行動することで意識と結果が変化し、その変化を振り返って、さらに次の変化につなげていく。
引用:29歳の思考法

そうしてWeb3時代のオープンワールド、RPGのようなキャリアを生き抜く3つの武器を手に入れよう、として本書は締めくくられています。これまでの武器は「学歴・大企業への入社・正社員雇用」などでした。しかしその武器はもうあまり役に立たなくなってきました。
Web3時代を生き抜く3つの武器は、

  • 苦労を乗り越えた経験:新しい時代を生きるノウハウを持った人はまだいない。今求められているのは古い時代から新しい時代へ、苦労し乗り越えて適応した経験だ。その経験を最も獲得しやすいのは、古い時代の余韻で逃げ切れる40代でも、最初から新しい時代で生きる10代でもなく、今変化の中にいる29歳前後だ。
  • 数字で表現できる実績:社内だけでなく、社外でも評価され自分NFTの価値をあげるには数字で表現できる実績が必要。わかりやすい人材を複数、得意分野を複数持てば、人材としての希少価値が高まり、オンリーワンの価値を発揮できる。
  • いつでもどこでも行える自立学習:過去の実績は役に立つが、それだけで10年、20年活躍し続けられるわけではない。新しいことを常に自立して学び続けることが最も強い武器になる。

これから仕事は、苦行ではなく、ゲーム感覚でワクワクしながら攻略していくイメージに変わっていきます。いまはゲームを始める前。RPGの新作を買うために行列に並んでいる状態です。新たな挑戦に期待を膨らませて、その世界で大きくジャンプするために、少し屈んでいる状態。それが、今を生きる「29歳」のポジションです。
未来を前向きに捉えて、ワクワクしながら変化を楽しみましょう。
引用:29歳の教科書

本書を読み始めて「やばいなーこれからどうすればいいんだろ…」という気持ちになるところが何度もありましたが、最終的にはポジティブな気持ちになれました。これからのキャリアを生き抜く3つの武器を手に入れるために、まずは7つのスキルを身につけることから始めます!

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この記事を書いた人

かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。

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