健康と富と自己実現の宝箱:300年近く受け継がれるベンジャミン・フランクリンの「プーア・リチャードの暦」

健康と富と自己実現の宝箱:300年近く受け継がれるベンジャミン・フランクリンの「プーア・リチャードの暦」 自己啓発
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二十歳頃、ベンジャミン・フランクリンにハマっていた時期がありました。
アメリカ独立宣言に関わった政治家、外交官でありながら、印刷業で成功した起業家であり、雷を研究して避雷針を開発した研究家でもあります。100ドル紙幣の肖像になっていることからも、アメリカに与えた影響の強さがわかりますね。

ベンジャミン・フランクリン

日本でいうと、渋沢栄一のような感じでしょうか。

まあベンジャミン・フランクリンにハマって、自己啓発の超ベストセラー「フランクリン自伝」や「人生を幸せへと導く13の習慣」や「若き商人への手紙」などを読み漁っていた時期があります。
正直、フランクリン自伝は僕には高尚すぎてピンとこない部分もあったのですが、他の本はどれも大きな影響を与えました。

そんなベンジャミン・フランクリンの名著から今回書くのは「プーア・リチャードの暦」について。

【ChatGPTによる要約 2023年3月25日追記】
書籍タイトル:プーア・リチャードの暦
著者名:ベンジャミン フランクリン
発売日:1996/9/1
内容:
「プーア・リチャードの暦」は、ベンジャミン・フランクリンが自身の経験から学んだ人生哲学をまとめた書籍です。フランクリンが生涯を通じて実践した「自己改善」や「時間の有効活用」といったテーマが中心で、読者に自己啓発を促す内容となっています。特に、フランクリンが実践した「13の美徳」について詳しく解説されており、自己改善に役立つポイントが多数あります。また、一日を有効に過ごすためのスケジュール管理の方法など、実践的なアドバイスも含まれています。この書籍を読むことで、自己啓発に関心がある人や、人生をより豊かに生きたいと考えている人にとって、多くの示唆を与えてくれることでしょう。

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25年間発行され続けたプーア・リチャードの暦

プーア・リチャードの暦がどういうものか、これはちょっと説明が難しい。当時、18世紀のアメリカでは、読み物といえば聖書、そして暦(カレンダー)だったそうです。
で、ただのカレンダーなら特に読み物というわけでもないのですが、そこには日付だけじゃなく、教訓や諺が書いてあるんですね。
今もそういうカレンダーありますよね。ちょっとAmazonで調べてみたらアドラーの言葉が書かれたカレンダーや、「現役東大生を合格させた名言」が書かれた日めくりカレンダーなど、いろいろなものがあるみたいです。

そうした暦を、当時印刷業を営んでいたベンジャミン・フランクリンが発行していたわけです。1732年から25年間発行され続けた人気の暦だったのですが、「リーチャード・サンダース」というペンネームを使って、「プーア・リチャードが言うには〜」という形でいろんなストーリーの中で諺、名言が登場する、という形式の読み物だったのです。
それを「プーア・リチャードの暦」と呼んでいたんですね。ちなみに、プーア・リチャードというのは、貧しいリチャード、ではなく、控えめなリチャード的な意味だそうです。

しかし今の僕たちが289年前の暦を読み漁るのも大変です。しかしそこはアメリカの父であり教育者でもあるベンジャミン・フランクリン。最終号にあたる1957年の暦で、それまで毎年の暦に書かれていた諺や名言などいろいろな教訓を一つのエピソードにまとめたのが本書「プーア・リチャードの暦」です。

この本を一言でいうと、そのまんまですが、諺や名言の宝庫。
今回は本書を紹介するにあたり、そうした諺や名言を中心にいこうと思いますが、意外な気づきのあるエピソードの宝庫でもあります。

例えば、「痛風とのやりとり」というエピソードがあります。
どういうものかというと、フランクリン本人と痛風が話しているんですね。フランクリンは痛風に対して「なんでこんなに痛めつけるんだ!もうやめてくれ!」というんですが、痛風は「いや、私はあなたを守るためにやっているんですよ。もし私が痛みという症状を出さず、あのままの生活習慣を続けていたら今頃どうなっていましたか?」と諭してきます。

病気って辛いものですけど、病気そのものは体が治るための過程だったりします。痛風なら、痛みという形で警告を発し、症状が出ることで致命的な事態になることを防いでいます。
風邪もそうですよね。咳や鼻水が出るのは風邪が体を痛めつけているのではなく、体を守るために病原体を外に出すための症状です。熱が出るのも、体が病原体と戦うために熱を出しています。決して、病原体や風邪が体を痛めつけるためにこうした症状が出るのではなく、そうした状況を改善するために症状を出してくれています。

これって確かに当たり前のことなんですけど、どうしても病気のことを悪者にしてしまうじゃないですか。でも病気は僕らの味方なんだ、という考えができれば、病気との付き合い方も変わりますよね。

そんな意外な気づきのあるエピソードが沢山あるのですが、今回は本書に散りばめられている名言や諺から、僕が個人的に響いたものをピックアップしていきます。

プーア・リチャードの暦に散りばめられた諺・名言

使っている鍵は常に光っている

能力は使ってこそ磨かれます。学生時代に大学で学んだこと、ほとんどの人は結構忘れていると思います。同じように、いろんな能力や経験も、使っていないと錆びついてしまいます。
昔の経験や知識も貴重で価値のあるものには違いありませんが、5年・10年使っていなければもう錆びついて使えないかもしれません。大切なものこそ、ちゃんと使って常に磨いておきたいですね。

時間の浪費こそ一番の贅沢

厳しい言葉ですね。金がない、時間がない、という人に限って、役に立たないYoutube動画を延々見ていたり(笑)。
時間は金持ちも貧乏人も平等です。地位や年齢、生まれた国や人種による違いもありません。万人が持つ共通かつ平等で決して取り返しがつかない資産、それが時間です。

仕事を追いかけよ。仕事に追われるな。

これも厳しい。仕事に追われること、ないとはいい切れません。上司からの指示、締切、もっと大きなスパンで見ると、生活のため、、、色んな理由があって仕事に追われています。しかし本来、仕事とは自己実現と社会貢献、価値創造のために行うものであって、自ら理想に向かって追いかけるものです。
分かってはいてもなかなかできませんよね。

働き者の家には執達史も警察官も入り込まない
勤勉は借金を返済し、怠惰は借金を増やす

100ドル紙幣の肖像にもなっているだけあって、お金に関する名言も多くあります。執達史というのはマネージャー的な役割だと思いますが、たぶん借金取り的な意味合いでしょう。働き者の家には、借金取りも警察官も入り込まない。だって、そういう人たちのお世話になることがありませんから。
一方、怠け者、怠惰な姿勢でいると、、、言うまでもありませんね。

今日の一日は、明日の二日の値打ちあり
明日にすべき事あらば、今日にせよ

これも厳しい。書いていて胸が苦しくなってきました。この記事は昨日久しぶりに「プーア・リチャードの暦」を読み返して、「明日書こう」と思ったのですが、ベンジャミン・フランクリンに言わせれば、明日やろうはバカ野郎、ということでしょう。
言うは易く行うは難し。でも少しは意識して生活していこうと思います。

1分という時間さえ容易に得られないのだから、1時間という時間を無駄に使うな

もうずっと厳しいですね(笑)。誰がどんなに頑張っても1分という時間を手に入れることはできません。擬似的に、自分が1分かけようと思っていたタスクを人に頼んで自分の1分を手に入れることはできますが、たとえ1分でも手に入れることが難しいことは事実でしょう。
それなのに、1時間、1日、という時間を無駄に使うことがいかに多いか。

難儀は怠惰から生まれ、苦労は不必要な安逸から生まれる

安逸というのは何もせずにぶらぶら暮らすことを指すらしいですが、結局、苦労も難儀(災難・良くないこと)は自分の生き方からやってくる、ということですね。自然災害など、どうしようもないことを除いて、本当その通りだと思います。仕事をクビになった、病気になった、人間関係がうまくいかない。厳しいようですが全部自分のせいということです。
僕が言っているわけじゃないですよ。ベンジャミン・フランクリン、プーア・リチャードが言っています。

何度も植え替えられた木で、何度も引っ越しする家で、動かないままでいたよりも、栄えた試しはない
引っ越し三度、丸焼け同然

本書の中でもかなり僕が好きな言葉。仕事を選ぶ時もかなりこの言葉を意識しました。転職が容易になった今でも、特定の道筋やはっきりした目標もなく何度も転職を繰り返す人で成長する人はあまりいません。最初に努めた会社に骨を埋める時代でもないですが、ある程度長期的にキャリアを考えた方がいい、というのは今も変わらないと思います。
スキルについてもそうですよね。最近は100人に1人のスキルを3つ持ってかけ合わせれば1万人に1人の人財になれる、みたいな言葉がよく言われますが、どうなんだろうと思うこともあります。スキルセットをコロコロ変えて1万人に1人の人財を目指す人と、1つのスキルをずっと突き詰めてきた人と、どちらが魅力的でしょうか。
今、転職やキャリアチェンジ、スキルの多様化が重要と言われる時代だからこそ、立ち返りたい言葉ですね。

忠実な召使いが欲しいなら、自分が自分の召使いになるしかない

いい言葉。かなり好きな言葉です。似たような言葉はいっぱいありますよね。例えば、「本当の自由を手に入れる お金の大学」でも書きましたが、保険屋はあなたの生活や健康を心配しているのではなく、自分の会社の利益の心配をしているわけです。これは良い悪いではなくそういうものと考えた方が良いですね。
自分の利益を考えてくれるのは、この世で唯一人、自分だけ。だから自分にとって重要なこと、お金や健康、仕事や人間関係は、自分で考えないといけません。

台所が肥えれば、遺言書が痩せる

すごい言い回しです。最近、FIREなど投資や老後資金に関する情報も増えてきて、お金持ちのイメージが変わってきています。豪華客船に乗って世界一周、飛行機のファーストクラス、ランボルギーニにロレックス、都内新築一戸建て…なんてものは、まさしく、台所を肥やして遺言書が痩せていく代表例です。
最近言われ出した新しいお金持ちの価値観を、この時点で言っていたんですね。さすが。

似たような諺というかエピソードで「稼ぐだけでなく、蓄えることを考えよ。スペインはインド諸島を手に入れたが、豊かにはならなかった。入るよりも出すほうが多かったからだ」と書いてあります。
まさしく、お金持ちの定義はどれだけ贅沢ができるか、ではなく、収入と支出のバランス、そして収入(労働より不労所得)の質によるものだ、ということですね。

もう一つ、「美食家の果は物乞い」という強烈な言葉も残しています。

道楽1つにつぎ込む金で、子ども2人は育てられる

怖い言葉です。子ども1人育てるのに2000万円でしたっけ?それくらいかかるという試算があるらしいですね。でも今は自治体の支援などもあってそんなにはかからないみたいですが、道楽、趣味はそれ以上にお金がかかるということを言っています。
僕も趣味で音楽をやっていますが、たしかに毎月の出費はまあコントロールできているので問題ないのですが、10年単位で見ると、怖くなりますね…
道楽や趣味が悪いということではなく、それくらいお金がかかるんだと言うことを認識することが大切そうです。

買う必要のないものを買うと必要なものまで売り払わねばならぬことになる

ここまで見てきて、本当に当時のアメリカ人はこれをカレンダーとしてリビングに飾っていたんでしょうか。毎日こんな言葉を見ると心がやせ細りそうですが…。しかしそれが建国200年ほどで世界の覇権国になった所以なのかもしれないですね。
買う必要のないものを買うと、必要なものまで売り払わねばならなくことになる。これはキモに命じておきたい。僕も昔買ったギターを、お金のために売ったことがあります。きっとその過程で、いらないものを色々買っていたんでしょうね。結局、大切なギターを手放すことになったのは、いい薬になったと思います…。

賢い人は他人の災いに学び、愚かない人は自らの災いも目が覚めぬ

鉄血宰相ビスマルクの有名な言葉、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」に通じるところがありますがより強烈。愚かな人は経験からも学んでいない、と。
個人的にはビスマルクの「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の方が言葉としては好きですがこちらも大切にしたいですね。実際、「買う必要のないものを買うと必要なものまで売り払わねばならぬことになる」という言葉から痛い経験をした僕も、その後まったく必要のないものにお金を使わなかったかというと、Yesとは言いにくいですし、、、

自分の足で立っている農夫の方が、座ったままの紳士より背が高い

現場主義の言葉ですね。ベンジャミン・フランクリンはかなり偉い立場にいたわけですが、最後まで実務家として動き続けていました。判子を押して承認するだけの上司より、その企画書を作って実現に動く部下の方がよっぽど高尚という意味でしょうか。個人的には同意。もちろん、判子を押して承認する立場も必要とは思います。

最初の欲望を抑えるほうが、次々起こる欲望を全部満足させるより易しい

これもキモに命じておきたい。例えば引っ越し。見えを張ってちょっといい家に引っ越したら、そこからその家に見合った家具、見合った生活をしないといけなくなります。そんなことはないと思っていても実際そうなっちゃうらしいですね。生活水準を落とすのは、生活水準を上げるよりはるかに難しいという言葉もあります。

朝食の驕り、昼食の貧乏、夕食の恥

これは経営とかでもありそうな課題。最初に見栄を張って良いオフィスを借りてしまってしばらくしたらオフィスの賃料が負担になって、最終的に倒産した後で「あんないいオフィスを借りなければ…」と後悔する。
「最初の欲望を抑えるほうが、次々起こる欲望を全部満足させるより易しい」とも通じる部分がありますが、やはり最初に見えを張ったり無茶をすると、その後ずっと苦しい思いをする事になってしまいます。

空の袋はまっすぐ立ちにくい

どんなに見栄えが良くても中身がないものはすぐに分かるという意味でしょうか。痛烈です。比喩としてはお金の話だと思います。お金がいっぱい入った袋はピンと立ちますが、空の袋はヘナヘナと倒れます。でも、スキルや役職などでも言えますね。立派な役職を持っていても、中身が伴わなければ部下はついてきませんし、成果も出ません。

貸主は、借主よりもよく覚えている

借金をした側はすぐに忘れるけれど、貸した側はずっと覚えている。本当その通りですね。僕も人に貸したお金については、相手は「ああ、そういえば」みたいなテンションなのですが、こっちとしては割と常に考えてんだぞって突っ込みたくなります。
ちなみにベンジャミン・フランクリンは「借り手は貸し手の奴隷、債権者は債務者の主人公」とも言っています。お金だけでなく他のことでもそうですが、借りは作らないに越したことはありませんね。

明日、借金を背負って起床するよりも、今夜、食事を抜いて床に就け

これも痛烈な言葉。ベンジャミン・フランクリンは貸し借り、特に借金についてはかなり厳しい意見を持っています。実際、借金は悪魔の契約と言われるほどですし、現代にはリボやローン、分割など借金と名前をつけない借金がたくさんあるので特に気をつけたいですね。
借金をするのは簡単ですが、借金を返済するのはかなり難しい。これは経験者は実感していると思います。僕も楽器のローンを組むことがありますが、48回払い無金利だと安心して丸2年も苦しい思いをしたことが何度もあります…。

お金は繁殖し、子を生むもの

僕も最近、投資なるものをやり始めてこの意味を実感しています。銀行に置いておいたら1円も増減しない(お金そのものの価値はデフレ、インフレによって変わる)のに、投資という形で株などを持っていると、株そのものの値上がり益や配当金という形で子を生んでくれるんですね。またその子を投資にまわすと、さらに値上がり益、配当金が入る、とどんどん繁殖していくんです。
こればっかりはやっていないと実感できないことかもしれません。でも最近はYoutubeでも質の高い金融リテラシー系の動画が多いので学ぶ機会は増えてきていますね。
しかし今でこそ過去200年分の研究から、複利の力や株式投資の重要性、インデックス投資といった手法が登場して、お金がお金を生み繁殖するという考えが身近になりましたが、当時にこうしたことを言っていたベンジャミン・フランクリンはさすがですね。

暦にはしたくないけどたまに読み返したい

ということで今回はベンジャミン・フランクリンの「プーア・リチャードの暦」から、各所に散りばめられた名言を紹介しました。
と言っても、今回取り上げた言葉の多くは第1章にかかれているものです。他にも冒頭で紹介した痛風との会話のようなエピソードもたくさんあります。僕が好きなのは「左手との会話」というエピソードで、左手がなんで右手に比べて差別されているんだ、みたいなことを訴えてくるものです。短いので3分程度で読めますが、大切な気付きが得られるエピソードです。

ということで、本書の内容がカレンダーとしてリビングやキッチンに置かれていた当時のアメリカ人には同情します(こんなの毎日見てたら結構グサグサ来るでしょう…)が、僕は定期的に読み返して、ベンジャミン・フランクリンから学びを得たいと思います。

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