ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」 自己啓発
ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」
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こんにちは。夫です。

夫

今日紹介するのは「ウォーレン・バフェットの『仕事と人生を豊かにする8つの哲学』」です。投資の神様、オマハの賢人、聖ウォーレン…数々の異名を持つ言わずと知れた著名投資家ですね。僕も一人の投資家としてバフェットの本は色々読んでいるのですが、この本は読みやすい!と思ったので取り上げます。

本書の特徴はなんと言っても、「投資家」目線ではなく、「人生」「ビジネス」というより大きな括りでウォーレン・バフェットを捉えているところです。これまで投資家が投資リターンを追求するためにバフェットの言葉や手法を研究した本はたくさんありました。
ですが、ウォーレン・バフェットは投資家であると同時に、最も成功した人生を歩む大先輩でもあります。都会の喧騒や見栄とは無縁の世界で、ただひたすら自分の興味、能力を突き詰めることで、90歳を超えた今も現役。ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクなどバフェット以上の資産を築いた人はいますが、バフェットと同じくらい稼いで、かつバフェット以上に尊敬されている人はいないでしょう。

夫

本書はそんなウォーレン・バフェットの投資手法、ではなく哲学から成功の秘訣を学ぼうというもの。もちろん投資の考え方もたくさん出てくるので投資家としても学びがたくさんありましたが、それ以上に豊かな人生を歩む成功哲学、自己啓発書という面でたくさんの学びがありました。

それでは早速、本書の内容を観ていきましょう。

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バフェットの哲学:「圧倒的長期」でものを見る

一つ目の哲学は「短期ではなく”圧倒的長期”でものを見る」です。

夫

ウォーレン・バフェットについて本で読んだ経験がある方からすれば当たり前。バフェットの原則中の原則ですよね。ですが、、、本で読んで知ってはいても、実践できているかと言われると…

バフェットの名言にはこの哲学が現れたものが数多くあります。

Our favorite holding period is forever.
(私たちが好む株式保有期間は「永遠」)
Only buy something that you’d be perfectly happy to hold if the market shut down for 10 years.
(今後10年間市場が閉鎖しても喜んで持ち続けられる企業だけを買いなさい)

投資経験がある人なら納得できると思いますが、株を持ち続けるというのは言うは易し、行うは難しです。特に今はネットやアプリで毎日株価をチェックできますし、Youtubeやブログではいろんな人がいろんな株を「今買いだ!」「いや、この株は売りだ!」と情報発信しています。

もちろんバフェットはそんな情報に右往左往することはありませんし、実際にそのスタンスで大きな富を築いています。
例えば、バフェットは2011年にバンク・オブ・アメリカに50億ドル投資しましたが、その後、同社の株価は下がり続けていました。ある時、記者が「投資したことを後悔していませんか?」と聞かれた時、こう答えました。

長期の視点で投資しているのです。今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいいのです。バンク・オブ・アメリカが5年後、10年後にどうなるかが大切なのです。

実際、バフェットはその後も株を持ち続け、50億ドルの投資は本書が書かれた時点のデータで313億ドルにもなっています。

企業は、たとえ売上が下がっていても、または伸び悩んでいる状況でも、一度限りの好決算を出すことができます。大胆なリストラを行うとか、持っている資産を売却するといった方法を使えば、株価を一時的に押し上げるくらいの利益を出すことができます。
<中略>
企業が成長し続けるには、幸運だけでは無理で、優れた経営力や卓越した研究開発力といった多くの要素が欠かせません。それらがあって初めて企業は成長し続けることができるのです。
<中略>
だからこそ、企業の成長は、1年単位で見るのではなく、より長い目で見ることが必要なのです。バフェットにとって投資すべき企業とは、パッと咲いて、パッと散る企業ではありません。長いスパンで観た時にしっかりと成長し続けるだけの力を持った企業であれば、その間に株価が上がろうが下がろうがそんなことはどうでもいいというのがバフェットの考え方なのです。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

夫

僕も数十銘柄の個別株に投資しています。が、常にこのスタンスで見えているかというと微妙なところです…特に2022年後半からIT企業がリストラを発表した後で株価が急騰、というニュースが何度もありました。確かにコストはカットされ利益は確保できるかもしれませんが、競争力は間違いなく落ちます。まさに本書で指摘されている「短期的な視点」です。

他にもバフェットが長期的に付き合っている企業がガイコです。自動車保険会社のガイコは、バークシャー・ハザウェイの中で最初に投資した企業です。バフェットとガイコの出会いはコロンビア大学大学院時代のこと。バフェットが師と仰ぐベンジャミン・グレアムの投資会社が、それまで保有していたガイコの株を手放しました。それで「どんな会社なんだろう?」と興味を持ったのがきっかけです。

バフェットはすぐに始発列車に乗ってガイコを訪問。経営陣の話を聞いてこのビジネスが絶対に成功すると確信したバフェットは、自分のポートフォリオの4分の3を売却し、ガイコに投資しました。
当時バフェットは証券会社のブローカーとして働いていましたが、ガイコに入れ込むあまり、顧客にガイコの株を勧めて「20年ずっと持っているといい」とアドバイスします。証券会社のブローカーは顧客に頻繁に売買させて手数料を稼ぐのが仕事であるのにもかかわらずです。

夫

最初のきっかけが師匠であるグレアムが売り払ったことというのが面白いですね。師匠が手放した株に近づこうとは普通考えませんが、バフェットは自らの分析で魅力に気づきました。最初に投資したのが1951年で、現在バークシャー・サザウェイの傘下に入っているので、ガイコとの付き合いは70年を超えています。文字通り超長期投資ですね。

バフェットの考え方は、株価上昇で利益を得る一般の投資とは異なります。そのことがよくわかるのが、過去の株主総会での発言です。

このオマハの農場を買おうとするときに、毎日、その値段ばかりを観ている人はいません。買い値に対して、どれくらいの生産高が見込めるかというところを見るでしょう。株式投資もそれと同じです。

農場を買ってその土地が値上がりしたタイミングで売れば一時的に利益を得ることができます。ですが、その農場が買い値以上の価値を生産し続ける限り持ち続けたら、ずっと利益を得ることができます。

また、バフェットはIT関連企業が盛り上がっているときに、キャンディーメーカーのデイリークイーンを買収したときに次のように発言しています。

デイリークイーンのアイスキャンディーが10年後も生き残っている可能性は、どんなアプリケーションソフトが生き残っている可能性より高いでしょう。
夫

バフェットの投資基準は、生活になくてはならないもの、どうしてもお金を出して買いたいと思うものを作っている企業です。バフェットはIT企業のアップルに投資していますが、それは同社がiPhoneをはじめとして、多くの人にとって生活必需品と言える付加価値が高い製品を作る「メーカー」だからです。他にもコカコーラへの投資も有名ですが、コカコーラは戦場で傷ついた兵士に何を飲みたいか聞いたときにコーラと答えたり、アイゼンハワー大統領が常に「コークを持ってきてくれ」と言っていたなど、数々の逸話があります。ただの炭酸飲料ではなく、多くの人がお金を払ってでも手に入れたいと思う付加価値を持った製品なんです。

バフェットの哲学:自分の頭で考える

夫

バフェットは師と仰ぐグレアムが手放した株に惚れ込んで70年以上も付き合い続けています。そんなエピソードからも垣間見えるバフェットの哲学二つ目は「自分の頭で考える」です。

ウォーレン・バフェットの自伝「スノーボール」にはこんな一節があります。

ロールスロイスに乗る人間が地下鉄を使う人間からアドバイスを受けるところは、ウォール街以外にありません。

また、バフェットの師匠ベンジャミン・グレアムも「成功した実業家の多くが、自分が成功した原則を無視して投資行為に挑もうとしている」と言っていました。
投資で資産を築く。当たり前ですが、何も考えずに言われた通りに投資して資産が増えるほど簡単な世界ではありません。というのも、株価の向こうにあるのは現実のビジネスなんです。有名大学を卒業した天才たちが頭をひねり、体を使い、日々鎬を削っているビジネスが存在しています。そのビジネスに投資して資産を築くなら、最低でも普通の仕事と同じくらい頭と体を使う必要があります。
しかし、現実には多くの人が「値上がりしているから」「専門家が推奨しているから」という単純な理由で投資してしまったりしています。

後年、バフェットは学生や投資家にこうアドバイスするようになりました。
「『なぜ自分は現在の価格でこの会社を買収するのか』という題で、一本の小論文を書けないようなら、100株買うこともやめた方がいいでしょう」(バフェットの株主総会)
投資家には確固たる理由が欠かせません。求められるのは「〇〇が買ったから」「〇〇が推奨しているから」などではない、自分で調べ、自分で考えた確固たる理由です。それがなければ株に手を出すべきではないし、反対に確固たる理由があれば、周囲の声など気にする必要もないのです。これは投資以外にも言える成功の掟でしょう。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

夫

耳が痛いですね…僕自身、生活必需品である飲食系から一つ投資しておこうと考えて、いろいろ分析したのですが、最終的には「バフェット銘柄として有名だから」というのもあってコカコーラに投資しました。その判断は今の所失敗ではなかったと思いますが、小論文を書けるほど考え抜いたかというと微妙です。

また、バフェットは「重要な決断は鏡を見て行う」「誰も責任を取らない大人数から生まれた判断は、優れたものにはならない」と言っていますし、アップル創業メンバーの一人スティーブ・ウォズアニックは「画期的な製品を生み出せる可能性が一番高いのは、1人で仕事をする時」と言っています。

バフェットの哲学:「能力の話」を決して出ない

金融の世界には一流大学を出た年収数千万円のエリートがたくさんいます。しかし、彼らが運用するアクティブファンドの多くがインデックスファンド以下の成績になっているのは周知の通り。一方、大学も出ていない素人が株で大きく成功した事例も、少ないながらも目にします。
IQ140超えで幅広い専門知識を持ったエリートに、素人が勝つこともある。それが投資の世界です。IQや専門知識で勝敗が決まらないなら、一体何で決まるのでしょか?バフェットは本の中で次のように言っています。

最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかです。自分の能力の輪がカバーする範囲を正確に把握していれば、投資は成功します。輪の面積が人の5倍もあるが境界が曖昧だという人よりも、裕福になれると思います(ウォーレン・バフェット 自分を信じるものが勝つ!)

能力の輪とは、自分の能力、専門性が通用する領域のことです。単純に能力の輪が広い人よりも、能力の輪の境界、つまり自分にできることとできないことを厳密に見極められることの方が成功には重要だと言うことです。
こうした考えはバフェットだけのものではありません。マゼランファンドの運用を担当し、世界最大規模のファンドに育て上げたピーター・リンチも「テンバガー(10倍株)を見つけるには、まず自分の家の近くから始める」と言っています。

夫

この考え方には僕も同意です。僕は米国株を中心に投資していますが、大半の銘柄が自分が普段使っている製品や利用するサービスに関連しています。僕は今iMacで記事を書いていますし、普段はiPhoneを使っています。Appleの競争優位性を理解するのに財務諸表を見る必要はありません。街中を歩けば1番目にするスマホはiPhone、1番目にするイヤフォンはAirPods、1番目にする腕時計はApple Watch、スタバで1番目にするPCはMacBookだからです。

バフェットは長らくハイテク株に投資しませんでした。その理由は、テクノロジーの未来を信用していないからではありません。バフェットは銀行経営やエネルギー事情には精通していますが、ハイテクについては詳しくない、能力の輪の外だったからです。
バフェットは投資を野球にたとえ「見逃し三振は存在しない。ストライクを取られるのは空振りした時だけ」だといいます。投資していない株が急上昇しているのを見ると「チャンスを逃した!」と感じてしまいますが、別に損をしたわけではありませんよね。チャンスをいくら逃しても、投資の世界で三振バッターアウトになることはないんです。バッターアウトになるのは、打てない球を無理やりうとうとして連続空振りした時だけ。絶好球が来るまで延々待ち続けるのがバフェット流です。

バフェットは自分の能力について次のような言葉を残しています。

成功は、飛び越えられる30センチのハードルを探すことに精を傾けたからであり、2メートルのハードルをクリアできる能力があったわけではない

(ハイテク株に投資しない理由について)来年1年、すべての時間をテクノロジーの勉強に費やしても、わたしはその分野における100番目や1000番目、いや一万番目に優秀なアナリストにもなれないでしょう

私は天才ではない。ある分野では高い能力を持ってはいるが、その分野以外には手を出さないのだ(バフェットからの手紙に書かれたIBM創業者トーマス・ワトソンの言葉)

企業経営でも投資でも、私は同じようなことを感じます。並外れたことをしなくても並外れた業績を達成することはできる

投資で一生のうち何百回もの賢い判断を行うのは無理だと悟りました。そこで私たちは、賢くなりすぎず、ほんの何度かの賢い決断をするという戦略を選んだのです。現実に私たちは今では年に一度いい考えが浮かべばよしとしています。

夫

バフェットの最も特殊な能力はこの「能力の輪の境界を見極める」ことかもしれません。本当に何十年も、同じことだけをやり続けて成功し続けています。バフェットは長期投資を前提としているので、毎日賢い判断をする必要はありません。年に数回で十分です。それは僕たちにとっても同じで、長期で持ち続けられる優良株を年に一つ見つけることができたら、30年後にはめちゃくちゃ豊かになっているはずです。

バフェットの哲学:損をしない

どれほど成功を収めて、大金を稼いでも、最後にゼロをかけたら残るのはゼロです。投資の世界では華々しい成功の後、それが泡のように消えていってゼロになる、ということは決して難しくありません。だからこそバフェットの投資ルールは「ルール1:損をするな、ルール2:ルール1を忘れるな」です。

バフェットの投資手法の軸でもあるバリュー株投資では「安全域」を大事にします。安全域とは、「現在の株価と企業の本質的価値の差額の領域」のこと。本質的価値が10の企業の株価が3だったら安全域は7でかなり安全。株価が9だったら安全域が1しかないので危険。もし株価が13だったら安全域は-3でかなりハイリスクということになります。

「価値が八千三百万ドルの事業を八千ドルで買おうとしてはいけません。大きな余裕をみることが肝心なのです。3万ポンドの負荷に耐えると業者が主張する橋が建造されたとしても、その橋を走行するであろうトラックはせいぜい1万ポンドです。これと同じ原則が投資にも当てはまるのです」(賢明なる投資家)
投資の世界で多くの人が気にするのは株価、つまり「価格」の変動です。一方で個々の企業の持つ「価値」について正確に掴もうとする人はあまりいません。「バリュー投資はいまだかつて流行を見せたことがない」(賢明なる投資家)はバフェットの説ですが、バフェット自信は「価格」ではなく「価値」に注目することで莫大な富を手にすることができたのです。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

夫

確かにそうですよね。2022年、P&Gの株価が大きく下がった時も、近所のスーパーには変わらずP&G製品が大量に並び、多くの人が買っていました。スタバの株価が下がった時も、街の一等地にあるスタバはいつも通りの混み具合でした。価値は変わっていなかったんです。

自分の能力の輪の中でしか動かない通り、バフェットは極端にリスクを嫌い、自分の能力が通用する部分でだけ活動します。例えば、ある時ソニーの創業者、盛田昭夫夫妻の晩餐会に招かれた時は、一口も日本食を食べなかったそうです。ちょっと極端な気もしますが、バフェットにとっては食べたことがないものを食べること自体もリスクなんです。だからバフェットは知らないレストランに入ることも滅多になく、自分がよく知っている、つまり能力の輪の中にあるレストランを繰り返し使うそうです。

夫

当然、借金も大嫌い。借金をすると、どんな状況になっても返済日がきたら返さないといけません。その時、どんなに魅力的な投資先を見つけてそこに資金を割り振りたくても、できないんです。自分のお金でさえコントロールできない、つまり借金によってお金が能力の輪の外に出てしまうんです。

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バフェットの哲学:いい習慣を守り抜く

バフェットの投資手法は何十年も変わっていません。発言から読み取れる哲学も変わっていませんし、着ている服や住んでいる場所、食べているものもずっと同じです。バフェットは投資も生活も、いい習慣と考えたものは周囲がどれだけ変わっても頑なに守り続けているんです。

これはバフェットの長年のパートナー、チャーリー・マンガーも同じです。

マンガーは、自分の子どもたちに早い時期からこんなことをいい続けています。「できる限りの努力をする。決して嘘をつかない。やるといったら必ず成し遂げる。言い訳はクソほどの価値もない。約束には早めに出向く。遅刻は禁物。遅れてしまったら言い訳などせず、ただ謝る。言い訳などだれも聞きたくない。電話は直ちに折り返す。もう一つは、ノーの結論は5秒で出す。素早く決断して相手を待たせるな」
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

バフェットの右腕&左脳の名言集「マンガーの投資術」
こんにちは。夫です。 夫 この記事は2022年1月末に書いているのですが…いやあ、米国株式市場はどんどん下落していますね。これまで投資・資産形成の記事を夫婦揃ってたくさん紹介してきましたが、当然僕たちも資産の大部分を投資に充てています。なの...

ギャンブルを嫌うバフェットは、自分のルールとしてギャンブルを禁じています。ある時、友人とのゴルフで 10ドルを賭けようと持ちかけられましたが、その時も断りました。10ドルくらい付き合いとして出してもいいと思ってしまいがちですが、バフェットにとっては守り抜くべき習慣なんです。

夫

1000億ドルを超える資産を持つバフェットにとって、10ドルなんて端金でしょう(本人はそう考えていないでしょうが)。でも、小さなことで規律をやぶると、そのうち大きなことでも規律をやぶってしまうかもしれません。バフェットにとって大切なルールや習慣は、小さなことでも安易に破ってはいけないものなんです。

バフェットは昔の株主総会で「私は76歳になった今も、19歳のときに本で学んだ考え方を実践しています」といいました。おそらく90歳を超えた今も同じように考えているでしょう。ちなみに19歳の時に読んだのはベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」で、それで感銘を受けたバフェットはその後直接グレアムの元で働き、投資家としてのキャリアを歩んでいきました。

バフェットの哲学:金は稼ぎ方より使い方

バフェットは「お金は社会からの預かり物」と考え、稼ぐこと以上にどうつかうか、何に使うかを大切にしています。だからこそ、資産額ではバフェットを超える成功者が出てきても、未だに「神様」「賢人」とまで呼ばれ尊敬されているんです。

夫

「お金は社会からの預かり物」というのは「金は天下の回りもの」という日本の商習慣、考え方とも近いものがありますね。

資産を築くために必要な方程式はたった一つ。「収入>支出」の状況を作り出すことです。収入より少ない支出で生活すれば、お金は勝手に貯まっていきます。「私の財産告白」を書いた本多静六氏は勤倹貯蓄として収入の4分の1を貯蓄に回し、巨万の富を築きました。そしてその多くを教育機関などに寄付しています。

日本のウォーレン・バフェット|本多静六の”私の財産告白”
こんにちは。夫です。 今日紹介するのはまたまたお金、資産形成の本。 年に一度くらい、バイブルと呼べるような本に出会うことがあります。 例えば、 19歳のときはスティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」 20歳のときは童門冬二の「上杉鷹山...

バフェットも投資判断と同じくらい、普段のお金使いにも厳しい目を向けています。結婚して子どもが生まれたバフェットは一軒家を購入しました。価格は3万1500ドル。物価変動や立地を考えても、決して豪邸ではないでしょう。ですがバフェットは家を買ったことについて「バフェットの愚行」とまで言っています。
髪を切る時にも「私は本当に散髪に30万ドルも使いたいのだろうか?」と問いかけます。散髪代が30万ドルもするわけではありません。数十ドル程度の出費でも、バフェットの運用能力と長期の複利効果を組み合わせれば30万ドルを超える可能性がある。今、数十ドル使うということは、将来の30万ドルをふいにすることだと考えているんです。

夫

2022年の株価下落以降、コストカットでリストラなどを行う企業がニュースになります。でもバフェットやマンガーに言わせると、コストカットはやろうとおもってやるものではなく、息をするように当たり前に行うべきものなんです。実際、バフェットが運営するバークシャー・ハザウェイは同業他社の250分の1程度の経費で運営されているそうです。

バフェットの哲学:使う時は徹底的に使え

バフェットはお金の使い方にシビアだといいましたが、そのほかさまざまなリソースにたいていシビアです。一方、使うべき時には大胆に、徹底的に使います。ピーター・ドラッガーは「成功者は時間が最も貴重で最も乏しい資源であることを知っている」という言葉を残していますが、バフェットも独特な時間の使い方をします。

世界トップクラスの大富豪で、バークシャー・ハザウェイという世界で最も成功した企業の一つを経営しているバフェットはかなり多忙に思えますが、意外なことにバフェットのスケジュール帳は真っ白なのだそうです。会議にも出なければ、電話もほとんどない。コンピューターもほぼ使わないのでメールチェックもありません。
その代わり、バフェットは自分の能力の輪にある「年次報告書を読んで考える」ことにほとんどの時間を割いています。

多数の企業を買収していますが、通常買収には何度にもわたる交渉会議があります。でもバフェットの場合は一度で終わらせてしまうそうです。買収先の企業の経営者との会議が始まった時、バフェットはすでに資料を読み込んでいたのでほとんどの内容を理解していました。資料ではわからなかったことを何点か質問して、その後すぐに金額を提示します。
この時、バフェットは駆け引きも相談もしません。一人で決めて、結論を出し、条件を提示します。
買収先の経営者はそれにイエスと答えるか、ノーと答えるかだけです。追加の交渉は一切受け付けません。だから通常何度もかかる買収会議が、一回の、ほんの少しの会議で完了してしまうんです。

バフェットは、やる価値のあることと、ないことを明確に分けます。必要なこと、価値のあることはとことんやりますが、それ以外のものはやらないのがバフェットの流儀です。
本当に大切なことは何かを見極め、意味のないことには決して時間を浪費せず、そうやって生み出されたたくさんの時間がバフェットの「考える時間」となり、優れた決断のもとになるのです。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

夫

金融業界で働くならウォール街にいくのが当たり前なのに、バフェットはオマハという片田舎にずっと住んでいます。これもバフェットが必要なものとそれ以外を明確に区別した結果です。洪水のような大量の情報、リアルタイムの情報はウォール街にいた方が手に入りやすいでしょうが、10年、20年と言う単位で考えるバフェットにとってそれらは必要のない情報だったんです。

バフェットは猛烈な読書家として知られています。それも並みのレベルではありません。
「10歳のときにはすでに、オマハの図書館にある『金融』という言葉がタイトルに入っている本はすべて、2回ずつ読みました」(バフェットの株主総会)というほどですから、幼い頃から手に入る本すべて、関心のある本すべてを、それこそ繰り返し繰り返し読むのがバフェットのやり方でした。
<中略>
ネットを通じてどれほどたくさんの情報が入ろうと、またウォール街からどれほど多くの情報が発信されようともバフェットには関係ありません。「投資は力仕事ではない。人一倍、読み、考えなくてはならない」(バフェットの株主総会)と考えるバフェットにとって、時間は「毎日、何時間も読み、考え、関心のある企業を調べ、そして判断し、行動する」ためのものなのです。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

バフェットの哲学:いい人生は一夜にしてならず

バフェットは企業への投資で資産を築きましたが、当然、その土台になった「自分への投資」も欠かしませんでした。もともと人前で話すのが苦手だったバフェットはデール・カーネギーの講座を受け、徹底した反復練習によって人前で話す能力を身につけました。

夫

今やバークシャー・ハザウェイの株主総会は名物です。バフェットとマンガーが株主からの質問にその場でバシバシ答える。その内容は示唆に富んだもので、すぐニュースになって、何年かに一度本にまとめられたりします。バフェットの話が聞きたくてバークシャーに投資している人もいるくらいです。

(マンガーは)努力を惜しむことはなく、マンガーは子どもたちから「歩く本」とさえ呼ばれるほど本を読み、学び続けています。マンガーのこうした努力をバフェットは高く評価していました。
「マンガーは考えた。”ぼくにとっていちばん大事な顧客はだれだろう”と。そしてそれは自分自身だと確信した。そこで、毎日1時間、自分のために働くことにした。早朝にそのための時間をもうけ、建設や不動産開発の仕事をしたんだ。だれしもこれを見習い、まず自分自身が顧客になり、つぎに他人のために働くべきだ1日1時間を自分に当てるべきだ」(『スノーボール(上)』)
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

バフェットは「どういうところで働けばいいか?」という学生からの質問に「自分が最も尊敬している人のもとで働きなさい」とアドバイスしています。実際、バフェットのキャリアは最も感銘を受けた本を書いたベンジャミン・グレアムのもとで始まりました。一度入社を断られた時は、次に尊敬する父ハワードの会社で働き、その後もグレアムに猛アピールを繰り返し、ようやく入社します。その時バフェットは給料がいくらかさえ確認せず、月末に実際に給料をもらった時に初めて知ったそうです。尊敬する人のもとで働く経験は、お金にこだわるバフェットがお金のことがどうでもよくなるくらい、価値があることなんです。

人は良くも悪くも環境に染まります。好きになれない人や、尊敬できない人と仕事をすることは精神的に辛いだけでなく自分の価値を貶めることにもなりかねません。働く人間を選ぶときは、結婚相手を探すくらいの気持ちで臨みたいし、それを怠ればあっという間にポールを滑り落ちることになるというのがバフェットの考え方です。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

また、バフェットは成功に大切なことは、成功に値する人間になることだとも考えています。成功に値しない人間が何かの偶然で成功してしまうと、恨みつらみ嫉みで足を引っ張られ、結局不幸になってしまいますが、成功に値する人間になればそんなことはありません。それは、多くの成功者が賞賛と同じくらい非難も浴びている一方、バフェットに対する非難がほとんどないことを見れば明らかでしょう。

夫

バフェットは「新聞の一面テスト」というものを行っているそうです。自分の行動や言動が明日の新聞で一面記事になり、自分の家族や友人、近所の知り合いが読む、もしそうなっても問題ないか?を自問自答してから行動する、というものです。バフェットは「信頼を積み重ねるのは20年、失うのは5分」という格言も残しているので、誠実さや正直さを非常に重視しています。

バフェットを「価格」で評価するな

と言うことで今回は「「ウォーレン・バフェットの『仕事と人生を豊かにする8つの哲学』」を紹介しました。

夫

バフェットの本や記事は結構見ているので、一つ一つの考え方や言葉、エピソードは知っていましたが、本書はそれがうまく一つにまとまっていたのでしっかり再認識させられました。バフェットについて学んでみたい!という方から、バフェットマニアだぜ!って方までバフェットに興味ある全員に読んで欲しい一冊です。

ウォーレン・バフェットについて語るとき、どうしてもバフェットが稼いだお金や10兆円を超える莫大な資産に目が行きがちです。もちろんそれは素晴らしい成果なのですが、バフェットについて注目すべきはこうした「価格」ではなく「価値」ではないかというのが、長年、バフェットを追いかけてきた私自身の感想です。
引用:ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」

たしかにバフェットの「価格より価値に注目しろ」という考え方を知っていても、バフェットについて考える時でさえつい価格で考えてしまいます。でもそれでは見えない価値をたくさん残しています。
例えば本書ではバフェットとGAFAのCEOの意外な繋がりを紹介しています。バフェットはアップル以外のハイテク企業にはほとんど投資していませんが、実はアマゾンのジェフ・ベゾスやGoogle創業者のラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンに多大な影響を与えています。ベゾスはアマゾンの株主総会で度々バフェットの言葉を引用しています。

他にも、ビル・ゲイツとの繋がりの中で行ったたくさんの慈善事業もバフェットが生んだ価値でしょう。コカコーラCEOはある時期、毎日バフェットに電話で報告・相談していたそうですが、もしそれがなければ今のコカコーラはないかもしれません。

夫

そういうふうに考えれば、バフェットは10兆円を超える資産、などの価格以上に莫大な価値を生み出していることがわかりますね。バフェットが「価格」を生み出した秘訣について書かれた本はたくさんあり、僕も読んできましたが、本書を読めばバフェットが生み出した「価値」に気づき、学ぶことができると思います。

ウォーレン・バフェットの財務諸表を読む力|永続的な競争優位性を持つ企業の見つけ方
こんにちは。夫です。 夫 今日は投資本。それも投資の考え方やマインドセットではなく、もっと具体的。ファンダメンタルズ分析の手法についてです。 今日紹介するのは「バフェットの財務諸表を読む力」。世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェットに...

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