こんにちは。妻です。
今日は、大人を悩ますマナーに関して、作家・芸人12人がくりだす名(迷)回答集『考えるマナー』という本を紹介します。
本書は、「この状況であれば、わたしはこうするかな〜」「わたしにとってマナーと思っていたことが実はマナー違反なのかもしれない…」と様々な形でマナーについて改めて考えさせられる一冊です。
エッセイという形でひとつひとつのお話が2ページずつ書かれており、笑える内容も多いのが本書の特徴です。本を読むのがあまり得意ではない…という方や、様々な作家さんの話を読んでみたいという方にオススメです!今回は厳選して、5つのマナーに関する話を紹介させていただきます。
五本指ソックスのマナー(平松洋子)
五本指ソックスは底辺からじわじわ這い上がってきた苦労人である。当初”おじさんの水虫対策グッズ”としてデビューしたから、かっこわるい、はきづらい、値段が高い……ブーイングの嵐を浴びて、悲惨な出足に泣いた経験の持ち主だ。
<中略>
それでも地道にこつこつ、到来した健康ブームの波をつかまえて着実に視野を広げ、いまや靴下売り場に専用コーナーを持つ大出世ぶり。
五本指ソックスは現在、血行促進による冷え性改善、足の指に力が入りやすいことにより足元が安定し踏ん張りがきく、ムレ防止などで健康に良い靴下と言われています。いいことづくし!
ここに愛用歴2年の新参者(わたしのことです)がいる。まだ日が浅いせいか、料理屋やひとさまのお宅で靴を脱ぐとき、つまり五本指ソックスを衆目にさらすとき、10本の指は勝手にもじもじ君になってしまう。
<中略>
五本指ソックスという存在は、依然ひとをどきっとさせたりイラッとさせる宿命を引きずっているらしい。
断っておくが、五本指ソックスが恥ずかしいのではない。隠しておきたいのでもない。もじもじ君の正体、それは「個人的な快適」を開陳することにたいする微妙な抵抗感なのだ。しかもふだんはひっそり靴のなかにいるから、ひとの視線に馴れづらい。
そこで自分にマナーを課すことにした。座敷に上がる日は先端の五本指部分だけのソックスを着用(ちゃんと売り場にある)、さらにふつうのソックスを重ねばき。なにもそこまで、と苦笑するが、もじもじ君と会わずにすむだけでほっとする。これは、自分に折り合いをつけるためのひそかなマナーなのです。
わたし、親指とそれ以外の指で二分割されている足袋ソックスを愛用しています。五本指ソックスと比べて効果は劣ると思いますが、ムレが気にならず一度履いたら病みつきに…!…そういえばこの話で思い出しましたが、鍼灸院で毎回足袋ソックスいじられているなあ…笑
悪口のマナー(井上荒野)
「人の悪口を言うのは大嫌いです」と胸を張れないだめな私。正直言えば悪口はときどき楽しい。精神衛生のために言わずにはいられないときもある。
悪口の場は酒席、あるいは打合せの喫茶店。まあ、二人以上の人間がいればどこででも発生する。仕事の愚痴は悪口に移行しやすい。
他人のことを悪く言ったり、貶したり、悪態をつく…こういった他の人が聞いて気分が悪くなるようなことは言わないというのがマナーとされています。しかし井上さんのように、いけないこととわかっていても、ついつい言ってしまう人も多いのではないでしょうか…?
ところで、なぜ悪口を言いたくなるのかというと、その相手から、何かしら腹立たしい思いをさせられたことがある、という場合がやはり多いと思う。そうして、私に腹立たしい思いをさせる人間の筆頭といえば、夫である。
<中略>
最近は、ツイッターで夫の悪口を呟くことにしている。夫のいないところで呟いても、夫がツイッターをチェックすれば彼の目に入るからだ。しかしそれを読んだ夫から「悪いね悪いねワリーネディートリッヒ(笑)」などというレスポンスが来て、よけいむかっ腹を立てる結果にもなるのだが。
悪口は怒りから来ることもありますが、怒りから来るものについては「抱え込んで急に爆発させてしまうより、誰でもいいから言いやすい人に聞いてもらおう!」というのがわたしのモットーです。笑 むしろ笑いにするくらい面白エピソードの一つとして話せたらいいですよね〜
ブックカバーのマナー(楊逸)
本を汚れや傷から守ったり、周りの人に何を読んでいるのかわからなくする、といった理由で活用している人も多いブックカバー。ちなみにブックカバーを付ける文化は海外ではあまりないそうです。
近所の本屋ばかりに通っていると、そのうち、本が一様に同じ色で同じデザイン、しかもその本屋の名前入りのカバーになってしまう。できるだけ異なる本屋を利用するようにし始め、今度は本を買うよりはむしろカバーを集めるのが目的になり、本屋を通りかかると、一々確認して、その店のカバーを持っていないようだったら、たとえ本を買いたくなくても、中に入り、なんとか一冊を選んで買うのだった。
ある時、本棚から使いたい本を探す時に大変な苦労を喰らった。どの本もカバーに包まれ、タイトルが確認できない。本を次々と出し、また次々とカバーをはがす。まる一晩かかった大がかりな作業だった。大事に集めた本屋のブックカバーは、もちろん勢いで全部捨ててしまった。冷静になってからもったいないなと後悔はしたけれど。
その後様々のところで出会った土産物のブックカバーを各サイズ買い揃えた。今は読んでいる本しかカバーをつけていない。
わたしも昔、様々な本屋さんのブックカバーを集めたり、お気に入りの包装紙でブックカバーを作ったりしていました。でも楊逸さんと同じく、どれがどの本なのかわからなくなって捨てました。笑 今は外出先で持ち運びできるよう、紙のブックカバーを必要最小限持っていますが、本当に自分にとって必要なのか見極めることが大切ですね…!
エスカレーターのマナー(鷲田清一)
東京は左、大阪は右。これ、駅のエスカレーターで立つべき位置である。急ぐ人は、東京では右、大阪では左に駆け上がる。
ややこしいのは新幹線の新大阪駅。東京からやってくる人と大阪に帰ってきた人がまぜこぜになるので、なんとなく多数派に従うことになる。
もっとややこしいのは、週末のJR京都駅。じつは京都では、おなじ「上方」でも大阪とは違い、左に立つのが正しい。京都駅では、京都人のほかに、東方から来た観光客と、週末に京都で遊ぶ大阪人とが入り交じり、左や右や、ややこしいことこのうえない。
人や荷物とぶつかり事故となる恐れがあるため、歩かず立ち止まるのがエスカレーターの本来の形と言われています。しかし、急いでいる人のために片側を開けるのが暗黙の了解に。急いでいるなら、人が少ない階段を駆け上がった方が早い気がするのはわたしだけ…?
左と右、いったいどちらが正しいのか。
<中略>
さんざ頭をひねった。考えに考えた。その結果見つけたのは、こういう理屈である。
<中略>
東京と京都の人は、自分で歩かなくても勝手に自分を上に運んでくれる装置としてエスカレーターをとらえるから、「普通」は左側に位置し、急いでエスカレーターを駆け上る人は「異例」として右側にくる。急ぐ人に道を空けてあげるのである。大阪の人は、より速く駆け上るための装置としてエスカレーターをとらえるから、左が「普通」で、じっと立っていたい「異例」の者は右に寄る。わざわざじっとしていたい人のために右側を空けておいてあげるのである。
いずれも「正しい者が左にくる」という点で変わりはない。何を正しいと考えるかで、違いが生まれるにすぎない。
納得の理由ですね!「何を正しいと考えるか」でこんなに形が変わるとは…奥が深い…
配られるマナー(穂村弘)
駅前などにティッシュを配るひとが立っていると、緊張する。かなり手前から、ああ、いるな、と思って意識してしまうのだ。
<中略>
このまま進むと間違いなく渡される、かといって、あまり露骨に避けるのも、などとくるくる迷いながら、結局、妙に中途半端なコースをとってしまう。
わたしも遠くから配っている人を見つけると身構えてしまうので、めちゃくちゃわかります…ティッシュなど使い道があるものであればまだ受け取りやすいので気にしないんですが、チラシとかゴミになるものだったときが困っちゃいます…
人間が人間を完全に無視するのは、状況や理由がどうあれ、とんでもなくいけないことのように感じられるのだ。
いろいろ迷いながら、現在のところ、私は「ぺこりとあたまを下げて受け取らない」というパターンを採用している。
<中略>
ティッシュを渡す側からすると、あたまなんか下げてもらわなくても、とにかく受け取ってくれたほうが有り難いだろう。あたまを下げるくせに受け取らない偽善者。そう思われているんじゃないか、と不安にある。
ふざけるな。どうして渡される方があれこれ考えて、びくびくしなきゃならないんだ。と一瞬、心が燃えあがる。が、続かない。
わたしも穂村さんと同じく、あたまを下げて受け取らない方式です。でも言われてみると、なぜこちらがいろいろ考えさせられているんでしょう…向こうが勝手に渡してきているんだから、無視しても問題ないはずなのに…人間性が滲み出る瞬間ですね…
普段ティッシュを配っているひとが、渡される立場になったとき、どうしているのだろう。正解を教えて欲しいものだ。
わたし妻が考えるマナーとは
ということで今回は『考えるマナー』より、5つのマナーに関するお話を紹介させていただきました。
マナーは大切だと言われていますが、考えれば考えるほどマナーとは何なのかわからなくなりました。
本書を読んで行き着いたわたし流のマナーは「自分がされて不快と感じることはしない」ということ。
相手のことを考えて不快感を与えないようにすることは大切ですが、わたしの行動が相手にとってどう思われるかはわかりません。
時と場合、人によってマナーの形は異なります。なので、自分がされてどう思うかを考えて、されて嫌だと感じることはしないよう気をつけていきたいと思いました。
ちなみに、Intro Booksではマナーに関する本を多数紹介しています。もし興味があれば、読んでみてください。
ではまた。
この記事を書いた人
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インナーカラーがやめられない。
座右の銘は日々成長。
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