こんにちは。夫です。
今日紹介する本は本屋さんで買ったものではありません。近所のスーパーの雑誌コーナーに置かれていた一冊です。普段そういうところで本を買うことはないのですが、ジャケ買いしてしまいました。
それが堀江貴文(ホリエモン)と山崎元さんの「お金の増やし方&稼ぎ方」です。
正直、この2人が一緒に本を出すのは意外でした。YouTubeかなにかで対談している動画を見たことはありますが、あまりにも立場や考え方が違うからです。
ホリエモンはご存知の通り「あり金は全部使え!」「素人が株に投資なんかするな!」「貯金せず自己投資しろ!」「金が欲しいなら節約より起業しろ!」というタイプだと思います。
一方、山崎元さんは大手商社や証券会社でキャリアを積み上げ、楽天証券経済研究所に所属している金融の専門家。もちろん起業されていますし、副業的なこともいろいろされているでしょうが、エリートサラリーマンというイメージが強いです。「しっかり貯蓄して再現性の高い方法で投資しよう」というタイプだと思います。
僕も投資を始めてから山崎元さんに学んだことはたくさんありますし、ホリエモンも好きでよく見ていますが、特にお金については違う考えを持っているイメージでした。なのでこの2人が「お金の増やし方&稼ぎ方」という本を出したのは少し驚きでした。
本書では「そもそもお金とは何か?」というお金の本質から、お金の貯め方、増やし方、稼ぎ方、そしてお金と人生といったお金に関わるあらゆることについて、ホリエモンと山崎元さんがそれぞれの立場から考えをぶつけています。
中でも面白かったのが後半の「お金と人生」のところで「FIREなんか目指すな」と言っている点。Intro BooksではFIRE系の本をたくさん紹介していますし、僕たち夫婦、FIREするかどうかはともかく、経済的自立を目指して頑張っています。
↓過去に紹介したFIRE本
今回は長い記事になったので、前後編に分かれています。本書で「FIREなんか目指すな」と言われている理由については後編の記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。楽天証券経済研究所に所属する山崎元さんがなぜFIREを否定するのか…僕も納得できる理由がありました。
後半はこちら↓
ということで、本書「お金の増やし方&稼ぎ方」から、僕がこれは重要‼︎と思った部分をピックアップしていきます。お金の本質とお金との付き合い方について、かなり違う立場のプロフェッショナル2人の考えが1冊でわかるものすごく費用対効果の高い本なので、ぜひ読んでみてください。
お金の正体は「信用の数値化」
そもそもお金の正体はなにか。
この質問について、ホリエモンは「信用の数値化である、それだけだ」と言います。この意見には山崎元さんも同意されています。
家族はお金を支払わなくても料理を作ってくれますが、飲食店のスタッフはお金を支払わないと作ってくれません。これは家族という関係においては信用が出来上がっているのに対し、飲食店のスタッフとの関係においては信用がないからです。
つまりお金とは、信用がない間柄において信用の変わりとして機能するものなのです。信用ある間柄においてお金は必要ありません。山崎元さんは「信用がない人はお金でも持っておけ」と言います。
以前紹介した「お金のむこうに人がいる」という本では、お金の正体を「誰かが自分のために働いてくれる権利」と表現していました。信用関係ができている間柄ではお金を払わなくても働いてもらえる、そうじゃない人に働いてもらうにはお金がいる、という意味で、同じことを言っていると思います。
お金にはプライドなど感情が絡んでしまったり、お金そのものが目的化してしまうこともあります。しかしお金は信用のない他人に何かをしてもらう、その分の自由や便益を得るための手段なので、徹底して合理的に考え扱うべきだと言います。
一方、お金を稼ぐことは、他者からの信用を集めた証拠になります。お金を貯めようと一生懸命になっている人は、それだけ自分に信用がないと自覚しているからなのかもしれませんね…
お金を貯めるマインドセット
続いては「お金の貯め方」です。
お金の貯め方という項目については、起業して上場も経験しているホリエモンと、証券会社で働いたこともある金融の専門家、山崎元さんとで結構な違いがあるのかな…と思いきや、びっくりするくらい同じことを言っています。
100年生きるつもりで家計を計画しろ
老後のお金問題でよく言われるのは「老後2000万円問題」と「年金破綻論」です。
老後2000万円問題については金融庁の炎上マーケティングなので、正直気にする必要はありません。
ちなみに、老後2000万円問題は同じ計算方法で毎年やった結果、どんどん減っていって2020年には老後55万円問題になったらしいです。正直、平均値をもとにした老後計画は何の役にも立たないので、老後2000万円問題だろうが老後55万円問題だろうが、気にする必要はないと思います。自分のケースで考えることが大切ですね。
山崎元さんもこうした平均の数字やネガティブなニュースに振り回される必要はないと言いますし、老後計画なんてどうせわからない部分が多いので、ざっくり考えれば大丈夫だと言います。
しかし、一点だけ外してはいけないポイントがあります。それは「寿命を短めに見積もること」は絶対に避けた方がいいということです。
2020年時点の日本人の平均寿命は男性82歳、女性88歳です。この年齢を指針に老後計画をする人も多いと思いますが、平均寿命はあくまでも平均寿命。若くして亡くなった方や、事故で亡くなった方など、いろんな要因を組み合わせた数字です。つまり50〜60歳まで健康に生きた人の多くは、平均寿命より長く生きる可能性の方が高いんです。
自分の寿命のような「不確実だが重要なこと」を検討する際には、なるべく「安全サイド」に振っておくことが重要だ。平均寿命(より正確には平均予命)からプラス10歳くらい寿命を長く見積もっておいた方が無難だ。この場合、問題なのは、将来お金が足りなくなるケースだからだ。これは、人生全般に通じる一般論でもある。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
短めに見積もって長生き”してしまったら”、本来は嬉しいことなのに後悔してしまうことになりますからね…我々夫婦は120歳まで生きる前提で資産形成を頑張ります!
年金以外の保険は不要
お金と将来について考える時、ネックになるのは保険と年金です。
ここについて2人が共通していたのは「年金は破綻しない」「年金は長生き保険」「それ以外の保険はほぼ不要」という点です。それぞれ見ていきましょう。
まず「年金は破綻しない」ですが、年金制度の仕組みを知っている方は同意してくれると思います。
いまの現役世代の人たちは将来、年金の受給開始年齢の選択肢がさらに増えるかもしれない。受給額の調整もあるかもしれない。場合によってはいま現在、年金を受け取っている人よりも支給額が減る可能性もなくはない。
でも、年金制度が破綻することはない。もちろん年金がもらえなくなることもない。それは断言できる。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
もちろん今の制度・仕組みがそのまま続けば年金が破綻することはありません。が、僕が年金をもらうのは40年くらい先の話。その時、日本という国や既存の制度がどうなっているか想像もつかないので、年金はしっかり納めつつ自己防衛もしておきたいですね。
続いて「年金は長生き保険」です。年金とは何か?と聞かれたら、年を取れば一定額が国からもらえる制度、、という印象だと思いますが、山崎元さんは年金の本質は「節税可能な貯蓄」であり「長生きリスクへの保険」だと言います。
国民年金や厚生年金といった公的年金の保険料を支払うことには、老後に自分が使うお金を貯蓄する効果がある。しかも、その保険料には各種の税制優遇が用意されている。
所得税は年金保険料が引かれたあとの所得に課税される。住民税についても同様だ。つまり、貯蓄とともに節税が可能になる。この効果は小さくない。
もし、自分の力で年金のような老後の蓄えを作ろうと思うと余得税を差し引かれた残りの中から貯蓄し、運用する必要がある。
<中略>
また、年金には「長生きのリスクをヘッジできる保険」という本質もある。
公的年金は終身で支給されるため、自分が思っている以上に長生きした場合でも年金を受け取ることができる。これはなかなか強力な保険だ。支給額は人によって過不足があろうが、多くの人にとって将来の収入の柱として、そこそこ当てになる存在だ。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
年金って生命保険・医療保険とかと別の印象ですけど、給与明細とか見ると確かに「厚生年金保険」って書かれているので、間違いなく保険ですよね。
続いて、「年金以外の保険はほぼ不要」についてです。大前提として、僕たちは年金という超強力な保険に加入しています。給与の18.3%(会社員は会社が半分払ってくれます)もの大金を保険にかけているんです。さらに国民健康保険も、(人によって負担額は違いますが)だいたい給与の5%程度払っていると思います。
そこからさらに生命保険、医療保険、がん保険…といろいろ入っていたら、とても生活する余裕なんてありません。
とはいえ、なんとなく保険に入っていないと不安ですよね…僕も家計の見直しでかなり安いプランに変えましたが、生命保険には加入しています。補償額以上の貯蓄があるのでぜんぜん必要ないんですが…
本書で特に言及されているのは「生命保険」です。山崎元さんは、生命保険が必要なケースは、一家の働き手が突然亡くなってしまった時に、残された家族が路頭に迷う場合のみとして「貯蓄がなく、子どもがいる家庭」くらいしか必要ないと言います。
日本人は生命保険に入りすぎだ。生命保険は多くの人にとって不要な存在であり、不要な保険に入っているとお金はなかなかたまらない。
<中略>
保険にどうしても入る場合には「少額・掛け捨て」を強く意識しよう。生命保険は、マイホームに次いで「生涯で2番目に高い買い物」と言われることもある。一生で払い込む保険料が1000万円を超える人も少なくない。付き合い方を間違えると、大きく損をすることになる。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
僕たち夫婦、元々は毎月数万円もする貯蓄型の生命保険に加入していました。本書でも書かれていますが、お金の勉強をし始めて最初にやったのが保険の見直しです。もちろん途中解約なので損をしましたが、勉強代と考えることにしました。今では解約で損をした以上に資産形成が進んでいるので、見直して良かったと思います。
他にもがん保険もいらないと言います。がんになったらたくさんの治療費がかかるイメージがありますが、実際には医療費が一定以上にならない「高額療養費制度」というものがあります。日本にはすでに優れた公的医療保険制度があるので、他の保険はほとんどいらないんです。
マイホームは不条理な買い物
先ほど「保険はマイホームに次いで”生涯で2番目に高い買い物”」という言葉が出てきました。ではそのマイホームですが、ホリエモンは「不条理な買い物」「究極にムダな買い物」だと言います。
その理由は「ライフスタイルの変化に対応できない」からです。子どもができて手狭になったからマイホームを購入しても、だいたい20年後には子どもが独立してムダに広い家を持て余すことになってしまいます。転職の機会も増えましたが、マイホームがあると自由な転職は難しいでしょう。
不動産は資産になるという意見もありますが、普通の木造戸建て住宅の場合、築10年で資産価値は半分になります。資産価値が半分になったものに、もとの価格に基づいた支払いを続けるというのは投資の観点からNGですよね。
購入したあともあなたのお金を食い潰し、暮らしの自由度を下げるのがマイホームだ。「賃貸か、持ち家か」という議論は、僕にとっては周回遅れである。さまざまな変化に対応できる賃貸のほうがいい
<中略>
マイホームほど不条理な買い物はない。一生の買い物なんてホクホク顔をしていると「一生後悔する」ことになってしまう。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
一方、山崎元さんはもう少し柔軟に、マイホームを買うなら「投資」として考えて得なら買う、損なら買わないとしています。
例えば年間家賃180万円の家があるとします。その家を所有し、家賃を払わなくていいなら180万円の利益を得ていることになります。もしその家の購入価格が1800万円なら、1800万円の投資で年間180万円の利益、年利10%になるのでいい投資対象になります。
しかし、もしその家が3600万円なら、年利5%になるので、株式などに投資した方がいいかもしれません。
ただし、この計算で利益が出るからといって簡単に決断していいわけではありません。住み始めてからの維持コストが別にかかりますし、不動産売買には片道3%の手数料がかかり、株式などと比べるとかなり高いです。多くの場合、ローンで買うことになりますが、ローン金利も利益に影響します。
「不動産」と呼ばれるくらいなので、流動性も乏しく、お金が必要になった時にすぐ売れるわけではありませんし、3000万円の資産のうち1000万円分を現金にする、など株式であれば当たり前にできることができません。
僕も山崎元さんの意見に同意で、不動産はちゃんと勉強して、投資対象として買い、そこに自分たちが住むのはありかなと考えています。それで少し勉強もし始めていますが…株式投資より圧倒的に難しいんですよね…
運用商品は人から買うな
「お金を貯める」で最後に紹介するのは、投資商品の買い方についてです。
楽天証券に所属し、お金に関する情報を発信する山崎元さんですが、「運用商品は人から買うな」と言います。具体的な投資方法については次項の「お金の増やし方」で解説してくれていますが、ここで注目しているのが「人のリスク」です。
お金に関する人のリスクというと、マルチ商法や詐欺の勧誘をイメージしますが、もっとも身近なものが金融機関の窓口なのだそうです。
銀行の窓口ですすめられる商品にろくなものはない。銀行は人件費や利益を稼ぐ必要があるが、金利が低くなり従来のようには稼げなくなってしまった。そこで新たな収益の柱としての運用商品に目をつけ、手数料の高い商品を販売している。彼らの給料のために、私たちが高い手数料を支払う義理はない。
<中略>
(銀行は)預金残高のみならず、定期的な収入の有無やクレジットカードの引き落とし額などお金の流れをしっかり把握している。とくに、定期預金が満期になる時期や、退職金が振り込まれるタイミングは、銀行にとって絶好の営業チャンスになる。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
たしかに、お金の流れを把握している銀行が本気でセールスしてきたらついつい買ってしまいそうですね…山崎元さんは人のリスクを最小限に抑え、手数料も安く済むネット証券で運用商品を買うようお勧めしています。
また本書では、お金に関する情報収集にも警鐘を鳴らしています。特にお金・投資系YouTuberは広告収益で稼いでいるため、煽りがちなので注意が必要と言います。基本的にはちゃんとした本を読んで勉強すれば十分だから、ファイナンシャルプランナーのようなお金のプロに相談する必要もないと言います。
2人のお金の守り方は他にもたくさんあります。ホリエモンは「借金はタイムマシンとして活用すべき」と言いますし、山崎元さんはそれに対して「いい借金の仕方」を説明してくれています。他にもたくさんの守り方が紹介されているのでぜひ読んでみてください。
S&P500ではなく全世界株インデックスファンド一択!
さて続いてはお金の増やし方です。
ホリエモンはお金を増やすということにあまり興味はありませんし、「あり金は全部使え」という本も書いています。なのでこの項目でホリエモンは「起業する気がないなら山崎式でOK」と言っています。
その山崎式はインデックスファンド一択。その中でも「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」がオススメで、iDecoやNISAなど有利な運用制度をしっかり活用して、インデックスファンドに入れればOKだと言います。
運用に回せるお金は、手数料が安い全世界株式のインデックス・ファンドに投資しよう。大まかにいうと、運用でやるべきことはこれだけだ。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
僕は個別株にも投資していますが、つみたてNISAで「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」に投資しています。あとは山崎元さんがいう投資をうまくやるための3つの原則を守ればOKです。
投資をうまくやるための3つの原則、1つ目は「長期投資」です。
投資とはお金に働いてもらう行為なので、できるだけ長く働いてもらった方がいいのは当然ですね。
2つ目は「分散投資」です。
個別株に集中投資するとリスクが大きくなってしまいますが、山崎元さんオススメの「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」であれば、世界中の上場企業に投資できるので十分に分散できています。
3つ目の原則が「低コスト」です。
運用商品は手数料などのコストが高い時点で検討に値しないと言います。
僕は金融機関でマーケティングをしているので、個別株について勉強するチャンスもそこそこあります。なので個別株にも多く投資していますが、仕事で関わっていなければ個別株を分析して選び抜いて投資するなんてできません。
ちなみに、山崎元さんはインデックスファンドの代表格であるS&P500はあまりお勧めしていません。S&P500は米国企業で構成されていますが、米国企業が大きく成長したのはここ2〜30年の話で、これから30年、40年とどうなっていくかはわからないからです。
S&P500にはさまざまな企業がありますが、アメリカという一つの国に依存しているという意味で分散ができていないこともリスクです。
確かに、米国株が伸びれば全世界株も伸びますし、米国株が長期に渡って停滞すれば他の国が補ってくれるので、全世界株でいいのかもしれませんね。僕は個別株で米国株に集中しているので、つみたてNISA分は全世界株に割り振ることにしました。
オススメしている運用商品の違いはありますが、山崎元さんが提唱する方法は「ウォール街のランダムウォーカー」や「投資の大原則」など、金融先進国アメリカで言われている方法と同じです。
一番効果的なお金の使い方
ということで今回はホリエモンと山崎元さんの「お金の増やし方&稼ぎ方」を紹介しました。
といってもまだ本書の前半部分です。1時間で読める本を、4時間くらいかけて紹介してしまいました。笑 話口調でわかりやすく書かれていますが、それだけ内容が深いということでしょう。
ということで、後編では「お金を稼ぐ」「お金と人生」について取り上げたいと思います。
- お金を稼ぐ「人的資本」の作り方
- なぜ通勤時間がムダでしかないのか?
- ホリエモンが最新・最高スペックのiPhoneを毎年買う理由
- 若い人は株投資なんかするな
- 人間関係にこそ投資しろ
- お金も保険も一切不要になる生き方
などを取り上げるので、ぜひご覧ください。
後半はこちら↓
この記事を書いた人
- かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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