こんにちは。夫です。
今日はちょっと古い本を紹介します。以前紹介した「ウォール街のランダム・ウォーカー」も古い本で、初版が出たのは50年も前のこと。今日紹介する本、「となりの億万長者」はそこまでではありませんが、20年以上前に出版された古典的名作です。
「となりの億万長者」
このタイトルに違和感はありませんか?
「いや、俺の隣に住んでる人も、職場で席が隣の人も、億万長者じゃないと思うんだけど…」
僕も最初、そう思いました。となりの億万長者の話じゃなくて、僕が億万長者になるための話をしてくれよと(笑)。でもこの本が伝えたいのは「あなたのとなりにいる人が億万長者かもしれないよ。だって、ほとんどの億万長者は見ただけでわからないくらい普通だから」ということです。
著者のトマス・J・スタンリー氏とウィリアム・D・ダンコ氏は1980年ごろから富裕層の研究を始め、1990年代の後半にこの本を出版。
それから10年以上経ち、ITバブル崩壊やリーマン・ショック、つまり、米国株式市場が10年以上も停滞した時間を乗り越えて、2013年に加筆修正されたのが今回読んだ「となりの億万長者」です。
ちなみに、この続編である「その後のとなりの億万長者」という本もあります。僕も持っている本ですが、「となりの億万長者」の著者が書いた続編ではなく、それを基にした別の本、という印象です。まだ全部読んでいませんが、時間があれば読んで、Intro Booksで紹介する、かも。
この本のアイデアは、富裕層マーケティングのために調査を行っていた筆者が、高級住宅街など富裕層がいそうなところにインタビューしに行ったとき、そこに億万長者がほとんどいなかったということが元になっています。
本書では純資産100万ドル(日本円で1億円ちょっと)以上の純資産を持つ人を億万長者と定義していますが、彼らはいわゆる高級住宅街にはいなかった。高級車の購入者リストを見てもいなかった。
じゃあ、億万長者はどこにいるのか?
そんな疑問から、億万長者を探し出し、話を聞き、どんな人物なのか、なぜ億万長者になれたのか、どんな生活を送っているのかを調べ始めました。その膨大な研究から、億万長者に共通する要素を見つけ出したのが本書、「となりの億万長者」です。
億万長者に共通する要素を見つけたら、いったいどうなるの?
それはもちろん、僕やあなたも、億万長者になれる可能性がある、ということです。
億万長者に共通する要素を見つけたら、少なくとも自分が億万長者になれそうかどうかは判断できますよね。もし、億万長者に共通する要素として、親が資産家だったとか、年収が1億以上あるとか、ハーバード大学を出ているとか、そういうのがあれば、僕が億万長者になることは無理そうです。でも安心してください。そんな事はありませんでした。
それでは、本書の肝である「億万長者に共通する7つのポイント」を見て、それぞれを詳しく深堀りしていきましょう。
億万長者に共通するポイント、なぜかお金が貯まって増えてしまう資産家のライフスタイル、資産を気づく成功の秘訣…
それはこの7つです。
- 彼らは、収入よりはるかに低い支出で生活する
- 彼らは、資産形成のために、時間、エネルギー、金を効率よく配分している
- 彼らは、お金の心配をしないで住むことのほうが、世間体を取り繕うよりもずっと大切だと考えている
- 彼らは、社会人となった後、親からの経済的な援助を受けていない
- 彼らの子どもたちは、経済的に自立している
- 彼らは、ビジネスチャンスを掴むのが上手だ
- 彼らは、ピッタリの職業を選んでいる
なに当たり前のことを言ってんだと思いましたか?確かに何の変哲もない、というか、僕ら自身そうやって生活してるよ!じゃあなんで億万長者じゃないんだ!と思ってしまう項目ばかりです。でも本当に、この7つが当てはまる生活をしていますか…?本書では何度も繰り返し書かれていますが、ほとんどの人がこの7つに当てはまる生活をしていないから、億万長者じゃないんです。
では早速、「そもそも億万長者はどんな人?」から見ていきましょう。
ちなみに今回は資産形成がメインの話題ということと、アメリカと日本では事情が違う点がいくつかある、本書が書かれてから20年以上経っている、ということから、後半のビジネスチャンスや職業については省きます。
億万長者の多くは1代で億万長者になっている
億万長者とは純資産100万ドル以上の人のことを指しますが、これは本書が書かれた時、アメリカ全体の3.5%の世帯が、億万長者でした。その3.5%のうちの95%が、純資産100万ドルから1000万ドルの間です。本書が調査の対象としているのは、この95%の億万長者です。
それ以上の億万長者となると、再現性のある共通した要素があまりなかったのでしょう。ある人は起業して大成功したのかもしれませんし、親から多額の遺産をもらったのかもしれません。ギャンブル的な投資がたまたま当たったのかもしれません。
しかし、ただ純資産の額で定義してしまうと、老年の人のほうが有利になります。世の中には、まだ若いけれど億万長者との共通点を多く持ち、これから数年、数十年のうちに億万長者の仲間入りを果たす人も多いでしょう。
むしろ、これから億万長者になりたいと思う人にとって知りたいのは、そうした人たちです。
彼らを見つけ出すために「期待資産額」を基に、「蓄財優等生」を探し出し、そうした人たちも調査しました。
「期待資産額」というのは、収入と年齢から、どの程度の資産があれば金持ちと言えるのかを割り出すもので、計算式は(税引前の年間所得×年齢÷10)です。それ以上の資産額があれば、蓄財優等生、将来の億万長者候補ということです。あなたも計算してみてください。ちなみに僕は、、、蓄財優等生ではありませんでした…がんばります…
話を億万長者に戻すと、彼らにはこんなデータがありました。
- 信託財産や相続資産から何らかの資産を得る人は19%
- 相続資産が、資産の1割以上を締める人は2割未満
- 過半数の億万長者は1ドルたりとも遺産相続を受けていない
- 両親、祖父母、その他の親戚から1万ドル以上の贈与を受けた人は25%以下
- 91%は親が経営する会社の株を贈与してもらっていない
- ほぼ半数は、両親や親戚から大学の学費を出してもらっていない
- 今後遺産を貰う可能性がある人は1割を切る
シンプルに言うとほとんどの億万長者が1代で成し遂げた、ということです。よかった、今のところ、この条件には問題なく当てはまります(笑)
億万長者=倹約、倹約、倹約
彼らは予算を立てて出費をコントロールしたからこそ億万長者になれたし、今も裕福に暮らしているんですよ
筆者は億万長者に関する調査を始めてから、驚きの連続だったそうです。億万長者にインタビューするのだからそれなりの謝礼を用意しないといけないと思って色々用意しても、高級なお酒は誰も受け取ってくれない、豪華なケータリングにも喜ばない、高級なスーツも着ていない。
ただ、彼らに間違いなく共通しているのは「収入よりはるかに低い支出で生活する」ということでした。彼らの特徴を3単語で説明しろと言われたら、筆者は「倹約、倹約、倹約」の3つだと言います。
収入より低い支出で生活する。バビロンの大富豪など、お金に関する名著では必ず書かれていますよね。それは億万長者になる人も変わりません。どんなに稼いでもそれ以上に支出すれば一生貧乏のまま。これは単純なお金の真理でしょう。
具体的に見てみましょう。
億万長者で1000ドル(約11万円)以上のスーツを買ったことがある人はわずか20%。一方、285ドル(約3万円)以下のスーツしか買ったことがない人は25%もいました。
一方、億万長者ではない人で、1000ドル以上のスーツを買う人は、億万長者の6倍もいます。
靴も同じで、億万長者の半分は140ドル以上の靴を買ったことがない、100ドル以下の靴しか買わない億万長者が4分の1もいる一方で、300ドル以上の靴を買う人は1割以下です。
そして、億万長者でない人で300ドル以上の靴を買う人は、億万長者の8倍もいます。
時計といえばお金持ちの象徴ですよね。正直どこにそんな価値があるのかわかりませんが、数百万円のロレックスはステータスの象徴。数千万円で世界に数十個しかない高級時計を持っていれば、立派な資産家と思われるでしょう。
しかしお察しの通り、億万長者の半分は235ドル以上の時計を買ったことがありません。それどころか、4分の1は100ドル以下の時計しか買ったことがありませんでした。
1万5千ドル以上のいわゆる高級時計、これを持っていたらお金持ちと言えるクラスの時計ですが、実際に億万長者で1万5千ドル以上の時計を買ったことがある人は1%しかいません。
こうしてデータで見ると、世の中の広告がいかにバカらしいかわかりますね。ビジネス雑誌には必ず数百万円、場合によっては数千万円の時計の広告が出ていて、お金持ちのステータス、必需品のように語られますが、実際のお金持ちはそんなもの買っていない、ただのマーケティング戦略です…そのマーケティング戦略に引っかかって、ちょっとお金を持つとスーツや靴、時計を「これは自分のステータスを高めるための投資だ」とか言って買ってしまう。そしてその人はいつまでたっても億万長者になれない…
そう、億万長者になるために必要なのは、稼ぐ力を高めて、ステータスになる高級品を身に付けることではなく、支出をコントロールし、必要のないものにお金を使わず、蓄財に当てる、ということなのです。
毎日ジョギングしている人を見てみてください。
彼らの中で、毎日ジョギングが必要なほど太った人、不健康そうな人はいますか?みんな、ジョギングが必要なさそうなスタイルの人たちです。
毎日ジョギングしているのは、毎日ジョギングする必要がない人たちです。
億万長者も同じです。支出を管理する必要がないほどお金がある人は、支出の管理をし続けた人です。支出の管理が必要な人、つまりお金がない人は、支出の管理をしていません。
毎日ジョギングしている人は、毎日ジョギングする必要がない人。支出を管理している人は、支出を管理する必要がないほどお金を持ってる人。ほんとにそのとおりですね。
僕たちが億万長者になるための最初のステップは、次の質問に答えることです。
億万長者の多くは予算を立て、それに従って支出しています。そうでない人もいますが、その場合、多くは天引き貯金など、管理しなくてもお金が貯まる仕組みを作っています。
全く管理せずに億万長者になったのは、遺産相続や収入が桁違いに大きいなど、特別な例の億万長者ばかりです。
この質問に答えることの重要性は僕自身が強く実感しています。僕たち夫婦は同棲し始めた頃、2人ともしっかり働いて稼いでいるのに、毎月お金がギリギリでした。結婚したこともあり、家計簿をちゃんとつけて何にいくら使ったのかを把握し始めたところ、、、気づけば収入の4割以上を投資や蓄財に回せています。保険やスマホなど意識的に見直したものもありますが、それはごくわずか。把握しただけで勝手に消えていった支出がたくさんあるんです。今となっては何に使っていたのか、思い出すこともできません。
この2つの質問に間違いなくYesと答えられること。これが第一歩です。その次に、資産形成の計画や目標設計などがあります。
ちょっと話はずれますが、「所得税こそ最大の敵」という項目で、お金持ちほど、所得税がかからない資産を作る、つまり課税対象の所得を減らすことに注力する、ということが書かれていました。
これはそのまま、長期投資のメリットにも当てはまります。
投資をしていて、ある程度利益が出たときに売却すると、売却益に税金がかかりますよね。お金持ちはこれをものすごく嫌います。だからお金持ちほど投資期間が長いのだそう。だって売らなければ資産はどんどん増えていくのに、税金がかかりませんから。
起業して億万長者になる人が多いのも同じでしょうね。起業すると稼ぐ額が増える可能性もありますが、それ以上に大きいのが、自分の所得をコントロールできる、というところです。いろいろなものを経費にして税金を抑える、そもそも所得にせず会社に貯めておく、これによって同じ額を稼いでいても資産形成のスピードに差が出ます。
資産形成のために適切な時間とエネルギーを使う
何にいくら使ったかをきちんと知っておきたいとおっしゃるのは、大きな資産をお持ちのクライアントだけですね。
蓄財優等生、つまりこの調子でいけばそのうち億万長者になるであろう人は、蓄財劣等生、たとえ稼ぐ力はあっても将来的にお金持ちになれそうにない人の2倍も資産運用のために時間を使います。
これは単純に株価チャートを眺めている時間が長いというわけではありません。自分の支出を把握することに時間を使ったり、余計な買い物をしないよう工夫したりすることも含まれています。
これについても面白いデータがあり、医者や高度な専門職の人は、蓄財劣等生が多いのです。
これには単純な理由がいくつかあり、まず医者や高度な専門職の人は、大学院まで出で働き始めるため、蓄財を始める年齢がそもそも遅い、ということが一つ。
それから、技術を高め、ハードワークで稼ぎ続けるためには、資産形成のために時間なんて使っていられない、ということが理由です。
一般に学歴が高いほど所得も上がる傾向にありますが、実は高所得層に限れば、学歴と資産レベルが反比例する、つまり、学歴があって稼いでいる人より、学歴がなくて稼いでいる人のほうがお金持ちということです。
蓄財優等生は次の3つの質問にYesと答えるそうです。自分ならどうか、考えてみてください。
- 資産計画に多くの時間を割いているか?
- 資産運用の時間は十分か?
- 他のことに優先して資産形成に時間を割くか?
僕たち夫婦はどうだろう。まだまだ不十分なところも多いかもしれません。投資をするにしても、支出計画を立てるにしても、もっとじっくり話し合ったほうが良いかもしれませんね。そう言えば、以前は毎月、家計簿アプリを見ながら2人で支出の振り返りをしていたのですが、最近していなかったですね…
筆者が行った調査では、蓄財優等生は週8.4時間ほど、蓄財劣等生は4.6時間ほど、資産計画について時間を取っているそうです。
この時間については今と単純に比較できるものではないかもしれません。当時は株を買うにも窓口に行ったり、証券マンに電話で依頼する必要がありましたし、情報を得る手段も今とは違って本や雑誌、新聞など紙媒体がメインだったと思います。
でも、蓄財優等生は蓄財劣等生の2倍の時間、資産のために時間を割いている、というのは今も変わらないデータだと思います。
資産計画にそれだけ時間をかけるということは、頻繁に株を売買したりしているのでしょうか?
そういうわけではありません。億万長者の95%以上は株に投資していて、資産の20%以上を株で保有しています。
しかし、億万長者の中で、何日かに一度程度取引をする人は1%未満。数週間に1度でようやく1%程度です。1年未満で株を動かす人は9%しかいません。
つまり、9割の億万長者は数年以上の単位で投資している、ということです。
長期投資の価値はこれまでも色んな本で紹介してきましたが、ここで特に強調されているのは手数料と税金です。頻繁な売買は証券会社を儲けさせているだけですし、売買のたびに確定する売却益への課税は資産形成のスピードを大幅に遅らせてしまいます。
人の価値は持ち物では決まらない
経済的にしっかりした基礎を持とうと考えているなら、きっと実現できる。だが、良い暮らしをするためにお金がほしいと思っているなら、一生、金は貯まらない。
この一文がこの章で伝えたいことをよく表してくれています。
お金が貯まらない人、蓄財劣等生と億万長者では、そもそも人生に対する考え方が違うのです。
蓄財劣等生はお金を使うためにたくさん稼ごうとします。そして、たくさん使うのでお金は全く貯まりません。
蓄財優等生は、経済的に自立するためにお金を稼ぎます。だからお金が貯まるのです。
本書の中では、車の買い方を例に、蓄財劣等生、蓄財優等生の違いをさまざまなパターンで教えてくれていますが、重要なことを一つ紹介します。
モノを買うということは、そのモノの値段を支払って終わり、とはならない、ということです。
例えば、高級車を買ったとします。高級車を買うためのお金を支払って終わりではありませんよね。高級車のほうが車検代や税金、メンテナンス費用は高くなります。
格安の居酒屋やチェーン店に高級車で乗り付けるのはあまりに場違いなので、たまの外食は高級レストランになりがちです。
週末遊びにいくにしても、釣りやキャンプといった比較的お金のかからない趣味は、高級車とマッチしません。せっかくの本革シートが釣り竿やキャンプ用品で汚れてしまいます。それまで大衆車で釣りに出かけていた人も、高級車を買えば次の週末からゴルフに出かけるようになるでしょう。
高級住宅街に住む場合も同じです。豪華な家にネット通販で買った組立家具は似合いませんよね。高級住宅街の近くにある学校はたいてい私立でお金がかかります。安い塾も近くにないでしょう。みんな家庭教師を呼ぶのが当たり前だからです。高級住宅街に中古の軽自動車は似合わないので、高級車を買うことになり、あとは上で例に出したとおり。
本書では億万長者がよく乗っている車の種類(中古の大衆車が多い)なども紹介されていますが、結論は簡単です。
使うために稼いでいたら、稼げば稼ぐほど支出が増えていき、その支出がさらに支出を生み、もっと稼がないと生活が成り立たなくなり、不安に駆られる。
稼いだ額ではなく、予め計画した必要な額の支出を行い、ライフスタイルを一定に保てば、あとは時間が億万長者のステージまで連れて行ってくれる。
億万長者の子どもは幸せか?
経済的援助を与えれば与えるほど子どもは資産を蓄えず、援助が少なければ少ないほど資産を築くようになる。
ここまで億万長者の特徴を見てきましたが、結構意外だったのではないでしょうか?極端な例ですが、世界一の投資家ウォーレン・バフェットは現在の価値で3000万円もしない家に60年以上も住み続け、散髪代は2000円、マクドナルドではクーポンを使うそうです。
ここからは億万長者と家族、ということで、最初に上げた億万長者に共通するポイント、4つ目と5つ目を簡単に紹介します。
僕自身、親が億万長者というわけでもないですし、すでに億万長者で、遺産を相続する子どもがいるわけでもありません。なので、まあ将来必要になる知識かもしれないから頭の片隅に置いておくか、程度の気持ちで書いています。
ここまでのデータで、億万長者は1代で資産を築いた人が多い、ということがわかりました。だったら、億万長者の子どもはどうなっているのでしょう?
億万長者の子どもも億万長者になるなら、1代で資産を築いた人より、代々億万長者という人のほうが多くなりそうです。それに、資産形成で最も重要な力は「時間」ですから、代々続くほど資産が大きくなっていっても不思議ではありませんよね。
実際に、億万長者の子どもが億万長者であることは珍しくありません。ただ、ほとんどの億万長者は親から援助を受けずに億万長者になった、ということなのです。
筆者が行った調査では、親からの援助が多い人、つまり遺産を相続したり、経済的支援を受けている人ほど、収入が低く、資産が少ないということがわかったのです。親がいなくなった後、生活が成り立たなくなるであろうことが明らかで、不安を抱えている億万長者の子どもも珍しくないそうです。
そこには大きく3つの理由があります。
- 与えられた金は貯蓄より浪費に使われる…お金を与えられるということは、身の丈以上の購買力を手に入れるということ。そのお金は浪費に回り、さらに浪費は浪費を生む(高級車や高級住宅街の例)ことになる。
- 自分の財産と親の財産を同一視する傾向にある…自分で資産を作る前から、すでに資産が豊富にあると勘違いしてしまい、収入以下の支出で生活する、という蓄財の基本原則が身に付いていない場合が多い。
- 経済的援助を受ける人は借金に頼る割合が高い…親から援助を受ける人自分たちが恵まれていて、使えるお金がたくさんあると思ってしまう。親からの援助が多いほど、借金に頼る割合が多いというデータが出ている。
自分の能力で稼いだお金を、自分の能力で管理する。大半の人にとってはある程度当たり前にできていることが、親から援助を受けている億万長者の子どもにはできないことが多いのです。これは億万長者の子どもがお金に苦労したことがないから蓄財劣等生になる、という話ではなくて、単に教育の問題なのだそう。親からお金について教わり、不要な支援を受けなかった億万長者の子どもは、億万長者になっていく可能性が高いそうです。
経済的援助を与えれば与えるほど子どもは資産を蓄えず、援助が少なければ少ないほど資産を築くようになる。
先ほど引用したこの文章は、統計的に証明された事実です。お金をコントロールする能力というのは、勝手に身に付くものではありません。お金に本気で苦労して一念発起して学ぶか、ちゃんと親から教えて貰う必要があるのです。
たしかに、親がお金持ちでだめになる子ども、僕は直接知り合いにはいませんが、あるあるですよね。むしろ親がそこまで裕福でなく、奨学金で大学に通っていた友人のほうがしっかりしている印象です。
この記事を読んでいるあなたも、僕も、親が億万長者だったとか、すでに億万長者だというのではなく、これから億万長者になるのだと思います。
億万長者の子どもに生まれるなんて、僕たちからしたら羨ましい話ですが、きちんとしたお金の教育がないと、子どもはお金で不幸になってしまいます。そうならないためには、子どもがどんなに浪費しても一生困らないレベルの資産、何十億、何百億円という資産を築くか、子どもにお金の教育を残してあげるかです。
本書では、「億万長者の両親がしっかりした子どもを育てるガイドライン」を紹介してくれています。
- 子どもに両親が金持ちだと絶対に教えない…親が金持ちで、金持ちらしい暮らしをしていると、子どもは蓄財劣等生になりやすい。両親が亡くなり遺言状を見るまで、両親にまとまった資産があるなんて知らなかった、という蓄財優等生もいる。
- どんなに金があろうと、子どもには倹約とけじめを教える…倹約とけじめは勝手に身に付くものではない。特にお金がある家庭の場合、積極的に学ばなければ倹約とけじめは身に付かない。
- 子どもが大人になり、自己管理ができ、職につき、安定した生活を送るようになるまで、親が金持ちだと気づかせてはいけない…世の中にはお金で買えるものが溢れていて、テレビや雑誌、すべての情報がお金を使うことを勧めてくる。なんでも買えるだけのお金があること、子どもが自分で判断できる年齢になるまで秘密にしておく。
- 現金や高価なものを駆け引きに使わない…お金に余裕がある親は、子どものためと思って現金や高価なものを駆け引きに使ってしまう事がある(勉強を頑張れば最新のゲームを買ってあげる、など)。それよりも、なにか欲しい物を買うときには、まず必要なお金を貯める必要があるということを教える。
- 巣立った子どもの家庭に立ち入らない…巣立った子どもにアドバイスするときは、アドバイスしてもいいか確認してからにする。何かプレゼントするときも、事前に了承を取る。不要な支援は子どもの家庭を蓄財劣等生に変えてしまう。
- 子どもと競うな…子どもに「自分がお前の年齢のときはすでにこれだけ貯蓄していたぞ」などと言ってはいけない。子どもを自慢することも、子どもに自慢することもしてはいけない。自分が株投資や起業で成功したからといって、子どもにその方法を期待してはいけない。
- 子どもはそれぞれ違う、独立した人間であることを忘れない…子どもたちの間で経済格差があっても仕方ない。それを埋めるような援助はすべきではない。稼ぐ力以上のお金を与えても、むしろ格差を広げてしまうことになる。
- 成功をものではなく、達成したことで測るように教える…ものを買うことよりも何かを達成することのほうが重要であると教える。使うためにお金を稼いでもお金は貯まらない。何かを達成したご褒美にプレゼントを買ったりしてはいけない。達成した事自体に価値があると教えよう。
- お金よりも大切なものがあることを教えよう…お金はおまけであり、人生には良いときも悪いときもある。お金の額が大切なのではなく、健康や楽しい生活、自立心や人間関係のほうがずっと大切であることを教える。周りの人から良く評価され、尊敬を集め、誠実に、正直に生きれば、黙っていてもお金は付いてくる。
となりの億万長者に共通する「守る力」
ということで今回は、資産形成、お金に関するマインドセットの古典的名著「となりの億万長者」を紹介しました。
決して短い本ではありませんが、言っていることは一つだったと思います。結局、億万長者になる方法は、蓄財優等生であり続けるだけで、蓄財優等生はただ、支出を管理し、無駄なものにお金を使わず、「収入より少ない支出で生活する」ことを続けてきた、ということです。
となりの億万長者が出版されて20年以上、日本でも大ヒットした本なので、ざっくり内容を知っている人は多いと思います。それに、お金に関するどんな本を読んでも、「収入より少ない支出で生活する」という原則は書いてあると思います。
それでも、僕たちはついつい「結局、稼ぐ力の方が大事」と思ってしまうんですよね。
でも本書では何十人、何百人もの億万長者が紹介されましたが、収入に関する話は殆どありませんでした。
その代わりに、お金持ちほど支出を把握することに時間を使う、お金持ちほど高級車も高級時計も買わない、ということが何度も何度も、いろんな億万長者のエピソードとともに紹介されていました。
本書で面白かったのは、ロールスロイスをプレゼントされそうになって、困って断った億万長者や、筆者自身が、自分の車を売りに出した時、交渉してきた億万長者数人の例です。億万長者からすれば中古車を少し安く買えても対して意味はないと思いますが、ちゃんと交渉してくるそうです。興味があればぜひ読んでみてください。
最後に、僕自身が一番「なるほど!」と思ってしまったところを、この記事の一部ですがもう一度載せておきます。
彼らの中で、毎日ジョギングが必要なほど太った人、不健康そうな人はいますか?みんな、ジョギングが必要なさそうなスタイルの人たちです。
毎日ジョギングしているのは、毎日ジョギングする必要がない人たちです。
億万長者も同じです。支出を管理する必要がないほどお金がある人は、支出の管理をし続けた人です。支出の管理が必要な人、つまりお金のない人は、支出の管理をしていません。
毎日ジョギングしている人だけが、毎日ジョギングをしなくてもいいようなスタイルと健康を手に入れる。
お金についてしっかり考え、コントロールしてきた人だけが、お金について何も考えなくていいくらいの資産を築く。
このたとえは僕にとってものすごくフィットしました。毎日レシートを残して、毎月集計して、妻と一緒に見直す。毎月同じようにやっているだけのインデックス投資や長期投資について、定期的に見直し、話し合う。これで一体何が変わるんだと思うときもありますが、それを続けた人だけが、お金の不安から開放された「となりの億万長者」になれるのです。
この記事を書いた人
- かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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