こんにちは。夫です。今日紹介するのは「24-TWENTY FOUR 今日1日に集中する力」です。
久々にベタな自己啓発書を手に取ってみました。とにかく読みやすい。1、2時間でパッと読み終わってしまいます。が、決して内容が薄い表面的な本ではありません。何十もの研究結果などが簡潔にまとめられているので、人間関係に悩んだ時、集中力が途切れた時、なんだかいろいろうまくいかない時…にパッと手に取って読み返したい、そんな本です。
現代社会最大の問題。それは、全員が忙しすぎることです。それも、大半が特に意味のないタスクに追われていることです。
返信する必要もないメールやメッセージのチェックに10分、たいした情報のないSNSをとりあえずスクロールしていたら15分、そこで見つけた話題のドラマを見始めたら40分、全く自分に関係のないニュースサイトを訪れて20分…
気づけば僕たちの生活は、特に意味のない膨大なタスクに溢れ、本当にやりたいこと、幸せにつながることに時間を割けなくなっています。
そんな中、筆者が提唱するのがタイトルにもある「今日1日に集中する力」を身につけることです。
ある調査によると、46.9%の人が、何かをしているとき、それとは関係のない別のことを考えていることがわかりました。そして、今やっていることと考えていることが一致した時、人は幸せを感じることもわかりました。
また、マルチタスクの弊害は多くの場所で語られていますが、マルチタスクによって生産性が40%低下し、タスクの完了までの時間が50%増加し、作業ミスが50%増加するという研究結果もあります。
たしかに本を読みながら気づけばちょっと違うことを考えていたり、と言うのはありますね…そういう状態の時、人は幸福を感じにくいし、読んだ内容も頭に残りにくい。科学雑誌Scienceに掲載された論文では「幸福に必要なことは、心身が今に集中することである」と書かれています。
本書は集中力散漫な僕たちに、余計なことを考えず、今その瞬間に集中させる方法を教えてくれます。
ということで早速、本書の内容をみていきましょう。読みやすい本ですが、大量の研究結果が載っているので、「なぜその方法で生産性が上がるのか?」「なぜその方法で幸せを感じやすくなるのか?」などはぜひ本書を手に取って確認してみてください。
100万年前から1日は24時間しかない
ニューヨークタイムズに1日で掲載される情報は、17世紀の平均的なイギリス人が一生で触れる情報量より多いと言われています。テクノロジーの発達により僕たちはいつでも必要な情報を手に入れられるようになりました。
一方、僕たちの脳は17世紀はおろか、まだ文字も発明されていない数万年前からほとんど変わっていません。
その時代、「あそこにライオンがいる」というのは無視できない、超重要な情報でした。人が情報を無視できないのは、一種の生存本能です。
ですが今僕たちは、「地球の裏側にライオンがいる」というレベルの情報を、無数に受け取っています。しかしそうした情報をキャッチすることで生き残っていた脳は、その情報を無視することができません。
だから大事な商談中でも、スマホに通知が届いたことに気づいてしまったら、一気に集中力がなくなってしまうんです。
ちなみにある研究では、被験者に迷ったら全部コイン投げで決めるように指示しました。その結果、コイン投げの結果に従った人(離婚や転職など大事な決断も含まれています)は、そうでない人より幸福度が高かったんです。命に関わるような情報はほとんどない、どんな選択をしても、選択をした後で良い方向に持っていくことはできる。そもそも判断が正しいかどうかはいくら考えても答えはわからない。だったら、迷っている暇があればコイン投げで決めた方が幸せだという、ある意味究極のリアリズムです。
この本でみなさんに伝えたいのは、効率化を求めて情報をあさったり、生産性を求めてマルチタスクを行ったり、タイムマネジメントに固執したりすることをやめ、過去を悔やんだり「いつか望む通りの人生が手に入るはずだ」と未来に望みをかけたりするのをやめ、今日に目を向けることの大切さです。
今日の24時間にやるべきシングルタスクを決め、集中して取り組むこと。
私たちに確実にできるのはそれだけであり、その積み重ねの結果として、仕事の成功や、充実した幸福な人生がもたらされるのではないかと私は思います。
引用:24-TWENTY FOUR 今日1日に集中する
どれだけ情報を集めても、選択の質が上がることはありません。僕たちの脳は日々、数世代前の人が一生かけて処理するレベルの情報に晒されています。それらを処理して適切な判断を下すことなどできません。
実際、オランダの大学が自動車の購入からサッカーの勝敗予測までいろいろな例で実験したところ、情報を与えたり、考える時間を多く取ったりするほど、正解に辿り着く可能性が下がったという研究もあります。
また、ニュースメディアなどは特に、ネガティブな情報ほど目立ち、広告や別ページのリンクなど、集中力を阻害する要素に溢れています。人はポップアップ広告が出るなど、2.8秒タスクを中断させられるだけで、ミスの発生率が2倍になり、4.4秒中断させられるとさらに2倍ミスが発生する、生産性が大幅に下がることがわかっています。
大量の情報を集めて、適切に判断を下すことなんてそもそも不可能なんだ、そう考えた方がいいということです。
僕はよくスマホアプリで漫画を読むんですが、アプリで読んだ漫画ってびっくりするくらい記憶に残らないんですよね。たまに「あれ、これ前も読んだような…?」ってなったりしますし、友達とその漫画について話すときも全然シーンが出てこない。その原因は、漫画アプリは常々広告や別漫画のリンクで集中を阻害してきているからなんだと思い知りました。
情報が少なすぎるのも問題ですが、たくさんの情報を集め、z有分に検討したからといって、いい決断ができるとは限りません。むしろ、情報が多すぎたり、あれこれと検討を重ねすぎたりすると、正しい判断が下せなくなることもあるのです。
不安を解消しようと情報を集めても、現実は変わりません。
<中略>
やるべきことを後回しにし、情報を集めることに追われ、その結果誤った選択をしたのでは、その24時間には何の意味も価値もありません。
情報でも選択でもなく、目の前のやるべきことをどれだけやったか。その積み重ねが、あなたの未来をつくるのです。
引用:24-TWENTY FOUR 今日1日に集中する
最高の24時間を過ごす5ステップ
本書では他にもさまざまな研究結果などから、いかに考えることが無駄かを教えてくれます。結局、幸せになるには自分がコントロールできる範囲、今日の24時間だけに集中するしかないと言うことです。
本書では余計なことを考えず、今日の24時間にとことんフォーカスする5つのステップを紹介しています。次はそれを見てみましょう。
時間管理のマトリックスで優先順位を決める
どんなに頑張っても24時間は24時間であり、人の行動、思考には物理的な限界があります。なのでまずやることはタスク管理。「素晴らしいことをどれだけやるか?」ではなく、「いかに余計なことをやらないか」にフォーカスする必要があります。
その方法としておすすめされているのが「7つの習慣」にも出てきた4つの領域でタスクを管理するマトリックスです。
筆者はただタスクを4つに分類して書き出すだけで効果があるといいます。脳は必要だと判断した情報を積極的に取り入れ、不要な情報を排除する機能があるので、「このタスクは無駄!」「このタスクは重要!」と認識するだけで、行動が変わり始めるんです。
長期的で重要度の高いタスクを選ぶ
緊急度の低いタスクは、どれほど重要でも後回しされがちです。
確かに僕も十年以上前に「7つの習慣」を読んで実践しているつもりですが、十年後のための勉強・スキルアップより、洗い物とかをつい優先しちゃうんですよね。もちろん洗い物もやらないといけない重要なタスクなのですが、それ以上に緊急性が眼に見えるので長期的なタスクの途中でもつい洗い物が気になって中断しちゃったりします。
緊急で重要度の高いタスク、緊急で重要度の低いタスクは、いずれも手をつけやすいのですが、緊急ではないけれど重要度の高いタスクを時間を割いて実行するのは非常に難しく、先に紹介した時間管理のマトリックスの提案者であるコヴィーも「緊急でない重要な仕事がおろそかになっている人が多い」と述べています。
引用:24-TWENTY FOUR 今日1日に集中する
カールトン大学の研究によると、人が先延ばしする理由は次の7つにまとめられるそうです。
- 退屈であること
- イライラさせられること
- 大変であること
- 曖昧であること
- まとまりがないこと
- ご褒美がないこと
- 意義が感じられないこと
重要度は高いが緊急度が低い。例えば学習のようなタスクはこの7つの多くに当てはまりますよね。退屈でイライラすることも多い。大変なのにすぐにはご褒美もない。逆に言えば重要度が高く緊急度が低いタスクを、できるだけ簡単に、楽しく、何らかの形でフィードバック(ご褒美)があるような形にすると、先延ばしを回避できるようになるかもしれません。
迷ったら勇気で決める
そもそも何が重要か、それが本当に重要なのかがわからないことも多いと思います。転職するためにスキルアップが必要で、そのために今日は何かを勉強しないといけない。でもそもそも本当に転職が必要なのか、そのスキルに将来性があるのか、今日勉強したことがちゃんとそれに繋がるのかをイメージするのは難しいです。
そんな時は「勇気」で判断しろと著者はいいます。
優先順位の決定には、いくつか重要な原則がある。すべて分析ではなく勇気に関わるものである。第一に、過去ではなく未来を選ぶ。第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。大3に、横並びではなく独自性を持つ。第四に、無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。
引用:ピータードラッガー「経営者の条件」
この言葉は優先順位で迷った時の指針になります。あるタスクの優先順位に迷った時、それが過去を向いているのか、未来を向いているのか、問題を解決するものか、新しい機会を生み出すものか、独自性があるものかという基準で考えるんです。
筆者はそれでも迷ったらコイン投げで決めるのもいいといいます。前半で紹介したように、真剣に考えたからといって、正しい選択に繋がるとは限らない。コイン投げであれなんであれ、決めて進んだ方がいいからです。
機会費用を考える
機会費用とは、ある選択肢を選ぶことによって犠牲となる価値です。A,B,Cの3つの選択肢からAを選ぶという行為は、BとCを選ばなかったことを意味します。
今から30分スマホゲームをするということは、その時間本を読んで知識を増やさなかったことを意味するんです。1日1万円稼げる人が、休みをとって1万円使ったとしたら、使ったのは1万円ではありません。働いていれば稼げた1万円も失っているので、2万円使ったのと同じ意味になります。
専門職への転職のために3000時間の勉強が必要だとします。もしこの時間、勉強をせずに時給千円でバイトをすれば、30万円稼げます。でも転職によって100万円年収が上がるならどうでしょうか。
機会費用に目を向けるとお金や時間の使い方が変わります。妻は最近動画の勉強をしていてかなりの時間とお金をかけていますが、動画クリエイターとして転職・独立すればすぐ元が取れるでしょう。機会費用を最大化するための選択です。
自分ではなく他人を目的にする
目標を決める時、自分のメリットをメインに考えると思います。でもいくつかの研究から、人は他人をモチベーションにした方が幸福を感じやすく、モチベーションも維持されやすいことがわかっています。
自分の目標や長期的に重要なタスクがどんな効果をもたらすのか?もちろん自分へのメリットを考えるのもいいでしょう。同時に、家族や友人、社会など他人にどんな影響があるのかも考えてみてください。
これはすごくわかります。コピーライティングを勉強している時、自分が稼げるからとかだと心が折れそうになるタイミングが必ずくるんです。でも、コピーライティングを通じて素晴らしい商品やサービスを社会に広げると考えると、もう少し頑張ろうって気になれるんです。
ハーバード大学が出した人生の答え
先ほど紹介した5つのステップは行動ベースですが、本書ではマインドを変える5つのステップなど他の要素もいろいろ紹介した上で、「ハーバード大学が80年かけて出した人生の答え」を教えてくれます。それは…
信頼できる人間関係が1つあれば幸せになれる
です。
すごく綺麗事のように聞こえますが、ハーバード大学が80年以上も継続研究している「幸福な人生」に対する、現在の結論なんです。なぜなのかをみてみましょう。
組織の人間関係は破綻する運命にある
日本では3割程度の人が職場の人間関係に疲れている、ストレスを感じているそうです。体感的にはもっと大きいですが、別の研究では生産性に最も影響するのは労働時間や休憩時間、賃金や労働環境ではなく、人間関係であると言われているので深刻な問題です。
しかしそもそも筆者は、職場の人間関係に期待しすぎるのも問題だと考えているようです。というのも、組織の人間関係はいずれ破綻する運命にあるからです。
ニューヨーク大学とコロンビア大学の共同研究から、組織に人が集まると「傍観者効果」が働くことがわかっています。傍観者効果は「自分がやらなくてもいいだろう」と無意識に考えてしまう心理のことで、ある研究では、一人の時の力を100%とした時、二人の場合は93%、3人の時は85%、8人の時は39%と、人が増えるほど発揮する能力が減ってしまうそうです。
8人集まれば本来800%の力が出るところが、300%くらいしかでなくなってしまうんです。もちろん1人で100%出し切るよりもいいですが、なかなか衝撃的ですね。これは「リンゲルマン効果」や「社会的手抜き」と呼ばれる現象で、しかも本人たちは自覚していない(100%出し切っていると思い込んでいる)こともわかっています。
あなたが仕事へのモチベーションを維持し、仕事に積極的に取り組み、より高い収入を得たいと考えるなら、働きの悪い上司や、意欲やモチベーションの低い同僚に期待したり、不満やストレスを抱えたりしている場合ではありません。
傍観者効果やリンゲルマン効果が作用してしまう以上、組織において、そうした人が一定数生まれてしまうのは仕方がないことなのです。
引用:24-TWENTY FOUR 今日1日に集中する
だからこそ、ハーバード大学の幸福の結論は「信頼できる人間関係が1つあれば幸せになれる」なんです。いい組織で、いい人間関係に囲まれるなんてことは無理。そうじゃなくて、本当に大切にすべき人間関係を見極める必要があるんです。
ハーバード大学の研究では、家柄や学歴、職業、その他様々な環境や年収、貯蓄ではなく、質の高い人間関係が人の幸福と健康に最も影響するとしています。しかもその人数は何人も必要ありません。たった1人でもいいんです。
本書では他にも組織の人間関係の悲惨な面をいろいろ教えてくれますが、言葉にしにくいので省きます笑。興味があればぜひ読んでみてください。
2種類の人間
本書は様々な研究結果から、迷うこと、考えること、情報を集めることの無意味さや、今に集中するための行動・マインドセット。そしてストレスを減らし、目標達成に近づき幸福になるための人間関係について教えてくれます。
そんな本書が最後に教えてくれるのhあ、世の中には2種類の人がいるということです。
- 物事を選ぶ前に、時間をかけて幅広い選択肢を検討することを好む「追求者」
- 判断の完璧さよりもスピードを重視し、最低限の基準を満たす選択肢の中から早急に選ぶことを好む「満足者」
言い換えると、最上のものを求める追求者と、十分にいいものを求める満足者という2種類です。
さて幸福な人生を送るのはどちらか?かなり端折って紹介しましたが、この記事をここまで読んだ人ならすぐにわかると思います。
追求者はそこそこいい選択肢があっても、さらに探し続け、後悔のない完璧な結果を追い求めます。しかし世の中に完璧なものはほとんどありません。どれだけ吟味してもそのあともっとよい選択肢を見つけて後悔してしまいます。
妻はおそらく追求者タイプ…この間もドンキで割安のジュースを見つけて買ったのですが、近くのスーパーでもっと安く売られているのを発見して落ち込んでいました。僕はまあそんなこともあるし、定価よりは安く買えたんだしいいんじゃね?って感じですが笑
一方、満足者は自分の中で最低限のラインだけ決めておいて、そこをクリアしていたらOKt考えます。
彼ら(満足者)は、自分の中に明確な基準を持っており、かつ、「世の中に完璧なものなどない」「絶対的な正解はない」と考えています。そのため、足りないものを憂いたり、物事のネガティブな面に注目したりするのではなく、自分が下した判断のポジティブな面に目を向け、楽観的にとらえ、目の前のものを感謝して受け入れることができるのです。
<中略>
シュワルツ教授は、「追求者はすべての選択肢を試すことができず、ある段階で選ぶことを強いられるため、後悔しがちだ。追求者は良い選択をして、それを悪かったと思い、満足者は良い選択をして、それをよかったと思うのだ」と語っています。
引用:24-TWENTY FOUR 今日1日に集中する
シュワルツ教授は満足者、追求者という考え方を提唱した心理学者の一人。どちらも良い選択をしているのに、それに対する真逆というのが面白いですね。
今日1日に集中するかどうかに限らず、人生は選択の連続です。スマホを開くのか本を開くのか、勉強するのかテレビを見るのか、そうした選択の積み重ねが人生です。
長期的に重要な目標の優先順位を上げた方がいいなどのポイントはあるものの、なんであれ選択して何かを行います。だったらたとえコイン投げで決まった選択肢でも満足できる。そんな満足者として生きることが、幸福な人生への一番のポイントなのかもしれませんね。
この記事を書いた人
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かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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