こんにちは。夫です。
今回は前回に引き続き、ホリエモンと山崎元さんの「お金の増やし方&稼ぎ方」を紹介します。
前半では
- お金の正体は信用の数値化
- マイホームは最も不合理な買い物
- 投資するならこのインデックスファンド一択
などなどを取り上げたので、もし見ていない方はぜひこちらもご覧ください。
前半の記事はこちら↓
それでは本書の後半「お金の稼ぎ方」「お金と人生」を見ていきましょう。
合理的にデカく稼げ!
まずは「稼ぐ」です。いくら守り・増やすことを学んでも、稼ぐことができなければそもそも守るものがありませんし、増やすもとがありません。投資にハマりすぎると自分で稼ぐことへのフォーカスが落ちてしまいますが、結局のところ資産形成の大部分は自分が稼ぎ出した額に依存します。
会社は他人を利用するための仕組み
会社とは何か?受け身の人は「お給料をくれるところ」なんて答えるかもしれませんが、ホリエモンは「他人を利用するための仕組み」だと言います。
会社には営業力がある人、企画力がある人、経理に通じている人など、いろんな強みを持った人がいます。違う強みを持った人同士が違いを利用しあっているのが、会社という組織です。だから個々人は自分の得意なことに集中して、技能・キャリアを磨き上げていくことができます。
同感です。僕はフリーランスだった時期があるんですが、営業から経理まで全部自分でやらないといけないのがしんどくて…自分が得意じゃないことのためにリソースを使うのがしんどいので、月100万円稼げてもフリーランスに戻るつもりはありません。
繰り返すが、会社とは他人を利用するための仕組みだ。あなたには業務を他人に任せる権利があり、それは相手も同じだ。上司、同僚、部下、取引先。そうした相手とウィンウィンの関係を形成するのが会社という場の本懐である。
<中略>
会社の持つリソースを最大限に活用して、さらに自分の価値を高める。そうすれば給料も上がるだろう。それでも上がらない?なら転職だ。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
人材価値だけが頼りになる
山崎元さんは本書で、次の計算式を紹介しています。
イメージしやすいですよね。基本となる能力がある人と、能力に加えて実績がある人なら、後者により高い給料を払いたいと考える企業が多いはずです。
その後ろの「時間」という項目がユニークだと思いました。ここでいう時間とは、働ける時間、つまりは若さです。同じ程度の「能力+実績」があるなら、より長く働くことができる、つまり時間を持っている若い人の方が有利ですよね。企業側からすれば、より長く働いて価値を生み出し続けてくれることや、さらに能力を習熟させてくれる可能性が期待できるからです。
さらにこの項目は”掛け算”になっていますよね。それくらいビジネスパーソンにとって若さは強力な武器だということです。そんな時間に軸を置いたキャリアプランニングがこちらです。
28歳に「試行錯誤の期限」とあります。つまり、28歳を超えてから全く新しいキャリアを築き始めるのはかなり難しいということ。28歳までいろいろな仕事を試行錯誤して、そこからは実績を作る期間です。そして35歳くらいに人材価値が確定します。そこでしっかりとした実績を作り、人材価値が高まればセカンドキャリアを考える時もスムーズにいきます。
残酷なようですが、一定の事実があると思います。綺麗事抜きに、40歳、50歳で転職するなら相当な実績と能力が必要ですが、20代なら若いというだけで転職できる可能性もありますからね…
だからこそ山崎元さんは、自己投資は早いうちにやれと言います。「時間」は掛け算なので、少しでも長く使った方がいい。そのためには少しでも早く能力を高める必要があります。
山﨑元さんは金融・投資のプロフェッショナルですが、若い人に株投資をやれとは言いません。若いうちの自己投資は、株式よりも圧倒的にリターンが大きいからです。投資の正しい順序は「自分の人材価値への投資→運用商品への投資」です。
僕は投資をやり始めて「もっと早くやっておけば…」と思ってしまいましたが、その代わりに10代後半から20代前半は、バイトや仕事で稼いだお金の大半を本やセミナー、教材などの自己投資に充てていました。それがなければ今の仕事に就くこともできなかったでしょうし、しっかり稼いで投資に回すということもできなかったと思うので、結局は良かったんだと思います。
仕事環境に投資しろ
しっかり稼ぐには、能力を高めるだけでなく、能力が発揮できる環境を作ることも大切です。本書で語られているのは大きく「仕事道具への投資」と「職住近接」です。
まず「仕事道具への投資」は当然ですね。僕はPCを使って仕事をしていますが、PCのスペックは仕事のパフォーマンスに直結します。なので、基本的に最新のMacBook Pro、iMacを使っています。新型が出るたびに買い替えるとはいきませんが、5〜10年みっちり使うなんてことはありません。長くても3年で買い替えていると思います。
ホリエモンは仕事の大半をスマホで行っているので、新型iPhoneが発売されたら速攻で最上位スペックのものを買うそうです。iPhoneで動画編集とかをしているわけではなく、普通にSlackやLINEを使っているそうですが、ごくわずかな処理速度の違いなどが、積もり積もると大きな差を生むため、毎年最新&最上位版に投資しているんです。
続いて「職住近接」ですが、その前に「時間」の重要性を見てみましょう。人材価値を決める最も大きな要素が時間だったように、日々のパフォーマンスを大きく左右するのも時間です。1日8時間しっかり働いている人と、8時間働いているつもりで実際には2、3時間しか働いていない人とでパフォーマンスに違いがでるのは当然ですよね。
ホリエモンは常々「電話してくる人とは仕事をするな」と言っていますが、その理由も時間にあります。電話とは相手の時間に乱入してくるツールです。
人間は24時間という限られた時間のなかで生活している。寿命は人それぞれだが、誰にとっても「ライフ・イズ・タイム」なのは間違いない。時間はかけがえのない財産である。いくらお金を持っていても、残された時間が短ければ意味がない。相手に電話をいきなりかけるのは、大げさではなく相手の寿命を削っているのと同じだ。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
そこまで時間にこだわるのですから、「通勤時間」にも当然シビア。そこで「職住近接」です。
通勤に片道1時間もかけるのは無駄でしかありません。朝の最も脳がクリアに働く時間を満員電車のストレスフルな場所で浪費してしまうのはあまりにもったいないですよね。リモートワークが人気なのはシンプルに通勤時間という無駄が省かれるからです。
山崎元さんは「通勤時間」をコストとして考えるよう言います。例えば年収500万円で1日8時間、年間250日働いている人の時給は2500円になります。
もしこの人が往復1時間かけて通勤していたら、月に5万円ものコストが発生していることになります。つまり、郊外に引っ越し往復1時間かけて通勤することで家賃が5万円以上抑えられるなら、職場から離れる価値はあるが、それ以下なら会社の近いところに住んだ方がメリットが大きいということになります。
もちろんこれには満員電車のストレスや移動の疲れなどを考慮していないので、実際にはもっと大きく家賃が下がらないとメリットがないと思います。家賃が20万円から5万円になるくらいの差がないと、郊外に住むメリットはないかもしれませんね。
FIRE願望は貧しい
さあいよいよ最後の章「お金と人生」です。結局、お金とどう向き合うかはどういう人生を送りたいか次第です。
僕の友達にはアーティスト活動をしていてとにかく”今”にフォーカスを充てている人もいます。そういう人生感なら、”将来”のために貯蓄したり、投資したりする必要はありませんよね。そもそも貯蓄すべきか、お金を稼ぐべきかなどは人生観によります。
そんな「お金と人生」ですが、いきなりホリエモンが「FIRE願望は貧しい」と言います。
過去多数のFIRE本を紹介してきた我々夫婦としては聞き逃せない言葉です。笑
↓過去に紹介したFIRE本
FIREをざっくり説明すると、年間支出の25倍の資産を築いてインデックスファンドで安定的に運用して4%程度のリターンを得れば、運用益と生活費がトントンになって資産が目減りせず経済的に自立できる、という考え方です。
このFIREについて「そんなに仕事が嫌なのか?」「嫌な仕事を何年も続けて資産を築くなんて馬鹿げている」「早期リタイアなんて御免だ!と言えるほうが幸せ」と言います。
過去の記事でも書いていますが、FIREに対する意見は100%同意です。僕は資産収入だけで生活できるようになっても仕事を辞めるつもりはありません。お金はあるに越したことはないと考えているので資産形成は頑張っていますが、それは仕事を辞めるためではなく、やりたいことと出会った時、自由にお金を気にせずできるように貯めています。
金融・投資の専門家である山﨑元さんもこの意見に同意されていて、FIREを目指す人を見ると「そんなに仕事がつまらないのか!それは大変だ!」と感じるそうです。
FIREを目指す過程で陥ってしまう罠が、過度な節約によって人的資本への投資が少なくなり、人生において莫大な機会損失が出てしまうリスクがあることです。頑張って節約して、数十年後に見事FIRE達成した時、「つまらない人間」になっている可能性があるということです。
FIREを達成したら、仕事など社会的責任を負う必要もなく、悠々自適な生活ができるようになりますが、ホリエモンは「そもそも悠々自適はボケ一直線」とも言います。
これはある産業医から聞いた話だ。65歳以上の人のうち、社会的責任を負っている人と、さして負っていない人とでは、寿命が7〜8年も変わるらしい。
たとえば、町内会長やマンションの管理組合の役員などをやっている人は年老いてからも元気で長生きする傾向があるのだという。彼らはややこしい人間関係と対峙しないといけない。でもそれが張り合いになる。適度な忙しさとストレスは健康維持に貢献するそうだ。
だからFIRE生活なんて目指すべきではない。日々、やりがいを感じて暮らしている僕の母のような人生を送ってほしい。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
もちろん、やりがいを感じて暮らすためにある程度のお金は必要なので、資産形成そのものは非常に大切だと思います。が、いつも「何もしてないのに疲れた〜」という妻よ…日々伝えているが、何もしていないのに疲れたのではなく、「何もしていないから」疲れたんだよ…人間には適度な忙しさやストレスが必要なんだ…
”地位財”の追求は幸福を遠のける
お金を稼ぐ、貯める、守ることの最終的な目的は、それによって何かを得ることです。単純に「俺には資産がこれだけあるんだ!」という優越感や「これだけあるから老後も安心だ」という安心感かもしれません。「将来は大きな家に住みたい」「フェラーリに乗りたい」「豪華クルーズ旅行にいきたい」などかもしれません。
いろいろな目的があっていいと思いますが、山崎元さんは「地位財の追求から降りないと幸福が遠のく」と言います。
地位財とは不動産や車、アクセサリーなど、自分の経済力を誇示できるタイプのものです。基本的には他社との比較によって価値が決まります(あいつよりいい車に乗っている、平均よりいい家に住んでいる、など)。
逆に非地位財とは旅行やレジャーなどに充てる自由時間で、他人と比較することなく自分の感情で価値が決まります。
地位財の追求には終わりがありません。100坪の大きな家を買っても、隣には200坪の家があるとその隣と比較して幸福度が下がってしまいます。
地位財のラットレースを続けているかぎり、資産は増えにくいし、家計は圧迫される。非地位財が圧迫されるので、生活の満足度が下がりやすい。
この解決法は、地位財のレースを「一部」だけ意識的に自ら棄権することだ。たとえば「不動産から降りる」「着るものでは競争しない」などと決めるのだ。「家は快適に住めたら十分だ」と割り切ると支出はかなり枠になる。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
山崎元さんは幸福を「自由の拡大+他人の承認」と考えています。自分の欲しいものが手に入る、好きなサービスを受けられる、行きたいところに行ける、といった自由の拡大は幸福に直結しますし、そのためにはお金が必要です。お金と自由はトレードオフの関係にあり、会社で決められた時間働くなどは、自由を対価にお金を得ている行為です。そしてそれを認めてくれる「他人の承認」があればなお幸福感は高まります。
お金で解決する前に人を頼れ
ホリエモンは「人間関係が最大の保険」と言います。本当に困った時に助けてくれる仲間がいれば、保険はもちろん、貯金も必要なくなるからです。
山崎元さんも、人にお金を使うことには賛成していて、特に割り勘はするなと言います。気の知れた仲間と「奢り合う」ことで生まれるお金と感謝の循環サイクルは、人間関係に有効なお金の使い方です。
また貯蓄・資産形成する大きな目的は「万が一に備えて…」「将来が不安だから…」だと思いますが、それも人間関係で解決することができます。
人それぞれ、得手不得手がある。持ちつ持たれつなのだ。だから僕は迷わず人に頼るし、頼られたら無下にしない。頼られたら、それはそれで嬉しいものなのだ。自分が必要とされているということなのだから。
<中略>
お金しか頼れない。お金は裏切らない。そう息巻くような人間はつまらない人間だ。つまらない人間は孤立する。だから僕は何度でも繰り返し言う。お金を使え。人生を楽しめ。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
「人間の最大の罪は不機嫌である」とは、ドイツの詩人ゲーテの言葉だ。たしかに、イライラしても自分にとってろくなことはないし、自分の不機嫌を他人に感染(うつ)そうとする行為は、有害であると同時に見苦しい。
お金が感情に強く働きかけるものである以上、お金について不安を抱えていると上機嫌でいることが難しい。機嫌よくいるためにも、お金とは合理的に付き合おう。そして、「お金はお金が好き」ともいうが、お金は上機嫌でいる人のことも好きだ。
上機嫌でいれば、結果的にお金も自分のもとへ巡りやすくなる。私は、そう考えている。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
これすごく大切だと思います。正直、投資を始めてから人への投資が疎かになっていたと反省しています…いくらお金があっても、友達がいない寂しい人生はいやですからね。意識的に人間関係に投資して、お金と感謝の循環サイクルを作りたいと思います。
一番いい4つのお金の使い方
今回は前後編に分けて、ホリエモンと山崎元さんの「お金の増やし方&稼ぎ方」を紹介しました。
何が面白いって、経歴もキャラも全く違う2人が驚くほど意気投合している。ホリエモンがちょっと極端なことを言って、山崎さんが金融のプロとして現実的な選択肢を提示する、というものすごくバランスがいいコンビだと思いました。
本書の中で何度か出てきたのが、4種類のお金の使い方です。「消費・浪費・投資」ではありません。山崎元さんが「この4種類には意識的にお金を使え!」というものです。
その4つとは「能力・経験・時間・人間関係」です。
能力はいわずもがな、自分の能力を上げるためにお金を使うということで、本やセミナー、資格取得などがあります。
経験は幅広く、食事や旅行でもいいですし、働くこと自体も経験になります。例えば、一時的に給料は下がるけど貴重な経験ができる職種への転職は、経験への投資ということができます。
時間は、職住近接のように時間とお金をトレードする行為です。最新のiPhoneに買い替えて、仕事のスピードを上げるのも時間への投資といえますし、歩いて30分のところをタクシーで10分で行くのも、時間への投資といえます。
そして人間関係は、この記事の後半でも書いたように、お金と感謝の循環サイクルができるような仲間を見つけること、困った時に頼れる仲間を見つけるためにお金を使うことです。
ホリエモンは「人間関係があれば保険もお金もいらない」と言っています。実際、ほとんどの人は家族が苦しんでいたらお金に関係なく助けてあげると思います。そういう人間関係がたくさんあれば、お金なんてほとんどいらないのかもしれません。
本書は山崎元さんが書いているのでてっきり投資の本と思って買ったのですが、本書の最後で山崎元さんは「人的資本にお金を使い、そのあと余ったお金を資本市場に投資することは有効」とかなり控えめな言い方です。それくらい、人的資本への投資が大切だということですね。
お金のことなんかで悩むな。しょせんお金だ。お金は手段なのだから上手に使いこなせばいいだけだ。
そして思う存分、人生を満喫しよう。つまらない常識にとらわれず、やれることはすべてチャレンジしていこう。あなたの人生はプライスレスなのだから。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(ホリエモン)
あなたが本書を購入したことをすばらしい投資だったと思ってくれたら嬉しい。しかし、本を閉じたあと、またいつも通りの生活に戻るようでは、この本を読んだ意味が薄まってしまう。本書で得た知識を存分に活かしてほしい。本書で堀江さんが言っているように、やってみて初めてわかることが数多くあるのが人生だ。
引用:お金の増やし方&稼ぎ方(山崎元)
お金の本の最後に「しょせんお金だ」と言うのはさすがホリエモンという感じです。1時間で読める本をその何倍も時間をかけて記事にしましたが、それくらい中身の濃い本でした。ぜひ「素晴らしい投資」として本書を手に取ってみてください。
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この記事を書いた人
- かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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