地味だけど伝わる技術7選|バナナの魅力を100文字で伝えてください

ビジネス・マーケティング
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こんにちは。夫です。

今日紹介する本は数ヶ月前から本屋で見かけて気にはなっていた本「バナナの魅力を100文字で伝えてください」を紹介します。

秀逸なタイトルで、どの本屋さんでも平積みされているので気になっていたのですが、表紙的に「内容も軽すぎるかなー」と思ってました。でも本書を読んでみると驚くほど本質的。ちょっとした意識でカンタンに使える「伝わる技術」のオンパレードです。

ということで早速、本書で紹介されている全部で36もある伝わる技術から、僕が「これこそは!」と感じた7個をピックアップして紹介します。

その前に、本書のP24〜25にある「伝わる技術を身につけると起こるいいこと一覧」と「この本の使い方」を紹介しておきます。

「伝わる技術」を身につけると起こる(であろう)いいこと一覧

  • 課題解決の役に立つ
  • 自分の時間が増える
  • 伝わったことで状況が改善する
  • 余計なストレスが減る
  • 人と仲が良くなる
  • モテるようになる
  • 人の時間を奪わない
  • 営業成績が上がる
  • 仕事相手に喜ばれる
  • 会社が楽しくなる
  • 学校が楽しくなる
  • 文章や文字を書くことが楽しくなる
  • 頭の中がモヤモヤが減る
  • スッキリする
  • 夫婦関係が良くなる
  • 親子関係が良くなる
  • 自己肯定感が高まる
  • 自分のやっていることの価値を発見できる

引用:バナナの魅力を100文字で伝えてください

いいことのオンパレードですね。笑 僕はマーケティング関係の仕事をしていて、その中でもコピーライティング分野を専門にしていますが、これも一つの伝わる技術。自分の考えや思いを文字にしてアウトプットするのって、仕事や人間関係はもちろん、自分自身の考えを深めるためにも重要ですよね。

この本の使い方

  • 一度読んで終わりにせず、ぜひ何度も読み返してください。
  • 自分にとって大切な箇所に線を引く、思ったことを余白部分に書き込むなど、この本の内容を、ぜひあなたのものにしてください。
  • インプットで終わることなく、自分のケースにあてはめて、どんどん活用してアウトプットしていってください。
  • この本をきっかけに、あなた自身の「伝わる技術」を作ってください。
  • この本の袖は一筆箋になっています。メッセージを書いて、ぜひ大切な人にこの本をプレゼントしてください。

引用:バナナの魅力を100文字で伝えてください

本書を読み終わった後、もう一度この文章を読むと、たったこれだけの文章にも筆者の伝わる技術が溢れているなーと感じます。どの部分に出ているのか考えながら読むのも面白いですよ。

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伝わらないものは存在していないのと同じ

まず本書では「伝える」ではなく「伝わる」ことの重要性について、「伝えても、伝わらないものは、存在していないことと同じ」と言います。一生懸命作った商品も、顧客の目に触れなければ存在しないのと同じですよね。一生懸命作った企画書も、読んでもらって理解してもらわないと意味がないですよね。

本書があえて「伝える」ではなく「伝わる」という言葉を使っているのは、たとえ伝えても、伝わらなければ意味がないからです。無言で企画書を渡してちゃんと評価してもらえると思うのもまずいですし、一度行っただけで伝わったと思うのもまずいです。まして、「言わなくてもわかってくれるはず」という考えは真っ先に捨てるべきなんです。

コピーライティングを勉強し始めた時、繰り返し言われたことが「相手は読まない・信じない・行動しない」でした。メッセージを伝えて、理解してもらって、行動してもらうって本当に難しいんです。

伝わる技術7選

本書では「伝わるとは何か?」という部分を深掘りしていますが、この記事では早速本題、大トロの部分をみていきましょう。本書では全部で37の伝わる技術が紹介されていますが、ぎゅっと厳選して7個の技術を紹介します。

伝わる技術1:比較の法則

1つ目は比較の法則。人は比較されないと基準がわかりません。特に魅力や価値は比較することで明確になります。

「この商品は10万円です」とだけ言われても、高いのか安いのかわかりませんよね。でも「この冷蔵庫は10万円です。別ブランドの同スペックの商品は15万円するのでかなり安いですよ」と言われると安く感じますよね。これが比較です。

比較の法則はいろいろな場面で使えます。マーケティングでよくあるのは、弱みをあえて見せることで良い部分を引き立てる方法があります。例えば「見た目はイマイチだけど味は抜群ですよ」「価格は他社より高いですが、品質ではどこにも負けませんよ」などです。無印良品の「不揃いバウム」も不揃いであることをあえて全面に出すことで、価格の安さや品質の良さをアピールすることに成功しています。

伝わる技術2:フリオチの法則

お笑いで重要なフリとオチは、伝えたいことを印象付けるためにも効果的です。フリの役割は相手に「この先はきっとこうなるんじゃないか」とイメージさせることで、オチの役割はそのイメージを裏切るような意外性のある結末を用意することです。

例えば、ただ「うちの子が東大に受かったの」と伝えても、相手は「出来のいいお子さんですね」という感想しか抱かないでしょう。
でも「うちの子は高校2年生まで偏差値が35しかなかったんだけど…」というフリから「そこから頑張って、塾にも行かずに東大に現役合格したの」と伝えたら「ええ、すごい!一体どうやったんですか!?」と興味を持ってもらえるでしょう。

10年近く前の話題書「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」はタイトルでフリとオチが完璧ですよね。

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フリとオチは「足し算」と「引き算」の両方で考えると使いやすくなります。
例えば、「美味しい牛肉」に対して、「自然豊かな牧場で放牧され、人工飼料は一切なしで自然で健康に育った美味しい牛肉」というのは、前半部分が足し算のフリとして機能しています。
引き算のフリはマイナスの状態からのギャップをアピールします。「ブランド牛に敵わず潰れかけた農場が借金を抱えて牛舎が維持できなくなった。そこで残っていた牛をほぼ放し飼いで育てた結果、ブランド牛にも負けない美味しい牛肉が生まれました」というのは、引き算のフリです。

伝わる技術3:言いかえの法則

続いては言いかえの法則です。ストレートに言うとイマイチ伝わらない…そんな時に使える伝わる技術です。
例えば失敗した部下に対して「なんで失敗したんだと思う?」と聞くのではなく、「ここから改善するにはどうしたらいいと思う?」と聞くなどです。失敗と言われるとネガティブな思考しか浮かんできませんが、改善するにはと聞かれると素直にポジティブな思考が働くはずです。

先日紹介した「そのひと言でチームが変わる最高のフィードバック」でも似たようなことが書かれていました。どんなフィードバックも伝わり、受け入れてもらわないと意味がないので、近いノウハウが多いです。

そのひと言でチームが変わる最高のフィードバック
こんにちは。夫です。 夫 僕は広告・マーケティング関係の仕事をしていて、チームではほとんど毎日、広告クリエイティブや企画のフィードバックをしています。フィードバックの精度を高めていきたいなーと考えていた時に出会ったのが本書「そのひと言でチー...

他にもいろいろな言いかえがあります。「この仕事がつまらないんですよね」というのを「この仕事は工夫不足ですね」と言うとどうでしょう。前者には救いがなく、つまらないことに耐えるしかない印象ですが、後者であれば自分の工夫次第で面白くできそうな気がしてきますよね。

伝わる技術4:たとえの法則

続いては「たとえの法則」です。「売上◯千億」「世界150カ国以上に展開」などいろいろなデータを並べられるより、「化粧品業界のアマゾン」と言われたほうがなんだか凄そうな気がしてきますよね。

イメージしにくいものを身近なものに例えると一気に伝わりやすくなります。僕もよく「例えば〜」と本の内容をたとえ話にすることがあります。ちゃんと伝わっているものばかりではないと思いますが、少なくとも自分自身はたとえを一つ考えることで、そのものに対する理解がものすごく深くなるんです。

たとえの法則で大切なことは、伝えたい相手にとって理解しやすいものを選ぶことです。サッカー好きに対してであれば「神は細部に宿ると言うけれど、仕事でもディティールにこだわることが大切。サッカーで言うと球際だよね。基本的な技術で勝っていても球際が甘くて負ける、なんてことはよくあるでしょ」と言うと伝わりやすくなるかもしれません。でも相手がサッカーに興味がなければ「球際って何?」ってなりますよね。

伝わる技術5:数字の法則

続いては「数字の法則」です。以前紹介した「The Number Bias」にもあるように、数字は人類の共通言語。英語や中国語が読めなくても、その国で使われている数字は簡単に理解できます。

The Number Bias|全員が数字に騙される~数字のウソを見破る方法
こんにちは。夫です。 夫 今日はまたまた良い本に出会いました。その名も「The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと」です。僕は数字や統計関係の本が好きなのですが、この本はその中でもピカイチ。目を開かれるとはまさにこ...

例えば、「あなたは多くの人から選ばれました」ではなく「あなたは1000人の有資格者の中から選ばれました」と伝える。「この牛肉はとても希少です」ではなく「この牛肉は年間100頭しか出回りません」と伝える。「この話にはいくつかポイントがあります」ではなく「この話には3つのポイントがあります」と伝える。
どれも伝えたいメッセージは同じですが、数字が入ることで一気に魅力が増していると思います。

コピーライティングでも数字は絶大な効果を持つので、数字の使い方が上手い人はやっぱり成果を出します。本のタイトルでもよく数字が使われますよね。「人は見た目が9割」とか

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ただし数字であればなんでもいいわけではありません。「このプロジェクトの予算は◯兆円です」や「この牧場の広さは10ヘクタールです」といってもイマイチ伝わらないでしょう。でも「このプロジェクトは国家予算3年分です」「この牧場の広さは東京ドーム2個分です」なら伝わりやすくなります。

伝わる技術6:相手メリットの法則

次の伝わる技術は強力です。その名も「相手メリットの法則」。その名の通り、相手にメリットのある伝え方をするのですが、当然相手は自分にメリットがある話ならちゃんと聞いてくれますし、理解しようとしてくれるので伝わる確率がグッと上がるはずです。

例えばレストランで頼んだ料理がなかなか出てこない時、「もうしばらくお待ちください」とだけ伝えるのと「炭火でじっくり焼いているので時間がかかってしまいます。美味しい料理をお出しするので、もうしばらくお待ちください」と伝えるのとでは全然印象が違いますよね。
仕事を断る時にも「今は忙しいのでできません」ではなく「今このプロジェクトを成功させるための全力を注いでいるので今はできません。これが終わってからでもいいですか?」と伝えるだけで印象が変わります。

これは営業テクニックの本質ですよね。成果を出す営業はどこまでも相手目線。売り込み相手ではなく、一緒に事業を成長させるパートナーというポジションを得るので話を聞いてもらえるし、信頼されるんです。

相手メリットの法則を普段のコミュニケーションで使うには訓練が必要ですが、次の3ステップを意識するといいそうです。

1つ目は自分の頭に浮かんだ言葉をそのまま伝えないこと。頭にパッと浮かんだ言葉は「自分メリット」の言葉です。これをそのまま伝えると相手メリットになりません。
次のステップは、相手の頭の中を想像して、メリットとデメリットを考えること。例えば「Aさんはこの仕事を手伝って欲しいと思っている」「でも僕はプロジェクトBで手一杯」「プロジェクトBの成功はAさんにとっても成功である」のように考えます。
最後に、相手にとって優先度が高いことを、相手にメリットがあるように伝えます。

伝わる技術7:文脈の法則

続いては「文脈の法則」です。同じ言葉でも文脈によって真逆の意味になることもあります。例えば「徹夜でギターの練習をしていたなんてバカじゃないの」という言葉には、「徹夜でギターを練習していたなんてすごいな」というニュアンスがあります。一方「こんなこともわからないなんてバカじゃないの」という言葉には相手を非難するニュアンスがあります。
同じ言葉なのに、伝えたい意図、伝わる意図は全く逆。これが文脈の力です。

本書で紹介されている伝わる文脈は、

  1. 目的・ゴール
  2. 前文脈
  3. 後文脈

というテンプレートです。

まず最初に目的やゴールを伝えます。次に前文脈として、前提条件などを整理します。後文脈として、目的を達成した、達成しなかった場合の結果を伝えます。

例えばこんな感じでしょうか。

  1. 目的・ゴール…僕は君にワンランク上の仕事を任せたいと思っている。
  2. 前文脈…この間昇給したBさん、彼は半年前にあるプロジェクトの責任者を任されたんだ。結局そのプロジェクト自体は成功したとは言えないけれど、その時の頑張りや経験が評価されて昇給したんだよ。
  3. 後文脈…だから君にもこのプロジェクトにチャレンジして欲しいと思っている。もちろん君なら成功させられるだろうし、僕も全力でフォローする。でも失敗したとしても、その経験は社内での評価はもちろん、君にとってもいいものであるはずなんだ。

こう言われたらこの仕事を受けないわけにはいきませんね。上手い上司です…今度使ってみよう。笑 ちなみに僕は最近マネジメント系のスキルを勉強していて、先日読んだ「リーダの仮面」は最近部下を持つようになった新リーダー必読の一冊です。

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もう一つ紹介されている文脈の技術が、結論ファーストと結論ラストの使い分けです。説明が上手い人は結論から話すと言われますが、最初に結論を話すパターンと最後に結論を話すパターン、その両方を使い分けたほうが効果的です。
また結論を最初に伝える場合でも、その前に論点の確認、前提条件の共有を行っておいたほうがいいです。最初の結論で「それはないだろ…」と思われたら、その後の話も否定する前提で聞かれてしまうからです。

また、厳しいこと、重大なことを伝える時は、結論を最初に伝えないほうがいいでしょう。例えば、社長が朝みんなの前に出てきて「次のボーナスはゼロ。その理由は…」と話始めたら、全員「嘘だろ…」とその後の理由は頭に入ってこないでしょうし、その後の仕事にもやる気が出ないでしょう。
でも「気づいている人もいると思うが、我が社の状況は〜」とちゃんと説明した上で、「申し訳ないが会社を立て直すために、今回だけボーナスをカットさせて欲しい」と伝えたら協力が得られる可能性はグッと上がるでしょう。

バナナの魅力を100文字で伝える意味

ということで今回は「バナナの魅力を100文字で伝えてください」を紹介しました。

タイトルや表紙からわかる通り、図やイラスト、事例がたくさんあってめちゃくちゃ読みやすい本です。でも日々のコミュニケーションで意識すればすぐに使えるような伝わる技術に溢れているいい本でした。

実は「バナナの魅力を100文字で伝えてください」というタイトルにも、本書で紹介されている伝わる技術が隠れています。

「バナナ」には意外性や親近感に溢れています。別に「iPhoneの魅力を〜」「職場の魅力を〜」でもいいですが、面白みに欠けますよね。
「100文字」はズバリ、数字の法則ですね。100文字というのはイメージしやすい数字ですよね。「バナナの魅力を3万文字で伝えてください」だとイメージしにくいですが、100文字ならどれくらいの分量か、頭の中にイメージが浮かびます。
そして「伝えてください」という問いかけには、自分ごと化する働きがあります。「バナナの魅力を100文字で伝える方法」というのも面白いですが、どこか他人事ですよね。でも「伝えてください」と言われると、無意識に頭の中で「バナナの魅力か…酸味と甘味のバランスがよくて手を汚さずに食べることができて…」と考えてしまいます。

以前紹介した「分かりやすい文章の技術」「分かりやすい表現の技術」もデスクの上に置いて、定期的に読み直したい本でしたが、本書も時々読み返したい本です。最初から最後までじっくり読み返すというより、ちょっとした時に「こういう時はどういうふうに言うと伝わるかな?」というのをパラパラ探す感じで、「読む」より「使う」のにいい本です。

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この記事を書いた人

かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。

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