【映画・音楽の10年後】エンタメの未来2031

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こんにちは。夫です。

僕は趣味でバンドをやっています。コロナ前は月に2、3本のライブをして、ツアーを回ったりもしていたのですが、ここ2年ほどは活動内容がめっきり変わりました。YouTubeをメインにしたり、対策された小規模なライブを時々やったり…

僕に限らず、ここ数年で活動が大きく変わったアーティスト、広く言えばエンタメ関係者は多いと思います。もちろん、エンタメを楽しむ側にとっても、大きな変化があったでしょう。

そんな中、出会ったのが本書「エンタメの未来2031」です。

本書の著者、北谷賢司さんは、ワシントン州立大学の栄誉教授、金沢工業大学虎ノ門大学教授。大学時代はメディア経営を専攻し、コンテンツ&テクノロジー融合研究所の所長も務められています。TBSのアメリカ法人で副社長を務め、東京ドーム取締役、ソニーの執行役員、さらにエイベックス国際ホールディングス社長などテレビ、興行、音楽など幅広いエンタメ産業のトップクラスで活躍されてきました。NBAの日本興行を日本初開催するなど、スポーツにも関わっています。U2、マドンナ、マイケルジャクソン、ローリングストーンズ、エドシーランなど著名アーティストの日本公演をプロモートされています。

本書ではスポーツ、放送、演劇も深掘りしていますが、僕自身の関心が強い映画と音楽に絞りました。これらの未来に興味がある方はぜひ本書を手にとってみてください。

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エンタメの未来|100年に一度の大変革

著者の北谷賢司さんは30年以上、アメリカのエンタメ産業に関わってきました。プロフィールで紹介したように、アメリカのエンタメを日本に持ってくるという仕事もされています。その経験から「エンタメの変化はアメリカの7〜8年遅れでやってくる」と言います。

まずは本書の第1章、エンタメ産業全体にやってくる大きな流れを見ていきたいと思います。

エンタメはハイテクの産物

エンタメの未来を考える時の鉄則は、テクノロジーを見定めることだと言います。新技術はあらゆる産業のビジネスモデルを変化させますが、エンタメやコンテンツはより顕著です。
映画は白黒からカラーへ、さらに3DやCGへと新しい技術が生まれると共に変化していっています。最近ではiMAXや4DXのように、より多くの技術が投下されたハイテク映画館も登場しました。

確かに、最近話題のメタバースも、まずはゲームから始まっていますよね。NFTも無数の活用が期待されていますが、最初に火がついたのはエンタメ(ゲームとアート)です。さまざまな業界でスタンダードになったサブスクモデルも、音楽で一気に浸透しました。新しい技術はエンタメで試され、そこから他の産業に広がっていくのかもしれませんね。

この技術の進歩によって生まれる大きな変化が、エンタメによる境界線の突破です。
具体的には、エンタメとそれ以外という境界線はもちろん、リアルとバーチャル、提供者と消費者といった境界線もなくなっていくでしょう。

すでに多くのエンタメで時間や物量の境界はなくなっています。Spotifyを開けば24時間いつでも、一生かかっても聞ききれない音楽に触れることができます。ライブ配信を通じていつでも、例えばご飯を作ったり、洗濯したり、通勤途中にでも、アーティストと繋がることができます。

消費者は、仕事をこなし家族と過ごすのと並行して、選手やアーティストのプライベートを分かち合い、ファンのコミュニティを渡り歩き、架空のキャラクターと生活を共にする世界が訪れる。
こうしたトレンドは日常とエンタメの間の境界に止まらない。インターネットの浸透は、エンターテインメントの潜在的な可能性を制限してきた多くの壁を壊しつつある。
エンタメの未来2031より

さらに本書では、人間の本質は「遊ぶこと」であり、それを叶えるエンタメは幸福の鍵だと言います。だから多くの国でエンタメ産業がGDPの成長より早く成長しているんですね。

5G・VR・データ

エンタメとハイテクは切っても切り離せませんが、本書では特に注目している3つの技術があります。それが5G・VR・データです。

5Gが2020年に開始してから超光速通信が屋外でも可能になってきました。これにより誰もが4K/8Kといった超高画質を楽しむことができます。

8Kをスマホで見て楽しいのか、僕はちょっと疑問ですが、確かにメタバースとか高機能なクラウドゲームとか、ライブ配信とか、多くのエンタメが高速移動通信を前提に成り立っていますよね。5Gが当たり前になり、6Gが登場する2030年ごろにどんなエンタメが登場しているのか楽しみです。

VR(仮想現実)とAR(拡張現実)も注目すべき技術です。昨年から話題のメタバースが真のプラットフォーム、もう一つの世界になれるかはVR技術とVRを楽しむためのデバイスがどこまで進化するかにかかっているからです。
当然、1人一台VRヘッドセットを持つような世界になれば、エンタメの楽しみ方は変わるでしょう。
しかし本書では、VRの普及は「近くて遠い」と言います。その理由は、やはりヘッドセットの普及がイマイチだから。性能や価格の課題もあり、マニア向けデバイスという立ち位置から脱却できていません。しかし、ソニーやメタ・プラットフォームズが力を入れているので、今後10年のどこかで市場として立ち上がる可能性は十分にあると言います。

個人的にはアップルに期待しています。アップルがVRヘッドセットを出すという噂は結構前からありますが、全貌が見えません…iPhoneの衝撃から10年で世界が変わったように、アップルならやってくれるかもしれませんね。

次はデータです。データには2つの意味があり、1つはビッグデータによるパーソナライゼーションです。ネットフリックスはユーザーの好みを学習し、サムネイルやレコメンドを最適化していますし、さらにはそうしたデータを集めてどういう映画がヒットするかを分析したりもしています。これは映画だけではなく、音楽などでも同じことが言えます。

もう一つのデータは、NFTを活用したデータ販売です。NFTを使えば、バーチャルなコンテンツをリアルなものと同様に販売することができます。あらゆるエンタメ作品がバーチャルなデータとして存在していますし、その大半には価値がついていません。それに価値がつくとなれば、計り知れないほどの市場規模があるだけでなく、多くのアーティストは活動方針を変えるでしょう。

アメリカのプロバスケットボールNBAはすでにNFTを活用しています。スーパープレーを収録した動画クリップをNFTとして販売し、中には2300万円もの値段がつくなど、興行的にも大成功になりました。
音楽でもデジタルアルバムをNFTで販売し13億円もの売上になりました。

ただし、筆者もNFTについてはバブルに終わる可能性もあると警鐘を鳴らしています。確かに最近の値段のつき方はバブルに近いと思いますが、バブルを乗り越え、試行錯誤を繰り返す中で有望な使い方が見えてくるでしょう。

FANGがエンタメを支配する

本書では「GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)」と書かれていましたが、個人的には「FANG(Facebook、Amazon、Netflix、Google)」の方が適切かなと思いました。というのもやはりエンタメを今大きく動かしているのはネットフリックスだからです。

ネットフリックスは以前から膨大な製作費を投じることで知られていました。2019年には1兆6500億円と膨大な資金をコンテンツに投じました。これは同年の北米の映画興行収入を超えるほどの額です。しかしネットフリックスだけではありません。ディズニーは2021年に2兆7000億円を費やしました。

製作費が最高額の映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」が400億円ほどなので、史上最高額の超高額映画が70本近く製作できるコストを1年間に費やすわけです。

消費者としては物凄い作品が出てきそうで嬉しいですが、僕は過去、クラウドファンディングで300万円ほど集め、映画を作るプロジェクトに携わったことがあります。そういう小規模の作品も面白いものが多いですし、そうしたものこそ世に出ていってほしいので少し複雑ですね…

そしてエンタメ投資の増加はますます進み、データを飲み込んで大きく成長することで、今後は全てのエンタメを1つのプラットフォームで横断できる統合的なサービスがメインになっていくと言います。

アマゾンはAmazon Music、Prime Video、Kindleなどあらゆるエンタメを提供しています。アップルもアメリカでは映画、音楽、ゲーム、新聞や雑誌まで全て楽しめるアップルワンを提供し始めました。

GAFAなど超巨大企業がエンタメに乗り込む理由は、顧客データを集めるためです。エンタメの利用、購買には個人の好みが色濃く反映されるため、広告ターゲティングに使えることはもちろん、将来的な事業展開にも応用できます。

エンタメはもっと草の根的というか、雑多に色々ある中で偶発的に生まれてくるのも面白いと思うのですが、、、GAFAが支配して全てがデータになる。データをもとに意思決定が行われるエンタメというのは、本質的に面白いのか疑問が残ります…

映画の未来

ここまでは本書の第1章、エンタメ業界の未来の総評から興味深いものをピックアップしました。
本書を読んで強く実感しましたが、テクノロジーとエンタメの関係は想像以上に密接です。テクノロジーの将来性を知るためにもエンタメ業界にアンテナを張っておくことは大切そうですね。

ポジティブな面もあれば、僕のように趣味で好き勝手やってる人間にとっては息苦しくなりそうな予感もあります。何はともあれここからは各論。まずは映画です。

サブスクによる多様性の復活

映画のサブスクサービスはたくさんあります。ネットフリックス、ディズニー+、Amazonプライム、、、そんな中、各サービスの差別化が進んでいて、それぞれがオリジナル作品を作り独占配信するだけでなく、ネットフリックスは追加料金なしでゲームも提供することを決めました。

サブスクサービスは長期間契約してもらうことが重要なので、各社は顧客を満足させ続ける施策を次々と生み出しています。

こうした傾向を本書では、データをもとにした機械学習により個々人に最適化され「全作品ハズレなし」の未来がくると言います。消費者としては便利な反面、面白くない作品をいろいろみていてようやく出会った最高の作品!という体験ができなくなる寂しさがあります…

一方で、こうした傾向からエンタメに多様性が復活してきています。各サブスクサービスは継続してもらう、つまり満足度を高めるために、1人1人の嗜好に寄り添ったコンテンツを用意しようとします。そのために、一般受けしなくても一部の顧客を喜ばせる作品が増え、評価されるようになるのです。

最近の映画はハリウッドを中心にジャンルの偏りが生まれています。20年前に比べ、ドラマやコメディが減り、アクションが増加しました。その理由はシンプルで、アクションの方が大ヒットが狙えるからです。

そんな中、ネットフリックスをはじめとするサブスクサービスは、ロマンスやコメディ、ドラマに力を入れています。
サブスクサービスで作品をリリースする時、場所も時間も制限がありません。一瞬で全世界に2億人以上いるネットフリックスユーザーにアプローチできるわけです。

なるほど。データ活用の行き過ぎで個性的な作品が生まれにくくなるように感じましたが、逆にこれまでGoが出なかった尖った作品もサブスクならリリースできるかもしれないんですね。

人気コンテンツはより長尺に

TikTokが大ヒットし、Instagramではリール、YouTubeではショートという形で、各プラットフォームが短編動画に力を入れています。

僕は広告・マーケティング関係の仕事をしているのですが、YouTubeの動画広告もどんどん短くなって6秒のバンパー広告を出稿する広告主が増えています。僕の経験では2、3分の広告動画のほうが費用対効果はいいんですけどね…

一般的にはどんどん短くなる動画トレンドですが、本書では「人気コンテンツはより長尺になる」といいます。

今後のコンテンツの傾向としては、同じキャラクターが登場し、1つの世界観で統一された、長時間のコンテンツが増えていく可能性が高い。あたかも日常と並行して別の世界でストーリーが進行し続けるような格好である。
エンタメの未来2031より

このトレンドには製作者と消費者の両方にメリットがあります。製作者は人気コンテンツを1つ作れば、それを展開していくことで消費者を引き止めることができます。消費者も自分の好きな世界観をずっと楽しみ続けることができます。

実際、アマゾンがMGMを買収したのは同社が「007」という1つの世界観で統一された長時間のコンテンツを保有していたことが大きな理由でしょう。

特にサブスクサービスでは、こうしたシリーズを自宅で、追加コストをかけず一気見することができます。アメリカの調査では、サブスクサービスを契約する理由の第1位は「見たい番組がある」ですが、ほぼ同票で2位だったのが「一気見できる」だったそうです。

ちなみにこれはZ世代でも同様です。Z世代は注意力が散漫で、1つの番組を集中してみるのが苦手と言われることがあります。それがテレビ業界が苦戦する最大の理由と思いますが、実際にはZ世代も”面白ければ”長時間の動画を見てくれることがわかります。

(中編ドラマをメインにZ世代をターゲットにしたスタートアップが大失敗した例を挙げて)この失敗は、必ずしも短いコンテンツの有効性を否定しないが、若者を虜にする短時間の有料番組を作る手法が確立していないことを露呈した。今のところ、たとえ長時間にわたっても、Z世代でも目を離せないほど面白いコンテンツを作り続ける方が有効な手段のようだ。
エンタメの未来2031より

この傾向は面白いですね。僕もYouTubeで教育系動画をよく見ますが、10分以下だと内容が薄そうで逆に見ません笑。「面白いか?」「楽しめるか?」「満足できるか?」という本質的な部分を突き詰めれば、時間は重要ではないのですね。

音楽の未来

それでは続いて音楽の未来も見ていきましょう。映画の未来は巨大プラットフォームが莫大な資金を注ぎ込み、草の根的な活動が淘汰されそうな一方、より個々人に寄り添ってニッチなエンタメが生まれてくるという良い面・悪い面の両方が垣間見えました。

冒頭でも触れたように僕は今でも趣味で音楽活動を続けているので、音楽の未来は他人事ではありません。僕のような趣味で楽しむ小規模なアーティスト集団にも楽しめる未来があるのでしょうか…

ストリーミングが支配する

音楽の未来を語る上で外せないのが、Spotify、Apple Music、Amazonプライムミュージックに代表されるストリーミングです。

音楽メディア別売上シェア:エンタメの未来より

こちらは本書で紹介されていた音楽市場のメディア別売上高です。日本でもストリーミングが浸透してきた印象ですが、海外と比べると全然。まだまだCD中心のようです。
問題は、世界市場ではCD販売の落ち込みをストリーミングがカバーして、市場全体としては大きくなっているのに対し、日本ではストリーミングが伸び悩み、CD販売にしがみついているため市場全体が縮小していることです。

本書では、CDにこだわる日本市場がジリ貧になり、成長を目指すのであればストリーミング中心の体制に移行すべきことは明らかだといいます。

日本は海外と違い国土が狭く流通しやすいこと、CDショップが全国どこにでもあること、握手券や投票券を付けるといった独自のマーケティングによって今でもCDが強いようです。個人的にはCDのパッケージ、ジャケットも含めて1つの作品だと思っているので、それ自体が悪いことだとは思いませんが…

過度の競争による歪み

もちろんストリーミング中心に移行することは、消費者の利便性や世界市場での勝負という点では重要ですが、無条件に歓迎できるものではありません。

本書でもストリーミングの負の側面を教えてくれています。

Spotifyはマージンを少し大きく支払うことでSpotifyが自動生成するプレイリストに加えやすくする「ディスカバリーモード」という機能を発表しました。この機能を使った曲はリスナーが40%も増加したそうです。これはまだファンが少なく、プロモーション資金が少ないアーティストにとっては魅力的なプランです。
このサービスを問題視する動きもあります。当然、すでにファンがいるアーティスト、プロモーションに資金を投じることができるアーティストもこのプランを使いたいと考えるでしょう。もし全員がこのサービスを利用すれば効果がなくなり、Spotifyだけが儲かることになります。

これは確かに、長期的にはSpotifyだけが得をするサービスな気がしますね…アメリカでは議会が詳細な機能説明を求めるなど、問題視する動きが広がっているようです。

また、ストリーミングで何千万曲が同時に競争することになったため、過度な競争が音楽の形を変えていることも問題です。最近のヒット曲はタイトルは短く、テンポは早く、イントロは短くという顕著な傾向が出ています。
これは気軽にスキップされるストリーミングで、少しでも長く聞いてもらうための工夫ですが、音楽の多様性が失われていることは事実でしょう。

CDショップでは限られたCDとの競争です。少しお金をかけてブースを作ってもらえば一気に注目されます。でもストリーミングでは数千万曲が横並び。しかもビートルズやクイーンなど伝説的アーティストも同じ位置で競争することになります。

さらにストリーミングが超薄利であることも、競争によって音楽が歪められている理由の一つです。
Spotifyの場合、毎月10万人に聞いてもらっても、年間の収益は100万円に届くかどうかというレベルなのだそう。しかもこれはSpotifyからの支払いなので、アーティストの収益はもっと少なくなります。

さらにコロナ禍でライブもダメになりました…10万人リスナーがいても生活できない。ライブもダメとなれば、音楽を歪めてでも再生数を稼ごうとするのは仕方ないのかもしれませんね…

超現実ライブとNFT

ストリーミングの普及はアーティストに聴いてもらうチャンスを作りましたが、一方で収益の大幅な低下を招いてしまいました。
そんな中、還元率が高い独立系のストリーミングプラットフォーム「サウンドクラウド」やアーティストに直接サブスクサービスを提供するプラットフォーム、投げ銭のような形で収益を分配するものなど、さまざまな方法が模索されています。

そんな中、やはり大きな収入源として注目されているのがライブです。従来型のライブはコロナで壊滅しましたし、そのまま元に戻ることはないでしょう。
しかし、リアルタイムなコミュニケーションが取れるライブ配信やメタバースを活用したVRライブなどは広がっていくと考えられます。

僕もコロナ禍が始まった時、オンラインライブの機材を揃えて配信ライブにチャレンジしました。その時の機材やセッティングは「実際に揃えた【ライブ配信の必須機材5選】」という記事で紹介しています。本の紹介ではありません笑

実際に揃えた【ライブ配信の必須機材5選】オーディオインターフェース、マイク他
こんにちは。夫です。 夫 今日は珍しく、本の記事ではなく音楽の記事。ここ数年大きく注目を集めたライブ配信で必要な機材について書いていきたいと思います。 というのも、僕は趣味で音楽活動をしているのですが、2020年からのコロナ禍で思うように音...

2021年、アリアナ・グランデはフォートナイトで20分ほどのバーチャルコンサートを実施。このコンサートにはなんと1200万人以上のリスナーが集まったそうです。
リアルなライブ会場で1200万人を集められる場所は存在しません。でも広さの制限がない仮想空間上では可能になります。

もちろんライブ配信やVRライブの体験にはまだまだ課題もありますが、超高性能ヘッドフォンやディスプレイ、VRヘッドマウントなどが普及すれば解消されていく部分も大きいでしょう。オンラインで行われる超現実ライブ、つまり現実では実施不可能な演出を取り入れたライブは、今後の音楽市場で一定の位置を占めるはずです。

もう一つがNFTです。ストリーミングがアーティストの収益を下げた大きな要因は、モノではないため単価が安いことにあります。では、デジタルデータをモノのように取引できるNFTを使えばどうでしょうか?

すでにさまざまな取り組みがあり、一部ではバブル的な動きも見られます。一般に普及するにはまだまだ時間がかかるでしょうが、アーティストにとって魅力的な手段であることには違いありません。

アーティストがNFTを出すってすでにいくつか事例がありますよね。数に制限がないデジタルデータでも初回限定版として販売したり、ジャケットや歌詞カードなどストリーミングで失われたアートワークをNFTとして売り出すなど、いろいろな活用が考えられそうです。

アーティストはテクノロジーにチャレンジを!

ということで今回は北谷賢司さんの「エンタメの未来2031」を紹介しました。

かなり内容が濃く、僕自身がピンときた部分に絞って紹介しましたが、エンタメの未来、面白そうですね。特に最初に紹介した「エンタメはハイテクの産物」というのは新鮮でした。エンタメってどこか古い、テクノロジーによる変化が遅いイメージがありましたが、全然そんなことありません。

長くなったので省きましたが、音楽の未来「ファンコミュニティのあり方」も個人的には刺激的だった部分です。僕は趣味で音楽活動をしていますし、映画制作に携わったこともあ流のでその2つを中心に紹介しましたが、本書では他にもテレビやスポーツなど、他のエンタメ産業にも触れられているのでぜひ読んでみてください。

本書の最大の魅力は、ただ良い面を取り上げるのではなく、その裏側、弊害にも触れてくれることです。ということで僕の個人的な総評は、消費者はテクノロジーの進歩によってエンタメをより楽しめるようになる一方、提供者、アーティストは苦労しそうだな、、、という感じ…僕自身はアーティストとして、どんどん新しいテクノロジーにチャレンジしていきたいと思いました。

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この記事を書いた人

かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。

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