こんにちは。夫です。
株式投資、やってますか?Intro Booksの他の記事をご覧の方はご存知と思いますが、我々夫婦、貯金ほぼゼロの金融劣等生だったのですが、2020年からお金の勉強をはじめ、投資もはじめました。わずか1年で同年代世帯の平均貯蓄額を超えたので、そこそこの金融優等生になれたかなと思います。
ということで、日々お金の勉強を続けているわけですが、一旦勉強し始めるとどんどん深堀りしていきたくなるものです。
これまで日本人が書いた優しい本(Intro Booksで最初に紹介した本は両学長の「リベラルアーツ大学」でした)で勉強していましたが、金融の本場アメリカの本も読むように。
そして今回、「投資やってるのにこの本知らないとか、音楽やってるのにビートルズ知らないくらいやばい」と言われる(僕が勝手に言ってます)歴史的名著、「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読みました。
これまで読んできた本よりはちょっとむずかしいですが、めちゃくちゃおもしろい。目からうろこというか、この本を読んだだけで投資家としてレベルアップした気分。歴史的名著と言われるのも納得です。かなりボリューミーな本なので、前編・中編・後編の3回に分けて紹介します。
ウォール街のランダム・ウォーカー
この「ウォール街のランダム・ウォーカー」という本、初版はなんと1973年。いまから50年近く前です。そこから改定を重ね、全米累計150万部。超ロングセラーですね。
ちなみに今の最新版は第12版で、2019年に出版されました。僕は中古で11版を購入しました。最新版ではないですが、2016年出版なので、そこまで大差ないと思います。せっかく読むなら、ぜひ最新版を読んでみてください。僕も13版が出たらすぐ買いたいと思います。
- オイルショックさなかに発生し、世界中で1日の最大暴落率を記録した1987年の「ブラックマンデー」
- ハイテク企業が中心に暴落しNASDAQが回復するまでに15年もかかった2000年の「ITバブル崩壊」
- サブプライムローン問題をきっかけに世界的金融不安を招いた2008年の「リーマン・ショック」
代表的な株価暴落のイベントを挙げましたが、他にも「アップル・ショック」や「チャイナ・ショック」など小さな暴落、金融不安は数年に一度発生しています。
その間、株式市場は大きく変わってきました。例えば今話題のETFなんてものもほとんどありませんでしたし、この10年市場を牽引してきたGAFAMはまだ創業もされていません。
新興国株なんて、まだ誰も見向きをしていなかったでしょうし、その頃の日本人であればおそらく米国株に投資する手段さえなかったでしょう。
何度も改定を重ねる中で微調整をしているものの、そんな時代から一貫したメッセージを届け、今も読まれ続けているのが本書「ウォール街のランダム・ウォーカー」です。
そのメッセージとは、「インデックスファンドに投資しろ」です。
ちょっと待って下さい。結論がわかったからといって読むのをやめようとしないで。確かに本書のメッセージは「インデックスファンドに投資しろ」というだけなんですが、その理由を500ページくらいみっちり説明してくれています。投資する上で大切なのは、なぜかを理解することです。ウォーレン・バフェットも言っているように、理解せず投資するのが一番危険ですから。
本書を世に出してから40年以上の歳月が流れた。本書の初版で私が発したメッセージは「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネージャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックスファンドを買ってじっくり持っているほうが、はるかによい結果を生む」という単純明快なものだった。
<中略>
それから40年以上経った今、私はこの考え方に一層確信を持つようになった。というのも、それが今では実際の運用結果によって裏打ちされているからである。「ウォール街のランダム・ウォーカー」第11版へのまえがきより
だったらなぜ何度も改定しているのでしょうか?
その理由も教えてくれています。約50年の間に新しい投資商品が次々登場し、投資環境も変わりました。先程言ったようにETFが普及しましたし、売買手数料もかなり安くなっています。オプション取引やCFDなど、いろんな金融商品も当たり前になりました。
なにより、インターネットの普及により、銘柄の情報を入手しやすくなりました。
そんな状態でも、本当に50年前の主張が正しいのか?
確かに昔は銘柄の情報を得ることも難しかったですし、時間もコストもかかりました。でも今なら、インターネットを駆使して豊富な銘柄情報にアクセスし、独自の分析を行うのに、コストも時間も必要ありません。
それでも、個別銘柄を売買したり、プロが運用する投資信託に投資するより、ただの市場平均に連動したインデックスファンドのほうが、いいんでしょうか?
それを何度も検証し、新しいデータを持って改定され、そのたび「インデックスファンドが最適」という結論にたどり着いたのです。
1973年に発行されましたが、僕が読んでいる11版には、2000年代のデータも含まれています。時代が変わるたびに再度検証し、そのたび同じ結論に至る。これは信頼できそうな本です。
本書の著者、バートン・マルキール氏は経済学者、大学教授です。その点、以前紹介した「大暴落」や「教養としての投資」「米国つみたて投資」とは立場が違います。これらの著者はファンドマネージャー、プロの投資家です。その立場から僕らにも役立つ知見を与えてくれます。
「FIRE-最強の早期リタイア術」や「お金の大学」の著者は個人投資家として、自身が実践された方法を教えてくれました。
では、学者はどの立場から教えてくれるのでしょうか?
それは、客観的な事実と再現可能な理論です。
例えば、「大暴落」の著者、澤上篤人さんは「さわかみファンド」の創設者です。確かに「さわかみファンド」は長期投資、アクティブ運用で成果を出していますが、そのやり方が全員に合うわけではありません。同じことをやって、同じ成果が出るわけではないですよね。
その点、学者は実体験ではなく、研究結果をもとにしているので、基本的には再現可能な理論を教えてくれます。
どっちがいいのかは人それぞれ。成果を上げている人のマネをしてうまくいくかもしれないし、いかないかもしれない。でも、「ウォール街のランダム・ウォーカー」に書かれている理論は、たぶん誰がやっても同じ成果が出るはず。そういう意味で、これは投資をする全員が読むべき本だと感じました。
さらにバートン・マルキール氏の経歴を紹介すると、そもそものキャリアはウォール街の投資銀行で株式市場アナリストとして始まりました。さらに保険会社の投資委員会の委員長、世界最大級の運用会社の社外取締役も務めています。
つまり、そもそもは学者ではなく、プロの投資家だということです。
当然、個人的にも投資して成功されています。
実証された研究結果を学者として、株式市場の表も裏もわかるプロの投資家として、そして僕たちと同じ個人投資家として、3つの視点から教えてくれるのが本書です。
ということで、前置きが長くなりましたが、本書の内容に入りましょう。
今回は前編ということで、株式投資の歴史(主に暴落)とそれから今の投資家が何を学べるのかを見ていきます。
中編では投資の2代手法である「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」について、後編では、そうした知識を踏まえて個人投資家は何をすべきなのか、具体的に紹介していくので楽しみにしていてください。
株式市場のバブルはなぜ繰り返すのか?
「バブル」
投資家にとっては魅力的であると同時に、一番怖い言葉でもあります。なぜなら、資産を大きく増やすのも、大きく減らすのも、だいたいはバブルの時だからです。
大きなバブルをうまく乗りこなしたことで数年で資産数百倍、という話は珍しくありません。でも、大半の投資家はバブルが弾けるのとともに資産も弾けて消えてしまいます。
そんなバブルの歴史はオランダの「チューリップバブル」から始まります。
珍しいチューリップの球根に高値が付いて、バブルのピークには家を売って球根を買う人までいたそうです。
「そんな馬鹿な…」と今の僕たちは思ってしまいますが、当時バブルから逃げることは相当難しかったのです。周りで「この間買った球根を20倍で売却したぜ」とかいう話を何度も聞けば、「じゃあ自分も…」となってしまっても責められません。しかも実際、それで何倍にもなるんですから。
ただそれもバブルが弾けるまでの話。家を売ってまで買ったチューリップの球根は、バブル崩壊後は玉ねぎ程度の価格で売買されるようになりました。
こうした事は何度もありました。本書で紹介されている事例をいくつか見てみましょう。
気になったものがあれば、「なぜバブルが起こったのか?」「その時自分ならどうしたか?」をぜひ調べて考えてみてください。本書ではより詳細なエピソードが載っていますが、有名なバブルばかりなので、ネットで検索しても情報が手に入ります。
国策が生んだ南海バブル
1700年前半にイギリスで発生したバブル。古い話と思うことなかれ。2021年前半を彷彿させるようなバブルです。
当時、株式投資は一種の特権のようなもので、豊かになった市民がなんとか株主になりたいと望んでいました。
そんな中、登場した南海会社は、国の債務を肩代わりする代わりに独占的な貿易権を与えられた国策企業でした。
しかしいつの時代も国策企業の経営はうまく行かないもので、独占的地位、潤沢な資金にあぐらをかいたずさん経営が続けられます。
流れてくるニュースは「〇〇海峡の貿易権も南海会社が獲得」など好意的なものばかり。そうして株価は暴騰し、気づけばイギリス国王まで南海会社の株を購入しました。
ちなみに、南海会社のビジネスはまだうまく行っていません。ずさんな経営もそうですが、当時の海運業は病気や沈没などのリスクも高く、簡単に儲かるものではなかったのです。
そうして資産を増やした個人は、第二、第三の南海会社を求めます。
そのうちイギリスで、次々とベンチャー企業が立ち上がる様になりました。その頃提出された会社の目論見書の中には「誰にも実態はわからないが、多大な利益の上がる事業を行う会社」というものもありました。つまり、何をするか全くわからない会社というわけですが、株式公開日、受付が始まってわずか5時間で莫大な資金が集まったのです。
「誰にも実態はわからないが、多大な利益の上がる事業を行う会社」こんな目論見書で資金が集まるなんて理解不能ですよね。でもちょっと考えてみてください。2020年から始まった「SPACブーム」はどうでしょう?これは特定買収目的会社で、なんの事業もしていないのに上場して、「すごい未上場企業を買収するらしい」というだけで莫大な資金を集めています。300年前も今も、なにも変わりませんね…
そんなことが続いたある日、バブルのきっかけとなった南海会社の役員や経営者が、株を売却していることが明らかになりました。
当然彼らは自分たちの事業がそこまでうまくいっているわけでもなく、株価が過大評価されていることを知っていました。
このニュースが出てから市場はパニックになり、南海会社の株価は暴落。みんな熱から冷めて、わけのわからない事業を行っていた企業の株も次々と紙くずになりました。
ちなみに、南海会社の株価暴落にはあのアイザック・ニュートンも巻き込まれて、大きな損失を出したそうです。その時ニュートンは「私は天体の動きは計算できるが、人間の狂気は測りきれなかった」と嘆いたそうです。
企業名で株価が変わるエレクトロニクス・ブーム
似たような事は世界恐慌につながった1920年の「ブラックフライデー」でもありました。本書ではこのバブル崩壊についても詳しく書いてくれていますが、大切なことは、「バブルのさなかでも、株価の根拠は存在する」ということです。
つまり、後から見れば明らかにバブル、株価が上がりすぎていても、そのさなかにはその株価を正当化する色んな理由があるということです。だからこそ、バブルから身を守ることは難しいんです。
次の馬鹿げたバブルを紹介する前に、本書の一文を紹介します。
株式市場で金儲けをすることは、実際、それほど難しいわけではない。むしろ難しいのは、短期的に手っ取り早くお金を儲けられそうな投機に、お金を注ぎ込みたくなる誘惑を振り払うことの方である。
個人投資家はこれをデスクの上に貼っておいて、株を買う前に唱えたほうがいいくらいですね。次に紹介するのは「エレクトロニクス・ブーム」こんな馬鹿げたことが実際に起こるのかと不思議に思うのですが、実際に起こったことです。
1950年代後半、「成長株」という言葉が魔法のように語られていました。実態がなく、まだ利益を出していないような銘柄に資金が集まっていたのです。こうした銘柄に投資する人の多くは、買った株が1日で倍になると考えていて、しかもそれを次々実現させていきました。
IBMなどの株価が大きく上昇したことから、投資家の注目はエレクトロニクス企業でした。その結果、新しく上場する企業の名前がエレクトロニクス関連であれば、何をしているかに関係なく株価が上がったのです。
実際、レコードを販売する企業が上場直前に企業名を変えたことで、IBMなどエレクトロニクス企業と同じくらい割高に評価されたのです。
他にも社名に「シリコン」や「テクノロジー」その他、とりあえずよくわからない単語がくっついていたら、株価が上がったのです。
当然、そんなブームが長く続くわけがありません。たった数年でこうした企業の株価は紙くず同然になりましたし、多くは倒産したり、証券詐欺で告発されたりしました。
面白いことは、こうした一時のブームによるバブルは、ほとんど常に繰り返されているということです。
詳細は省きますが、エレクトロニクス・ブームのあとすぐに、「コングロマリット・ブーム」が始まりました。コングロマリットとは、買収によって多角経営をする複合企業です。合併したときの利益計算方法などによって、1株利益が変わるという数字のトリックがあります。それによって、ただ買収しただけなのに利益が上がったように見え「これが次の成長株だ!」とみんなが熱狂するようになりました。
その後いくつかのブームを経て、新規上場株に投資すると痛い目にあうと学習した投資家は、今度は「大企業ブーム」にはいります。時価総額上位の素晴らしい株であれば、どんなに割高でもどんどん買うという、これもまた馬鹿げたブームです。
その後も、ハイテク・ブーム、バイオ・ブーム、AI・ブームなど常に無数のブームが発生しては消え、を繰り返してきました。投資をする人って基本的には金融リテラシーが高く頭の良い人が多いと思ってましたが、全然そんな事はないのかもしれませんね。会社の名前だけで判断したり、会計の基本的な知識があればわかる利益上昇のトリックに騙されたり…
新しい株価指標が次々登場したITバブル
最後に紹介するのはITバブル。知っている人も多いと思います。2000年代頭に、ハイテク株を中心に新規上場株の株価が大きく上がり、その後下落。アマゾンやアップル、マイクロソフトのような、本当に実力のある企業の株まで安値で売り叩かれました。
細かな流れは説明しなくていいでしょう。かなり有名なバブルなので情報が溢れています。ここで学びになるのはさっきも言った「バブルのさなかに、その株価を正当化する理由が存在する」ということです。
上場したばかりで、まだ利益も上げていない。利益を上げられるビジネスなのかもわからない。そんな企業に投資するなんて、どうかしていると思いますよね。
でも決して珍しいことではありません。昨年株価が7倍以上に急騰したテスラは、ずっと赤字企業でした。ようやく黒字化したときに株価収益率は1000倍以上と、普通の感覚からすると意味がわからない数字です。それでもテスラの株価はしばらく上がり続けましたし、今も株価収益率数百倍で取引されています。
テスラに投資する人は、利益や株価収益率など基本的な指標以外を見ているようです。例えば、テスラは世界を変えるイノベーション企業だという期待や、世界はこれから電気自動車に切り替わるからテスラの利益成長は凄まじいものになる、というものです。
正直、テスラの利益成長が凄まじいものになって、新車販売台数でトヨタとGMをあわせたより多い数になったとしても、まだ割高なんですが、とりあえず今の株価を正当化する方法はいくらでもあるということです。
ITバブルのときもそうでした。
まだ利益を出していない企業をどうやって評価するか?アナリストや投資家はそれを一生懸命考えて、株価を正当化します。
例えば、あるドットコム企業は売り上げではなく、サイトの訪問数で評価されていました。通信関連企業は、その企業が保有する通信ケーブルの総距離で測られました。当然、サイト訪問数が売り上げに直結するわけではありませんし、通信ケーブルの総距離と実際に使われているケーブルの長さ、利用者の数は関係ありません。
この頃の通信企業は、とりあえず通信ケーブルの総距離を伸ばせば資金が集まるということで、使う予定もない通信ケーブルを大量に作っていたそうです。馬鹿げていますが、モルガン・スタンレーみたいな有名な会社が「〇〇社は地球150周分の光ファイバーケーブルを保有しており〜」なんて言われたら、たしかに「これからすごい利益を生むんじゃ…!」となってしまうかもしれませんね…
なぜバブルは生まれるのか?
さて、ざっくりと過去のバブルをいくつか紹介しました。本書では2008年のリーマン・ショックについても解説されていますし、今回少しだけ触れた「コングロマリット・ブーム」や「大企業ブーム」も詳細に紹介されています。興味があればぜひ調べてみてください。
過去のバブルから何を学ぶことができるのか。本書に書かれていることから僕が学んだのは次の3つです。
バブルは必ず起こる
「バリュー株投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアムは「短期的にみると株式市場は人気投票にすぎないが、長期的で見れば価値の測定器として機能する」と言いました。
短期的には人気投票なので、バブルやバブルと呼ばれない程度のブームは起こってしまいます。
本書では「生のフィードバックループがバブルを生み、負のフィードバックループが崩壊させる」と言っています。
例えば、ある銘柄や業界、投資手法が「ここに投資すべきだ!」と注目を集めます。注目を集めると資金が集まり、株価が上がります。そして株価が上がったことでさらに注目を集めます。そしてさらに資金が集まり〜と繰り返すことでバブルやブームになります。
これはどうしたって仕方のないことですし、株式市場にとって必要なことだと思います。例えば、アマゾンはITバブルで株価が大きく上がり、莫大な資金を集めました。それを先行投資に回し、流通網を作り上げることで世界最大の通販会社になったわけです。もしITバブルがなければ、アマゾンの成長にはもっと時間がかかっていたかもしれません。
バブルを完全に避けることはできない
そしてもう一つ、バブルを完全に避ける方法はない、ということです。たとえ株式投資をやっていなくても、バブル崩壊は実体経済に影響を及ぼします。
リーマン・ショックのときはわかりやすく、サブプライムローン問題をきっかけに金融機関が倒産したため、不動産に関わっていない企業や個人まで資金不足に陥り、社会全体が不況になりました。
ITバブル崩壊後、NASDAQは15年も停滞しました。確かにITバブルの原因となったハイテク企業の多くはNASDAQに上場していましたが、ハイテク企業以外も数多く上場しています。
つまり、ITバブル崩壊は、ITバブルから距離を取っていた投資家にも影響したんです。
そして今回取り上げたバブルの事例からわかるように、バブルのさなかにバブルであると認識することは難しいのです。今の株価が適正かどうかを判断するのは簡単ではありません。新しい指標が生み出され、もっともらしい根拠が提示されると、「これはバブルではない。本当に成長する企業だから、今の株価は決して割高ではない!」と思ってしまっても不思議ではありません。
しかも厄介なことに、それが正解であることもあるんです。
例えば、ITバブルのとき、サイトのアクセス数で企業が評価されるという馬鹿げたことがおこりました。でも、初期のGoogleやFacebookを「利益は出してないけどアクセス数は多いよね」という理由で投資した人は、今頃大金持ちになっています。
バブル崩壊後、「やっぱり利益をしっかり出している企業に投資したほうがいいよね」と考え、赤字続きのアマゾンを手放してしまった人は、今頃かなり後悔しているでしょう。
バブルは必ず弾け、正常な水準に戻る
そして3つ目は、ベンジャミン・グレアムの「短期的にみると株式市場は人気投票にすぎないが、長期的で見れば価値の測定器として機能する」という言葉にあるように、バブルは必ず弾け、株価は価値を測定する場として正常に機能してくれる、ということです。
チューリップバブルが弾けた後、チューリップの球根は玉ねぎと同じ価格まで下落しました。食べられる玉ねぎのほうが価値がありそうな気がしますが、観賞用としてのチューリップとして正常な価格に戻ったわけです。
その他いろんなブームで株価が高騰した企業も、中身が無いものは当然倒産し、消えていきました。しかし、実態ある企業はバブル崩壊後も生き残り、株価を成長させてきました。
本書では次のように書かれています。
われわれが学ぶべき教訓は、市場は時として非常に不合理な動きに支配されることがあり、金融資産価格に関するファンダメンタル価値など当てにならないと結論づけてはいけないということだ。むしろ学ぶべきは、いずれのバブルに関しても市場はやはり自ら身を正したということなのだ。時間はかかりそれだけ犠牲は大きく膨らむものの、市場はやがてすべての非合理的な府上を修正したのだ。
今はなんのバブルか認識しよう
今回は「ウォール街のランダム・ウォーカー」前編ということで、株式市場の歴史とそこから学べることを紹介しました。
市場は常にバブルやブームを起こしてきました。
だったら今は何のバブルでしょうか?
何のバブルもブームも起こっていない平時なのでしょうか?
歴史を学べばよくわかりますが、株式市場にとって平時なんてものは存在しません。常にバブルとバブル崩壊、ブームとブーム終焉を繰り返しています。
当然、今はバブルです。バブルのどの段階にあるかはわかりませんが、100%断言できるのは、S&P500が年利16%以上で上昇し続けるなんてことが、ずっと続くなんてことはありえないということです。
リーマン・ショックの後、金融緩和で株価を支えてきました。ようやく経済が立ち直り、金融緩和を終わらせても大丈夫かな、と思った矢先、コロナパンデミックでリーマン・ショックのとき以上の金融緩和が発生しています。
今の株価が、金融緩和によるものであることは間違いないでしょう。
つまり、企業価値が上がることで株価が上がってきたのではない、ということです。
そしてこれまでのバブルと同様、今の株価を正当化する指標はたくさんあります。
さらに、SPACブームで、南海バブルのときのように「何の事業をするかわかりませんが、とりあえず株価はめちゃくちゃ上がりますよ」という企業に資金が集まっています。南海バブルのときは経済がうまくいき、市民に余剰資金が生まれたことで株に資金が集まりました。今、SPAC銘柄に資金が集まっているのも金融緩和による金余りが理由でしょう。今のバブルはあとで「金融緩和バブル」とか呼ばれるんでしょうか。
じゃあ今、僕たちはどうすべきなのか?
その答えは後編で。僕がこれからどうするか、個人的な意見も少し書くかもしれません。
でもその前にもう少し勉強しましょう。中編は投資の2代手法である「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」についてです。
テクニカルvsファンダメンタル。この永遠の闘争に決着がつくんでしょうか?まあ、本書の中では50年近く前に決着しているんですが…それでは、中編でお会しましょう!
この記事を書いた人
- かれこれ5年以上、変えることなく維持しているマッシュヘア。
座右の銘は倦むことなかれ。
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